新しいQiskit v2.X開発者認定でスキルを証明してみませんか

量子コンピューター

新しい Qiskit developer certification(開発者認定)は、あなたが最新バージョンの Qiskitを使って重要な量子計算タスクを実行する能力を有していることを評価します。


 

2025年初めにQiskit SDK v2.Xがリリースされた今、最新の量子ソフトウェア・スタックを反映するように開発者認定を更新するべき時期となりました。それが、IBMが新しい Qiskit v2.X developer certificationを導入する理由です。

更新されたv2.X認定は、量子コンピューティングのキャリアを始めようとしている初心者の Qiskitユーザーにも、Qiskitの習熟度を証明するのに量子資格を強化したいと考えている経験豊富なユーザーにとっても貴重なツールです。この認定資格は、量子計算の理解と最新バージョンの Qiskitを使いこなす能力をテストする単一の試験で構成されています。合格者は、IBM Certified Quantum Computation using Qiskit v2.X Developer - Associate資格と、Credlyが発行する、量子計算科学に Qiskitを使用する際のスキル、知識、能力を証明するデジタル・バッジを取得できます。

2021年以来、Qiskit 開発者認定プログラムは、世界中で1,300人を超えるQiskitユーザーを量子計算科学者として認定してきました。更新されたQiskit v2.X認定は、その称号をさらに多くのコミュニティーに拡大します。新しい認定の詳細については、Qiskit YouTubeチャンネルで新しいビデオを視聴するか、IBM Trainingにアクセスしてください。

注: IBM Trainingは、2025年 9月 30日に古い Qiskit v0.2X 開発者認定を終了します。あなたが以前のバージョンのバッジをすでに取得している 1,300人以上の Qiskitters の 1人であっても、心配する必要はありません。Qiskit開発者認定資格に有効期限はなく、試験が完全に廃止された後も認定資格は保持されます。ただし、v2.Xバッジの達成に向けて取り組み、Qiskitスキルが最新であることを示すことをぜひお勧めします。

開発者認定の価値

新しい Qiskit開発者認定に合格した人は誰でも、IBM認定の量子計算科学者とみなされます。これを取得することは、量子コンピューティングの基本的な概念に関する知識を実証し、Qiskit SDKとQiskit Runtimeを使用してそれらの概念を適用する能力を持つという証明になります。また、Pythonプログラミング言語の Qiskit SDKを使用して、IBM量子コンピューターで量子ワークロードを生成および実行する経験を持っていることも意味します。

このことは、量子計算の分野でキャリアを向上させたいと考えている人にとって、現実的な影響を持ちうる重要な成果です。当社の認定資格は、世界のIT業界全体で広く認知され高く評価されていて、たとえば当社の採用担当者は、Qiskit認定資格はそれを持つ応募者をそうでない人よりも際立たせる優れた資格であると述べています。Qiskit開発者バッジは、履歴書や LinkedInプロフィールに表示する強力な追加項目となり、あなたが直接手を動かして就職活動をしていないときでも、採用担当者の注目を集めるのに役立ちます。

Qiskit v2.X開発者認定資格は、Qiskitコミュニティー内で特別な特典や報酬を獲得するのにも役立ちます。たとえば、新しい認定資格は、最近更新されたQiskit Advocate Programのより高いティアに到達することに関心のある Qiskit advocateにとって必須要件です。Qiskit開発者認定資格が、Qiskit advocateの新しいティア構造を進む上でどのように役立つかについて詳しくは、こちらの最近のブログをお読みください。

試験の準備

Qiskit開発者認定 v2.X試験は非常に厳格であり、すでに Qiskitを毎日使用しているユーザーにとっても、ある程度の準備が必要かもしれません。この試験は68の質問で構成されていて、制限時間 90分で実施されます。受験者は、試験に合格して認定を取得するために、68問のうち少なくとも 47問に正解する必要があります。

この試験はPearson VUE® によって管理されており、世界中で利用できます。たくさんあるPearson VUE® Authorized Test Centersのどこか現地で受けることもできますし、OnVUE テスト・プラットフォームを使用して自宅でテストを受けることもできます。

自宅でのテストには、いくつかの技術的要件とテスト環境要件があることに注意してください。たとえば、Linuxマシンでは試験を受けることができません。またプロキシや VPNを使用すると問題が発生する可能性がいくつかあります。試験登録前にすべてのテスト要件を綿密に確認し、OnVUEプラットフォームを通じて完全なシステム・テストを実施してください。

登録には、受験者の所在地に応じて、1試験ごとに最大 200ドルの費用がかかる場合があります。Pearson VUEを通じて 30ドルの料金でオプションの評価試験を受けることもできます。このオプション評価試験は、実際の認定試験と同じ難易度および長さになるように作成されています。

試験問題は、次の 8つの主要な重点分野に分類されます。

  • 量子演算の実行
  • 量子回路、測定、状態の可視化
  • 量子回路の作成
  • 量子回路の実行
  • Sampler primitive の使用
  • Estimator primitive の使用
  • 量子回路の結果の取得と解析
  • OpenQASM 3 での操作

このリストを見ると難しそうに思えるかもしれませんが、これらの各トピックを習得するために必要なすべてのリソースは、IBM Quantum Learningにそろっています。 Quantum education and learningのグローバル・リードであるOlivia Lanesによる新しいビデオを視聴して、各トピックの準備に役立つIBM Quantum Learningコースの詳細をご覧ください。

また、IBM TrainingのQiskit v2.X開発者認定のページにアクセスし、これらのトピックの詳細な内訳、ダウンロード可能な学習ガイド、および短いサンプル・テストへのリンクをぜひご参照ください。

今から始める将来の量子スキル

2021年に最初のQiskit開発者認定が開始されて以来、71か国の1,300人以上のQiskitterが、試験に合格して量子計算科学者として認定されました。さらに多くの皆さんが新しい Qiskit v2.X 開発者認定の取得を目指していただければ幸いです。

量子コンピューティング技術が進歩し、量子産業が成熟を続けているため、量子人材としてますます多くの皆様がご自分のスキルの検証および認定ができるように、IBMは今回ご紹介したようなリソースを準備することを重要と考えています。

ぜひ、IBM Trainingにアクセスして、新しい Qiskit 開発者認定の詳細を確認し、試験にご登録ください。


この記事は英語版IBM Researchブログ「Boost your quantum credentials with new Qiskit v2.X developer certification」(2025年9月10日公開、Gemma Dawson, Borja Peropadre, Luciano Bello, Robert Davis著)を翻訳し一部更新したものです。

監訳者

沼田 祈史

IBM Quantum, 量子人材開発, Qiskit Advocate 大学での授業、量子コミュニティー、量子プログラミングコンテストなどを中心に量子人材の育成を行う。

立花 隆輝

東京基礎研究所 シニア・テクニカル・スタッフ・メンバー