最適化待ち時間モード
待ち時間要件の厳しいワークロードを処理するために、QDIO モードの OSA-Express®3 以降の機構のパフォーマンスを向上させる 1 つの方法は、最適化待ち時間モードで作動するように OSA-Express 機能を構成することです。最適化待ち時間モードは、インバウンド・データとアウトバウンド・データの両方に対する割り込み処理を最適化します。それにより、特に、大量の対話式で非ストリーミングのワークロードに対する待ち時間が減少し、スループットを大幅に向上させることができます。
最適化待ち時間モードで動作するように OSA-Express3 以降の機能を構成するには、OLM パラメーターを指定して INTERFACE ステートメントを使用します。最適化待ち時間モードは、インバウンドおよびアウトバウンドの両方の割り込みに影響するため、INBPERF パラメーターによって設定された他のインバウンド・パフォーマンス設定より優先されます。 最適化待ち時間モード、および IPAQENET と IPAQENET6 の INTERFACE ステートメントの OLM パラメーターおよび INBPERF パラメーターについて詳しくは、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」を参照してください。
最適化待ち時間モードの作動特性により、他に 2 つの構成変更が必要な場合があります。
- 最適化待ち時間モードの利点をアウトバウンド・トラフィックで得るためには、GLOBALCONFIG ステートメントで WLMPRIORITYQ パラメーターを使用するか、またはポリシー・エージェントを使用して SetSubnetPrioTosMask ステートメントでポリシーを構成して、トラフィックを優先キュー 1、2、または 3 へ送信します。
OSA-Express 機構は複数のアウトバウンドの書き込み優先キューをサポートしていますが、アウトバウンドの最適化待ち時間モードは、優先キュー 1 (優先レベル 1) のトラフィックに対してのみ実行されます。TCP/IP スタックは、優先キュー 1、2、および 3 へ送信されるすべてのトラフィックを、最適化待ち時間モードで動作している OSA-Express3 以降の機構用の優先キュー 1 に結合します。
GLOBALCONFIG ステートメントで WLMPRIORITYQ パラメーターを使用したり、SetSubnetPrioTosMask ステートメントを使用したりしてアウトバウンドの OSA-Express 優先キューにトラフィックを誘導する方法について詳しくは、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」を参照してください。
ガイドライン: サブパラメーターなしで WLMPRIORITYQ パラメーターを構成します。それにより、サービス・クラス重要度レベルのデフォルト・マッピングを OSA-Express アウトバウンド優先キューに割り当てます。このデフォルト・マッピングは、優先順位が上位のサービス・クラス重要度レベル 1 から 4 に割り当てられたトラフィックを最適化待ち時間モードで動作するキューに送信し、適切なタイプのトラフィックが最適化待ち時間モードの利点を得られるようにします。結果: WLMPRIORITYQ ステートメントと SetSubnetPrioTosMask ステートメントが指定されない場合、Type of Service (ToS) バイトの最初の 3 ビットが 000 または 001 であるパケットはキュー 4 に送信され、最適化待ち時間モードの利点は得られません。 - 最適化待ち時間モードで動作している 1 つまたは複数のネットワーク・インターフェースで最適な待ち時間を実現するには、同時に OSA-Express3 以降の機構を共有できるネットワーク・インターフェースの数を制限してください。
少なくとも 1 つのネットワーク・インターフェースが最適化待ち時間モードで動作している場合には、必ず OSA-Express3 以降のポートを共有する並行のネットワーク・インターフェースを 4 つ以内とし、OSA-Express3 以降のチャネル・パス ID (CHPID) を共有する並行のネットワーク・インターフェースを 8 つ以内とします。 以下の構成では、複数のユーザーが OSA-Express3 以降の機構を共有することができます。
- OSA-Express3 以降の機構を共有する複数の LPAR
- OSA-Express3 以降の機構を共有する同じ LPAR 上の複数のスタック
- OSA-Express3 以降の機構への複数の VLAN インターフェース
- OSA-Express3 以降の機構への IPv4 および IPv6 のアクティブ・インターフェース
- OSA-Express3 以降の機構用の OSA-Express ネットワーク・トラフィック・アナライザー (OSAENTA) を有効にする TCP/IP スタック
最適化待ち時間モードは、大量で対話式のワークロードを対象としています。最適化待ち時間モードによって、多少の混合ワークロードは補正できますが、バルク・データやファイル転送など、過剰な高ボリューム量のストリーミング・ワークロードにより、プロセッサー使用量が増える可能性があります。
- 最適化待ち時間モードは、IBM® System z10® 以降のサーバーで実行する、QDIO モードの OSA-Express3 以降のイーサネット機構に制限されます。 詳しくは、2097DEVICE Preventive Service Planning (PSP) バケットを参照してください。
- 最適化待ち時間モードで作動するように構成された OSA-Express3 以降の機構へのインバウンド・トラフィックまたは転送トラフィックは、HiperSockets™ アクセラレーターおよび QDIO アクセラレーターによって提供される、加速ルーティングの対象にはなりません。
- 最適化待ち時間モードで作動するように構成された OSA-Express3 以降のインターフェースの場合、スタックは構成された INBPERF 設定を無視して、値 DYNAMIC を使用します。