syncvg コマンド

目的

現行状態でない論理ボリュームのコピーを同期化します。

構文

syncvg [ -f ] [ -i ] [ -H ] [ -P NumParallelLps ] { -l | -p | -v } Name ...{ [ -a { all | pid1,pid2,… } ] [ -r { all | pid1,pid2,… } ] [ -t { all | pid1,pid2,… } ] [ -n vgName ] [ -T SyncRate [ -d { all | pid1,pid2,… } ] ] [ -q ] [ -Q ] }

説明

syncvg コマンドは、現行状態でない、オリジナル物理区画のコピーである物理区画を同期化します。syncvg コマンドは、論理ボリューム名、物理ボリューム、ボリューム・グループ名が指定された Name パラメーターとともに使用されると、その論理ボリューム、物理ボリューム、ボリューム・グループに対して機能します。同期処理では、ハードウェア特性とデータ量によっては時間が長くかかります。

-f フラグを使用すると、有効な物理コピーが選択され、LPAR のほかのコピーが古くなっているかどうかに関係なく、それらの全コピーに波及されます。論理ボリュームにミラー書き込み整合性リカバリーがない場合に、 このフラグを使用することが必要となります。

ボリューム・グループ内のコピーは、使用不可でなければ、ボリューム・グループが varyonvg コマンドによって活動化されるときに、自動的に同期化されます。
注: syncvg コマンドが成功するには、論理ボリュ ームの有効なコピーのうち少なくとも 1 つはアクセス可能であり、かつ、このコピー が入っている物理ボリュームが ACTIVE 状態である必要があり ます。-f オプションが使用される場合は、上記の条件 がすべてのミラー・コピーに適用されます。

-P オプションを指定しない場合 は、syncvgNUM_PARALLEL_LPS 環境 変数を検査します。NUM_PARALLEL_LPS の値は、 パラレルで同期化する LPAR の数を設定するのに使用します。

フラグ

項目 説明
-a { all | pid1,pid2,… } 1 つ以上の同期操作を一時停止します。この操作に以下のパラメーターを渡すことができます。
all
すべての同期操作を一時停止します。
pid1,pid2,...
一時停止するプロセス ID (PID) のコンマ区切りリストです。
-f 有効なコピーが選択され、LPAR のほかのコピーが古くなってい るかどうかに関係なく、それらの全コピーに波及されます。
-H この sync 操作が完了するまで、 このボリューム・グループをほかのアクティブな並行クラスター・ノードに書き込むことを延期します。 この -H フラグを使用する場合、-P フラグは クラスターのすべてのノードが -P フラグをサポートする必要はありません。 ボリューム・グループが並行モードでオンにされない場合、 このフラグは無視されます。
-i 標準入力から名前を読み取ります。
-l Name パラメーターが論理ボリューム・デバイス名であることを指定します。

-n vgName

特定のボリューム・グループに関する同期操作を管理します。このオプションは、-a-r-t-q、および -Q の各オプションと一緒に指定する場合にのみ有効です。
vgName
ボリューム・グループ名。
-p Name パラメーターが物理ボリューム・デバイス名であることを指定します。
-P NumParallelLps 並列に同期化された LPAR の数。 NumParallelLps の有効範囲は 1 から 32 までです。 NumParallelLps を、 マシン、ボリューム・グループのディスク、 システム・リソース、およびボリューム・グループ・モードに合わせて調整してください。
ボリューム・グループが並行モードでオンにされると、 変更されたこのボリューム・グループを持つほかのすべてのクラスター・ノードは、 最低 AIX® 4.3.0 でなければなりません。そうでない 場合、syncvg はこのオプションを無視し、継続します。
注: 詳しくは、上記の説明を参照してください。
[-q] 同期操作を照会します。同期操作プロセス ID (PID) の詳細リストが返されます。このフラグは、各同期動作の同期速度も出力します。-T フラグを使用して SyncRate オプションを指定しなかった場合、このフラグは同期操作の現行の同期速度を表示します。
[-Q] 同期操作を照会します。同期操作 PID のコンマ区切りリストが返されます。このフラグは、各同期動作の同期速度も返します。-T フラグを使用して SyncRate オプションを指定しなかった場合、このフラグは同期操作の現行の同期速度を表示します。
{-r all | pid1,pid2,… } 1 つ以上の同期操作を再開します。この操作に以下のパラメーターを渡すことができます。
all
すべての同期操作を再開します。
pid1,pid2,...
再開する PID のコンマ区切りリスト。
{-t all | pid1,pid2,… } 1 つ以上の同期を終了します。この操作に以下のパラメーターを渡すことができます。
all
すべての同期操作を終了します。
pid1,pid2,...
終了する PID のコンマ区切りリスト。
[ -T SyncRate [ -d { all | pid1,pid2,… } ] ] 現行の同期操作の同期速度を調整するか、進行中の 1 つ以上の同期操作を調整します。この操作に以下のパラメーターを渡すことができます。
SyncRate
同期速度の調整を MB/秒単位で指定します。syncvg コマンドは、一度に 1 つの論理トラック・グループ (LTG) を同期化します。このパラメーターは、ボリューム・グループの LTG サイズの倍数で指定する必要があります。SyncRate パラメーターが LTG サイズの倍数で指定されなかった場合、syncvg コマンドは、そのボリューム・グループの最も近い LTG サイズまで切り上げます。-d フラグを指定しなかった場合、syncvg コマンドは現行の同期操作の同期速度を調整します。
-d all
進行中のすべての同期操作について、同期速度を調整します。
-d pid1,pid2,…
同期速度を調整する PID のコンマ区切りリスト。
-v Name パラメーターがボリューム・グループ・デバイス名であることを指定します。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー 」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 物理ボリューム hdisk4 および hdisk5 上のコピーを同期化するには、次のように入力します。
    syncvg -p hdisk4 hdisk5
  2. ボリューム・グループ vg04 および vg05 上のコピーを同期化するには、以下のように入力します。
    syncvg -v vg04 vg05
  3. 同期化の状態を表示するには、次のように入力します。
    syncvg -q
    An output that is similar to the following example is displayed.
    VG Name    Status        Sync Rate     PID            Command
    tvg2       SYNCING       128M          8323316         /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg2lv1
    tvg2       SYNCING       1M            7536758         /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg2lv3
    tvg2       SYNCING       256M          6815782         /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg2lv2
    tvg1       SYNCING       2G            7995416         /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg1lv2
    tvg1       SYNCING       5M            2949162         /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg1lv3
    tvg1       SYNCING       1G            7274582         /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg1lv1
    
  4. syncvg コマンドを一時停止して、同期化の状態を表示するには、次のように入力します。
    syncvg -a all
    syncvg -q
    An output that is similar to the following example is displayed.
    VG Name    Status        Sync Rate     PID          Command
    tvg2       PAUSE         128M          8323316       /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg2lv1
    tvg2       PAUSE         1M            7536758       /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg2lv3
    tvg2       PAUSE         256M          6815782       /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg2lv2
    tvg1       PAUSE         2G            7995416       /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg1lv2
    tvg1       PAUSE         5M            2949162       /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg1lv3
    vg1        PAUSE         1G            7274582       /bin/ksh /usr/sbin/syncvg -l tvg1lv1
    
  5. 現行の syncvg 操作を、vg00 という名前のボリューム・グループの同期速度 512 MB/秒と同期化するには、次のように入力します。
    syncvg -T 512 -v vg00

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/syncvg syncvg コマンドが含まれます。
/tmp コマンドの実行中に一時ファイルが保存されるディレクトリー。