lp コマンド

この lp コマンドのセクションには、 AIX® 印刷サブシステムの lp と System V 印刷サブシステムの lp に関する情報が含まれています。

AIX 印刷サブシステムの lp コマンド

目的

ライン・プリンターに要求を送信します。

構文

lp [ -c ] [ -d Queue ] [ -m ] [ -nNumber ] [ -o Option ] [ -s ] [ -t Title ] [ -w ] [ Files ]

説明

lp コマンドは、Files パラメーターにより指定されたファイルとそれらに関連した情報 (要求) がライン・プリンターで印刷されるようにします。 Files パラメーターの値を指定しないと、lp コマンドは標準入力を受け入れます。 ファイル名 - (ダッシュ) は標準入力を表し、ファイルの他にコマンド・ラインで指定できます。 lp コマンドは、指定された順序で要求を送ります。 ジョブがローカル印刷キューに実行を依頼されると、lp コマンドは次の行を標準出力に表示します。

Job number is: nnn

この場合、nnn は、割り当てられたジョブ番号です。 ジョブ番号が表示されないようにするには、-s フラグを使用します。

フラグ

項目 説明
-c lp コマンドの実行時に、印刷されるファイルを直ちにコピーします。 lp コマンドは、要求されないとファイルをコピーしません。 リンクは作成されません。 -c フラグを指定する場合は、印刷前にファイルを除去しないように注意してください。 -c フラグを指定しない場合は、要求後に行ったファイルの変更結果が印刷出力に表示されます。
-dQueue ジョブを送る印刷キューを指定します。
-m ファイルが印刷された後で、メールを送ります (mail コマンドを参照)。 デフォルトでは、印刷要求が正常終了した後にメールは送られません。
-n Number 印刷出力の部数を指定します。 デフォルトの部数は 1 です。
-o Options バックエンドに固有のフラグをバックエンドに受け渡すように指定します。 したがって、それぞれのキューについて、この項目で説明されていない他のフラグを lp コマンドを用いて組み込むことができます。 これらのフラグのリストは、piobe コマンドの項でご覧ください。 このフラグを指定することは、enq コマンドに -o フラグを指定するのと同じです。
-s ジョブ番号の自動表示を抑制します。 lp コマンドは、デフォルトではジョブ番号を表示しますが、-s フラグを指定するとデフォルトがオーバーライドされます。
-tTitle 出力のバナー・ページにファイルのタイトルを印刷することを指定します。
-w ファイルの印刷後、印刷要求側の端末にメッセージを書き込みます。 要求側がログインしていないと、mail コマンドによってそのメッセージが送られます。 ユーザーが複数のウィンドウまたは端末にログインしている場合、コマンドが発行された LFT にメッセージが送信されないこともあります。 メッセージは、そのユーザーのログインが writesrv デーモンによって最初に見つけられた端末に送信されます。

注: -w フラグを、-m フラグと共に使用すると、印刷要求側は端末上のメールのみを受け取り、メッセージは受け取りません。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. デバイス dlp0 に接続されたプリンター lp0/etc/motd ファイルを印刷するには、次のように入力します。
    lp /etc/motd
  2. ファイルのコピーを使って /etc/motd ファイルを 30 部印刷し、ジョブが完了したことをユーザーにメールで知らせるには、次のように入力します。
    lp  -c  -m  -n30  -dlp0:lpd0 /etc/motd
  3. バックエンド・フラグ -f-a を使用し、blah というジョブ・タイトルを付けて /etc/motd ファイルを印刷するには、次のように入力します。
    lp  -t"blah"  -o -f  -o -a /etc/motd
  4. MyFile ファイルをキューに入れて、ジョブ番号を戻すには、次のように入力します。
    lp myfile
  5. MyFile ファイルをキューに入れてジョブ番号の出力を抑制するには、次のように入力します。
    lp  -s myfile

終了状況

このコマンドは次の終了値を戻します。

項目 説明
0 すべての入力ファイルが正常に処理されました。
>0 出力デバイスが使用できない、またはエラーが発生しました。

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/qdaemon キューイング・デーモンが入っています。
/var/spool/lpd/qdir/* キュー要求が入っています。
/var/spool/lpd/stat/* デバイスの状況に関する情報が入っています。
/var/spool/qdaemon/* キューに入れられたファイルの一時コピーが入っています。
/etc/qconfig キュー構成ファイルが入っています。
/etc/qconfig.bin /etc/qconfig ファイルのダイジェストのバイナリー・バージョンが入っています。

System V 印刷サブシステムの lp コマンド

目的 (System V)

印刷要求を送信します。

構文 (System V)

lp [print-options] [files]

lp -i request-ID print-options

説明 (System V)

1 つ目の形式の lp コマンドは、 files により名前指定されたファイルと関連情報 (まとめて要求という) が印刷されるようにします。 コマンド・ラインでファイル名を指定しないと、標準入力が想定されます。 ファイル名をリストして、標準入力を表す - を指定すると、 コマンド・ラインで files の名前を指定する際に標準入力も指定できます。 ファイル はコマンド・ラインに入力された順序で印刷されます。

LP 印刷サービスは、固有の request-ID を各要求に関係付け、 標準出力上に表示します。 この request-ID は、 要求を取り消したり変更したりする際や、状況を判別する際に使用できます。 要求の取り消しの詳細については cancel コマンドを参照し、 印刷要求の状況の検査に関する情報は lpstat のセクションを参照してください。

2 つ目の形式の lp は、 以前に実行依頼された要求のオプションを変更するのに使用されます。 request-ID で識別される印刷要求は、 このコマンドに指定される print-options に従って変更されます。 使用可能な print-options は、 1 つ目の形式の lp コマンドと同様です。 要求の印刷が終了している場合は、変更はリジェクトされます。 要求の印刷が行われている場合は、 (-P フラグを指定していなければ) 印刷は停止して先頭から再始動されます。

lp -? を入力した場合は、コマンド使用方法メッセージが表示され、0 が戻されます。

印刷要求の送信 (System V)

1 つ目の形式の lp コマンドは、特定のプリンターか、 印刷要求の要件をすべて満たせる任意のプリンターに印刷要求を送信するのに使用します。

ファイル名の前に必ずフラグを付けなければなりませんが、 指定する順序は任意です。

宛先が any の場合に、 要求を受け入れられないプリンターは考慮されません。 (要求を受け入れられるプリンターを判別するには、 lpstat -a コマンドを使用してください。) しかしながら、要求の宛先としてプリンターのクラスを指定すると、 クラス自体が要求を受け入れられる場合は、 そのクラス中のプリンターは受け入れるかどうかに関係なくすべて考慮されます。

マウント可能なプリント・ホイールかフォント・カートリッジを使用するプリンターの場合、 -S フラグで特定のプリント・ホイールかフォントを指定しないと、 要求を印刷する時点でマウントされているプリンターがどれでも使用されます。 lpstat -p printer -l コマンドを使用して、 特定のプリンター上で使用可能なプリント・ホイールを判別します。 lpstat -S -l コマンドを使用して、 使用可能なプリント・ホイールと、そのマウント場所のプリンターを判別します。 -S フラグを指定しないと、 文字セットが選択できるプリンターの場合は標準文字セットが使用されます。

普通は印刷できるが時折印刷できない時があるという問題が生じたら、 プリンターとコンピューターとの間の物理接続を検査してください。 自動データ交換機か A/B 交換機を使用している場合は、 その交換機を除去して、問題が取り除かれたかどうか調べてください。

フラグ (System V)

-c
lp コマンドの呼び出し時に、 印刷されるファイル を直ちにコピーします。 ファイル は通常はコピーされませんが、 リンクできる場合は常にリンクされます。 -c フラグを指定しない場合は、要求が完全に印刷される前に、 files で指定したどのファイルも除去しないよう注意する必要があります。 また、-c フラグを指定を指定しない場合は、 要求してから印刷するまでの間に files ファイルに加えられた変更内容は、 印刷出力に反映されることにも注意してください。
-d dest
印刷を行うプリンターまたはプリンターのクラスとして dest を選択します。 dest がプリンターの場合は、 要求は特定のプリンターだけで印刷されます。 dest がプリンターのクラスの場合は、 要求はクラスのメンバーのうち 1 つ目の使用可能なプリンターで印刷されます。 destany の場合は、 要求を処理できる任意のプリンターで印刷されます。 条件によっては (プリンターが使用できなかったりファイル・スペースに制限がある場合など)、 特定の宛先で要求が受け入れられない場合があります (lpstat のセクションを参照)。 デフォルトでは、 dest は環境変数 LPDEST から入手します。 LPDEST が設定されていない場合は、 dest は環境変数 PRINTER から入手します。 PRINTER が設定されていない場合は、 コンピューター・システムのデフォルト宛先が (ある場合は) 使用されます。 システム・デフォルトが設定されていない場合は、-T を使用すると、 dest-T フラグで指定されている content-type に基づいて選択されます (-T の説明を参照)。 宛先名はシステムによって異なります (lpstat のセクションを参照)。
-f form-name [-d any]
用紙 form-name 上に要求を印刷します。 LP 印刷サービスにより、この用紙が確実にプリンターに取り付けられます。 要求中に form-name とこの用紙をサポートできない印刷宛先とが共に指定されていると、 その要求はリジェクトされます。 システムに form-name が定義されていない場合や、 ユーザーがこの用紙を使用できない場合も、要求はリジェクトされます。 (lpforms を参照してください。) -d any フラグを指定すると、 要求された用紙が取り付けられており、 印刷要求に関するその他の要件もすべて処理できる任意のプリンターで要求が印刷されます。
-H special-handling
special-handling の値に従って要求を印刷します。 special-handling の許容値を次に定義します。
hold
通知されるまで要求を印刷しません。 印刷が既に始まっている場合は停止します。 保留要求が再開されるまでは、その他の印刷要求が保留要求より先に印刷されます。
resume
保留要求を再開します。 印刷中に保留した場合は、 その後 immediate 要求で先に割り込ませなければ、 その要求は次の印刷に回されます。 この引数を指定する際には、 必ず -i フラグを (後に request-ID を付けて) 使用しなければなりません。
immediate
(LP 管理者だけが使用できます) 要求を次回に印刷します。 複数の要求に immediate を割り当てると、 最新の要求が最初に印刷されます。 別の要求が現在印刷中の場合は、その要求は保留になり、 即時要求が印刷できるようにされます。
 
-L locale-name
この印刷要求で使用されるロケールとして locale-name を指定します。 デフォルトでは、 locale-nameLC_CTYPE の値に設定されます。 LC_CTYPE が設定されていない場合は、 locale-name のデフォルトは C ロケールになります。
-m
ファイルの印刷後にメールを送信します。 デフォルトでは、印刷要求が正常終了した後にメールは送られません。
-n number
出力の部数を number に指定します。 デフォルトの部数は 1 です。
-o options
プリンターに依存するオプションを options に指定します。 この種の options を複数収集するには、-o キー文字を複数回指定する (つまり、-o option[1] -o option[2] ... -o option[n]) か、 またはオプションのリストを、1 つの -o キー文字を二重引用符で囲み、スペースで区切って指定します (つまり、-o "option[1] option[2] . . . option[n]")。
nobanner
この要求の印刷時にバナー・ページを印刷しません。 管理者はいつでもこのオプションを不許可にすることができます。
nofilebreak
複数のファイルを印刷するジョブが実行依頼された場合に、 それらのファイルの間に用紙送りを挿入しません。 このオプションは、PS (PostScript) インターフェースを使用するよう構成されているプリンターではサポートされません。
length=scaled-decimal-number
長さ scaled-decimal-number のページでこの要求を印刷します。 scaled-decimal-number は、 スケールをオプション指定できる 10 進数で、 行数、文字数、インチ、またはセンチメートルのうち該当する単位でサイズを指定します。 スケールを指示するには、 インチの場合は i 文字を付加し、 センチメートルの場合は c 文字を付加します。 数値のスケールを指定しないと、長さの設定の場合は行数、 幅の設定の場合は文字数、行ピッチの設定の場合は行/インチ、 文字ピッチの設定の場合は字/インチを指示したことになります (i を付加して数値のスケールを指定した場合と同じになります)。 例えば、length=66 はページの長さが 66 行になるよう指示し、 length=11i はページの長さが 11 インチになるよう指示し、 length=27.94c はページの長さが 27.94 センチメートルになるよう指示します。 このオプションと -f オプションとを共に使用することはできません。このオプションは、PS (PostScript ) ではサポートされません。
width=scaled-decimal-number
scaled-decimal-number のページでこの要求を印刷します。(前述の length の解説中の、 scaled-decimal-numbers に関する説明を参照してください。) このオプションと -f オプションとを共に使用することはできません。このオプションは、PS (PostScript ) ではサポートされません。
lpi=scaled-decimal-number
行ピッチを scaled-decimal-number に設定してこの要求を印刷します。 (前述の length の解説中の、 scaled-decimal-numbers に関する説明を参照してください。) このオプションと -f フラグとを共に使用することはできません。このオプションは、PS (PostScript) ではサポートされません。
cpi=pica|elite|compressed
文字ピッチを pica (10 文字/インチを表す)、 elite (12 文字/インチを表す)、 または compressed (プリンターで処理できる文字数/インチを表す) に設定してこの要求を印刷します。 すべてのプリンターにとって標準となるインチ当たりの文字数はありません。 ご使用のプリンターのデフォルト文字ピッチについては、 terminfo データベースを参照してください。 このオプションと -f フラグとを共に使用することはできません。このオプションは、PS (PostScript) ではサポートされません。
stty=stty-option-list
stty コマンドにとって有効なオプションのリスト。 ブランクが含まれる場合は、リストを単一引用符で囲んでください。
 
-P page-list
page-list で指定されたページを印刷します。 このフラグは、このフラグを処理できるフィルターがある場合だけ使用できます。 ない場合は、印刷要求はリジェクトされます。 page-list には、数値の範囲、1 つのページ番号、 またはこれらの両方を組み合わせて指定できます。 ページは昇順に印刷されます。
-q priority-level
印刷キュー中におけるこの要求の優先順位の割り当てを priority-level に指定します。 priority-level の値の範囲は 0 (最高の優先順位) から 39 (最低の優先順位) です。 優先順位を指定しないと、 システム管理者が割り当てた印刷サービスのデフォルトが使用されます。 システム管理者は、個々のユーザーに優先順位の制限を割り当てることもできます。
-R
印刷要求の実行依頼後に 1 つ以上のファイルを除去します。 このフラグを使用する際には注意してください。
-r
以下の -T content-type [-r] を参照してください。
-s
「request id is ...」メッセージを抑制します。
-S character-set [-d any]
-S print-wheel [-d any]
character-set または print-wheel の指定値を使用して、 この要求を印刷します。 用紙が要求されている場合に、 -S フラグの指定値以外の文字セットまたはプリント・ホイールが必要な場合は、 要求はリジェクトされます。

プリント・ホイールを使用するプリンターの場合、 この要求で指定されているプリンターで使用できるものとして管理者がリストしていないプリント・ホイールを指定すると、 そのプリント・ホイールが既にプリンターにマウントされていなければこの要求はリジェクトされます。

選択可能文字セットまたはプログラマブル・キャラクター・セットを使用するプリンターの場合、 プリンターの character-set の指定値が Terminfo データベースに定義されていない場合 (terminfo を参照) や、 管理者が定義した別名でない場合は、この要求はリジェクトされます。

-d any フラグを指定すると、 プリント・ホイールが取り付けられているかまたは文字セットを選択でき、 しかも印刷要求に関するその他の要件もすべて処理できる任意のプリンターで要求が印刷されます。

-t title
出力のバナー・ページに、title に指定したタイトルを印刷します。 デフォルトはタイトルなしです。 title にブランクが含まれている場合は、引用符で囲んでください。
-T content-type [-r]
content-type に指定されたコンテンツ・タイプをサポートできるプリンターで要求を印刷します。 このタイプを直接受け入れられるプリンターがない場合は、 フィルターを使用して、コンテンツを受け入れ可能なタイプに変換します。 -r フラグを指定すると、フィルターは使用されません。 -r を指定しない場合は、 content-type を直接受け入れられるプリンターがなければ、 要求はリジェクトされます。 content-type が直接にも、 またフィルターを使用してもどのプリンターにも受け入れられなければ、 要求はリジェクトされます。

-r フラグは、 フィルターが確実に使用されないようにするだけでなく、 -o 'stty=-opost' フラグと同等の処理を強制実行します。

-w
files に指定されたファイルの印刷後、 ユーザーの端末にメッセージを書き込みます。 ユーザーがログインしていなかったり、プリンターがリモート・システム上にあったりすると、 代わりにメールが送られます。 元々コマンドを入力したウィンドウとは違うウィンドウにメッセージが送信されることがあるので注意してください。
-y mode-list
mode-list にリストされている印刷モードに従って、 この要求を印刷します。 mode-list の有効値はローカルに定義されます。 このオプションは、このフラグを処理できるフィルターがある場合だけ使用できます。 ない場合は、印刷要求はリジェクトされます。

mode-list オプションの説明を次にリストします。

-y reverse
ページの印刷順序を逆にします。 このフィルター・オプションは LP 印刷サービスではサポートされていません。
-y landscape
物理ページの向きをポートレイトからランドスケープに変更します。
-y x=number,y=number
原点を移動して、 物理ページ上の論理ページのデフォルトの位置を変更します。
-y group=number
1 物理ページ上の複数の論理ページをグループ化します。
-y magnify=number
ドキュメント中の各ページの論理サイズを変更します。
-o length=number
ドキュメントの各ページ中の行数を選択します。
-P number
印刷されるドキュメントのサブセットをページ番号単位で選択します。
-n number
ドキュメントを複数部印刷します。
 

セキュリティー (System V)

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

ファイル (System V)

/var/spool/lp/*