マーケティング関連のイベントのあり方を「再考」
RainFocus、IBM® Cloudでバーチャル形式に瞬時に切り替え
3Dレンダリングされたエキシビションの背景

すべて計画通りでした。IBMが年次で開催する主力のイベント、IBM® Thinkのイベント運営チームは、2020年5月に開催されるイベントの成功に向け新たに準備を進めていました。

会場の予約も終わり、ホテルの客室が埋まっていく中、マーケティング資料の作成も大詰めを迎えていました。IBMの新たなのイベント・マーケティング・プラットフォームであるRainFocusでは、40,000人の参加者を受け入れる体制を整えていました。

そうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、あらゆる企画が突然の中止を余儀なくされる事態となりました。少なくとも、IBM Thinkがサンフランシスコの現地会場で開催されないことが分かるまで時間はかかりませんでした。IBMとRainFocus社は、イベントを中止するのではなく、対面形式からバーチャル形式に変更するという大胆な決断を下しました。間に合うのでしょうか? イベントの開催までに残された時間はわずか46日でした。

両社とも、昼夜、週末を問わず準備を進めました。 対面イベント用に準備を進めてきた技術的なコンテンツのほとんどが完成間近でしたが、あらゆる側面においてやり直しが必要でした。

時間との競争が始まったのです。

需要に応じた規模への拡大

 

対面イベントの予想登録数40,000人からバーチャル・イベントの登録者数122,000人へ拡大

より迅速な移行

 

対面イベントからバーチャル・イベントに46日間で移行

クラウドの種類に依存することなく、IBM Cloudで余すことなく稼働するプラットフォームを提供すること、またこのような冗長性と機能を備えたSaaS環境を構築することにより、今回のコラボレーションは実現しました。まさに他者と一線を画したと言えるでしょう。 JR Sherman氏 最高経営責任者 RainFocus社
46日間で対面形式からバーチャル形式へ

幸運にも、IBMは2019年、自社で開発した独自ツールやベンダーのポイント・ソリューションなど異種のもので構成されているイベント・マーケティング・システムを、IBM Cloudテクノロジー上でホストされるRainFocus社のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)プラットフォームに移行する計画を打ち出していました。 IBM® Cloudの機能を利用したスケーラブルなプラットフォームは、バーチャル形式への迅速な移行を可能にしただけではなく、イノベーションの新たな機会も創出しました。

本プラットフォームのクラウド方針はなおも的確でした。RainFocus社とIBMは、システムを段階的に市場投入している最中でした。IBM Cloudと他者のクラウド・ホスティング・テクノロジーによるハイブリッド環境で実行していた当初のプラットフォームを、2021年の半ばにIBM Cloudに移行を完了する計画です。

当時、RainFocus社はIBM Cloud for Kubernetes Serviceをクラウドの実装に利用していたため、業界標準のクラウドに依存しない対応を取ることができました。また同社は、IBM Cloud Object StorageにIBMのイベント実行に必要な数々のデジタル資産を保管したり、IBM Content Delivery Networkを通してこれらの資産を早く確実に配信したり、IBMのグローバル・ロードバランサーで高可用性を維持したり、ダラスとワシントンDCにあるIBMデータセンターのプラットフォームをホスティングしたりしてきました。

クラウドインフラストラクチャーが整ったことを踏まえ、両社はRainFocus社のプラットフォームの再構成に注力し、オンライン・イベントの手はずを整えました。プラットフォームは、IBMがマーケティング関連のイベントを開催するのに必要な機能を余すところなく提供しますが、その機能には単一で統合されたインターフェース、オープンでスケーラブルなアーキテクチャー、使いやすいフロントエンド、IBMのバックエンドシステムへの統合、堅牢なレポートおよび分析が含まれます。

 

チームはまず、デジタルがうまく機能するイベントを中心にコンファレンスを再構成しました。セッションに関連するコンテンツの配信をはじめ、技術教育プログラムやラボを通じたスキルの開発、人脈づくりの機会などです。

技術的な観点でチームが取り組んだ課題には、登録時の参加者情報の集め方や参加状況の追跡、シングルサインオンの有効化、プラットフォームとIBMのバックエンドシステム間における通信の統合などが挙げられます。

その中でも拡張性の問題は非常に難解でした。 対面イベントの場合、登録者数はある程度予測でき、開催日の数週間前から徐々に増えるのが一般的です。ところが、バーチャル・イベントとなると、登録人数とタイミングを誰も予測できませんでした。

対策として、RainFocus社とIBMはスケーラビリティ・テストを実施し、RainFocusのプラットフォーム登録機能およびIBMインフラストラクチャーへの統合を分析しました。 RainFocus社は、ネットワークのトラフィック量がオーバーフローした際に対応できるよう、ロビー機能(登録がしきい値に達すると起動する待合室)を作成しました。また、設計が要求を満たせるか確認するための負荷テストも実施しました。

そして、すべての準備が整った46日後、テストの本番が始まったのです。

IBM Thinkは、同社最大規模のオンライン・コンファレンスとなりました。 対面形式からバーチャル形式に途中で変更になった上、驚くべきことに、これほど大規模なイベントは初めての試みとなりました。 JR Sherman氏 最高経営責任者 RainFocus社
バーチャル・イベントの壁を克服

ハイブリッドクラウドであるIBM CloudにホストされているRainFocusプラットフォームは、コンファレンス全体を通じてその性能を余すところなく発揮しました。最終的には、122,000人を超える参加者登録があり、2019年の対面式イベントの30,000人から増加となりました。 これは歴史的快挙です。 「IBM Think 2020は、同社最大規模のオンライン・コンファレンスとなりました。対面形式からバーチャル形式に途中で変更になった上、驚くべきことに、これほど大規模なイベントは初めての試みとなりました」とSherman氏は語ります。

この規模の成功を収めたことは、マーケティング・テクノロジーが企業の収益に与える効果を大きく裏付ける結果となりました。「大企業のCIO(最高情報責任者)が、イベントに特化した世界規模のマーケティング・プラットフォームを評価する場合、そのプラットフォームには確かな信頼性が求められるでしょう。クラウドの種類に依存することなく、IBM Cloudで余すことなく稼働するプラットフォームを提供すること、またこのような冗長性と機能を備えたSaaS環境を構築することにより、今回のコラボレーションは実現しました。まさに他者と一線を画したと言えるでしょう」とシャーマン氏は述べます。

バーチャル形式の最も面白い側面とは、参加者にパーソナライズ化した体験を提供できることでしょう。コンテンツやセッション、ミーティング、コラボレーションの機会を適宜おすすめできます。IBM Thinkでの体験を例にすると、各参加者の興味や事業に添ったイベントになっていました。実質的に、122,000人それぞれのThinkイベントが開催される結果となりました。

またRainFocus社とIBMは、IBM Think 2020の期間中にイベントのテンプレートを作成し、IBMの600を超える年間イベントに展開するという重大プロジェクトの目標を共に達成しました。テンプレートは、300人あまりのIBMの地域イベント・マネージャーの負担を軽減できるよう、単一の一元化されたイベント・プラットフォームになっており、独自のイベントで使えるように機能をあらかじめ設定しています。

IBMとRainFocus社の関係は今後も発展を続けることでしょう。IBM Cloud環境への移行完了計画は現在も継続中です。IBM Think 2021バーチャル・カンファレンスが終了した2021年の半ばにサービスを開始する予定です。両社は持続的なイノベーションの推進を目指し、共に成長して参ります。「サードパーティのシステムにほぼリアルタイムでデータを渡すIBMのシステムは、当社の競争力を真に高めてくれました。ここで言うサードパーティとは、他のベンダーではなく、IBM内のさまざまなIT、マーケティング、およびデータ・システムを指します」とシャーマン氏は説明します。 両社は次のIBM Thinkバーチャル・コンファレンスでも協力し、お客様への貢献を期待します。

RainFocus社のロゴ
RainFocus社について 

2013年に設立されたRainFocus社 (ibm.comの外部リンク)は、イベントに特化した次世代型のマーケティング・プラットフォームを提供する企業です。新たに構築したプラットフォームで他に類を見ないデータ量を取得、分析、活用し、イベントやコンファレンスの向上に貢献します。真のSaaSプラットフォームとしてRainFocus社は、イベントの登録やコンテンツの管理、出展者の有効化と言った作業の簡略化を図ります。対面形式、バーチャル形式、ハイブリッド形式に関わらず、単一のダッシュボードからシームレスに操作できます。同社の本拠地は米国ユタ州のリーハイです。

次のステップ

この記事で紹介されているIBMソリューションの詳細については、IBMの担当者またはIBM ビジネス・パートナーにお問い合わせください。

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© Copyright IBM Corporation 2021. IBM Corporation、IBM Cloud、New Orchard Road、Armonk、NY 10504

2021年5月、米国で作成。

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Cloudは、世界の多くの国々で法的に登録されているInternational Business Machines Corp.の商標です。その他の製品名およびサービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの商標の最新リストは、Web 上の「著作権および商標情報」(ibm.com/legal/copyright-trademark)で入手できます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。