mkvg コマンド

目的

ボリューム・グループを作成します。

構文

mkvg [ -B ] [ -t factor ] [ -S [ -v logicalvolumes ] [ -P partitions ] ] [ -C ] [ -G ] [ -f ] [ -i ] [ -I ][ -c ] [-X none | SSD] [ -L ltgsize ] [ -n ] [ -s size ] [ -V majornumber ] [ -y volumegroup ] [ -M y|s ] [ -p mirrorpool ] [ -O y | n ] [-N o|n] [-r y|n] [ -e y|n] 変更の始め[-k y | n]変更の終わり physicalvolume ...

説明

mkvg コマンドは、physicalvolume パラメーターで表される物理ボリュームを使用して、新規のボリューム・グループを作成します。ボリューム・グループを作成した後で、mkvg コマンドは varyonvg コマンドを使用して、新しいボリューム・グループを自動的に vary on します。 この例外として、ボリューム・グループが -C フラグで作成される場合があります。ボリューム・グループが正常に作成される場合、そのボリューム・グループは自動的にオンに変更されることはありません。 その代わりとして、 ユーザーはそのボリューム・グループを手動で varyon する必要があります。

mkvg コマンドはデフォルトにより、255 個の論理ボリュームと 32 個の物理ボリューム (ディスク) を収容することができるボリューム・グループを作成します。 これらの限界は、-B フラグまたは -S フラグを指定することによって拡張することができます。

mkvg コマンドは、コマンド・ラインに何も指定されていない場合、適切な区画サイズ (-s) およびファクター (-t ) を決定しようと試みます。

注:
  1. 物理ボリュームが別のボリューム・グループにはもう存在していないことが確認されます。mkvg コマンドが、その物理ボリュームが、オンに変更されているボリューム・グループに属していると判断した場合、ボリューム・グループを作成せずに終了します。mkvg コマンドが、 その物理ボリュームがオンに変更されていないボリューム・グループに属していると判断した場合、 強制オプション (-f) を使用してボリューム・グループを作成しなければなりません。 強制オプションを使用すると、その物理ボリュームの前の内容は失われます。 したがって、ユーザーは、強制オプションを使用するときには十分注意が必要です。
  2. このコマンドを使用するには、root ユーザー権限を持っているか、system グループのメンバーでなければなりません。
  3. デフォルトのボリューム・グループ・タイプ (最大 32 PV) またはビッグ・ボリューム・グループ・タイプ (最大 128 PV) を作成する際、1 つの PV 当たり 1016 物理区画という制限があります。物理区画サイズ (-s) を指定するときは、値を十分に大きく設定して、PV につき 1016 物理区画という制限を超えないようにしてください。例えば、10 GB のディスクを含むボリューム・グループを作成するには、少なくとも 16 MB の区画サイズが必要になります。また、 2 というファクター・サイズ (-t ) を使用する場合は、 より小さい区画サイズの 8 MB を使用することができます。ファクター値を指定した場合、 ボリューム・グループに組み込める PV の最大数は MaxPVs/factor になります。
  4. ボリューム・グループを作成すると、オペレーティング・システムは そのボリューム・グループを自動的に varyon します。しかし、ボリューム・グループを -C フラグを使用して作成すると、システムはコンカレント機能付きボリューム・グループの作成終了時にそのボリューム・グループを自動的にオンに変更しなくなります。その代わりに、mkvg コマンドは、 同時モード以外のモードまたは同時モードのいずれかで、そのボリューム・グループを 手動操作で varyonvg するようユーザーに通知します。
  5. ディスクがサード・パーティーのボリューム・マネージャーによって管理されていることを示している場合、このコマンドは、ボリューム・グループへのディスクの追加に失敗します。サード・パーティーのボリューム・マネージャーのディスクをオーバーライドしてクリアするには、chpv -C HDiskName を使用します。
  6. -c または -C フラグが指定される場合、拡張コンカレント機能付きボリューム・グループのみが作成されます。
  7. 4 KB ブロックの物理ボリューム (PV) を他のサイズの PV ブロックと混用してはなりません。ボリューム・グループ内のすべての PV のブロック・サイズは同じである必要があります。4 KB ブロックの PV で作成されたボリューム・グループを、4 KB ブロックの PV をサポートしていないバージョンの AIX® にインポートすることはできません。
  8. ボリューム・グループの不良ブロック再配置ポリシーは、4 KB ブロックの PV で作成されたボリューム・グループをサポートしていません。

VGDA スペースは実質上増加しているので、すべての VGDA 更新操作 (論理ボリュームの作成、 論理ボリュームの変更、物理ボリュームの追加など) は、実行にかなり長い時間がかかります。

このコマンドは、System Management Interface Tool (SMIT) smit mkvg 高速パスを使用して実行することができます。

フラグ

項目 説明
-B ビッグ・タイプのボリューム・グループを作成します。このタイプには 128 までの物理ボリュームと 512 までの論理ボリュームを入れることができます。
注: VGDA スペースは実質上増加しているので、すべての VGDA 更新操作 (論理ボリュームの作成、 論理ボリュームの変更、物理ボリュームの追加など) は、実行にかなり長い時間がかかります。
-c -C フラグと同じです。拡張コンカレント機能付きボリューム・グループのみが作成されます。
-C 拡張コンカレント対応ボリューム・グループを作成します。 PowerHA® SystemMirror® エンハンスト・スケーラビリティー (ES) では、-C フラグのみを使用します。このフラグは、PowerHA SystemMirror ES プロダクトを使用していないボリューム・グループおよびシステムでは使用できません。

このフラグは、拡張コンカレント対応ボリューム・グループを作成するのに使用します。

注:
  1. 拡張並行のボリューム・グループは、グループ・サービスを使用します。グループ・サービスは、PowerHA SystemMirror ES と共に出荷されており、このモードでボリューム・グループを活動化する前に構成しておく必要があります。
  2. 64 ビット・カーネルで実行するとき、拡張コンカレント対応ボリューム・グループのみがサポートされます。64 ビット・カーネルで実行するとき、コンカレント対応ボリューム・グループはサポートされません。
  3. 拡張コンカレント機能付きボリューム・グループは、マルチノード varyon 保護が使用可能にされています。マルチノード varyon 保護について詳しくは、-N フラグを参照してください。
-e y|n ボリューム・グループのクリティカル PV オプションを使用可能にします。このフラグは、IBM® AIX 7.2 テクノロジー・レベル 1 以降で使用できます。
y
ボリューム・グループのクリティカル PV オプションを使用可能にします。ミラーリングされた論理ボリュームで書き込み要求の障害が起きた場合、PV は欠落としてマーク付けされ、ミラーリングされた論理ボリュームへの入出力要求の送信を停止します。クリティカル PV オプションがボリューム・グループ内で使用可能に設定されている場合は、そのボリューム・グループのみを IBM AIX 7.2 テクノロジー・レベル 1 以降にインポートすることができます。
n
クリティカル PV オプションは使用されません。これはデフォルト値です。
-f 指定された物理ボリュームが、デバイス構成データベースまたはアクティブなボリューム・グループ内の別のボリューム・グループの一部でない限り、その物理ボリューム上にボリューム・グループを強制的に作成します。
-G -B フラグと同じです。
-i 標準入力から PhysicalVolume パラメーターを読み取ります。
-I AIX バージョン 6.1 にインポートできるボリューム・グループを作成します。LTGSize は、ボリューム・グループが AIX バージョン 6.1 より前に作成された場合と同じように動作します。論理ボリュームが後で、AIX バージョン 6.1 または AIX バージョン 6.1 によってサポートされているストリップ・サイズより大きいストリップ・サイズで作成された場合、(ストリップ・サイズにアレイ内のディスク枚数を乗算したものはストライプ・サイズ)、そしてボリューム・グループを AIX バージョン 6.1 または AIX バージョン 6.1 へインポートして戻す試みはサポートされません。
変更の始め-k y|n変更の終わり 変更の始めボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にします。 -k フラグは IBM AIX 7.2 (テクノロジー・レベル 5 適用) 以降で使用可能です。 このフラグに指定できる値は以下のとおりです。
y
ボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にします。 データ暗号化オプションがボリューム・グループで有効になっている場合は、ボリューム・グループを AIX 7 (7200-05 適用) 以降が稼働する AIX LPAR にインポートできます。
n
ボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にしません。 これがデフォルト値です。
変更の終わり
-L ltgsize -I フラグなしで AIX バージョン 6.1 で作成されたボリューム・グループの場合、 -L フラグは無視されます。ボリューム・グループがオンに変更されると、 論理トラック・グループ・サイズは、ディスクの共通最大転送サイズに設定されます。

-I フラグを指定して AIX バージョン 6.1 に作成されたボリューム・グループ、または AIX バージョン 6.1 より前に作成されたボリューム・グループの場合、論理トラック・グループ・サイズは ltgsize、すなわち 128256512、または 1024 のいずれかに設定されます。さらに、その値はボリューム・グループ内のすべてのディスクの最大転送サイズ以下でなければなりません。デフォルトの ltgsize は 128 KB です。

-M y|s ボリューム・グループに対するミラー・プールの厳密性を使用可能にします。
y
ミラー・プールはボリューム・グループ内の論理ボリュームごとに使用する必要があります。
s
このボリューム・グループには超厳密なミラー・プールが強制されます。
-N o|n
o
非コンカレント・モードで varyon することができるボリューム・グループを複数ノードで同時に作成します。これはデフォルト値です。
n
非コンカレント・モードで varyon することができないボリューム・グループを複数ノードで同時に作成します。このボリューム・グループは、-N フラグをサポートしていないバージョンの AIX オペレーティング・システムにはインポートできなくなります。
-n システムを再始動する間に、ボリューム・グループが自動的に使用可能とならないように指定します。 デフォルト値を使用すると、ボリューム・グループは自動的に活動化されます。
-O y / n 論理ボリュームの無限再試行オプションを使用可能にします。
n
論理ボリュームの無限再試行オプションは使用可能ではありません。 失敗した論理ボリュームの入出力は再試行されません。これはデフォルト値です。
y
論理ボリュームの無限再試行オプションは使用可能です。 失敗した入出力要求は、成功するまで再試行されます。
注: 無限再試行オプションは、Geographic Logical Volume Manager (GLVM) 環境ではサポートされていません。
-p mirrorpool 指定されたミラー・プールに、追加されるそれぞれの物理ボリュームを割り当てます。ボリューム・グループでミラー・プールが使用可能になった後は、そのボリューム・グループは、ミラー・プールをサポートしない AIX のバージョンにインポートできなくなります。
-P partitions ボリューム・グループ内の区画の総数で、 Partitions 変数は、1024 区画単位で表されます。 有効な値は、32、64、128、256、512、768、1024、および 2048 です。 デフォルトは 32 k (32768 区画) です。 chvg コマンドを使用して、 区画の数を最大 2048 k (2097152 区画) に増やすことができます。 このオプションは、 -S オプションで使用する場合にのみ有効です。
-r y|n ボリューム・グループの Critical VG オプションを使用可能にします。-r フラグには、以下の値を指定できます。
y
ボリューム・グループの Critical VG オプションが使用可能になります。Critical VG オプションをオンにしてボリューム・グループが作成された場合、入出力要求が失敗すると、入出力失敗を返す前にディスクの状態を確認するために、論理ボリューム・マネージャー (LVM) のメタデータの書き込みが開始されます。rootvg ボリューム・グループが Critical VG オプションに設定されていて、ボリューム・グループがディスクのクォーラム・セット (クォーラムが使用不可の場合は全ディスク) へのアクセスを失った場合、ボリューム・グループを強制的にオフライン状態にするのではなく、ノードはクラッシュして、コンソールにメッセージが表示されます。
n
ボリューム・グループの Critical VG オプションは使用可能になりません。これがデフォルト値です。
-S スケーラブル・タイプのボリューム・グループを作成します。デフォルトでは、このボリューム・グループは、最大 1024 物理ボリューム、256 論理ボリューム、および 32768 物理区画を収容できます。 論理ボリュームの数を増やすには、-v オプションを使用します。 物理区画の数を増やすには、-P オプションを使用します。
注: スケーラブル・ボリューム・グループのデフォルト値を超えて maxlvs および maxpps を増やすと、それに比例して VGDA のサイズを大きく増やすことができます。maxlvs 値および maxpps 値は減らすことができないため、必要な場合のみ増やす必要があります。 一方、VGDA スペースの増加につれて、すべての VGDA 更新操作 (論理ボリュームの作成、 論理ボリュームの変更、物理ボリュームの追加など) は、実行に長い時間がかかるようになります。
-sSize 各物理区画の MB (メガバイト) 数を設定します。Size 変数は、 1 (1 MB) から 131072 (128 GB) までの MB 単位で表されます。 Size 変数は、 2 の累乗 (例えば 1、2、4、8) でなければなりません。32 および 128 PV ボリューム・グループのデフォルト値は、1 PV につき 1016 物理区画の制限内に収めるために、最小の値になります。スケーラブル・ボリューム・グループのデフォルト値は、1 PV につき 2040 物理区画を収めるために、最小の値になります。
-t factor factor によって指定される、物理ボリューム当たりの物理区画数の制限を変更します。factor は、32 PV のボリューム・グループの場合は 1 から 16 で、128 PV のボリューム・グループの場合は 1 から 64 でなければなりません。 このボリューム・グループの物理ボリューム当たりの物理区画の最大数は factor x 1016 に変更されます。 デフォルトは、factor x 1016 の物理区画の制限内に収まる最小の値です。ボリューム・グループに組み込める PV の最大数は MaxPVs/factor になります。 -t オプションは、-S オプションで使用した場合無視されます。
-V majornumber 作成するボリューム・グループのメジャー番号を指定します。
-v 作成できる論理ボリュームの数。有効な値は 256、512、1024、2048、および 4096 です。 デフォルトは 256 です。chvg コマンドを使用して、 論理ボリュームの数を最大 4096 に増やすことができます。 このオプションは、 -S オプションで使用する場合にのみ有効です。 最後の論理ボリュームは、メタデータ用に予約済みです。
-X none|SSD ボリューム・グループの PV タイプ制限を使用可能にします。このオプションでは、PV タイプに基づく特定の制限を使用してボリューム・グループを作成することができます。「none」がデフォルト値です。「SSD」では、ボリューム・グループ内のすべての PV が SSD メディア・タイプの PV でなければなりません。PV の制限がオンになっている場合、mkvg コマンドは、すべての PV がこの条件を満たすかどうかを確認します。PV 制限がオンになった後、PV タイプの制限をサポートしないバージョンの AIX でボリューム・グループをインポートできなくなります。
none
オプションとして、PV 制限はありません。ボリューム・グループは、任意のディスク・タイプで形成できます。これはデフォルト値です。
SSD
オプションとして、ボリューム・グループは SSD の PV タイプに制限されます。物理ボリューム引数でリストされているディスクのタイプは、SSD でなければなりません。
-y volumegroup 自動的に生成される名前を使用せずに、ボリューム・グループ名を指定します。 ボリューム・グループ名は 1 文字から 15 文字までで、システム全体で固有でなければなりません。 他のデバイス用のデバイス構成データベース中の PdDv クラスに既に定義されている接頭部を名前の先頭に指定できません。作成されたボリューム・グループ名は、標準出力に送信されます。

ボリューム・グループ名に使用できる文字は、「A」から「Z」まで、「a」から「z」まで、「0」から「9」まで、または「_」(下線)、「-」(負符号)、「.」(ピリオド) のみです。 このほかの文字はすべて無効と見なされます。

セキュリティー

注:
RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 区画サイズが 1 MB に設定されている 3 つの物理ボリュームを含むボリューム・グループを作成するには、次のように入力します。
    mkvg  -s 1 hdisk3 hdisk5 hdisk6
    ボリューム・グループが作成される際に自動的に名前が生成され、システムの再始動時に表示され、使用可能となります。

    mkvg -s 2 -t 2 -y newvg hdisk1

    物理区画サイズが 2 MB で、物理ボリュームあたりの物理区画の最大数が 2032 であるボリューム・グループ newvg が作成されます。例で示された構成は、hdisk1 のサイズが 4064 MB (2032*2) より大きくできないことを意味します。

  2. 最大 1024 物理ボリュームおよび 2048 論理ボリュームを収容できるボリューム・グループを作成するには、 次のように入力します。
    mkvg -S -v 2048 hdisk6

ファイル

項目 説明
/usr/sbin mkvg コマンドが入っているディレクトリー。
/tmp コマンドの実行中に一時ファイルを保管するディレクトリー。
/dev ボリューム・グループ用のキャラクター型デバイス・エントリーが作成されるディレクトリー。