メキシコは現在、金融包摂の達成において大きな課題に直面しており、多くの中小企業は依然として銀行口座を持っていません。しかし、生成AIを含むデジタル・テクノロジーの台頭により、有望な解決策が提示されています。メキシコの成人3,500万人(38%)は銀行口座を持っていませんが、携帯電話は所有しており、このことはモバイル・バンキングとデジタル化による金融包摂の可能性を示しています。さらに、オンライン・プレゼンス、顧客エンゲージメントおよびフィードバックを備えた企業が示すように、対話型AIソリューションはメキシコの金融機関にとって極めて重要な差別化要因であることが証明されています。
Clip社は、急成長しているメキシコのフィンテック・ユニコーンで、何十万もの企業がデジタル決済を受け付けできるようにすることで、金融包摂の推進を支援しています。中小企業から独立した専門家まで幅広い顧客にサービスを提供しており、その多くはこれまで金融サービスやテクノロジーを利用したことがありません。そのため、手数料、口座開設、遠隔地からの支払いオプション、クレジット・ラインなど、初めて聞く銀行の概念について繰り返し質問されることになります。
銀行のインフラストラクチャーを使用せずに、毎月何千人もの新規ユーザーにサービスを提供しなければならないClip社は、新しい金融サービスの利用について顧客を最適な形でサポートおよびアドバイスするためにはどうすればよいのか、という課題に直面しました。
2021年、NDS Cognitive Labsは、その専門知識を活用して、Clip社の特定のニーズに合わせた最新のAIバーチャル・アシスタント・プラットフォームをカスタマイズし、デプロイしました。この取り組みは、さまざまな業種・業務に金融包摂を拡大し、より幅広いオーディエンスにリーチするというフィンテックの使命に沿ったものでした。NDS Cognitive Labsは、エンゲージメントと業務効率を高めるためにAIプラットフォームを適応させることで、Clip社独自の要件に対応し、同社の戦略的目標をサポートしました。
NDS Cognitive Labsは、NeuralSeekと統合され、 IBM Cloudプラットフォームを搭載したIBM watsonxの自然言語処理(NLP)を使用して、検索拡張生成(RAG)技術を活用した高度な対話型生成AIソリューションを開発しました。このチャットボットは、ユーザーのニーズを正確に識別し、外部データベースから関連するリアルタイムの情報を取得することで、応答の関連性と深さを実現します。ほぼ瞬時のデータ検索と生成言語機能を組み合わせることで、バーチャル・アシスタントは、手数料、リモート支払いオプション、与信枠など、幅広い問い合わせに対して、非常に正確でコンテキストに沿った豊富なソリューションを提供し、対話の品質と精度の両方を大幅に向上させます。
この革新的なソリューションの主要な機能の1つは、Salesforce社のクラウドとのシームレスな統合です。これにより、チャットボットはCRMプラットフォーム内に保管されたデータを使用して機能を強化できます。この統合により、AIアシスタントはリードの生成、レベル2サポートケースの作成、ユーザーIDの検証およびその他の関連情報へのアクセスを行えるようになり、性能と全体的なユーザー・エクスペリエンスを向上させることができます。NLPを通じて、アシスタントは顧客が利用可能な製品に言及していることを認識し、顧客の具体性が不足している場合に、正しい答えが見つかるまで提案を通して顧客を案内できます。
バーチャル・アシスタントがオムニチャネル・サービスを提供することで、コールセンターのエージェントは複雑な問題に集中できるようになるため、リソースの割り当てが最適化されます。6,000件超のインタラクションを同時に処理できるため、24時間体制で即時かつパーソナライズされた応答を提供します。
さらに、チャットボットはWebサイト、ソーシャル・メディア・プラットフォーム、WhatsAppおよびその他のデジタル・チャネルとシームレスに統合され、統一された効率的な顧客エクスペリエンスを実現します。
この成果は、金融包摂の推進におけるバーチャル・アシスタントの変革力を浮き彫りにしています。NDS Cognitive Labsによって作成され、Clip社の特定の要件に合わせてカスタマイズされたチャットボットは、RAGを使用することで、問い合わせの66%以上を自律的に解決しています。これにより、従来のコールセンターと比較して、平均対話時間が80%短縮され、業務効率と顧客満足度の大幅な向上につながっています。
さらに、Clip社ではチャットボットの利用が年間28%増加しており、このことはデジタルサービスの導入と顧客エンゲージメントの向上への転換を示しています。
「AIテクノロジーは、企業が顧客とそのニーズをよりよく理解するための非常に重要なツールであることが証明されています。IBM watsonxは、カスタマー・エクスペリエンスを向上させながら、ブランド・エクスペリエンスをより簡単に、より速く、より身近に、より便利で、パーソナライズする方法をクライアントに提供します。AIを拡張し、クラウドをアクセラレータとして活用することで、重要なオペレーションを実行できます。例として、ビジネスの中断の予測や事業継続性の確保、時間の最適化、インテリジェントな意思決定、プロセスおよびエクスペリエンスの自動化、製品やサービスにおけるイノベーション、そしてClip社が実現したように、カスタマー・エクスペリエンスの強化などがあります」と IBM Mexicoのテクノロジー・リーダーであるCarlos Camilión氏は言います。
NDS Cognitive Labsは、そのコンサルティング・ケイパビリティーを活用して特定のニーズとプロセスを特定することで、ソリューションがクライアントの目標に合致していることを徹底します。NDS Cognitive Labsは、すぐに利用できるパーソナライズされたサポートの導入を通じて、新世代のメキシコの起業家や個人が障害を克服し、自信を持って金融システムに関与できるように支援します。
「ここ数年は、NDS Cognitive Labsにとって、AI、クラウド、生成AIのソリューションを小売業から銀行業、ホスピタリティ業界まで、新しい業種・業務に導入する歴史的機会にあふれていました」と、NDS Cognitive Labsの共同創設者兼CEOのGustavo Parés氏は語ります。「当社のサービスに対する需要が記録的となっている最中で、NDSが提供してきた技術とコンサルティングによる貢献を非常に誇りに思っています。私たちは、より良い技術の未来を築くために最先端のテクノロジーを活用し続けるにあたり、チームを構成する勤勉で才能のある専門家、IBMのようなパートナー、Clip社のようなお客様に感謝しています。」
NDS Cognitive Labsは、世界標準のトレーニングを受けた独自の技術専門家コミュニティを通じてテクノロジーの成長とイノベーションを加速し、ラテンアメリカ最大の技術人材プールの1つを形成しています。同社は、グローバル金融やその他の業種・業務に、クラウドベースのソリューションを提供することを専門としています。また、生成AIと最先端のコンサルティング・ケイパビリティーの進歩において主導し、クライアントの本質的なデジタル・トランスフォーメーションを推進しています。NDS Cognitive Labsは、生成AIを自社製品に統合することで、対話型AIやオートメーションのような複雑なビジネスニーズに対処するための、カスタマイズされたソリューションを提供しています。
メキシコと米国に拠点を置き、北米、南米、ヨーロッパ、インドの顧客にサービスを提供する同社は、新興テクノロジーに関する数十年にわたる専門知識、継続的な教育、高度なトレーニングを組み合わせます。NDS Cognitive Labsは、世界的大手テクノロジー企業との緊密なコラボレーションを通じて、必要不可欠なイノベーションを促進し、効果的な成果とコラボレーションによるチーム・エクスペリエンスを実現します。
Clip社は、デジタル決済およびデジタル商取引プラットフォームを専門とするメキシコの大手フィンテック企業であり、革新的なテクノロジーを通じて、国または地域の企業がデジタル決済を受け付けできるようにしています。同社は、中小企業にデジタル取引への簡単なアクセスを提供することで金融包摂を促進することを目指しており、その高い市場シェアと評価から、メキシコ初の「決済ユニコーン」とみなされています。
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