API Agentのご紹介:エージェント型時代におけるAPIの民主化

2025年5月6日

執筆者

Swetha Sridharan

Senior Product Manager - IBM API Connect

Nazrul Islam

Chief Architect AI, Integration Platform

本日開催のTHINKにおいて、IBM API Connectは新たにAPI Agentを発表しました。これは、API活用の取り組みをより効率的かつ迅速に、そして自信をもって推進するために開発されたものです。

AIはもはや未来の概念ではなく、私たちが何を作るかだけでなく、どのように作るかにも変革をもたらしています。大規模言語モデル(LLM)やAIエージェントの急速な進化は、APIの利用と生成のあり方に地殻変動ともいえる変化を引き起こしています。APIは単にデータへのアクセス手段を提供するものから進化し、開発者、企業、そしてAIエージェントが構築・統合・イノベーションをより簡単かつ迅速に実現できるよう支援する存在となっています。

生産性の新たなモデル

私たちのビジネスとの関わり方は変化しており、この変化を受け入れない企業は取り残されることになるでしょう。今や人々は、Webサイトやモバイル・アプリケーションに直接アクセスするのではなく、AIモデルと対話し、そのAIモデルがユーザーに代わってタスクを実行するAIエージェントを呼び出しています。あなたのAPIがAI対応でなければ、それは存在しないも同然です。成功するためには、ユーザーとAIエージェントがほとんど摩擦なくアイデアを形にできるようなAPIのランドスケープが必要です。

この新たなモデルにおいて、AIはAPIチームの生産性を高め、フロー状態を維持できるよう支援するとともに、APIライフサイクルにおけるルーティン・タスクを自動化します。しかし、エージェント型AIはそれをさらに進化させ、APIを新たに作成するだけでなく、それらをテスト・デプロイするためにIT環境を操作できるエージェントを導入します。

同時に、フライトの予約、荷物の追跡、レンタカーの手配、またはプログラム上で公開しているその他のコア・ビジネス機能を実行するAIエージェントを構築することも可能です。これにより自己強化型のフィードバック・ループが生まれ、結果として変化の加速が促進されます。

加速が課題を増幅させる

エージェント型AIは、私たちの世界との関わり方を変える革新的なテクノロジーですが、その進化のスピードが増すにつれ、APIの乱立、ガバナンス、セキュリティといった課題が一層深刻化しています。こうしたエージェント型時代には、包括的なAPI戦略を持つことが不可欠です。

  • APIの乱立AIのユースケース向けに自動生成されたAPIや、異なる環境でサイロ化して存在するAPIの急増により、運用の複雑性とリスクが高まっています。
  • セキュリティの脆弱性の増加:公開されたすべてのAPIは、強力な認証、認可、脅威対策で保護されていない限り、潜在的な攻撃経路となります。AIエージェントが自律的にAPIを発見し、利用するようになると、APIコールの量が飛躍的に増加し、悪意のある攻撃者を特定することがより困難になります。
  • ガバナンスの必要性意図的なガバナンスがなければ、企業は設計が不十分で使いにくいAPIを抱えるリスクを負うことになります。

開発者は既存のAPIを再利用するのではなく、新たにAPIを作成したくなる誘惑に駆られがちです。これにより、APIの乱立、脆弱性、技術的負債という悪循環が生まれてしまいます。

勝利をもたらすIBM API ConnectのAPI Agent

新たに登場したAPI Agentは、API ConnectプラットフォームのAPIでトレーニングされており、エンタープライズのリソース・カタログへのアクセス権も持っています。これにより、APIエージェントは自社のAPI環境を理解するとともに、API Connectを活用して問題の発生を未然に防ぐ方法も把握しています。このエージェントは、ソフトウェア・エンジニアリング、APIのベスト・プラクティス、API Connectの機能、そして自社のAPI資産に関する知識を活用しながら、自然な英語でのリクエストに応答し、意図を現実へと変えてくれます。

Acme Coffee Roastersが国際配送を拡大し、Just in Timeという物流会社と提携するというシナリオを考えてみましょう。彼らは、Just in Timeに注文の詳細を照会し、配送状況の更新をプッシュ通知してほしいと考えています。Acmeの開発者はAPI Agentに、注文の詳細を取得し配送状況をリアルタイムで更新するAPIの作成を依頼します。

新たなAPIを生成する前に、API Agentは既存のAPI資産をインテリジェントに検索し、適切なAPIがすでに存在するかどうかを確認します。これにより、再利用が促進され、APIの乱立が抑制されます。もし適切なAPIが見つからなければ、エージェントが自動的にAPI仕様を生成します。このエージェントは、コードファーストとデザインファーストの両方のアプローチをサポートしており、チームによってワークフローが異なることを理解しています。APIをまず設計し文書化することを好むチーム(デザインファースト)もいれば、まずバックエンドの機能構築に集中し(コードファースト)、その後に実装済みのコードからAPI仕様を生成してプロトタイピングを加速させたいと考えるチームもあります。

両方のモデルを受け入れることで、API Agentは現実の開発ライフサイクルに適応し、各チームの状況に応じて対応することで、より迅速かつ安全なAPIの提供に向けた障壁を取り除きます。さらに、API仕様に関連するドキュメントを補完することで、アプリケーションによるAPI利用に関する情報や背景をより豊かに提供します。API Agentは、APIをガバナンスのルールセットに基づいて検証することで、組織の標準やベスト・プラクティスに準拠していることを確保することもできます。また、開発プロセスの初期段階でバリデーション・エラーを検出し、修正することも可能です。最後に、APIの挙動が継続的に正しいことを保証するために、再利用可能なテストケースを自動生成します。

重要な理由

人間、システム、そしてAIの境界がますます曖昧になるなか、APIをシームレスに作成・管理・拡張できる能力は、競争優位性をもたらします。API Agentを活用することで、企業は一歩先を行くことができ、よりスマートに構築し、より適切にガバナンスを行い、AI主導かつエージェント型の未来の可能性を最大限に引き出すことができます。

IBM webMethods Hybrid IntegrationとAPI Agentが、どのように統合を効率化し、オートメーションを加速するかについて、詳細を読む。

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