lpforms コマンド
注: これは System V Print Subsystem コマンドです。
目的
LP 印刷サービスで使用される用紙を管理します。
構文
lpforms -f FormName Options
lpforms -f FormName -A AlertType [-Q minutes] [-W requests]
説明
lpforms コマンドを使用して、 LP 印刷サービスと共に、 会社のレターヘッド用紙のような事前印刷用紙を管理します。 用紙はその FormName によって指定されます。 ユーザーは印刷要求を実行依頼するとき用紙を指定できます。上記のコマンド・ラインのどちらでも、 FormName の代わりにパラメーター all を使用できます。 管理者は 1 番目のコマンド・ラインを使用して、 用紙を追加、変更、削除したり、 既存の用紙の属性をリストしたりできます。 また、特定の用紙へのユーザー・アクセスを許可することも拒否することもできます。 2 番目のコマンド・ラインを使用して、 用紙 FormName をプリンターに取り付ける必要があることを管理者に警告するような方式を確立します。
lpforms -?
を入力した場合は、コマンド使用方法メッセージが表示され、0 が戻されます。
1 番目の lpforms コマンド・ラインを使用する場合は、 以下のフラグのいずれかを使用する必要があります。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
- (ハイフン) | 標準入力の情報で指定されたとおりに、 用紙 FormName を追加または変更します。 |
-F pathname | pathname にある情報で指定されたとおりに、 用紙 FormName を追加または変更します。 |
-l | 用紙 FormName の属性をリストします。 |
-x | 用紙 FormName を削除します (このフラグは個別に使用しなければならず、 他のフラグと共に使用することはできません)。 |
用紙の追加または変更
-Fpathname フラグを使用して、 新規の用紙 FormName を LP 印刷サービスに追加するか、 または既存の用紙の属性を変更します。 用紙の説明は、 -F フラグが指定される場合は pathname から、 - フラグが使用される場合は標準入力から取られます。 これら 2 つのフラグのいずれかを使用して、 用紙を定義または変更する必要があります。 pathname は、 用紙に関する以下の情報のすべて、 または一部のサブセットを含むファイルのパス名です。
Page length: scaled-decimal-number1
Page width: scaled-decimal-number2
Number of pages: integer
Line pitch: scaled-decimal-number3
Character pitch: scaled-decimal-number4
Character set choice: character-set/print-wheel [mandatory]
Ribbon color: ribbon-color
Comment:
comment
Alignment pattern: [content-type]
content
"scaled-decimal-number" という語は、 単位のサイズを示す (ゼロを含む) 非負数を意味します。 単位のタイプは number に付いている末尾の文字によって示されます。 LP 印刷サービスで使用できる scaled decimal number のタイプは 3 つあります。 サイズをセンチメートルで示す数 (末尾に "c" が付く) と、 サイズをインチで示す数 (末尾に "i" が付く) と、 サイズを適切な単位 (行、文字、行/インチ、文字/インチなど) で示す数字 (末尾の文字はなし) の 3 つです。
最後の 2 行を除いて、 上記の行が現れる順序は任意です。 Comment と comment の項目は連続した順序で現れる必要がありますが、他の項目の前に現れることもあります。「Alignment pattern」と content の項目は連続した順序でファイルの最後に現れる必要があります。 また、comment 項目には、 上記のキー・フレーズの前に ">" がない場合は、 そのキー・フレーズで始まる行は含まれません。 comment 中にある先頭の ">" 記号はすべて、 コメントが表示されると除去されます。 キー・フレーズの大文字小文字の区別は、 無視されます。
このコマンドが発行されると、 FormName が指定する用紙は用紙のリストに追加されます。 用紙が既に存在する場合、 その説明は変更されて、 新しい情報が反映されます。 いったん用紙が追加されると、 用紙へのアクセスが制限されている場合を除いて、 -u フラグにある説明のとおり、 印刷要求で使用できるようになります。 中には特定のプリンターでしか使用できない用紙もあります。
それぞれの用紙の属性の説明は以下のとおりです。
項目 | 説明 |
---|---|
ページ長およびページ幅 | この用紙を必要とする印刷要求の内容を印刷する前に、
LP 印刷サービスと共に提供される汎用インターフェース・プログラムは、
物理プリンターを初期化して、
scaled-decimal-number1 長、
scaled-decimal-number2 幅のページを扱えるようにします。
その際、terminfo データベースへのキーとしてプリンター・タイプが使用されます。
可能な場合、その用紙を必要とする要求で使用される各フィルターにページ長またはページ幅が渡されます。 |
ページ数 | 位置合わせパターンが印刷される度に、 各フィルターに 1-integer のページ・サブセットを渡して、 LP 印刷サービスが content を単一用紙に切り捨てようとする場合もあります。 |
行ピッチおよび文字ピッチ | この用紙を必要とする印刷要求の内容を印刷する前に、 LP 印刷サービスと共に提供されるインターフェース・プログラムは、 物理プリンターを初期化して、これらのピッチを扱います。 その際、terminfo データベースへのキーとしてプリンター・タイプが使用されます。 また可能な場合は、 その用紙を必要とする要求で使用される各フィルターにピッチは渡されます。 scaled-decimal-number3 に "c" が付けられていれば、 行/センチメートルで、付けられていなければ行/インチです。 同様に scaled-decimal-number4 も、 "c" があれば文字/センチメートルで、 なければ文字/インチになります。 文字ピッチも、 elite (12 字/インチ)、 pica (10 字/インチ)、 または compressed (インチあたりできるだけ多くの文字) として指定されます。 |
文字セット選択 | LP 印刷サービスが管理者にこの用紙を取り付けるように警告するとき、 プリント・ホイールが必要なプリンターで、 プリント・ホイール print-wheel を使用するようにも指示します。 プリント・ホイールの代わりに選択可能文字セット、 またはロード可能文字セットがあるプリンターで、 この用紙を使用した印刷が行われる場合、 LP 印刷サービスと共に提供されるインターフェース・プログラムは、 適切な文字セットを自動的に選択またはロードします。 mandatory が付けられる場合、 その用紙で使用する文字セットとして別のものを選択することは許可されません。 付けられない場合、 文字セットまたは名前付きプリント・ホイールは提示されるもの、 またデフォルトのみになります。 |
リボン・カラー | LP 印刷サービスが管理者にこの用紙を取り付けるように警告するとき、 リボンのカラーを ribbon-color にするようにも指示します。 |
コメント | LP 印刷サービスは、ユーザーがこの用紙について尋ねるとき、 変更されていない comment を表示します。 |
位置合わせパターン | この用紙を取り付けるとき、
事前印刷用紙を正しい位置に置くために、
管理者は content を繰り返し印刷するように要求します。
オプション content-type は、
content を生成したプリンターのタイプを定義します。
content-type が指定されない場合、
simple が使用されます。
注: 内容は与えられたとおりに保管され、 ユーザー lp だけが読み取ることができます。 |
このコマンドによって既存の用紙が変更されると、 新しい情報で失われた項目は、そのまま残されます。 新しい用紙がこのコマンドによって追加されると、 欠落した項目は以下のデフォルトを取得します。
Page Length: 66
Page Width: 80
Number of Pages: 1
Line Pitch: 6
Character Pitch: 10
Character Set Choice: any
Ribbon Color: any
用紙の削除
-x フラグを使用して、 LP 印刷サービスから用紙 FormName を削除します。
用紙属性のリスト
-l フラグを使用して、 既存の用紙 FormName の属性をリストします。 位置合わせパターンは潜在的に重要な特長であるため、 このコマンドを使用して用紙を検査できるのは管理者だけです。 他のユーザーは、lpstat コマンドを使用して 用紙の種類の重要ではない項目を検査できます。
用紙へのアクセス許可および否認
パラメーター allow:login-ID-list に続く -u フラグ、 または -u deny:login-ID-list により、 印刷要求で特定の用紙を指定することが許可されているユーザーを判別できます。 このフラグは、-F フラグまたは - フラグと一緒に使用できます。
login-ID-list パラメーターには、 以下の構成の一部あるいはすべてを含めることができます。
項目 | 説明 |
---|---|
login-ID | ローカル・システム上のユーザー |
system-name!login-ID | システム system-name 上のユーザー |
system-name!all | システム system-name 上のすべてのユーザー |
all!login-ID | すべてのシステム上のユーザー |
all | ローカル・システム上のすべてのユーザー |
all!all | すべてのシステム上のすべてのユーザー |
login-ID-list のデフォルト値は all です。
LP 印刷サービスは、各用紙ごとに 2 つのユーザー・リスト、 つまり、その用紙を使用することが許可されているユーザーの「許可リスト」と、 その用紙を使用できないユーザーの「拒否リスト」を保持しています。
- 許可リストが存在し、login-ID がその中にある場合、 アクセスは許可されます。
- 拒否リストのみが存在し、login-ID がその中にない場合、 アクセスは許可されます。
- login-ID が拒否リストにある場合、 アクセスは拒否されます。
- 許可リストも拒否リストもない場合、 アクセスは拒否されます。
- 両方のリストが存在し、login-ID がどちらにもない場合、 アクセスは拒否されます。
- 許可リストのみが存在し、login-ID がその中にない場合、 アクセスは拒否されます。
許可リストが空でない場合、 リストの中のユーザーだけが、 拒否リストの内容に関係なくその用紙にアクセスできます。 許可リストが空で、拒否リストが空でない場合、 拒否リストの中のユーザーはその用紙を使用できません (その他のすべてのユーザーはその用紙を使用できます)。
-f deny:all を指定することにより、 すべてのユーザーがその用紙へのアクセスを拒否される場合があります。 -f allow:all を指定することにより、 すべてのユーザーがその用紙へのアクセスを許可される場合があります。 (これはデフォルトです。)
用紙を取り付けるためのアラートの設定
-f FormName フラグと -A AlertType フラグを共に使用して、 アラートを必要とするジョブがキューに入れられたときの、 用紙を取り付けるためのアラートを定義します。 このフラグを使用して用紙のためのアラートを準備しておかないと、 その用紙に対してアラートが送信されません。
アラートが送信される方式は、 -A フラグと共に指定される AlertType パラメーターの値に依存します。 アラート・タイプは、 lpadmin の -A フラグで使用できるものと同じです。 つまり、mail、 write、 quiet、 none、 shell-command、 list です。
送信されたメッセージは、次のように表示されます。
The form FormName needs to be mounted
on the printer(s):
printer (integer1 requests).
integer2 print requests await this form.
Use the ribbon-color ribbon.
Use the print-wheel print wheel, if appropriate.
リストされたプリンターは、 この用紙の候補として管理者が前に指定したものです。 各プリンターの隣の番号 integer1 は、 プリンターに適した要求の番号です。 プリンターの後に示される番号 integer2 は、 その用紙を待つ要求の合計数です。 複数のプリンターによって処理される要求がある場合は、 他の数の合計よりも少なくなります。 ribbon-color および print-wheel は、 その用紙の説明で指定されたものです。 リストされたプリンターがプリント・ホイールを使用しない場合でも、 メッセージの最後の行は常に送信されます。 なぜなら、 管理者はプリント・ホイールを使用しないプリンターにその用紙を取り付けることを選択できるからです。
どのカラー・リボンおよびプリント・ホイールも使用できない場合、 上記のステートメントは以下を読み取ります。
Use any ribbon.
Use any print-wheel.
FormName が any の場合、 このコマンドで定義されたアラートは、 アラートが定義されていないどの用紙に対しても適用されます。 FormName が all の場合、 このコマンドで定義されたアラートは、 すべての用紙に対して適用されます。
-W フラグが指定されない場合、 必要な場合に 1 メッセージのみが送信されてフォームを取り付ける、 というデフォルトのプロシージャーになります。 -W フラグを指定しないことは、 -W once または -W 0 を指定するのと同じことです。 minutes が 1 以上の場合、 アラートは minutes で指定したインターバルで送信されます。
-Q フラグも指定される場合、 (パラメーター requests によって指定される) いくつかの、 用紙を必要とする印刷要求が待っているとき、 アラートが送信されます。 -Q フラグが指定されない場合、 または requests の値が 1 か any の場合 (両方ともデフォルト)、 用紙が取り付けられていないときに用紙の印刷要求が実行依頼されるとすぐ、 メッセージが送信されます。
現行アラートのリスト
-f フラグを使用し、 その後に -A とパラメーター list を指定して、 指定した用紙 FormName に対して定義されたアラートのタイプをリストします。 アラートは変更されません。 FormName が LP 印刷サービスによって認識される場合、 以下のいずれかの行が標準出力に対して送信されます。 どれが送信されるかは、用紙のアラートのタイプに依存します。
When requests requests are queued:
alert with shell-command every minutes minutes
When requests requests are queued:
write to user-name every minutes minutes
When requests requests are queued:
mail to user-name every minutes minutes
No alert
minutes (-W minutes) が 0 の場合、句「every minutes minutes」の代わりに「once」となります。
アクティブ・アラートの終了
-A quiet フラグを使用して、 現在の条件のメッセージを停止します。 管理者はこのフラグを使用して、 既知の問題に関するメッセージの受信を一時的に停止できます。 いったん用紙が取り付けられた後アン取り付けられると、 印刷要求数がしきい値 requests に達したときにメッセージが再び送信されます。
アラート定義の除去
-A none フラグが使用されると、 別の AlertType と共に -A フラグが再び指定されるまで、 メッセージは送信されません。 このフラグを使用して、 どの用紙の既存のアラート定義が除去されても、 メッセージの送信を永久的に停止することができます。