概要

電子データ交換(EDI)とは、企業間におけるビジネス文書の標準形式での交換のことです。EDIの簡単な定義は、注文書または請求書のような紙ベースの文書に置き換わる標準の電子形式です。紙ベースのトランザクションの自動化により、組織は時間を節約でき、手動処理によって生じる、修正するのにコストがかかるエラーをなくすことができます。

EDIトランザクションでは、情報は、ある組織のコンピューター・アプリケーションから別の組織のコンピューター・アプリケーションに直接移動します。EDI標準は情報の場所と順序を文書形式で定義します。数時間から数日間、数週間を要する紙文書やその他の方法の代わりに、この自動化機能を使用してデータを迅速に共有できます。

現在、企業ではEDI統合を使用して、発注書から請求書、見積依頼書、融資申込みに至るまでの、さまざまなタイプの文書を共有しています。大半の場合、こうした組織はサプライチェーンと企業間(B2B)ネットワークの一環として商品やサービスを頻繁にやりとりする取引相手です。


仕組み

EDIのトランザクションはすべてEDIメッセージ標準によって定義されます。データ品質に適切なガバナンス・プロセスを備えることが不可欠です。情報が不足していたり、誤った場所に記載されていたりすると、EDI文書が正しく処理されません。

標準は、EDIにおけるやりとり の基礎となるものです¹ 。ODETTE、TRADACOMS、GS1、Peppol(英語)、Accredited Standards Committee X12(ASC X12)など、複数の組織がEDIメッセージ標準を定義しています。

一般に、EDIの伝送は、次の2つの基本的なタイプに分類できます。

  • Point-to-Pointまたは直接接続:この場合、2台のコンピューターまたはシステムが、インターネットを経由せずに接続されています。通常はセキュア・プロトコルを使用します。
  • 付加価値通信網(VAN):この場合、データ伝送はサード・パーティー・ネットワークで管理され、通常はメール・ボックスというパラダイムが使用されます。

EDIインターネット伝送プロトコルには、Secure File Transfer Protocol(SFTP)(英語)、Applicability Statement 2(AS2)、HTTPSベースのプロトコル、Simple Object Access Protocol(SOAP)などがあります。

EDIデータ・エレメントには、送信側IDや受信側IDなどの項目が含まれます。各データ・セグメントでは、複数の関連するエレメントを結合してより包括的な意味を持たせることができます。例えば、FNAMEとLNAMEを結合してCUSTOMERNAMEとするなどです。エンベロープは、さまざまなタイプのデータを構造化し、送信側と受信側のアドレス情報を伝送します。EDIの文書フローまたはメッセージ・フローでは、ビジネス・プロセスまたはトランザクションを実行するための各種のインバウンドとアウトバウンドのアドレスや部門へのEDIメッセージの移動を記述します²。

Extensible Markup Language(XML)やJavaScript Object Notation(JSON)などのメタ言語は、EDIに取って代わるものではなく、EDIを補完するものです。文書の形式や伝送の手段は増え続けていて、企業はこれに対応しなければなりません。グローバルな製造メーカーの場合、日常的に2,000社近くの取引先と約55種類の文書タイプを交換しています。

 


メリット

EDIトランザクションは、B2Bプロセスにとって不可欠であり、小規模から大規模までの企業間で文書とトランザクションを交換するための優先手段であり続けます。

EDIテクノロジーは自動化とB2B統合を通じて、次のような5つの主要なビジネス上のメリットを提供します。

大規模な組織では、EDIで取引先全体に対する標準を導入することで、皆が一様に利益を得ることができます。小規模な組織では、EDIを順守することで多額の予算を持ち、影響力の大きな大企業との統合を促進できます。


実装

企業によっては、EDIを実装するのが困難な場合があります。その理由の1つとして、次々に変わる政府の規制、標準、更新に対応しなければならないことが挙げられます。また、EDIは本質的に複雑です。これは、グローバルなビジネス・ニーズの複雑さに対応する必要があるためです。例えば、B2Bネットワークの取引先ごとに個別の要件が存在する場合があります。取引先2社で使用するEDI文書について合意を得られても、サポートする必要のある書式の要件がそれぞれ異なる場合があります。こうした要因から多くの組織がEDIソリューションをアウトソーシングしています。

社内で対応する場合でもアウトソーシングする場合でも、EDIを効果的に実装するためにはいくつかの基本的な条件、機能、リソースが必要になります。文書タイプ、安全な伝送方式、必須のハードウェアとソフトウェアに関する合意のような要因に加えて、効果的なEDI実装では以下を検討する必要があります。

変換またはマッピングのソフトウェア
このタイプの変換ソフトウェアは、氏名、住所、貨幣額、部品番号、数量などのフィールドを取り込み、それらをビジネス・アプリケーション・フォーマットから標準化された文書にマップします。その逆も同様です。

エンベロープまたはエンベロープ解除のバッチ機能
これらの機能は、送信側と受信側によるトランザクションのラップとアンラップを可能にすることで、大量のEDIメッセージのバッチ処理をサポートします。その後、これらのトランザクションを取引先企業の複数の部門や領域にグループ化したり、そこから分離したりできます。

メッセージ・ルーティング・メカニズム
メッセージがエンベロープ解除された後、メッセージをさまざまなグループ向けにソートして、適切な宛先に配信するために、ルーティング・メカニズムが必要です。メッセージを宛先に合わせた正しい形式にするために、メッセージ変換が必要になることもあります。

取引先契約(TPA)
TPAは、取引先間で取引条件を明確にして、ビジネス文書の標準を設定し、通信とビジネス・プロトコルを定義します。

 


展望

このようなケースを考えてみましょう。積荷の破損に関連するチャージバックが、EDI 214文書のTransportation Carrier Shipment Status Messageを使用してトリガーされているとします。積荷の資材は使い物にならず、売り物にもなりません。今日であれば、チャージバックに関わる紛争が起こる可能性があります。

しかし、将来のサプライチェーン(英語)では、EDIが、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーン、人工知能(AI)などのイノベーションを支える中核的な文書交換機能となります³。未来のEDIでは以下が使用されます。

  • IoTセンサー:積荷の梱包材に組み込まれ、周期的なEDI 214メッセージに結合されて、荷物の状況をほぼリアルタイムに把握できます。
  • ブロックチェーン・テクノロジー:配送に関する基礎的なEDI情報フローにより、一元管理された一貫性のあるデータを共有でき、チャージバックに関する紛争の素早い解決や回避が可能になります。
  • AIエージェント:配送に関連するイベントや情報をすべて監視して、非準拠のイベントの特定、 再配送が必要かどうかの判別、最も効率的な交換品調達元の分析を行い、新たな配送と承認済み返品を開始します。

 


お客様事例

Coastal Pacific社

350万のEDIトランザクションをIBM B2B Integratorにシームレスに移行しました。手作業による管理を削減することで、EDIにかかわる人員が4倍に増加するのを回避できました。

Greenworks Tools社

EDIを顧客サービスが担当するようにして、注文状況に関する迅速な洞察をビジネス・ユーザーとスタッフに提供することで、ITコストを40%削減しました。

MISUMI USA社

FAX、電話、e-メール・ベースのファイルをEDI形式のファイルに変換することによって、EDIを使用しない顧客からの注文の入力を加速しました。

Saint-Gobain社

 Saint-Gobain社は、手動のプロセスに対してEDIを使用することで、ライン・オーダー当たりのコストを92%削減し、毎日24時間文書を受信できるようになりました。

参考資料

EDIの未来:IBMの視点

私たちが知っている世界はEDIでつながり、EDIに依存していますが、世界は変化しており、EDIの未来も同様です。B2Bネットワークをどのように最新化できるのかをご覧ください。

B2Bアーキテクチャーをモダナイズするための7つの主要な推進要因

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紙ベースのトランザクションを自動化する簡単な方法

多くの企業は、FAX、e-メール、またはPDFの形で、注文、入札、請求を受け取り続けています。完全に自動化されていない小規模なパートナーとのビジネスには大きな影響があります。

サプライチェーンが変化する5つの方法

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B2B統合

重要なビジネス・プロセスの自動化と最適化が、顧客やサプライヤーとの連携と取引をさらに効果的にするためにどのように役立つのかを説明します。

B2Bネットワークでの接続と連携

ネットワークがスムーズになり、オンプレミス、ハイブリッドクラウド、クラウドベースのいずれの環境でも、B2Bの接続、連携、ビジネスの意思決定を簡略化します。

脚注