アメリカン航空

クラウドを利用したカスタマー・エクスペリエンスの変革

顧客ニーズへの即応性を高めるために、アメリカン航空は新たなテクノロジー・プラットフォームと開発アプローチを導入し、セルフ・サービスのデジタル・ツールとカスタマー・バリューをより迅速に社内全体に提供する必要がありました。IBM の支援により、アメリカン航空は革新的なアプリケーションを短期間で作成する新たな手法により、カスタマー・エクスペリエンスを向上させつつ、重要なアプリケーションの一部を IBM Cloud に移行しています。

ビジネス上の課題

航空会社にとってカスタマー・エクスペリエンスは競合優位性の要となる差別化要因であるとともに、デジタル・チャネルへの依存度はますます高まっています。アメリカン航空は、最新の情報とサービスを求める顧客の要望を、どのようにして満たすことができたのでしょうか。

変革

IBM と連携して、顧客に直接対応する主なレガシー・アプリケーションを IBM Cloud 上の VMware HCX に移行するとともに、これらのアプリケーションをクラウド・ネイティブ・ベースのマイクロサービス・アーキテクチャーに変換し、世界最大の航空会社として顧客ニーズの変化に応じたより素早い変革を成し遂げています。

結果 コストの削減

IBM Cloudへの移行によって、既存のアップグレード・コストを回避

向上

運用の信頼性、生産性、最終顧客への応答時間がいずれも改善

時間短縮

新規アプリケーションを迅速に開発してリリース

ビジネス上の課題の詳細
デジタルの大空へ

競争の激しい航空業界では、カスタマー・エクスペリエンスが差別化の要点であるとともに、デジタル・チャネルの重要性が一段と高まっています。

アメリカン航空は顧客向けの便利なデジタル・サービスを提供したいと考え、既存のレガシー・アーキテクチャー、プラットフォーム、組織、開発と運用のアプローチによる制約を撤廃する必要があると認識していました。顧客対応のためのアプリケーションは一体構造のコードに基づいており、重複し、管理がサイロ化していました。1 つの変更を行うにも最大 3 箇所で同じ作業をしなければならず、それぞれの作業は異なるチームで管理されていました。

顧客ニーズへの対応を改善して即応性を高めるために、アメリカン航空は業務を変革して新たなテクノロジー機能を活用する必要がありました。オープンで柔軟性の高いクラウド・プラットフォームを活用しながら、テクノロジー・スタックの更新や俊敏性のさらなる向上、DevOps概念の導入が不可欠でした。

IBM が軸となって、これまでとは異なる方法へのチャレンジを支援してくれました。このように短時間でアプリケーションをお客様にお届けできて、私たち自身も驚いています Jason Hobbs 氏 アプリケーション開発部門、上級管理者 アメリカン航空
概要と経緯の詳細
移行、変革、運用

移行: IBMの包括的な提案により、VMware Cloud Foundationソリューションを使用して、オンプレミス・サーバーを IBM Cloud の Infrastructure as a Serviceにシームレスに移行することで、アメリカン航空が現在まで長年直面していた運用面での懸念が解消されました。

変革: IBMはまた、IBM Cloud Garage Methodに基づいて、アメリカン航空のアプリケーション開発、組織、スキルの変革を加速させることも提案しました。IBMとアメリカン航空が連携して、IBM Public Cloud Platform as a Service 上のCloud Foundryでクラウド・ネイティブ・アプリケーションを開発することにより、古いコンポーネントはその役目を終えることになります。

運用: このソリューションによって、運用が複数の開発チームに分割され、IBMのCloud Solutions Operations Centerを活用して、24時間体制のアプリケーション・サポートと管理サービスが提供されます。IBMチームはアメリカン航空のロケーションにオンサイトでスタンバイするとともに、IBMオフショア・ロケーションにも常駐しています。

開発の加速: マイクロサービスへの移行

変革の全体像の契約の交渉中に、アメリカン航空は緊急の要件の支援を IBMに依頼しました。これは、IBMが提案した新しい手法の導入がうまくいくか実証する機会にもなります。アメリカン航空は、悪天候により予約の変更が必要になった場合のセルフ・サービスの機能を改善して顧客に提供したいと考えていました。

アメリカン航空では、基本的に最も適切な次のフライトに予約を振り替える手順を取る一方、他のオプションを希望する顧客は、予約デスクに電話をするか、空港の代理店に行く必要がありました。アメリカン航空は、顧客がWebサイトやモバイル・アプリケーション、セルフ・サービスのキオスクを使用して、他のオプションの可能性を確認してからフライトを変更できるようにしたいと希望していました。

多忙なサマー・シーズンを目前にして、アメリカン航空の社長は、顧客対応の新たな動的予約変更 (Dynamic Rebooking) アプリケーションを数カ月以内に提供することに挑戦しました。この挑戦はレガシー・アプローチでは対応が困難であり、少なくとも予定よりも 2倍の期間がかかるとみられていました。

アメリカン航空はIBM に支援を依頼し、その実力を証明することを熱望し、IBMはこの挑戦に一歩踏み出しました。IBMによる変革の中心にあるのは、テクノロジーや人、プロセス、組織をすべてカバーする包括的な方法であるIBM Cloud Garage Methodです。動的予約変更プロジェクトの最初のステップとして、IBMとアメリカン航空の開発者たちがミーティングを行い、新規アプリケーションの開発をガイドする 200以上のユーザー・ストーリーを素早く構築しました。

次に、チームは最初の MVP (最低限実現可能な製品 – ビジネス要件に適合する実現可能で最もシンプルなアプリケーション) を定義し、コーディングを開始しました。マイクロサービス、ペア・プログラミング、テスト駆動型開発を用いることで、高度な並列アプローチが可能になり、新しいクラウド・ネイティブ・コードの開発が加速しました。マイクロサービスによって、個々のビジネス機能がシンプルかつ再利用可能な機能に分割されるので、接続された任意のプラットフォーム上で作成して必要な回数だけ呼び出すことができるようになります。

わずか 4カ月半後、動的予約変更アプリケーションは 8つの空港で本番環境でリリースされたほか、バックグラウンドでのテスト、開発、更新を続けながら、他の空港にも着実にロールアウトされました。

アメリカン航空のアプリケーション開発部門で上級管理者を務める Jason Hobbs氏は、次のように語ります。「IBM が軸となって、これまでとは異なる方法へのチャレンジを支援してくれました。このように短時間でアプリケーションをお客様にお届けできて、私たち自身も驚いています」

プロセス、文化、教育の観点から、IBMは新しいメソッドの各ステップを見守り、お客様の期待に沿えるよう私たちを支援してくれました Maya Leibman 氏 EVP 兼最高情報責任者 アメリカン航空
成果の詳細
スピードアップ、効率、利便性

アメリカン航空は動的予約変更を予想された時間の半分以下で立ち上げました。現在は、顧客のフィードバックに基づいた改善が容易なアプリケーションが実装されています。IBM Cloud Foundryプラットフォームでのホスティングは、ハリケーンIrmaが来襲したときにも真価を発揮しました。アメリカン航空は夜を徹して、米国のすべての空港にアプリケーションをグローバルに実装することを決定しました。

アメリカン航空のカスタマー・テクノロジー部門でマネージング・ディレクターを務めるPatrick Morin氏は、次のようにコメントしています。「私たちがIBM Cloudに期待していたのは、アプリケーションのグローバルな実装の際のインフラストラクチャー回りの懸念が、ハイパー・スケールによって払拭されることでした。ハリケーンが直撃したとき、このアプリケーションをテストして、私たちの信頼は確かなものになりました。アプリケーションはエラーなく動作し、300を超える空港すべてに問題なく実装することができました。」

アメリカン航空は、新しいアプリケーションについて顧客から賞賛のフィードバックを受け取りました。旅行プラン変更が必要になったときに、このアプリケーションによって顧客は重要な情報を得られるだけでなく、自ら変更を加えることができます。ほとんどの場合、顧客はアメリカン航空からの最初の提案を選択します。これは、同社の基本的なアルゴリズムの妥当性を明確に示しています。

アメリカン航空のカスタマー・サービス復旧部門でマネージング・ディレクターを務める Julie Rath 氏は、次のように述べています。「動的予約変更ツールにより、それぞれのお客様が最適なソリューションを見極め、予約変更プロセスにアクセスし、チケットの再発行処理や搭乗券の提供、バゲージ (荷物) の再経路指定を行うことができます。お客様に操作をお任せすることで、お客様の体験に前向きな印象をもたらします。」

変革の深化

動的予約変更ツールの開発中、IBMとアメリカン航空は共同で、顧客用のモバイル・アプリケーション、キオスク・アプリケーションであるaa.comをIBM Cloud Infrastructure as a Serviceに移す大規模な移行にも取り組みました。このとき、VMware HCX on IBM Cloudを使用して、数百ものVMware仮想マシンのIBM Cloudへの移行を自動化しました。この取り組みによって元の工期が 6カ月短縮され、アメリカン航空は既存のハードウェア更新という設備投資の大きな負担を回避できました。IBM Cloudへの移行によって、サーバー・パフォーマンスと信頼性が大幅に改善されるとともに、エンド・ユーザーへの応答時間も短縮されました。

IBMは、移行後の環境と変革後の環境の両方で、マルチ・クラウド環境向けの単一サポート・モデルを通じて、運用に関するマネージド・サービスの役割を担うことにしました。

アメリカン航空は、顧客対応アプリケーションを IBM Cloudのオープン・プラットフォームで稼働し、クラウド・ネイティブの開発アプローチを採用することで、変化の絶えない顧客要件に対応してより迅速に変革を進めるという主目的を達成しました。同社は、Webロード・バランシング、気象予測、機械学習などの他のサービスもIBM Cloudにプラグインで組み込むことができます。以前は保守のために割いていたコーディング時間を新たな要件への対応に利用できるようになったことが、顧客に向けたイノベーションや同業他社への優位性を保つために役立っています。テクノロジーのみならず、アメリカン航空は顧客ニーズへの対応を目的として、ビジネス組織やテクノロジー組織を緊密に連携し、共創の迅速なサイクルで共同作業を進めています。

アメリカン航空のEVP兼最高情報責任者である Maya Leibman 氏は、次のように締めくくります。「プロセス、文化、教育の観点から、IBMは新しいメソッドの各ステップを見守り、顧客の期待に沿えるよう私たちを支援してくれました。」

アメリカン航空のロゴ
アメリカン航空

アメリカン航空グループは、アメリカン航空とUSエアウェイズ・グループの合併完了に伴い、2013年12月9日に設立されました。同社は 12万人以上の従業員を抱え、AALというチッカー・シンボルでナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに上場しています。2015年、同社の株式はS&P 500指数に加わりました。

アメリカン航空とアメリカン・イーグルは毎日平均 6,700便を運航し、目的地は50カ国以上にものぼり、約350都市に及びます。同社は、シャーロット、シカゴ、ダラス/フォートワース、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、フィラデルフィア、フェニックス、ワシントンD.Cに拠点を有しています。アメリカン航空は、oneworld®アライアンスの創立メンバーであり、同アライアンスの各メンバーは、150カ国を上回る 1,000以上の目的地に、毎日約14,250便を運航しています。

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