Danaの責任は重大です。世界中のほぼすべての車両が、その推進技術とエネルギー管理技術をDana Incorporatedに依存しているのですから。世界中の顧客にサービスを提供するためには、Danaは最高の効率で事業を進めなければなりません。それに、大量のデータを格納し、多数の電子データ交換(EDI)標準とトランザクションタイプに対応する必要もあります。そしてこの点こそが複雑なのです。
Danaは、製品とサービスの拡大と自動車電化事業の拡大に伴い、無機的かつ有機的な驚異的な成長を遂げてきました。こうした成長とシステムの複雑さ、さらにITシステムのレガシー化に伴い、世界中のサプライヤーや顧客にとっての重要なコミュニケーションツールとしてのクラウドへの移行の機運が生まれました。
Danaのグローバルシステム担当ディレクターであるJeff Heyde氏は、次のように説明します。「非常に多くのユニークな旧式トランスレーターを異なる方法で最終状態のERPに統合する必要がありました。そして、安全で効果的かつコスト効率の高いソリューションを特定する必要があると気づいたのです」
2019年、Danaは自社のERP環境を最新化し、複雑なEDIビジネス・ネットワークを単一のEDIインスタンスに統合するための積極的な統合戦略を開始しました。このプログラムは、サイバーセキュリティとワークロードのクラウドへの移行に向けた同社の取り組みとも連動しています。
月間送信キロ文字数225,000件、月間EDIトランザクション3.1百万件
毎月225,000件のEDIトランザクションを処理
Danaの上級副社長兼最高情報責任者(CIO)のMatt Fahnestock氏は、さらにこう付け加えています。「クラウドなら、ビジネスの変動に基づいてコストを変えることができます。また、クラウド・プロバイダーは自社のソリューションの安全性を維持するために多大な投資を行っており、これは当社の最優先事項であるサイバーセキュリティと密接に関係していると考えています」
技術的には、Danaは各ERPアプリケーションを世界のサプライヤーや顧客と接続できるサプライチェーンEDIプロバイダーを必要としていました。しかし、必要なのはそれだけではなかったとHeyde氏。
「使えるソリューションだけでなく、実際にそれを実行し、予定期間内に実装できる人材も必要なのです」
Heyde氏はIBMでこうした人材を見つけました。
「IBMプログラムチームのほぼ全員と話をしましたが、過去の事例から大きな自信を持っていることがわかりました。選ぶ上で決め手となるのは人材です。だからこそ私たちはIBMを選びました」とHeyde氏。
Dana社は、EDIビジネス・ネットワークの統合に、IBM® Sterling B2B Integration SaaSソフトウェアをIBM® Cloudで使用しています。このテクノロジーは、EDIトランザクションの処理と自動化を行うものです。同社は、プレミアム・エディションを選択することで、IBM Sterlingテクノロジーに精通した技術対象分野の専門家である、専任のプロジェクト・エグゼクティブの知見も獲得しました。
「IBMが優れたソリューションを持っているだけではないのです」とHeyde 氏。「IBMはクラウド上のSaaSベースのソリューションでもあり、私たちの全体的なIT戦略に非常によく適合していました。SaaSモデルなら、ビジネスの変動に応じたコスト調整が可能になります。信頼性とセキュリティも非常に重視しています」
IBMは、すべてのEDIおよびフラット・ファイル、サプライヤーおよび顧客のデータの翻訳と送信を実行しています。工場間でEDIトランザクション・データを新しいIBMプラットフォームに移行するために、DanaはIBM Sterling Connect:Directソフトウェアの8つのインスタンスを使用しています。
現在、DanaはIBMプラットフォーム上で毎月約310万キロ文字を送信しています。1年以内に、1か月あたり61%以上多くのキロ文字を送信すると予想されます。また、毎月225,000件を超えるトランザクションを処理します。まもなく、1か月あたりの処理量が77%以上増加します。2021年に、DanaはSterlingプラットフォームへの移行を完了しました。これは300万件のトランザクションと3,000件のリレーションに相当します。
Sterling B2B Integration SaaSソフトウェアのプレミアム・エディションでは、IBMが実装を管理し、システムを保守します。また、プレミアム・サポートでは、IBMは取引上の問題や調整について、Dana社のサプライヤー、取引先、顧客と積極的に協力することができます。
「システムの保守では、サーバーにパッチを適用する必要があります。アップグレードも発生し、モニタリングも行われます。それがすべて消え去ります」とHeyde氏は言います。「今ではパートナーは1社、クラウド上です。IBMはモニタリングを行い、パッチ適用も行います。すべてSaaSソリューションの一環です。これでITの観点で大幅な労力が削減され、リスクが軽減されます。当社の全体的なIT戦略にうまく適合しています」
Dana社のIT戦略では、インフラストラクチャーの複雑さの軽減と、データセンターのクラウドへの移行が求められていました。この戦略は成功でした。現在、同社は50ではなく4つのERPシステムを管理しています。また、数千の顧客やサプライヤーとのコミュニケーションを十数人の翻訳者に頼るのではなく、今や全員が単一のクラウドベースのソリューションであるSterling B2B Integration SaaSソフトウェアを通じてつながっています。Heyde氏は、このテクノロジーの信頼性をこう指摘します。
「私たちはこのソリューションを世界中の38の工場に導入しましたが、一度も操業を停止していません。これは注目に値します。私たちには、ソリューションの信頼性の確保に取り組み、どんな時でも連絡がつくパートナーがいるのです」
もう1つの改善点は、Danaとそのパートナーの間を流れるトラフィックの可視性レベルです。工場管理者は、IT部門にチケットを送って問題を解決を待つのではなく、ソリューションのリアルタイムの可視性とセルフサービス・ツールを使用して、顧客の潜在的な問題を迅速に特定して解決します。
「ITのボトルネック化をなくしたこと、これは本当に重要なことです」とHeyde氏。「工場が顧客に送ったASN(事前出荷通知)に問題があった場合、工場はそれを瞬時に確認し、メッセージを再送することができます。IT部門に問い合わせる必要がなくなったのは素晴らしいことです」
DanaがERPの統合を進めている最中に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生しました。パンデミックは、取り組みのほぼすべての側面に影響を与えました。突然、全員がリモートで仕事をするようになったことは大きな懸念事項でした。
「プロジェクト責任者は、心配の必要はないと何度も言ってくれました」とHeyde氏は振り返ります。「思い返せば、彼は本当に的確でした。チームはリモートで非常にうまく機能し、関係者全員とコミュニケーションをとるための非常に優れたプロセスが整備されていました」
「IBMは私の期待を上回りました」Heyde氏は締めくくります。「私はIBMをベンダーとは考えていません。パートナーとして捉えています。」
Dana社(リンクはibm.comの外にあります)は、世界中のあらゆるモビリティ市場向けに高効率の推進力とエネルギー管理ソリューションを設計・製造するリーダー企業です。米国オハイオ州モーミーに本拠を置く同社は、6大陸33カ国に3万8000人の従業員を擁し、2020年の売上高は71億ドルと報告されています。設立は1904年。持続可能性と社会的責任を重視していることから、ニューズウィーク誌の「2021年アメリカで最も責任ある企業」に選ばれました。
© Copyright IBM Corporation 2021.IBM Corporation, IBM Supply Chain, New Orchard Road, Armonk, NY 10504
2021年10月
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