概念
この章では、構造化照会言語 (SQL) を使用する際に理解しておくべき概念について概観します。 本書の残りの部分に含まれる参照資料では、より詳細な観点から説明します。
- リレーショナル・データベース
リレーショナル・データベース は、一組の表と見なすことができ、データの関係モデルにしたがって扱うことができるデータベースです。 リレーショナル・データベースには、データの保管、アクセス、 および管理に使用される一組のオブジェクトが含まれます。 このようなオブジェクトには、表、ビュー、索引、別名、ユーザー定義タイプ、関数、 プロシージャー、シーケンス、変数、およびパッケージが含まれます。 - 構造化照会言語 (SQL)
構造化照会言語 (SQL) は、リレーショナル・データベース内のデータを定義および操作するための標準化言語です。データの関係モデルの概念にしたがうと、データベースは表の集合であると考えられます。また、表内の値によって関連が表現されるとともに、1 つ以上の基本表から得られる結果表を指定することによってデータが検索されます。 - スキーマ
リレーショナル・データベース内のオブジェクトはいくつかに分けられ、 スキーマというまとまりに編成されます。 スキーマは、リレーショナル・データベース内のオブジェクトを論理的に分類したものです。 - 表
表 は、データベース・マネージャーが管理する論理構造です。 表は、列と行から形成されます。表の各行には、固有の順序はありません。 各列と行が交差する個所には、値 と呼ばれるデータ項目があります。列 とは、同一のタイプに属する値の集まりを指します。行 とは、先頭から n 番目の値が、表の n 番目の列の値になるように並んでいる一連の値を指します。 - ビュー
ビュー は、1 つ以上の表のデータを見るための代替方法を提供します。 - ユーザー定義タイプ
ユーザー定義タイプ は、CREATE ステートメントを使用してデータベースに定義されるデータ・タイプです。 - 別名
別名 は、表またはビューの代替名です。 - パッケージとアクセス・プラン
パッケージ は、SQL ステートメントを実行するために使用する制御構造を含むオブジェクトです。 - ルーチン
ルーチン とは、実行可能な SQL オブジェクトのことです。 - シーケンス
シーケンスは、数列を単純な昇順 (または降順) で生成するだけの保管オブジェクトです。 シーケンスは、データベース・マネージャーに固有の整数および 10 進数主キーを自動的に生成させて、複数の行および表にわたってキーを調整する手段として使用できます。 - 権限、特権、およびオブジェクト所有権
ユーザーは (権限 ID によって識別され) 指定した機能を行う権限がある場合にのみ、 SQL ステートメントを正しく実行することができます。 表を作成するには、表を作成する権限が必要であり、 表を除去するには、表を除去する権限が必要であるという具合です。 - カタログ
データベース・マネージャーは、データベース内のオブジェクトに関する情報が入っている一組の表を維持管理しています。これらの表とビューをまとめてカタログ と呼びます。 カタログ表 には、システムに存在する表、ビュー、索引、パッケージ、 および制約などのオブジェクトについての情報が入っています。 - アプリケーション・プロセス、並行性、およびリカバリー
SQL プログラムはすべてがアプリケーション・プロセス の一環として実行されます。 IBM i オペレーティング・システムでは、アプリケーション・プロセスのことをジョブといいます。 ODBC、JDBC、OLE DB、.NET、および DRDA® の場合は、使用しているジョブが終了していなくて 再使用可能であっても、接続が終了した時点でアプリケーション・プロセスは終了します。 - 分離レベル
SQL ステートメントの実行中に使用する分離レベル によって、活動化グループが並行して実行される他の活動化グループから分離される度合いが決定されます。 - 記憶構造
IBM i プロダクトは、オブジェクト・ベースのシステムです。DB2 for i のすべてのデータベース・オブジェクト (表および索引など) は、IBM i オペレーティング・システムのオブジェクトです。 単一レベルの記憶管理機能がデータベースのすべての 記憶を管理しているため、データベース特有の 記憶構造 (例えば、表スペース) は不要です。 - 文字変換
ストリング は、文字を表す一連のバイトです。 1 つのストリングの中では、すべての文字が共通のコード表示で表されます。 これらの文字を別のコード表示に変換しなければならない場合があります。この変換プロセスは、文字変換 と呼ばれます。 - 照合順序
照合順序 (ソート順序ともいいます) は、文字セット内の文字の比較や順序付けを行うときに、文字が互いにどのように関係し合うかを定義します。 - 分散リレーショナル・データベース
分散リレーショナル・データベース は、 一組の表とその他のオブジェクト (別個ではあるが相互に接続されているコンピューター・システムまたは 同一のコンピューター・システム上の論理区画にまたがって存在している) で構成されます。 各コンピューター・システムには、それぞれその環境で表を管理する リレーショナル・データベース・マネージャーがあります。 これらのデータベース・マネージャーは、相互に情報を交換し連携する ことによって、それぞれのデータベース・マネージャーが別のコンピューター・システムに 対して SQL ステートメントを実行することができる仕組みになっています。
親トピック: DB2 for i SQL 解説書