ルフトハンザでのAIのスケーリング
人材の結集がドイツを代表する航空会社の効率性向上に貢献しています
ターミナルで駐機中のLufthansa社ボーイングB747型機

Deutsche Lufthansa AG社は、データとAIに関して適切な戦略の立案が、顧客体験を強化し、従業員の活躍機会を広げると同時に、運営最適化の達成につながることを、ドイツ最大の航空会社として当然ながら早くから認識していました。

現実には、世界を股にかけ運営する航空会社に課される規則と規制は複雑になる一方で、特定の航路とステータス・レベルの手荷物許容量から二国間を渡航するパスポート所有者の査証要件まで、代理人がすべての要件に回答するのは不可能になっています。

IBM® Garageチームは2019年初期以来、Lufthansa社の従業員と日常的に連携しながら、AIを利用する新たなビジネス上のアイデアとサービスをすばやくテストし、試験的に運用しています。Lufthansa AI Studioのプロジェクト第一弾は、IBM Watson AssistantやIBM Watson ExplorerなどのIBM® Watson製品をサービス・ヘルプ・センターに統合することでした。

これまでバラバラだったデータ・ソースが、自然言語や航空用語で検索できるようになり、年間10万件近い顧客からの問い合わせに、より簡単に対応できるようになりました。IBM Watsonテクノロジーが、Microsoft社のSharePointやインターネット・チケット・システムといった関連する多様な接続データ・ソースの管理、検索、分析、解読を可能にします。

キャパシティーの強化

 

年間10万件近くの顧客の問い合わせに対応可能に

プロジェクトを加速

 

10週間にわたるIBMとの契約期間後、データサイエンス・プロジェクトを加速・拡張可能に

Lufthansaにとって、AIは非常に重要です。なぜなら、AIは実際に私たちが利用しているデータの世界を広げてくれるからです。実際、AIは、データベースの中に既に何らかの形でどこかに存在しているすべての可能性を明らかにしてくれます。 Mirco Bharpalania氏 クロスドメイン・ソリューション担当シニア・ディレクター Lufthansa Group
モダンなデータサイエンス・プラットフォームの台頭

AI Studioコンテンツの構築が始まると、社内での議論の的は、データサイエンス・プラットフォームのモダナイズに移っていきました。各種プロジェクトを1つのバーチャル環境にまとめて、データサイエンス・グループのキャッシュと効果の向上を図り、そのアクティビティをビジネス・ニーズに近づけることが目的でした。

データサイエンティストとデータエンジニアは、プロジェクトの維持に過大な時間を費やさざるを得ないため、ビジネス価値の証明には十分な時間をかけられないという問題によく直面します。Lufthansa社はこうした問題に加え、限定的な拡張性、公開ソフトウェア更新へのアクセス不足、セキュリティー改善ニーズという問題も抱えていました。同社が必要としていたのは、データサイエンス・パイプラインの内部でモデルを監視、構築、拡張するツールでした。

IBM Data Science and AI EliteとIBM Software Servicesの各チームは、Lufthansa社と共に2日間のEnterprise Design Thinkingワークショップに参加し、単一環境でデータサイエンティストが新しい技法を実験したり、既存の監視・モデル作成システムを使用してモデルをすばやく展開したりできるデータサイエンス・プラットフォームの構築に取り組みました。

データサイエンティストはこのデータサイエンス・プラットフォームで、新しいデータ・ソースを使用できます。また、オープン・ソースの良さを活かして、共同作業を増やしたり、希望言語で作業したりできます。モデルの開発やデプロイに、AutoAIやIBM Watson Machine LearningテクノロジーをはじめとするIBM Watson Studioの他のデータサイエンス機能を活用することも可能です。これらすべてのツールは、実行中にバイアスとドリフトを緩和するために使用されるIBM Watson OpenScaleソリューションと共に、IBMパブリッククラウドでサービスとしてのプラットフォーム(PaaS)やサービスとしてのソフトウェア(SaaS)オプションとして、またはあらゆるクラウドで利用可能なIBM® Cloud Pak for Dataプラットフォームを介するマイクロサービスとして利用できます。

可能性は無限

Data Science and AI Eliteチームは10週間の契約期間にわたって、IBM Watson StudioとIBM Watson Machine Learningを使用する新たな業務ワークフローを設計し、PaaSとSaaSを活用してパブリッククラウドにオープン・プラットフォームを構築する新規データサイエンス・プロジェクトの進行基盤を築きました。これによりLufthansa社はミッション・クリティカルなワークロードを処理し、これらプロジェクトの本番環境へのデプロイメントを加速する拡張性と柔軟性を得ることができました。

Lufthansa社のデータサイエンティストは、Data Science and AI Eliteチームと連携して、同社運営のスマート化と効率化を推進する3つのユースケース用ソリューションを試作しました。すなわち、遅延防止、搭乗時刻の予測精度の向上、チェックイン・カウンターでの長い列の解消です。

Lufthansa社は2年足らずと短期間で、AIの概念実証(PoC)からデータサイエンス・プロジェクトを組織規模に拡張し、モデルに含めることができるデータ量といった制約を克服しました。実現に貢献したのが、IBMとのパートナーシップであり、IBMの処方的メソッドであるThe AI Ladderに固有の深い専門知識とソリューションをユースケースに活用できました。Lufthansa社がAIサービスをIBM® Cloudに移行したことも実現に拍車をかけました。

今では同社のデータサイエンス・チームは、IBM Watson Studioで新しいユースケースの構築と並行して、古いユースケースの改善に取り組めるようになっています。また、同社のデータサイエンティストは前述した3つのユースケース以外のプロジェクトも推進できるようになっており、その多くは、乗客の体験を向上するか、運営または戦略に関する従業員の決断の裏付けに役立つものです。

Lufthansa AG社のロゴ
Deutsche Lufthansa AGについて

1953年に設立されたLufthansa社(ibm.com外部へのリンク)はコロンを本拠とし、ドイツ最大の航空会社に成長しています。14万人弱の従業員を擁し、世界220の目的地に運航しています。2019年の売上高は360億ユーロに達しています。

次のステップ

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米国で制作、2020年12月

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