varyonvg コマンド

目的

ボリューム・グループを活動開始します。

構文

varyonvg [ -b ] [ -c ] [ -f ] [ -M ltgsize ] [ -n ] [ -p ] [ -r ] [ -s ] [ -t ] [ -u ] [ -k loc|rem ] [ -d ] [ -o ] [ -O ] volumegroup

説明

varyonvg コマンドは、volumegroup パラメーターで指定したボリューム・グループとそのすべての関連する論理ボリュームを活動化します。 活動化されたボリューム・グループは使用可能になります。 ボリューム・グループが活動化されると、現在の物理区画以外の物理区画は同期化されます。 PVMISSING 状態にあり置き換えられた物理ボリュームを、varyonvg コマンドを使用して PVACTIVE 状態に戻すことができます。

注: 物理ボリュームがダンプ・デバイスの一部である場合、 varyonvg コマンドはそのボリュームを PVACTIVE 状態に戻すことができません。 このコマンドを適切に実行させるには、一時的にダンプ・デバイスを変更してください。

デバイス構成データベースと論理ボリューム・マネージャー (LVM) に保管された情報に矛盾があると、全物理ボリュームのリストがその状況とともに標準出力に表示されます。 ボリューム・グループはオンに構成変更されていても、そうでなくてもかまいません。 リストを注意深く検査し、表示された状況の内容によっては、システム保全のために適切な処置をとる必要があります。

並行モードでオンに構成変更する間に、システムに未知の論理ボリュームがあることを varyon プロセスが検出した場合、その定義がインポートされます。 新規デバイス・スペシャル・ファイルの権限および所有権が、ボリューム・グループ・スペシャル・ファイルの権限および所有権に複製されます。 論理ボリュームが作成されたノード上で論理ボリュームのデバイス・スペシャル・ファイルの権限および/または所有権を変更すると、このノードで同じ変更を実行する必要が生じます。

制約事項: 従来の並行モードは AIX® 5.3 ではサポートされていません。

物理ボリュームのほとんどが欠損しているためにボリューム・グループ をオンに構成変更できない場合、すべての物理ボリューム・リストがその状況とともに表示されます。この状態でボリューム・グループ を オンに構成変更するには、強制オプションを使う必要があります。

大多数の物理ボリュームがアクセス可能でない (規定数がない) 場合には、varyonvgコマンドはボリューム・グループをオンに構成変更することはできません。このことは、規定数検査が使用不可になっている場合であっても真です。 規定数検査を使用不可にすることは、規定数が欠損している場合であっても、ボリューム・グループがオンに構成変更されたままになっていることを保証することになります。

PV_MISSING 状態の物理ボリュームが存在し、規定数検査が無効になっている場合、ボリューム・グループはオンに構成変更されません。このことは、規定数のディスクが使用可能であっても真です。この状態でオンに構成変更するためには、強制オプションを使用するか、 または環境変数 MISSINGPV_VARYON を TRUE に設定します (ブート時に存在していないディスクでボリューム・グループを変更する必要がある場合には、 この値を /etc/environment で設定します)。

上記の場合 (強制でオンに構成変更するオプションを使用するか MISSINGPV_VARYON 変数を使用する場合)には、 ボリューム・グループの保全性についての全責任はユーザーにあります。

変更の始め暗号化論理ボリュームを含むボリューム・グループをオンに構成変更すると、varyonvg コマンドは暗号化論理ボリュームをアンロックしようとします。 論理ボリュームがプラットフォーム鍵ストア (PKS) や鍵サーバー暗号化方式などの自動化鍵保護方式で構成されている場合、varyonvg コマンドは hdcryptmgr コマンドと通信して、暗号化論理ボリュームをアンロックします。 アンロック操作が正常に行われると、論理ボリュームは入出力操作の準備ができています。 そうでない場合、暗号化論理ボリュームへの入出力要求はブロックされ、エラー・コード EACCES が返されます。 ボリューム・グループに自動化鍵保護方式で構成されていない暗号化論理ボリュームが含まれている場合、アンロック操作が正常に実行されるまで、論理ボリュームでは入出力操作がすべてブロックされます。変更の終わり

要件: このコマンドを使用するには、root ユーザー権限を持っているか、または system グループのメンバーでなければなりません。

System Management Interface Tool (SMIT) smit varyonvg ファスト・パスを使用して、このコマンドを実行することもできます。

フラグ

項目 説明
-b 標準 varyonvg コマンドの結果としてロックされたディスク上のディスク予約を切断します。 既にオンに構成変更されているボリューム・グループ上のこのフラグを使用します。
注:
  • このフラグは、既定のボリューム・グループ内のすべてのディスクをアンロックします。
  • -b フラグは、SC_FORCED_OPEN フラグを使用してボリューム・グループ内のディスクをオープンします。 SCSI および FC ディスクの場合、このフラグは、そのディスクが存在するターゲット・アドレス上のすべての LUNS を強制的にオープンします。 したがって、varyon -b オプション使用時は、ボリューム・グループ間でターゲット・アドレスを共有すべきではありません。
  • アクティブ・ページング・スペースを含むボリューム・グループ上で -b フラグを使用すると、システムをハングさせることがあります。
-c ボリューム・グループを Enhanced Concurrent (拡張並行) モードでオンに構成変更します。これは、ボリューム・グループが Concurrent Capable (並行機能対応) または Enhanced Concurrent Capable (拡張 並行機能対応) であり、システムに PowerHA® SystemMirror® 製品がロードされていて使用可能である場合にのみ、行うことができます。どちらにも当てはまらない場合は、 ボリューム・グループは varyon に失敗します。
要件: 拡張並行ボリューム・グループは、グループ・サービスを使用します。 Group Services (グループ・サービス) は、このモードでボリューム・グループを活動化する前に 構成しておく必要があります。
-d データの相違を認めます。 ユーザーがボリューム・グループをオンラインにしようとする際に、その対向サイトのキャッシュには非ミラーリング更新データが含まれている可能性があり、またそのキャッシュにアクセスできない場合のみ、-d フラグは有効です。 ユーザーがバックレベル・データを使用する可能性があり、また -d フラグを指定していないことを varyonvg コマンドが検出すると、このコマンドは重大なエラー・メッセージを出して失敗します。

Geographic LVM の非同期ミラーリングについての詳細は、「Geographic Logical Volume Manager for PowerHA SystemMirror Enterprise Edition」を参照してください。

-f 現在、規定数の使用可能なディスクを持っていないボリューム・グループをアクティブにすることを可能にします。 アクティブ状態にすることのできないディスクはすべて、除去された状態にされます。ボリューム・グループで、最低 1 つのディスクが使用可能である必要があります。 -f フラグ (クォーラム脱落をオーバーライドするために使用) は、ボリューム・グループがクォーラムをなくしていなければ無視されます。ディスクが除去済み状態にある場合、そのディスクを再びアクティブ状態にするには chpv -v a PVname コマンドを使用します。
-k loc | rem ローカル・ミラー・コピーまたはリモート・ミラー・コピーのデータを保持します。 以下の属性を -k フラグと一緒に指定することができます。
loc
ローカル・ミラー・コピー・データを保存します。 ローカルとは、1 次サイトではなく、ローカル物理ボリュームのことです。
rem
リモート・ミラー・コピー・データを保存します。 リモートとは、リモート・サイトではなく、リモート物理ボリュームのことです。

Geographic LVM の非同期ミラーリングについての詳細は、「Geographic Logical Volume Manager for PowerHA SystemMirror Enterprise Edition」を参照してください。

-M ltgsize ボリューム・グループの ltgsize を静的に設定します。 ltgsize の有効値には、128K、256K、512K、1M、2M、4M、8M、16M、32M、および 128M が含まれます。ボリューム・グループ内に ltgsize の最大転送容量以上で構成されていないディスクがある場合、 varyonvg コマンドは機能しません。
-n volumegroup パラメーター内の失効した物理区画の同期を使用不可にします。
-o 選択したコピー内では古くなっているが他のコピー内では最新である区画からのデータの使用を認めます。 ローカル・コピーとリモート・コピーでデータに相違がある場合に、いずれかのコピーを保存するために -k フラグを指定すると、varyonvg コマンドは失敗します。 また、選択したローカル・コピーまたはリモート・コピー内の一部の区画は最新ではないので、varyonvg コマンドが完全なコピーを保存することはできません。 選択したコピー内では古くなっているが他のコピー内では最新である区画からのデータを使用するために、-o フラグを指定することによって、コマンドの失敗を無効にすることができます。 -o フラグは、-k フラグと一緒に指定する場合のみ有効です。

Geographic LVM の非同期ミラーリングについての詳細は、「Geographic Logical Volume Manager for PowerHA SystemMirror Enterprise Edition」を参照してください。

-p すべての物理ボリュームは、varyonvg コマンドを使用するために、使用可能である必要があります。
-r ボリューム・グループを読み取り専用モードでオンに構成変更します。 このモードでは、下記のことはできません。
  • 論理ボリュームへの書き込み操作
  • LVM メタデータ更新
  • 古い区画の同期
制約事項: 読み取り専用論理ボリュームへの JFS ファイルシステムのマウントは、サポートされません。
制約事項: LVM メタデータ更新を必要とするすべての LVM 高水準コマンドは、このモードでの要求には失敗します。
-s ボリューム・グループをシステム管理モードでのみ使用可能にします。 論理ボリューム・コマンドはボリューム・グループ上で実行できますが、入出力用に論理ボリュームをオープンすることはできません。
制約事項: また論理ボリューム・コマンドでは、-s フラグを使用してオンに構成変更したボリューム・グループの論理ボリュームから読み取ったり、 そのボリュームに書き込んだりすることはできません。(chvg または mklvcopy のような) -s フラグを使用してオンに構成変更したボリューム・グループ内の論理ボリュームに書き込もうとすると、 論理ボリュームは、エラー・メッセージを表示して、 論理ボリュームへの書き込みまたはそのボリュームからの読み取りあるいはその両方ができなかったことを通知します。
-t デバイス構成データベースおよび論理ボリューム・マネージャー内のタイム・スタンプを検査します。 タイム・スタンプに矛盾がある場合は、データベースを同期化するために synclvodm コマンドが出されます。
ヒント: 並行モードでボリューム・グループがオンに構成変更される場合は常に、この検査が行われます。
-u ボリューム・グループをオンに構成変更しますが、ボリューム・グループを構成するディスクをアンロックされた状態のままにします。 休止ボリューム・グループへの初回の varyon 操作の一部として、このフラグを使用します。
-O ボリューム・グループが別のいずれかのノードでオンに構成変更されているかどうかにかかわらず、 そのボリューム・グループに対し強制的に varyon 操作を行います。
注: AIX 61 TL8 およびそれ以降のリリースにおいては、 作成されたボリューム・グループが複数のノードにおいて非並行モードで varyon を受けられないようになっている場合、varyonvgコマンドは ボリューム・グループが varyon された状態で、LVM メタデータおよび ODM を更新します。varyon 時に、varyonvg コマンドは このデータを読み取り、そのボリューム・グループが既に他のノードでオンに構成変更されている場合は機能停止する。varyoffvg コマンドは、varyoff 時に、ボリューム・グループの varyon 状態をリセットします。ボリューム・グループをオフに構成変更する前にシステムがクラッシュするか、ボリューム・グループが強制的にオフにされる場合、システムのリブート後に varyonvg コマンドは失敗します。このシナリオでは、ボリューム・グループへの varyon 操作を強制的に行うために –O フラグを使用します。
重要: LVM の基本設計では、1 つの開始プログラムだけがボリューム・グループにアクセスできると仮定しています。 PowerHA SystemMirror 製品は、共用ボリューム・グループのマルチノード・アクセスを同期化するために、LVM で作動します。 しかし、多重開始プログラムのノードは、 PowerHA SystemMirror を使用せずに、フラグが -b および -u のボリューム・グループに簡単にアクセスすることができます。ユーザーは、ボリューム・グループの状況情報が、この 2 つのフラグで迂回されているディスク保護 (ロック) の結果、妥協されるか、または不可解に変更されることがあるのを知っている必要があります。-b および -u フラグを使用する場合、データおよび状況出力の整合性を保つように保証することはできません。

終了状況

このコマンドは、以下の終了値を戻します。
項目 説明
0 正常終了。
>0 エラーが発生しました。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. ボリューム・グループ vg03 を活動化するには、次のように入力します。
    varyonvg vg03
  2. 現在の区画でない区画を同期化せずにボリューム・グループ vg03 を活動化するには、次のように入力します。
    varyonvg -n vg03

ファイル

項目 説明
/usr/sbin varyonvg コマンド・ディレクトリーが入っています。
/tmp コマンド実行時に一時ファイルを保管します。