バーミンガム大学
データ管理による革新的な研究の推進
バーミンガム大学のキャンパスと時計塔の眺め

今日の研究シミュレーションでは、かつてないほど多くのデータが生成されており、その傾向が衰える兆しは見られません。バーミンガム大学は、研究施設に対する需要の高まりに対応するためにストレージ・リソースを適切に管理することで、データ損失リスクの軽減、データ保護規則コンプライアンスの簡素化、画期的な研究の促進を実現しました。

ビジネス上の課題

一流の研究機関としての高い評価を維持するため、ますます複雑化するシミュレーションを行うユーザーが増え続ける中、常にデータを利用できるようにする必要があります。

概要と経緯

そこで、同大学はIBM® Spectrum ScaleとIBM® Spectrum Protectを導入することで、データの場所とアクセス者に関する透明性を高めるとともに、多様なIT環境内でのモビリティーも高めました。

成果 サポート
低コストで作業を中断することなくデータ保護規則のコンプライアンスを実現
最大2人のFTE
運用効率の向上による減員の期待大
5,000人の研究者
重要課題の解決策をより迅速に見つけるのに役立つインフラストラクチャー支援
ビジネス上の課題の詳細
ビッグデータと効果的に向き合う

研究は大きな疑問に取り組み、世界を変える可能性のある知識を追求するために未知の領域に踏み込みます。研究を効率的に行うために、多くの研究者は非常に複雑なコンピューティング・シミュレーションを行い、膨大な量のデータを生成または使用します。このようなデータは、プロジェクトに取り組んでいるユーザーと、将来的に成果を検証し、それを基に研究したいと考えている人々の両方がすぐにアクセスできる場所に保管される必要があります。

英国の主要な研究拠点であるバーミンガム大学は、これらの課題を熟知しています。同大学は、さまざまなITリソースを集めたBirmingham Environmental for Academic Research(BEAR)を提供しており、コミュニティーおよび許可を得た外部研究者は無料で利用することができます。

バーミンガム大学のリサーチ・コンピューティング・インフラストラクチャー・アーキテクト、Simon Thompson氏は、次のように説明します。「私たちのエンゲージメント・チームは、私たちの施設に絶えず新たなユーザーを引きつけています。これは大学にとって素晴らしいことではありますが、私のチームがインフラストラクチャーに関して適切な判断を下し、確実に需要に応えなければならないということでもあるのです。

リサーチ・コンピューティング・チームは、データの一元管理体制が整っていないために、大学がデータを最大限に活用できず、コンプライアンスに関するリスクが発生していることに気づきました。

「以前は、個人のハード・ドライブやUSBメモリにデータを保管するのが一般的でした」とThompson氏は振り返ります。「彼らと私たちの知的財産として、私たちはデータ保護ガイドラインに沿った方法で、他のユーザーもデータを利用できるようにしたいと考えました。そこで、このような課題に取り組み、新たな機会に対処できるようなデータ・ストレージへの新しいアプローチを模索し始めたのです」

大学ではさまざまな分野でブレークスルーが常に起こっています。この先駆的なイノベーションのすべてを支えているIBM Spectrum Storageソリューションを使用すると、研究者は必要なときにいつでもデータにアクセスできます。 Simon Thompson氏 リサーチ・コンピューティング・インフラストラクチャー・アーキテクト バーミンガム大学
概要と経緯の詳細
研究者に最高のツールを提供

バーミンガム大学は、IBM Spectrum Scaleを新しいソフトウェア定義ストレージ環境の柱として選択し、IBMのゴールド・ビジネス・パートナーであるOCF社と連携して、このテクノロジーの選択、調達を行い、その導入もサポートしました。IBM Spectrum Scaleを使用することで、同大学のリサーチ・コンピューティング・チームは比較的小規模ながらも、多様なストレージ環境にわたって、ライブ・データへの迅速なアクセスと長期的なアーカイブ機能を提供することができます。

Thompson氏は次のように語ります。「私たちはこれまで長年にわたって、コンピューティング・クラスターのサポートに、IBMソリューションを利用してきました。ですから、ソフトウェア定義ストレージにSpectrum Scaleを選択したのは当然のことと言えます。これにより、当社のさまざまなストレージ・システムにまたがる単一のデータ管理プレーンが提供され、手に負えないほど複雑な状態に陥いることなく、ワークロードをプラットフォームに合わせる際に価格パフォーマンスの決定も下すことができます。OCF社とのフレームワーク協定により、最高のテクノロジーを競争力のある価格で入手できるようになりました。私たちは彼らが勧めてくれたソリューションを信頼しています」

バーミンガム大学は、IBM Spectrum Scaleのアクティブ・ファイル・マネージメント(AFM)機能を使用して、同種でスケーラブルなマルチサイトおよびマルチプロトコルのストレージ・プラットフォームを備えた、異種混在のコンピューティング環境を提供できます。現在、データはクラスター間で自動的に利用できるため、研究者は適切な場所にアプリケーションを導入し、すぐにデータを利用できるようになります。AFMを使用すると、1つのデータ・バージョンが複数のストレージ・システムで一貫性を持って使用できるようになり、科学研究の成功に非常に重要な一貫性が担保されます。

バーミンガム大学がインフラストラクチャーに第3のオンサイト・データセンターを追加したとき、IBM Spectrum Scaleは、新しい環境へのスムーズな移行を可能にする上で重要な役割を果たしました。Thompson氏は次のようにコメントしています。「Spectrum ScaleがHA機能とDR機能を提供することで、第3のデータセンターをオンライン状態にしながら、ユーザーが管理していたデータを移動させることができたのです。しかも、ユーザーはそのことに気づくことすらありませんでした。」

最近、同大学は再びOCF社と提携し、IBM Spectrum Scale Data Management Editionに移行しました。この変更により、リサーチ・コンピューティング部門は、新しい機能と、異なるライセンス・モデルから恩恵を受けることになります。Thompson氏は次のように語ります。「Data Management Editionを使用すると、保存データを暗号化できるため、商業的理由やその他の理由から機密とされているデータの保護に関する新しい要件を満たすことができるようになります。容量ベースのライセンスに切り替えたことで、管理が極めてシンプルになり、クラウドや仮想導入への道も開けました」

バーミンガム大学では、データのバックアップにIBM® Spectrum Protectを利用しています。リサーチ・コンピューティング・チームは、IBM Spectrum Scale Data Management Editionに付属するTransparent Cloud Tiering(TCT)機能を使用し、より役立つデータをコスト効率よく長期間保管できるようにする予定です。Thompson氏は次のように付け加えます。「TCTを使用すると、Spectrum Scale内にネイティブ統合された透過的なストレージ層としてCloud Object Storageを使用できるため、低リスクで簡単にクラウドに移行できます」

Spectrum Scaleにより、データの使用者とその使用方法についてこれまでにない洞察が得られるため、私たちはそれを用いてレポート要件を満たし、正しいプロセスが守られていることを確認することができます。 Simon Thompson氏 リサーチ・コンピューティング・インフラストラクチャー・アーキテクト バーミンガム大学
成果の詳細
知識の限界を押し広げる

バーミンガム大学による研究インフラストラクチャーへの投資は成果を上げており、同大学の施設はさまざまな魅力溢れる研究プロジェクトの拠点となっています。研究チームが卓越した存在になるために必要な最先端のインフラストラクチャーをサポートすることで、同大学は研究チームがより迅速に成果を出すことができるよう支援すると同時に、世界で最も優秀な頭脳の拠点としての地位を高めています。

「私たちは、AIやディープラーニングを活用する技術の開発や応用など、幅広い分野の研究をサポートしています」とThompson氏は説明します。「例えば、私たちはノッティンガム大学と共同で、Centre of Membrane Proteins and Receptors(COMPARE)(ibm.com外部へのリンク)プロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、最新世代の顕微鏡によって生成された超高解像度画像を分析することにより、心血管疾患、呼吸器疾患、がんをより効果的に予防および治療できる方法を明らかにするというものです。また、Health Data Research UK(ibm.com外部へのリンク)にも参加しています。これは、より効率的で正確な診断を可能にする最先端のデータサイエンス・アプローチの開発と応用に焦点を当てたものです。

「研究チームは私たちの施設を利用して、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)が通常適用されていない分野である言語学に取り組んでいます。チームはテキスト分析を利用することで、史上最も多く翻訳されている文書である聖書が何世紀にもわたってどのように変化してきたのか、そして、このことが言語と文化について私たちに何を教えてくれるのかを理解しています。同大学は最近、データサイエンスとAIに関する英国の研究所であるThe Alan Turing Institute(ibm.com外部へのリンク)のメンバーになりました。この研究所の目的は、異なるスキルを有する研究者同士をつなぐことです。この先駆的なイノベーションのすべてを支えているIBM Spectrum Storageソリューションを使用すると、バーミンガムの研究者は必要なときにいつでもデータにアクセスできます。

バーミンガム大学は現在、これまで以上にデータを適切に管理できるようになり、この貴重なリソースを最大限に活用しながら、簡単かつコスト効率よく新たな規制のコンプライアンスを実現できるようになりました。

Thompson氏は次のように語ります。「Spectrum Scaleでは、監査ログを通じて、データの使用者とその使用方法についてこれまでにない洞察が得られるため、私たちはそれを用いてレポート要件を満たし、正しいプロセスが守られていることを確認することができます。そして何よりも素晴らしいのは、ユーザーへの混乱を最小限に抑えて、予算に大きな影響を与えることなく実現できるということです。IBM Spectrumソリューションによって簡素化された運用により、管理チームを増員することなくHPC環境を拡張できただけでなく、FTE(フルタイム従業員)を2名も減員できたと推定しています」

IBM® Spectrum Storageソリューションを備えたバーミンガム大学は、データ損失に対して幾重にも及ぶ防御策を講じており、研究者がいつでも必要な情報にアクセスできるようにしています。同大学がHPC機能の限界を押し広げ続ける中、このテクノロジーはリサーチ・コンピューティング・チームがリソースを最大限に活用するのに役立っています。

Thompson氏は次のように結論づけています。「私たちはAIプロジェクトをサポートするために、新しいIBM Power9プロセッサーベース・サーバーを導入しようとしています。これは、英国において最大となるPowerAIの導入であり、研究者がシステムを使用できるように支援することを目的としたIBMとの協力関係の一環です。このシステムを最大限に活用するために、非常に高性能なストレージ・システムを購入する計画をしています。新しいリソースをシームレスに追加し、そのリソースをSpectrum Scaleの助けを借りてユーザーに透過的に提供できる機能は非常に重要です」

バーミンガム大学のロゴ
バーミンガム大学

1900年にビクトリア女王によって設立されたバーミンガム大学(ibm.com外部へのリンク)は、英国最大の大学の1つで、約34,000人の学部生と大学院生が在籍しています。バーミンガム大学のコンピューター・センターは、同大学のコミュニティーおよび許可を得た外部研究者が無料で利用できるITリソースを集めたBirmingham Environment for Academic Research (BEAR)の拠点です。

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IBM Spectrum Storageソリューションの詳細については、IBM担当者またはIBMビジネス・パートナーにお問い合わせいただくか、Webサイト(ibm.com/storage/spectrum)をご覧ください。

IBM Power Systemsの詳細については、IBMの担当者またはIBMビジネス・パートナーにお問い合わせいただくか、Webサイト(ibm.com/power)をご覧ください。

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脚注

 

© Copyright IBM Corporation 2018. 1 New Orchard Road, Armonk, New York 10504-1722 United States.2018年11月、米国で作成

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Spectrum、IBM Spectrum Protect、IBM Spectrum Scale、IBM Spectrum Storage、および Power Systems は、International Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録されています。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの登録商標の現在のリストは、Web ページ「著作権および登録商標情報」www.ibm.com/jp-ja/legal/copytrade.shtmlでご確認いただけます。

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