ホーム お客様事例 株式会社小松製作所 小松製作所、AIを活用した自動化をパブリッククラウドで実現
こちらの多国籍製造会社がクラウド・コストを削減してアプリケーションのパフォーマンスを確保した事例をご紹介します。
道路建設現場機械の空撮

小松製作所の起源は、創業者の竹内明太郎が日本の小松市付近で銅鉱山の開発に着手した1902年に遡ります。竹内氏は創業当初から、技術の進歩で組織を強化することで、従前のプロセスを最適化して継続的な改善を推進できるかという点を重視していました。

1921年、鉱山の銅埋蔵量が次第に少なくなってくると、竹内氏は製造業に軸足を移し、株式会社小松製作所(ibm.com外部へのリンク)を設立しました。その当時と比較して、現代のテクノロジーが劇的に進化したことは言うまでもありません。しかし小松製作所が他社と大きく違うところは、創業当初から最新のテクノロジーを導入して、業務の改善とチームの強化に取り組んできたことです。今日では、この取り組みはパブリッククラウド戦略にまで及んでいます。

他の多くのIT組織と同様に、小松製作所のインフラストラクチャー・チームもパフォーマンス問題への対応には苦慮し、これに対処するために様々なモニター・ツールを使用していましたが、各ツールには統一性がなく、ユーザーからの苦情を受けてから手作業で対応するという状況でした。また、オーバー・プロビジョニングのインスタンスを特定するために必要となる可視性も不足していました。さらにビジネスに影響を与えるユース・ケースの解決に、チームは何時間も費やすことがあったといいます。こうした事情により、チームは火消し作業のサイクルに陥り、戦略的イニシアチブの推進に時間を割くことができなくなりました。

しかもチームには、リソース割り振りの決定前にその影響を確実に評価する方法がありませんでした。そのため、リソースの割り振り後に影響をモニターすることしかできなかったのです。そこでチームがパブリッククラウドを採用してオンプレミスのワークロードをすべてMicrosoft Azureに移行し始めると、こうした手作業によるアプローチを続けられなくなることがわかりました。それでも、これまで同様にパフォーマンス問題を積極的に防ぎ、無駄を減らし、ユーザーの苦情に対処する時間を最小限に抑えなければなりません。そこでチームはIBM® Turbonomic®ハイブリッドクラウド・コスト最適化ソリューションに注目しました。

10チケット

 

チームはユーザーからの苦情を年間あたりチケットを10件に減らしました

650,000米ドルの節約

 

自動化を導入して以来、チームはパブリッククラウドで650,000米ドル以上の節約を達成しました

当社にとってアプリケーション・パフォーマンスの最適化は、ヒューマン・スケールを超えた継続的なプロセスです。IBM Turbonomicには、社内のギャップを限りなくゼロに近づけられるだけの大きな価値があると考えています。 Matthew Koozer氏 株式会社小松製作所インフラストラクチャー・アーキテクト
フル・スタックの可視性を実現して自動化を探求する

チームはTurbonomicを導入することで、ようやくこの火消しサイクルを断ち切ることができました。「IBM Turbonomicには、パフォーマンスの低下を回避するためのプロアクティブなアプローチが用意されています。これにより、当社は実際に問題が発生する前に問題を検知できるようになりました」と小松製作所インフラストラクチャー・アーキテクトMatthew Koozer氏は説明しています。小松製作所のチームは、Turbonomicのフルスタックの可視性を武器に、潜在的なパフォーマンス・リスクを迅速に評価し、別のテクノロジー・スタック層でパフォーマンスを低下させることなくパフォーマンス・リスクを排除するためにリソースを再割り当てする最適な方法を特定できるようになりました。

フルスタックの可視性は、コストを削減しながらパフォーマンスを継続的に確保するための小松製作所のジャーニーの始まりにすぎませんでした。次のステップは、TurbonomicでAIを活用した各種のリソース推奨機能を導入することでした。まずチームは、この推奨機能をひとつひとつ使い始めてみることにしました。するとチームはほどなく、Turbonomicの推奨機能が技術スタックの1レイヤーを強化しただけの修正バージョンではないことに気が付きました。「Turbonomicsはストレージの観点から意思決定を行い、IOPSをパブリッククラウドの特定のストレージ・ソリューションに振り向けていますが、この意思決定にはデータベースの観点からDTUの利用状況も考慮されているだけでなく、現在発生している問題がメモリーやCPUの消費量に関連しているかどうかも考慮して意思決定を行っていることがわかりました」とKoozer氏は述べています。チームは、小松製作所のフル・テクノロジー・スタックを考慮していたため、このリソースの推奨機能によって環境全体でパフォーマンスを向上させることができました。ほどなくして、チームは自動化の真価を試す準備が整いました。

現在、Koozer氏のチームは、リソース推奨機能を自動と手動の両方で実行しています。チームはAzureでTurbonomicの自動リソース・アクションを主に活用して、サーバー、ストレージ、データベースを最適化しています。Turbonomicの推奨機能は、リソースをどこに、どのように再配分すればよいかをリアルタイムで提案します。チームはその提案を受けて、ビジネスへの影響を最小限に抑えるために、そのアクションを実行する時間帯をあらかじめ決めておくことができます。リソース割り振りアクションの自動化に成功すると、チームはすぐにTurbonomicに信頼を寄せるようになり、現在ではITチームがまったく関与しない状態で、組織の大部分に対してリソース・アクションを自動的に実行しています。

Turbonomicのソフトウェア・ソリューションに任せておけば安定したパフォーマンスが確保されるため、当社ではIT部門による監視をほとんど行わずに様々なアクションをこのソリューションで実行しています。 Matthew Koozer氏 株式会社小松製作所インフラストラクチャー・アーキテクト
責任あるパブリッククラウド戦略の加速

Koozer氏のチームは社内環境を包括的に把握すると、オーバー・プロビジョニングされている多くのワークロードを特定し、それらを適切な規模にリサイズするための明確な計画を策定しました。これまで、アプリケーション所有者は規模変更の取り組みに抵抗していましたが、Koozer氏のチームはTurbonomicから様々なデータを取得し、オーバー・プロビジョニングされたワークロードを効果的に適切な規模に変更できることを、アプリケーション所有者に説明しました。「メモリーやCPUが少ない構成に移行することで、パフォーマンスを犠牲にすることなくAzure環境全体で無駄を大幅に削減できました」とKoozer氏は説明しています。これにより、チームはコストを最小限に抑えると同時にパフォーマンスを向上させることができました。さらにチームは、一定期間の消費使用状況を確認することで、継続的にリソース割り振りを再評価できるようになりました。この移行では、予約済みインスタンスが重要な役割を果たしました。

Koozer氏のチームはTurbonomicを活用して、予約済みインスタンスを実装しました。これにより、チームはサーバー稼働率を平均で33%以上削減できました。一部のケースでは、サーバーを廃止することもできました。またチームは、ユーザーからの苦情への対応やパフォーマンス問題の解決に費やす時間も短縮しました。実際、ユーザーからの苦情は年間約10件から12件にまで減少しました。さらに、全体的なクラウド支出も削減されました。本稿執筆時点で削減された累積額は、650,000米ドルを超えています。

小松製作所は、1世紀以上にわたって、品質と信頼性を重視する製造業のリーダーであり続けてきました。技術革新と従業員育成が、このミッションの主要な柱となっています。近年では、小松製作所のIT組織はパブリッククラウドの採用を拡大しており、その過程で自動化が重要な役割を果たしてきました。こうした取り組みにより、小松製作所は財務面や環境面での無駄を減らし、IT組織を雑務から解放して戦略や革新に集中させられるようになりました。

Komatsu社ロゴ
株式会社小松製作所について

小松製作所(ibm.com外部へのリンク)は1921年に設立されました。本社は日本の東京にあります。建設、鉱業、林業、エネルギー産業、および製造業に不可欠な機器、テクノロジー、およびサービスを提供しています。小松製作所は世界中の顧客にサービスを提供しており、その目的を「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」としています

 

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2023年4月

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本資料は最初の発行日の時点で得られるものであり、随時、IBMによって変更される場合があります。すべての製品が、IBMが営業を行っているすべての国において利用可能ということではありません。

このプレゼンテーションに掲載または記述されたすべてのお客様事例は、IBM 製品の活用方法とその結果を例として示したものです。実際の環境コストやパフォーマンス特性はそれぞれのお客様の構成や条件によって異なります。通常、それぞれのお客様の成果は、お客様のシステムとサービスのご注文状況によるため、期待される成果が提供されないことがあります。本書に掲載されている情報は現状のまま提供され、第三者の権利の不侵害の保証、商品性の保証、特定目的適合性の保証および法律上の瑕疵担保責任を含むすべての明示もしくは黙示の保証責任なしで提供されています。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。