wparexec コマンド
目的
アプリケーション・workload partitionまたは仕様ファイルを作成します。
構文
wparexec [ -a ] [ -c] [ -1 ][ -F ] [ -h hostname ] [-H architecture] [-i] [-I attribute=value ...] ... [ -M attribute=value... ] ... [ -N attribute=value... ] ... [ -R attribute=value... ] [ -u userscript ] [ -v] [ -x] { -n wparname [ -e existingwpar | -f infile ] [ -o outfile [ -w ] ] | -f infile [ -n wparname ] [ -o outfile [ -w ] ] | -w -o outfile [ -n wparname] [ -e existingwpar | -f infile ] } [ [--] [ var=value ...] /path/to/command [ arg ... ] ]
ロケールに関わらず、ASCII 文字のみが wparexec コマンドの引数として許可されます。
- 25 バイトを超えないものとする。
- 空白文字、または以下の記号のいずれも含まないものとする。
= : / ! ; ` ' " < > ~ & ( ) * + [ ] , . ^ 0 { } | ¥
- 先頭文字を '-' にも '0' にもしないものとする。
説明
wparexec コマンドは、アプリケーション・workload partitionを構築し開始します。あるいは、今後のアプリケーション・workload partitionsの作成を簡素化するための仕様ファイルを作成します。
アプリケーション・workload partitionは、独自のネットワーク構成とリソース制御プロファイルを持つ、隔離された実行環境です。 この区画はグローバル・ファイルシステムのスペースを共有しますが、そこで実行されるプロセスは、同じ区画内の他のプロセスだけから確認できます。 この隔離された環境では、プロセスのモニター、リソースの収集、アカウンティングを行うことができます。また、予定したアプリケーションのクラスターのデータを監査することができます。
wparexec コマンドは、この隔離された環境内にある単一のアプリケーションを始動して、モニターします。 wparexec コマンドは、workload partition内のすべてのプロセスが終了したときのみ、トラッキングされたこのプロセスの戻りコードと同期して戻ります。例えば、トラッキングされたプロセスがデーモンを作成し、0 の戻りコードを返して終了すると、wparexec コマンドはデーモンとその子のすべてが終了するまでブロックします。それから、デーモンまたはその子の戻りコードに関係なく、0 の戻りコードを返して終了します。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
-1 | 構成のみを作成します。アプリケーション WPAR の構成を作成後、wparexec コマンドを停止します。 WPAR を始動するには、startwpar コマンドを使用する必要があります。 上級者のみが -1 オプションを使用することができます。 |
-a | 必要に応じて、競合する静的設定を自動的に解決します。解決可能な設定は、name、hostname、およびネットワーク構成です。 |
-c | このworkload partitionに対してチェックポイントを有効にします。このオプションは、追加のチェックポイント・リスタート・ソフトウェアがインストールされて構成済みであるときのみ有効です。このオプションを使用するときは、workload partitionに関連するファイルシステム (例えば -M オプションを使用) はリモートでなければなりません (例えば vfs=nfs)。 |
-e existingwpar | 仕様データのソースとして現存のアプリケーション・workload partitionを使用します。-e フラグは -f フラグと一緒には使用しないでください。他の wparexec フラグで指定した値は、現存のworkload partitionから得たこれらの値をオーバーライドします。 |
-f infile | デフォルト値を読み取るよう仕様ファイルに指示します。このフラグを -e フラグと一緒には使用しないでください。他の wparexec フラグで指定した値は、ロード済み仕様ファイルから得たこれらの値をオーバーライドします。 |
-F | ほとんどのエラー条件を抑止あるいはオーバーライドします。 -F フラグの使用で、wparexec コマンドは警告付きで実行を続けます。 |
-h hostname | このworkload partition用のホスト名を指定します。指定しない場合、wparexec コマンドは workload partition名をホスト名として使用します。 |
-H architecture | アーキテクチャー互換のワークロード・パーティションを作成します。有効なアーキテクチャーの値は、pwr4、ppc970、
pwr5、pwr6、 および pwr7 です。アーキテクチャーの値は、システムのハードウェアのバージョンより古いか、同じでなければなりません。ワークロード・パーティション
内の複数のアプリケーションは、特定のアーキテクチャーの最小共通分母を持ちます。ワークロード・パーティションがチェックポイントを作成できる場合、そのワークロード・パーティションは、ワークロード・パーティション・アーキテクチャー以上の
ハードウェア・レベルであるシステム間でマイグレーションできます。注: POWER5 プロセッサー・ベースのシステムと BladeCenter JS21 Express システムには相互に互換性がありません。JS21 は POWER5 プロセッサー・ベースのシステムより低いバージョンのプロセッサーを使用しますが、
POWER5 プロセッサー・ベースのシステム上で JS21 互換の (ppc970) WPAR を作成することはできません。
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-i | workload partition用 WPAR 固有の経路指定を使用可能にします。
デフォルトで、workload partitionからの発信ネットワーク・トラフィックは、特に以下の方法でグローバル環境から送信されているように経路指定されます。
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-I attribute=value ... | WPAR 固有のルーティングが有効なときに作成されるエントリーに、
ルーティング・テーブル・エントリーを追加します。複数の -I フラグを指定して、複数の経路を構成することができます。
-i フラグの下に記述されているように、-I フラグを使用すると、自動的に WPAR 固有の経路指定が使用可能になります。
以下の属性を -I フラグと一緒に指定することができます。 rtdest 属性と rtgateway 属性を指定する必要があります。 |
rtdest= destination | 経路を割り当てる宛先のホストまたはネットワークを識別します。 シンボル名または数値アドレスを使用して、この値を指定することができます。 デフォルトの経路を指定するためには、キーワード default を使用できます。 経路指定 rtdest 属性についての詳細は、route コマンドの Destination パラメーターを参照してください。 |
rtgateway= gateway | パケットが送信される宛先のゲートウェイを識別します。 シンボル名または数値アドレスを使用して、この値を指定することができます。 |
rtnetmask= A.B.C. D | 宛先アドレスにネットワーク・マスクを指定します。 |
rtprefixlen= n | 宛先の接頭部の長さを、ネットマスクのビット数で指定します。 この値は正整数でなければなりません。 |
rttype={ net|host} | rtdest 属性を、指定されたタイプとして強制的に解釈させます。 |
rtinterface= if | インターフェース (例えば、en0 ) を指定して、経路が選択されたときにこのインターフェースを使用してパケットが送信されるように、その経路と関連付けます。
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61Vrtfamily ={inet|inet6} |
アドレス・ファミリーを指定します。 rtfamily フラグのパラメーターについては、route コマンドの「パラメーター」セクションを参照してください。 |
-M directory=dir [ vfs=type ] [ dev=devicepath ] [ host=remotehost ] [ mountopts=mountopts ] | ファイルシステムの依存関係のみを指定します。属性はスペースで分離する必要があります。デフォルトでは、アプリケーション・workload partitionは、グローバル・ファイルシステムとマウントのすべてに対してworkload partitionを作成したユーザーと同じアクセス・レベルを持ちます。 -M フラグは、ファイルシステム名に設定したディレクトリー属性を使用して、追加のファイルシステムを指定します。 -M フラグは複数を指定できます。
注: マウントおよびディレクトリーはすべて、グローバルなレベルで作成されて使用可能になります。ディスク (vfs=
jfs および vfs=jfs2) にもとづくファイルシステムは、アプリケーション・workload partitions用には作成されません。
ローカル・ファイルシステムの依存関係は、ディレクトリー属性のみを定義することにより追加できます。しかし、指定されるディレクトリーは /etc/filesystems に実在していなければなりません。 workload partitionの作成プロセス中にエラーが発生すると、 wparexec コマンドでマウント済みのファイルシステムはアンマウントされます。作成が成功した場合は、ユーザー・アプリケーションの戻り状況に関係なく、ファイルシステムはアンマウントされません。 以下は、アプリケーション・workload partitionsの vfs 属性の有効な値です。
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-n wparname | 作成するworkload partitionの名前を指定します。名前が提供されないと、名前が生成されます。 |
-N attribute =value | 次のネットワーク構成の属性を指定することを許可します。
名前がマップされたインターフェースは、/etc/wpars/devmap ファイル内で定義されています。
名前がマップされたインターフェースとシステム・インターフェース間のマッピングは、以下のように指定することができます。
attribute=value の対はスペースで分離する必要があります。 複数の -N フラグを使用して、複数の IP アドレスを構成することができます。 少なくとも、address または address6 属性を指定する必要があります。wparexec コマンドは、 指定されない他の値をグローバル・システムの設定から収集します。-N フラグが指定されないと、 wparexec コマンドは、 -n フラグで指定されたworkload partition名で gethostbyname サブルーチンを実行して、workload partitionの適切な IP アドレスを発見しようとします。グローバル・インターフェースと同じサブネットでアドレスが検出されると、そのインターフェースの設定は、デフォルトのネットワーク・エントリーを作成するために、解決済みの IP アドレスとともに使用されます。 IPv6 ネットワーク構成を定義するには、-N フラグとともに、address6 属性、prefixlen 属性、および interface 属性を指定します。
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-o outfile | 仕様データを書き込む出力パスとファイル名を示します。この仕様ファイルは、後で -f フラグでアプリケーション・workload partitionを作成するために使用できます。 |
-R attribute=value | リソース制御属性を指定することを許可します。
1 つの -R フラグのみが指定できます。ほとんどのリソース制御はワークロード・マネージャー (WLM) でサポートされるものと同じです。これらの属性についての説明は、リストされた WLM ページを参照してください。有効な属性を以下に示します。
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(-R フラグの属性、続き):
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-u userscript | 種々の管理ポイントにおいて、workload partitionコマンドで実行されるよう、ユーザー・スクリプトへのパスを指定します。-u フラグのパラメーターは、スクリプトに渡される追加の引数を含む引用符付きストリングの場合もあります。
-u フラグのパラメーターの最初のコンポーネントは、必ず実在の実行可能ファイルへの絶対パスでなければなりません。スクリプトは次のように呼び出されます。
action 引数は、以下のように、実行される管理アクションを示します。
注: このコード・パスは、
標準 I/O ストリームをクローズして、分離処理により実行されます。内部メッセージングはそれに応じて処理されなければなりません。
スクリプトがゼロ以外の値を返すと、警告がログに記録されますが、それ以外に動作の変更はありません。 |
-v | 冗長モードで実行するコマンドを指定します。 |
-x | WPAR 間セマフォーおよび共用メモリー・セグメントへのアクセスを許可します。 |
-w | 仕様ファイルを書き込みます。-o フラグとともに使用すると、-w フラグにより wparexec コマンドは workload partitionを実際に作成しないで、新規の仕様ファイルを書き込んだ後で終了します。 |
[--] [var=value ] /path/to/command [arg ...] | アプリケーション (トラッキングされたプロセス) がworkload partition 内で実行されるよう、必要な環境変数設定および引数とともに指定します。 コマンドが仕様ファイルを作成している (-w フラグを使用) だけでない場合、 このコマンド・ライン構文または仕様ファイル中の general.application 属性のいずれかが、このコマンドを必要とします。 それが開始されたとき、提供されるコマンド・ラインは必ず、workload partition内でシェル拡張されたものになっています。コマンド・ラインを使用するとき、シェルのメタキャラクターは 早期拡張を防ぐため適切に拡張する必要があります。 特殊な二重マイナスのセパレーター (--) は、 後続のすべてのコマンド・ライン引数がトラッキングされたプロセスにより成り立つことを示すために使用されます。例えば、このセパレーターを使用して、-N フラグに対する属性とトラッキングされたプロセスに対する環境変数の割り当てとの間のあいまいさを取り除きます。 workload partitionにつき 1 つだけのトラッキングされたプロセスがサポートされますが、このアプリケーションは他のプロセスを作成することがあります。workload partitionは、ここにあるプロセスがすべて終了したときに、自動的に停止して除去されます。stopwpar コマンドによって、workload partitionの停止と除去が早まることがあります。 |
セキュリティー
アクセス制御: root ユーザーのみがこのコマンドを実行できます。
例
- ベンチマーク・プログラムを実行するアプリケーション・workload partitionを作成するには、次のように入力します。
wparexec -n tpcc -N address=192.168.0.51 /u/tpcc/benchmark -f /tmp/logfile
注: -f フラグは /u/tpcc/benchmark ファイルに渡され、wparexec コマンドによってフラグとしては処理されません。 - 実在の仕様ファイルにもとづいてworkload partitionを作成するには、次のように入力します。
wparexec -f /tmp/wparexec1.spec
-
wparexec コマンドで提供されるデフォルトで最小限の PATH 変数をオーバーライドするには、次のように入力します。
wparexec PATH=/usr/opt/bin:/usr/bin:/usr/sbin /home/joe/runapp
ファイル
項目 | 説明 |
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/usr/samples/wpars/sample.spec | 注釈付きのworkload partition仕様ファイル。 |