IBM最高情報責任者が生成AIで従業員用のホームページをモダナイズ
IBM従業員のみが利用できる内部イントラネット「w3」は、人材、多岐にわたる業務ツールやアプリケーションに関する情報を集約したプラットフォームです。IBM最高情報責任者(CIO)は、従業員にとってより使いやすくパーソナライズされた体験を提供するために、w3を刷新することを決定しました。
しかし、そのためには古いインフラストラクチャーへの依存をやめ、コンテナ化された作業負荷の管理と継続的な開発・運用の仕組みを導入する必要がありました。インフラストラクチャー、サービス、アプリケーション・レイヤーの全面的な見直しと、堅牢な設計の枠組みが急務であり、消費者レベルの快適な利用環境を従業員に提供することが求められます。この取り組みは、ITシステム全体を標準化し、サポートしやすく保守性の高いものに統一することを目指しています。
w3プラットフォームの統合に向け、CIO組織は段階的に進めるアジャイル開発手法を採用しました。
まず、チームはレガシーなインフラストラクチャーからCIOハイブリッドクラウド基盤のコンテナ環境へ移行しました。それにより、IBMのアプリケーションやサービスの展開・管理・配信についての理解が深まり、関係者のスキル向上にもつながりました。その結果、リリース管理プロセスが標準化され、厳密性、健全性、安定性がより確保できるようになりました。
移行の一環として、チームはw3のプロキシー・サービスのアップグレードを次のように行いました。
- 同じサービスがリバース・プロキシとリダイレクトの両方を処理できるようになり、全体の構成が簡素化。
- 最短経路のルーティング・アルゴリズムにより、世界8拠点の中で最も近い場所にユーザーを誘導することで、応答時間の短縮へ。
- IT資源の圧縮とキャッシュによってパフォーマンスが向上。
- クッキーを使わないドメイン設定により、コンテンツの読み込み時間を短縮し、通信量の削減へ。
さらに、インフラストラクチャー要素を評価・改良し、ビジネスニーズに合わせてさまざまな改善を実施しました。
- 古いシステムや重複したソリューション、十分に活用されていない参考情報の特定。
- 技術導入のための明確なロードマップの策定。
- パフォーマンスを監視・評価して、必要に応じて調整を行う。
またチームは、ITサポートプラットフォーム、ディレクトリー・データ、ランディングページ、ニュースプラットフォームの下にあるデータとサービスを統合しました。この構築には、IBM Carbon Design System³、GraphQL、ReactJSを採用した革新的な枠組みと開発手法が活用されています。新しい枠組みにより、イントラネット全体のユーザー活動が可視化され、CIOはユーザーがどこで問題を抱えているのか、ユーザーが興味を持っているツールや重要なことは何かが把握できるようになりました。この情報に基づき、バックログの優先順位付けや、ユーザー・インターフェース(UI)の階層設計を行い、パーソナライズされたユーザー体験(UX)の提を叶えることができました。
CIOハイブリッドクラウド・プラットフォームへの移行、テクノロジーの最適化、アプリケーションの再構築が完了し、IBM® watsonx.aiを活用した新しいw3基盤が完成しました。IBM watsonx AssistantとIBM Graniteを搭載した大規模言語モデル(LLM)を含みます。その結果、下図1が示すように、イントラネットが再活性化され、活気を取り戻しました。
IBMの新しいw3には、次のメリットがあります。
以前:検索機能は断片的で、各セクション内に限定されていました。
現在:人物、ニュース、アプリケーション、ITサポート情報ごとに検索結果を絞り込める統合検索画面を提供しています。さらに、場所、言語、日付での絞り込みも可能です。
以前:設定の変更が困難。
現在:外観、言語、場所、興味、通知などを自由に設定できます。通知には、デバイスやパスワード管理の警告、ブログ購読、トレンドトピックなどが含まれます。
以前:社員名簿は別のWebポータルで制限された方法でしかアクセスできませんでした。
現在:「People」ページで同僚との交流や連絡が容易になりました。
以前: ニュースのレイアウトやプロフィールオプションの変更が必要でした。
現在:「News」タブでIBMの出来事や取り組み、自分の役割に関連するイベント情報をキュレーションして提供しています。
以前:アプリケーションの詳細はライセンス管理が一元化されておらず、OSごとに複数のプラットフォームからアクセスしていました。
現在:職務や事業単位に基づく推奨アプリケーションを通じて、ソフトウェアの取得、アップグレード、管理、返却が可能になりました。
以前:柔軟性に欠ける停止メッセージで、独立したWebサイトからITサポートを依頼していました。
現在:主要リソース、停止情報、現在のサポートチケット、連絡先、予定が表示されるITサポートハブを設置。さらに、AIを活用したセルフサービスシステム「AskIT⁴」でIT関連の質問に回答を得られます。
以前:AskIBM⁵ は存在しませんでした。
現在:IBM社員は生成AIを活用し、メール作成、文書翻訳、情報検索、要約作成、実用的なアイデア創出などの日常業務を加速・簡素化できる「AskIBM」が利用できます。AskIBMのアルファ版は2024年1月初旬に本稼働を開始しました。
w3デジタル進化の過程で、CIOはwatsonx製品チームや IBM® Research と連携し、企業向け製品オファリング拡張を支援しました。得られた成果やベストプラクティスは顧客と共有され、IBMイントラネット開発のアプローチや同等の環境を再現するための IBM® Consultingの専門知識も共有されます。
IBMイントラネットは、2006年、2017年、2019年、2022年にNielsen Norman Group(NN/g)⁶ イントラネット・デザイン賞を受賞しています。さらに、生成AIを活用した新たな取り組みは、AskITやAskIBMなど他の社内プロジェクトの方向性を示しました。
w3の経験から、CIOは世界中のIBM顧客と共有できる貴重な教訓を得ました。主なポイントは以下の通りです。
- 変革はユーザー中心の物語と対話に基づいて進める。ユーザーの行動を観察し、優先度をつけてチームの能力を最大限に活かす。
- 一部のグループが不満を持っても、全体の利益につながる複雑な意思決定を管理できるよう、組織内の利害関係者との関係構築に注力する。
- 今後もITサポートの自動化を進め、予測データを活用してユーザーに影響を与える可能性のある問題に対応する。
チームは、 一貫したユーザー体験を提供するため、IBM watsonx Orchestrateの活用も目指しています。
IBMの最高情報責任者(CIO)組織は、IBMの社内IT戦略を主導し、IBM従業員が日々の業務に使用するITソリューションの提供・保護・モダナイズ・サポートを担当します。
CIOの戦略には、企業全体でITツール、アプリケーション、システムへのアクセスを容易にする適応型ITプラットフォームの構築が含まれます。ビジネスの成長を促進するという使命を掲げるCIOは、問題解決を加速し、IBMのイノベーション・エンジンとして機能します。
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米国で制作、2023年12月
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