IBM watsonxとSlackでサイロを解消

IBMで顧客対応チーム間のコラボレーションを変革

職場の取締役会に出席している男性と女性の同僚に戦略を説明するビジネスウーマン
複数のツールとクライアント・データ・ソース

IBM最高情報責任者(CIO)組織は、IBMの従業員が日常業務に使用するITソリューションを提供しています。この成果はIBMの従業員だけでなく、従業員が接するすべてのクライアントにも影響を与えます。そのためIBM CIO組織は、クライアント対応チームが卓越した成果を達成するために必要な情報を提供することに注力しています。

2023年、CIO組織はクライアント向けアカウント・チームが抱えている課題、中でも大規模な重要クライアントをサポートする際の課題を洗い出しました。従業員がどんな情報やリソースを必要とし、それをどこで入手し、どのようにチーム同士が連携しているかを理解することが狙いでした。そこでわかったのは、多くの場合、チームが必要なときに必要な情報にアクセスできていないということです。

例えば、IBMの営業チームとカスタマー・サクセス・マネージャーはサポート・ケースに対する可視性を欠いていたため、顧客の質問に的確に対応するための準備や回答に支障をきたしていました。サポート・チームは、最近の販売機会や導入状況について把握できておらず、オープン・ケースを処理する際に必要なコンテキストを確保できませんでした。IBM従業員は、異なるツール間を移動して情報を集めるのに多大な時間がかかっていたのです。

IBM CIO組織は、従業員が情報の検索に費やす時間を削減し、その分、既に作業や協業に利用しているSlack上に、クライアント対応チーム向けのリソースを提供することでした。これにより、検索時間を根本的に簡素化したいと考えていました。このビジネス課題に対処するため、CIOのデジタル・トランスフォーメーション・チームは、IBM® watsonx portfolioのAI製品とSlackを併用して、IBMチームの生産性向上を実現する「アカウント360」ソリューションを開発しました。

1ビュー 生産性を向上改善し、顧客クライアント関係を強化 6~8 パイロット導入に必要な週数
IBMは戦略的プラットフォームを実装することによって、360度のデジタル・トランスフォーメーションを実現しました。それでも、戦略的プラットフォーム間での共同作業に対応するためには、エンドツーエンドのユーザー・エクスペリエンスをサポートする必要がありました。そこで活躍するのが「アカウント360」です。
Geoff Marinski氏 IBM 360デジタル・トランスフォーメーション担当ディレクター IBM
watsonxを活用したアカウント管理

このソリューションは、クライアントと協業する誰もが、アカウントで実行されている主なアクティビティやアクションに速やかに対応できるように設計されています。複数のツールやリポジトリーからデータや情報を引き出すので、デスクトップまたはモバイルデバイス上のSlackアプリを通じて、関連する統合アカウント・リソースにワンクリックでアクセスできます。Slack上に構築されているため、いつでもどこでも利用可能です。

目標は、クライアント対応チームのメンバー向け「コパイロット」を作成することでした。このコパイロットは、戦略的イニシアチブ、リード、案件、デプロイメント、オープン・ケースなど、アカウント・アクティビティがリアルタイムに集約され、を提供されます。またアカウントのマネージング・ディレクター、ブランド・セールス・スペシャリスト、クライアント・エンジニア、サポート・エージェントなど、適切な人物を迅速に特定し、チーム・メンバーを連携することができます。これにより、アカウント・チームの協業が変革されます。例えば、オンライン・ミーティングの冒頭15分間を情報収集と共有に費やしたあげく、ファイルを受け取っていない人がいたことに気づくということもなくなります。このソリューションによって、IBMは戦略的プラットフォームを適用して協業を自動化し、アカウント・チームの活動を効率的に共有、追跡、記録します。

私たちは、クライアント対応チームの役割に関係なく、営業、サポート、リード、全体的なイニシアチブや戦略など、必要なときにアカウントの状況がすぐに把握できるツールを作りたいと考えていました。
Sheila Zinck氏 IBM 360デジタル・トランスフォーメーション担当プログラム・マネージャー IBM

このソリューションでは、アカウントの機会やサポート・ケースに関するトランザクション・データに加えて、履歴、導入状況、組織構造に関する詳細といったクライアント・プロフィールや、戦略的イニシアチブを確立するアカウント・インフルエンサーやアカウント・プランなど一連の豊富な計画書にもアクセスできます。watsonx製品を活用して、これらの重要ドキュメントの要約を速やかに提供するほか、アカウントに関する自然言語照会に応答し、複雑なデータ・ソースに基づいた関連性の高い正確な回答を提示します。

このアプリケーションはPythonで開発され、 Red Hat® OpenShift® 上に構築されたIBM社内のハイブリッドクラウド・プラットフォーム内にホストされました。多様なソースからアカウント情報を収集するうえで最初の課題は、アカウントを定義し、共通識別子を通じて会社のすべてのデータ・ソースからデータを検索し、リンクすることでした。例えば、営業のシステムとサポート・システム全体で共通の識別子を見つけることも含まれていました。

IBM CIO組織は、見積書やその他の主要なクライアントデータと、クライアント・マスター・レコードに関連付けられたサポート・チケットとを組み合わせて、アカウントのサポート・データを一致させるシステムを作らなければなりませんでした。そのうえで、統合されたデータを取得し、IBM®Cloud Object Storage に保管しました。これにより、アプリケーションにサービスを直接提供できるようになりました。現在、IBM Cloud Object Storageに事前処理済みのデータが格納されており、ユーザーがアプリケーションにリクエストを送ったときにはいつでも、このデータを利用することができます。

IBMは、所定の文書の要約ツールとして、watsonx.ai AIスタジオを使用します。したがって、ユーザーがコラボレーション・セクションに移動すると、アカウントに関連するアカウント・プラン、企業プロフィール、取引レビューが表示されます。ユーザーは要約の生成、メッセージの送信依頼、要約の活用が可能です。

watsonx.aiは、主に文書の要約生成に使用されています。ユーザーがコラボレーション・セクションに移動すると、アカウントに関連するアカウント・プラン、企業プロフィール、取引レビューが表示されます。
Geoff Marinski氏 IBM 360デジタル・トランスフォーメーション担当ディレクター IBM
企業のデジタル・トランスフォーメーション

今後、IBM watsonx.data™のデータ・レイクハウスとIBM Cloud Pak for Data Virtualizationが追加される予定です。また、チャット用のwatsonx Assistantを実装中です。

初期のユーザー・コミュニティーは小規模で、現在は社内の経営幹部を対象としています。IBMは当初、約70のアカウントに向けてソリューションを展開しました。これらのアカウント・チームのメンバーは情報を閲覧・利用でき、クライアント対応チームのメリット定量化に引き続き取り組んでいます。2024年上半期には、すべての主要アカウントと戦略アカウントをツールに追加し、セールスチームがクライアントにアピールできるデモアカウントを作成する予定です。

私のようなテクノロジー営業にとって、watsonxを活用する「アカウント360」はゲーム・チェンジャーです。あらゆるクライアント情報をSlackにまとめてくれます。これは本当に素晴らしいことです。異なるツールで情報を検索する時間が不要になり、チームメイトともすぐに連携でき、クライアントへの対応も早くなりました。
Megan Grant シニア・ストラテジック・パートナーシップ・リーダー IBM
得られた教訓

AIが機能するために、またこのようなアプリケーションからビジネス価値を引き出すためには、データが重要ですこのプロジェクトで最も難しかったのは技術面ではなく、複数の領域にわたってデータ連携をどのように行うかでした。データ・ガバナンスとデータ品質は、複数のデータ・リポジトリーとサイロにまたがるプロジェクトの成功に不可欠です。

人々がどのように働き、どう協業するかに焦点を当てることは必須です。このソリューションは、「いつ、どのように、どこで仕事をしているのか」、リアルタイムの情報とリソースを迅速に提供することで、クライアント対応チームがより効果的に働けるように設計されています。

他の大規模組織でも同じようなサイロ化が進んでいますが、トランスフォーメーションの多くは、垂直的なアプローチ、またはプラットフォームのモダナイゼーションを通じて行われてきました。IBMは今回の経験を通じて、企業全体でAIの価値を生み出すことができる横断的な水平方向のアプローチを実証しました。 

AIが機能するには、データが重要です。データ、データ・ガバナンス、データの品質がこれらの成功を左右します。
Geoff Marinski氏 IBM 360デジタル・トランスフォーメーション担当ディレクター IBM
青い8本の棒からなるIBMのロゴ
IBM CIO組織について

最高情報責任者 (CIO) 組織は、IBMの社内ITストラテジーを主導し、IBM従業員が日々の業務に使用するITソリューションの提供、保護、モダナイズ、およびサポートを担当します。CIOストラテジーには、企業全体でITへのアクセスを容易にし、問題解決を加速し、IBMのイノベーション・エンジンとして機能してビジネスの成長を促す適応型ITプラットフォームの構築が含まれます。

製品・サービス IBM watsonx.ai™ IBM watsonx™ Assistant IBM Cloud Object Storage IBMハイブリッドクラウド・プラットフォーム Red Hat OpenShift
watsonx.ai

watsonx.aiは、企業が自社のニーズに合うようAIソリューションを構築する支援をしています。

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法務

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2024年3月に米国で制作。2024年4月。

IBM、IBMロゴ、IBM Cloud、IBM watsonx、watsonx、watsonx.ai、およびwatsonx.dataは、米国およびその他の国と地域におけるインターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの商標または登録商標です。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの商標の最新リストは、ibm.com/legal/copyright-trademarkでご確認いただけます。

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本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBM製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストやパフォーマンスの特性はお客様ごとの構成や条件によって異なります。お客様のシステムおよびご注文のサービス内容によって結果が異なりますので、ご期待通りの結果にならない場合があります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づいて保証されます。