生成AIとは
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プラス記号とマイナス記号で生成AIを描いたイラスト

公開日:2024年3月22日
寄稿者:Cole Stryker氏、Mark Scapicchio

生成AIとは

ジェネレーティブAIとも呼ばれる生成AIは、ユーザーのプロンプトやリクエストに応じてテキスト、画像、動画、音声、ソフトウェアコードなどのオリジナル・コンテンツを作成できる人工知能(AI)です。

生成AIは、ディープラーニングモデルと呼ばれる高度な機械学習モデル(人間の脳の学習プロセスと意思決定プロセスをシミュレートするアルゴリズム)に依存しています。これらのモデルは膨大な量のデータに内在するパターンや関係を識別してエンコードし、その情報を使用してユーザーの自然言語によるリクエストや質問を理解し、新しく適切なコンテンツを作成します。

過去10年にわたり、AIはテクノロジー業界で注目を集めてきましたが、生成AI、特に2022年のChatGPTの登場により、世界中のメディアに大きく取り上げられるとともに、AIを活用したイノベーションが続々と登場し、AI導入も急増し始めました。生成AIは個人や組織の生産性向上に多大なメリットをもたらす一方で、現実世界に大きな課題やリスクももたらしています。そんななか、企業はAIを活用した社内ワークフローの改善と、製品やサービスの充実を目指して、模索しつつAI利用を推進しています。 経営コンサルティング会社、McKinseyの調査によると、1つ以上のビジネス機能で生成AIを定期的に使用している組織は全体の3分の1に上ります¹。 業界分析を手がけるGartner社は、2026年までに生成AIアプリケーションを導入するか生成AI アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を業種・業務利用している組織は全体の80%を超えると予測しています2

 

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生成AIの仕組み

一般に、生成AIは以下の3つのフェーズで動作します。

  • トレーニング:複数の生成AIアプリケーションのベースとなる基盤モデルを作成します。

  • チューニング:特定の生成AIアプリケーションに合わせて基盤モデルを調整します。

  • 生成評価、再調整生成AIアプリケーションの出力を評価し、品質と精度を継続的に改善します。
学習

生成AIの始点となる基盤モデルは、複数の異なる種類の生成AIアプリケーションの基盤となるディープラーニング・モデルです。 今日最も一般的な基盤モデルはテキスト生成アプリケーション用の大規模言語モデル(LLM)ですが、画像生成、動画生成、音声および音楽生成用の基盤モデルや、複数の種類のコンテンツ生成に対応するマルチモーダル基盤モデルなども使用されています。

基盤モデルを作成するためには、構造化がされておらずラベルなしの大量の未加工データ(インターネットなどの巨大なデータ・ソースから収集したテラバイト単位のデータなど)でディープラーニング・アルゴリズムのトレーニングを行います。トレーニング中、アルゴリズムは文章内の単語、画像内の要素、コード内のコマンドなどを予測する「穴埋め」演習の実行と評価を何百万回も繰り返して、シーケンス内の要素を予測し、予測と実際のデータ(「正しい」結果)の差を最小化するために自己修正を続けます。

このトレーニングにより得られるパラメーターニューラル・ネットワーク(データ内のエンティティ、パターン、関係がデータ内にエンコードされた表現)により、入力内容やプロンプトに応答して、コンテンツを自律的に生成できるようになります。

このトレーニング・プロセスは計算量が多く、時間と費用もかかります。何千もの画像処理装置(GPU)クラスタを使用して、数週間かけて処理する必要があり、トータルで数百万米ドルの費用がかかります。 生成AI開発者は、MetaのLlama-2などのオープンソース基盤モデル・プロジェクトによってこうした手順と費用コストを回避することができます。

チューニング

基盤モデルはジェネラリストに例えられます。さまざまな種類のコンテンツについて多くの知識を持っていますが、ほとんどの場合、特定の種類の出力を、求められる精度や忠実度では生成できません。これを実現するには、モデルを特定のコンテンツ生成タスクに合わせて調整する必要があります。 これは、さまざまな方法で行うことができます。

ファイン・チューニング

微調整では、コンテンツ生成アプリケーション固有のラベル付きデータ(アプリケーションが受け取る可能性のある質問やプロンプトや、適切な形式で入力に対応した正しい回答)のモデルへの入力などを行います。 例えば、カスタマー・サービス用チャットボットの作成では、開発チームはまずラベル付きでカスタマー・サービス用の質問と正解などを記載したドキュメントを何百何千と作成し、作成したドキュメントをモデルに入力します。

微調整には多大な労力がかかります。 開発者は多くの場合、データのラベル付けに従事する多数の従業員を抱える企業にタスクをアウトソースします。

人間のフィードバックからの強化学習(RLHF)

RLHFでは、 生成されたコンテンツに対して人間のユーザーが評価を返します。モデルはその評価を使用してモデルを更新し、回答の精度や関連性を高めます。多くの場合、同じプロンプトに対するさまざまな出力を人間のユーザーが「採点」します。 一方、人間のユーザーが入力または音声入力で、チャットボットやバーチャル・アシスタントの出力を修正するのみの単純なプロセスの場合もあります。

生成、評価、さらなるチューニング

開発者とユーザーは、生成AIアプリの出力を継続的に評価し、たとえ週に1度程度でも、モデルをさらに調整して精度や関連性を高めます(対照的に基盤モデル自体の更新頻度ははるかに低く、おそらく 1年ごと、または1年半ごとです)。

生成AIアプリのパフォーマンスを改善するもう一つの方法は、検索拡張生成(RAG)です。RAGは、基盤モデルを拡張するためのフレームワークです。学習データ以外の関連ソースを使用して、元のモデルのパラメーターや表現を補足および改良するために使用されます。 RAGにより、生成AIアプリが常に最新の情報にアクセスできるようになります。さらに、ユーザーがRAG経由でアクセスする追加ソースは、元の基盤モデルの情報とは異なる高い透明性を持っています。

 

生成AIモデルのアーキテクチャーとその進化

真の生成AIモデル、つまりコンテンツを自律的に作成できるディープラーニング・モデルは、ここ10年ほどで進化してきました。 以下はその間のマイルストーンとなるモデルアーキテクチャーの一部です。

  • 変分オートエンコーダー(VAE)は、画像認識、自然言語処理、異常検知に画期的な進歩をもたらしました。

  • 敵対的生成ネットワーク (GAN)拡散モデルにより、アプリケーションの精度が向上し、写真のようにリアルな画像生成に向けたAIソリューションの一部が初めて実現しました。

  • Transformerは、今日の主要な基盤モデルと生成AIソリューションを支えるディープラーニング・モデル・アーキテクチャーです。

変分オートエンコーダー(VAE)

オートエンコーダーは、連結した2つのニューラル・ネットワークで構成されるディープラーニング・モデルです。1つはラベルなしで構造化がされていない大量のトレーニング・データをエンコード(または圧縮)し、もう1つはそうしたパラメーターをデコードして、コンテンツを再構築します。オートエンコーダーは、技術的には新しいコンテンツを生成できますが、高品質のコンテンツを生成するよりも、保存用または転送用にデータを圧縮したり、それらを使用するために解凍したりする場合に適しています。

2013年に開発された変分オートエンコーダ(VAE)は、オートエンコーダのようにデータをエンコードできますが、コンテンツの新しいバリエーションを複数デコードすることもできます。特定の目標に沿ったバリエーションを生成するようVAEをトレーニングすることで、時間の経過とともにコンテンツの精度と忠実度を高められます。 初期のVAEアプリケーションには、異常検知(医用画像解析など)や自然言語生成の機能が含まれていました。

敵対的生成ネットワーク(GAN)

2014年に開発されたGANも、2つのニューラル・ネットワークで構成されています。1つは新しいコンテンツを生成する生成ネットワークで、もう1つは生成されたデータの精度と品質を評価する識別ネットワークです。この2つの敵対的アルゴリズムにより、 モデルが生成する出力の品質がさらに高まります。

GANは、通常画像と動画の生成に使用されますが、高品質でリアルなコンテンツをさまざまな分野で生成でき、スタイル変換(画像のスタイルを、例えば写真から鉛筆スケッチなどに変換する)やデータ拡張(トレーニング用データ・セットのサイズやバラエティを増やすために新しい合成データを作成する)などのタスクに特に効果的であることが実証されています。

拡散モデル

同年2014年に開発された拡散モデルは、まずトレーニング用データをランダム化して識別不能にするためにデータにノイズを追加します。次に、アルゴリズムをトレーニングして、アルゴリズムでノイズを繰り返し拡散させて、目的の出力を得られるようにします。

拡散モデルはVAEやGANに比べてトレーニングに時間がかかりますが、特に高品質の画像生成ツール用のよりきめ細やかな出力の制御が可能です。OpenAIの画像生成ツールであるDALL-Eは、拡散モデルを活用しています。

Transformer

Transformerは、Ashish Vaswani氏らが2017年に発表した論文で初めて登場しました。エンコーダー/デコーダーのパラダイムを進化させることで、基盤モデルのトレーニング方法や作成可能なコンテンツの品質と範囲を大きく進歩させるものです。こうしたモデルは、ChatGPT、GPT-4、Copilot、BERT、Bard、Midjourneyを始めとして、今日メディアで大きな注目を浴びるほとんどの生成AIツールの中核となっています。

Transformerでは、Attentionと呼ばれる概念(シーケンス内で最も重要なデータを判断し、それに注意を向ける)を使用して、

  • シーケンス・データ全体(例えば個々の単語ではなく文章全体)を同時に処理します。
     

  • シーケンス内のデータのコンテキストをキャプチャする

  • トレーニング用データを、エンベディング(データとそのコンテキストのこと、ハイパーパラメーターとも)にエンコードします。

Transformerはトレーニングを高速化するだけでなく、自然言語処理 (NLP) と自然言語理解(NLU)にも優れており、質問への回答だけでなく、詩、記事、論文などの長いデータ・シーケンスを生成できます。さらに、生成されたコンテンツは他の深層生成AIモデルと比較して、精度と品質の面で優れています。また、トレーニングまたはチューニングにより、Transformerモデルでスプレッドシート・アプリケーション、HTML、ドローイング・プログラムなどのツールを使用して、コンテンツを特定のフォーマットで出力できるようになります。

生成AIが作成するもの

生成AIで多くの分野にわたるさまざまな種類のコンテンツを作成できます。

テキスト

生成モデル特にTransformerの場合、説明書、各種文書、パンフレット、Eメール、Webサイト用の文章、ブログ、記事、レポート、論文、さらには文学作品に至るまで、一貫性を保ち、文脈に即したあらゆるテキストを生成できます。文書の要約やWebページのメタ・ディスクリプションの下書きを作成させるなど、繰り返し発生するまたは退屈な執筆タスクを任せることで、浮いた時間を創造的かつ価値の高い仕事に費やすことができます。

画像と動画

DALL-E、Midjourney、Stable Diffusionなどの画像生成AIでは、リアルな画像やオリジナル・アートを作成できます。また、スタイル変換や画像変換などの画像編集タスクや画像補正タスクも実行できます。新興生成AI動画ツールでは、テキストのプロンプトからアニメーションを作成し、既存の動画に他の方法よりも迅速にかつ高いコスト効率で特殊効果を適用できます。

音、声、音楽

生成モデルは、音声対応AIチャットボット、バーチャル・アシスタント、オーディオブックの読み上げ機能、その他さまざまなアプリケーション用に、自然な人の声や音声コンテンツを合成できます。 同じテクノロジーにより、プロの作曲家の構造やサウンドを模倣して、オリジナル楽曲を生成できます。

ソフトウェア・コード

生成AIで、オリジナル・コードの生成、コード・スニペットのオートコンプリート、プログラミング言語の翻訳、コード機能の要約作成を行えます。 これにより、開発者はアプリケーションのプロトタイプ作成、リファクタリング、デバッグを迅速に行う一方で、コーディング・タスク用に自然言語インターフェイスを提供できます。

デザインとアート

生成AIモデルで、ユニークな芸術作品やデザインの生成と、グラフィック・デザインの作成支援が可能です。 応用例には、環境、キャラクター、アバターの動的な生成や、仮想シミュレーションやビデオ・ゲーム用の特殊効果などが挙げられます。

シミュレーションと合成データ

トレーニングにより、生成AIモデルでリアルデータまたは合成データを元に合成データや合成ストラクチャーを生成できます。例えば、生成AIを創薬に応用して望ましい特性を持つ分子構造を生成し、新たな医薬品の設計に活用できます。

生成AIのメリット

最も重要かつ明らかな生成AIのメリットは、効率性が大幅に高まることです。コンテンツと回答をオンデマンドで生成できる生成AIには、労働集約的なタスクの迅速化または自動化やコスト削減につながるとともに、従業員にとってはより価値の高い仕事に取り組む時間の確保につながる可能性があります。

しかし、個人や組織にとっての生成AIのメリットはそれだけではありません。

創造性の向上

生成AIツールでブレインストーミングを自動化して複数のコンテンツ・バージョンを新たに生成することで、創造性を刺激できます。作家、アーティスト、デザイナーなどさまざまなクリエイターは、創造活動における停滞を抜けだすためにこうしたバリエーションを創造のきっかけや参考資料として活用できます。

意思決定の改善(とスピードアップ)

生成AIは大規模なデータ・セットの分析、パターンの特定、価値あるインサイトの抽出に威力を発揮します。さらに、抽出したインサイトを元に仮説や推奨事項を生成して、組織の経営陣、アナリスト、研究者などの専門家がデータ駆動型の賢明な意思決定を行えるよう支援します。

ダイナミックパーソナライゼーション

レコメンデーション・システムやコンテンツ作成などの機能を持つアプリケーションでは、生成AIがユーザーの好みや履歴を分析してパーソナライズされたコンテンツをリアルタイムで生成することで、ユーザーのニーズに合った魅力的なユーザー・エクスペリエンスを実現します。

常時可用性

疲労することなく継続的に稼働できる生成AIは、カスタマー・サポート用チャットボットや、自動応答などのタスクに24時間体制で対応できます。

生成AIのユースケース

企業向けの生成AIユースケースを以下にいくつかご紹介します。テクノロジーが発展し、こうしたツールが組織のワークフローに組み込まれるようになることで、さらに多くのツールが登場することが予想されます。

カスタマー・エクスペリエンス

マーケティング部門では、生成AIにブログ、Web ページ、各種資料、Eメールを始めとしたさまざまな用途の文章を下書きさせることで、時間を節約し、コンテンツ制作を強化できます。 また、生成AIソリューションで、広告配信のタイミング、対象地域、ターゲット・オーディエンスに基づいて高度にパーソナライズしたマーケティング用コピーやビジュアルをリアルタイムで作成できます。さらに、応答をパーソナライズして提供し、お客様に変わって自律的にアクションを行うできる次世代チャットボットやバーチャル・アシスタントの基盤ともなっています。トレーニング・データもタスクも現在と比べて限られていた一世代前の対話型AIモデルとは比べものにならない大幅な進歩です。

ソフトウェア開発とアプリケーションのモダナイゼーション

コード生成ツールを使用して、新しいコードを記述するプロセスを自動化し、高速化できます。 また、コード生成により、レガシー・アプリケーションをハイブリッドクラウド環境向けにモダナイズする場合に必要な反復コーディング作業の大部分を自動化することで、アプリケーションのモダナイゼーションを劇的に加速する可能性もあります。

デジタルレイバー

生成AIは契約書や請求書のなど、デジタルまたは物理的な書類の作成や修正をすばやく行えるため、生成AIを使用または管理する従業員は、よりレベルの高いタスクに集中して取り組めます。そのため、人事、法務、調達、財務など、ほぼすべての領域で、ワークフローを高速化できます。

科学、工学、研究

生成AIモデルは、科学者やエンジニアが複雑な問題を解決する新たなソリューションを提案するのに役立ちます。 例えば、医療分野では、生成モデルを医用画像の合成に応用することで、医用画像システムのトレーニングやテストに活用できます。

課題、限界、リスク

生成AIは、比較的短期間で目覚ましい進歩を遂げましたが、依然として開発者、ユーザー、一般の人々にとっては大きな課題やリスクをもたらしています。以下は、特に深刻な問題の一部とその対処方法です。

「ハルシネーション」などの不正確な出力

AIハルシネーションとは、ばかげているまたは正確さを欠いているにもかかわらず、非常に多くの場合もっともらしく見える生成AIの出力のことです。よく知られている例として、ある弁護士が注目度の高い訴訟に向けて、生成AIツールを使用して調査を行った際の話が挙げられます。そのツールは複数の事例を引用や出典付きで「生成」しましたが、この事例は完全に架空のものでした(ibm.comの外部サイトにリンク)。

専門家のなかには、ハルシネーションを、モデルの精度とクリエイティブな機能のバランスを取った結果生じた避けられない結果であると考える人もいます。 ただし、ガードレールと呼ばれる予防策を実装することで、モデルのデータソースを関連性や信頼性の高いもののみに限ることも可能です。 また、継続的な評価とチューニングも、ハルシネーションを防ぎ、精度を高めるために効果的です。

一貫性のない出力

生成AIモデルは変分的また確率的性質を持っているため、入力が同じでも出力はわずかにまたは大幅に異なることがあります。 カスタマー・サービス用チャットボットなど、出力の一貫性が求められるような特定のユースケースでは、これはおそらく望ましくありません。プロンプトを繰り返し改良したり組み合わせたりするプロンプト・エンジニアリングによって、生成AIから望ましい結果を一貫して得られるプロンプトに到達できます。

バイアス

生成モデルは、学習データ、モデルの調整に使用されるラベル付きデータや外部のデータ・ソース、モデルの調整に関わる人間の評価者から社会的バイアスを学習するため、生成されたコンテンツに偏りがあったり、不公平または不快であったりすることがあります。 モデルの出力を公平なものにするには、多様なトレーニング用データを使用し、ガイドラインを確立してトレーニングやチューニング中にバイアスが生じないようにするとともに、モデルの出力の精度と偏りを継続的に評価する必要があります。

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説明可能性とメトリクスの欠如

生成AIモデルの多くは、意思決定プロセスを理解するのが難しいまたは不可能な恐れのある「ブラックボックス」モデルです。基礎となるアルゴリズムを設計するエンジニアやデータサイエンティストでさえ、内部で起こっていることや、特定の結果が出力される理由やプロセスを正確に理解または説明できます。説明可能なAIの実践やそのテクニックは、生成モデルのプロセスや出力に関する実務担当者やユーザーの理解と信頼を高めるうえで役立ちます。

また、生成されたコンテンツの品質の評価や比較が難しい場合もあります。従来の評価メトリクスでは、創造性、一貫性、関連性などの微妙な側面を捉えられない場合があります。 安定性と信頼性の高い生成AIの評価方法の作成については、依然として盛んに研究が行われています。

セキュリティ、プライバシー、知的財産に対する脅威

生成AIモデルを悪用して説得力のあるフィッシングメールや偽のアイデンティティなどの不正なコンテンツを生成してユーザーをだまし、セキュリティデータ・プライバシーを侵害につながる行動をとらせることができます。 開発者やユーザーは、自身の知的財産(IP)や自身以外の組織がIPとして保護している情報を公開しないよう、チューニング中またはプロンプトの一部としてモデルに入力するデータに注意する必要があります。また、自身のIPを公開したり、他者のIP保護を侵害したりする新しいコンテンツがないか、出力を監視する必要があります。

ディープフェイク

ディープフェイクとは、虚偽の発言や行動を本当のことのように人々に信じこませるために、AIを使って生成または処理した画像、動画、音声です。これらは、生成AIの力が悪意を持つユーザーに利用されたらどうなるかを示す、特に恐ろしい例です。

評価を損ねたり誤った情報を広めたりするために作成されるディープフェイクはほとんどの人によく知られています。 最近のサイバー犯罪者は、サイバー攻撃(ボイス・フィッシング詐欺の偽音声など)や金融詐欺の手口にディープフェイクを導入しています。

研究者は、ディープフェイクを検出する精度の高いAIモデルの開発に熱心に取り組んでいます。 こうしたモデルが開発されるまでの間は、ユーザーの教育やベストプラクティス(未検証または精査されておらず、異論のある素材を共有しないなど)は、ディープフェイクが及ぼす被害を抑えるのに役立ちます。

生成AIの歴史

「生成AI」という言葉は2020年代に一気に広まりましたが、生成AI自体は何十年も前からわたしたちの日常生活に活用されてきました。今日の生成AI技術は、20世紀初頭までさかのぼる機械学習のブレークスルーを土台にしたものです。 生成AIの歴史をざっとふりかえるなかで、重要な日付を以下にご紹介します。

  • 1964年:MITのコンピュータ科学者、Joseph Weizenbaum氏が、テキストベースの自然言語処理アプリケーション、ELIZAを開発しました。ELIZAは基本的に初のチャットボット(当時は「chatterbot(チャターボット)」)であり、パターンマッチング・スクリプトを使用して、キーボードで入力された自然言語による入力に対してテキストで共感的な応答を返しました。
     

  • 1999年: NVIDIAが、初めての画像処理装置(GPU)であるGeoForceを出荷しました。 もともとビデオゲーム向けにスムーズなモーション・グラフィックスを提供することを目的として開発されたGPUは、AIモデルの開発や暗号通貨のマイニングのためのデファクト・プラットフォームとなりました。

  • 2004年:Googleオートコンプリートの初登場により、ユーザーが検索キーワードを入力すると、次の単語やフレーズの候補が表示されるようになりました。比較的最近の生成AIの例は、1906年に考案された数学的モデルであるマルコフ連鎖に基づいています。

  • 2013年: 初の変分オートエンコーダー(VAE)が登場しました。

  • 2014年:初の敵対的生成ネットワーク(GAN)と拡散モデルが登場しました。

  • 2017年:Ashish Vaswani氏、Google Brainの担当チーム、トロント大学のグループが、Transformerモデルに関する論文「Attending is All You Need」を発表しました。現在開発されている最も優れた基盤モデルと生成AIツールはこの原理に基づいています。
     

  • 2019〜2020年:OpenAIが、GPT(Generative Pretrained Transformer)の大規模言語モデル、GPT-2とGPT-3を発表しました。

  • 2022年:OpenAIはGPT-3のフロントエンドであるChatGPTを発表しました。GPT-3は、エンドユーザーのプロンプトに応じて、一貫性を保ちつつ複雑な、文脈に即した文章や長文コンテンツを生成します。

ChatGPTの知名度と人気が高まったことで、GoogleのBard(現在のGemini)、MicrosoftのCopilot、IBMのwatsonx.ai、Metaのオープンソースの大規模言語モデル、Llama-2など、堰を切ったように生成AIの開発や製品リリースが相次ぎました。

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脚注

1 The state of AI in 2023: Generative AI’s breakout year(ibm.comの外部サイトにリンク)McKinsey、2023年8月1日

2Gartner社によると、企業の80%以上が2026年までに生成AI APIを使用するか、生成AI対応アプリケーションを導入すると回答(ibm.comの外部サイトにリンク)。Gartner、2023年10月11日