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サイロ化からシームレスへ、モバイル環境の従業員の人事エクスペリエンスを強化

サイロ化からシームレスへ、モバイル環境の従業員の人事エクスペリエンスを強化

シンガポール国立大学保健機構(National University Health System、NUHS)は、IBMコンサルティングのサポートを受けてクラウドベースのSAP SuccessFactors HRプラットフォームを導入し、人事の変革を実現
夕暮れのシンガポールで海面に映るガーデンズ・バイ・ザ・ベイとスカイライン

シンガポールは2020年、公的医療システムを3つのクラスターに再編しました。このとき国立大学保健機構(NUHS)は、7つの医療機関と、2つのオンプレミス人事システムを引き継ぎました。この2つは異種のシステムで、統合とモダナイズが必要な状態でした。

結果的にNUHSの人事チームは、すべての事業体の全スタッフのために2つの異なる人事システムを管理していました。このためレポート作成は非常に煩雑で、レポートをまとめるたびに何種類ものスプレッドシートが必要でした。これはかなりの労力と時間を要する作業です。

サイロ化した2つの人事システムでは、保健省などの政府機関に報告書を提出する際の手順も複雑でした。これらの異なるシステムでは、情報やデータ・フィールドの定義が大きく異なるため、所定の短い期間内に情報や統計を送信するのは困難な作業でした。

さらに、人事のユーザー・エクスペリエンスにも改善が必要でした。システムはオンプレミスで稼働するレガシー・システムで、モバイル・アクセスには対応していません。このため医療スタッフは、職場のコンピューターを直接操作して人事システムにアクセスするか、人事スタッフに支援を求める必要がありました。モバイル環境の従業員は請求や休暇申請を提出できず、人事マネージャーも別の場所からは承認やその他の作業を実行できませんでした。

再編後、経営幹部は2つの人事システムを1つのクラウドベースのシステムに統合し始めました。このシステムには、従業員のセルフサービスを可能にするモバイル人事アプリも付属していました。NUHSはさまざまな選択肢を評価し、組織の人事プロセスの合理化と自動化を支援するために設計されたSaaSプラットフォームであるSAP SuccessFactorsを採用することを決定しました。それでも、NUHSは12カ月以内にシステムを稼動させる必要があったため、この複雑な変革にどれだけの時間がかかるか懸念されていました。

10カ月

 

オンプレミスの給与システムやその他のシステムの統合を含め、クラウドベースの人事プラットフォームへの複雑なトランスフォーメーションを、予定の10カ月で予算通りに完了

>90%

 

セルフサービスのモバイル人事プラットフォームを提供し、従業員の利用率は90%以上を達成。外出先でも一連の人事機能に24時間年中無休でアクセスできることが好評

NUHSは、カスタマイズを実施してNUHSのニーズを満たすソリューションを提供できるパートナーを必要としていました。NUHSと10年以上にわたって協力してきたIBMは、NUHSの要件を理解していました。
オンプレミスからクラウドへの複雑なトランスフォーメーション

オンプレミスからクラウドへの複雑なトランスフォーメーション

オンプレミスの2種類のレガシー人事システムをクラウドベースのSAP SuccessFactorsソリューションに移行するのは複雑な作業です。そこでNUHSは、SAPの専門知識とシンガポールの公的医療分野での経験がある導入パートナーを探していました。そして主要ベンダーを評価した結果、IBM Consultingを選びました。IBMはシステム・インテグレーターとして適切な経験があり、価格設定も費用対効果に優れていました。NUHSは、カスタマイズを実施してNUHSのニーズを満たすソリューションを提供できるコンサルタントを必要としており、IBMはその要件を理解していました。

IBM SAP SuccessFactorsコンサルティング・サービスはNUHSと協力して、2つのフェーズからなる計画を策定しました。第1フェーズでは、従業員レコード、休暇、請求、学習など、給与処理に関係する重要な人事機能に焦点を当てました。第2フェーズでは、パフォーマンス管理、報酬、採用、オンボーディング、後継者計画など、戦略的な人事機能に焦点を当てました。また、クラウドの更新を通じて最新テクノロジーを提供するためのツールとプロセスも導入しました。

システム統合の課題に対応

システム統合の課題に対応

主要なビジネス要件は、機密データを含む給与システムなどの主要なシステムをオンプレミスに保持することでした。IBMは給与処理のコア・アプリケーションをSaaSの人事ソリューションやPaaSの福利厚生ソリューションとシームレスに統合するようにSAPのクラウド・プラットフォームを構築しました。これで従業員は、必要なアプリケーションすべてに共通のランディング・ページからアクセスできます。

また、IBMはNUHSビジネス・パートナーであるSynapxe社と協力し、強固なセキュリティーを備えたシームレスなアーキテクチャーを構築しました。このアーキテクチャーでは、SAP Cloud Platform Integration、SAP Cloud Connector、SAP Webディスパッチャー、エンタープライズ・サービス・バスを使用して、SAPの給与システムをクラウド人事アプリケーションと連携しました。

従業員が安全にログオンできるようにするため、IBMはシンガポールのHealthTech代理店であるSynapxe社と緊密に連携して、2要素認証を備えたSAP Identity Authentication Servicesを実装しました。またNUHSはIBM Application Management Services for Hybrid Cloudを使用して運用効率を向上させました。

強力なパートナーシップが生む優れた成果

強力なパートナーシップが生む優れた成果

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生したときに、開発チームはリモートワークに移行しました。新型コロナウイルスに関連する業務のワークロードが大量に生じ、対応が必要となる中でも、IBMとNUHSは開発を前進させました。NUHSは、NUHSグループ最高人事責任者のリーダーシップと指導のもと、従業員エンゲージメントとトレーニングを再検討して、安全な距離確保の基準を遵守し、隔離に関する制限を克服しました。

NUHS、Synapxe社、SAP、IBMのチームはわずか10カ月でプロジェクトを完了させました。NUHSは、シンガポールの医療クラスターでは初めて、モバイル対応のセルフサービス機能を備えたクラウドベースの人事ソリューションを実現しました。

このSAP SuccessFactorsプラットフォームは2021年1月に本稼働を開始し、最初の1カ月で直ちに効果を発揮しました。全ユーザーの92%にあたる13,000人以上のNUHS従業員が新しいmyHRプラットフォームにログオンし、さらに12,000人の従業員がmyHRモバイル・アプリケーションをアクティブ化しました。その後、モバイル・アプリケーションの利用率は90%以上まで上昇しました。

このモバイル・アプリケーションでは、従業員やマネージャーがセルフサービスで個人レコードを送信、表示、編集できます。従業員はいつどこからでも、自分の文書へのアクセス、編集、印刷を行えるようになりました。これにより、従業員が手作業で書類を印刷して発送する必要がなくなり、人事部門の生産性が大幅に向上しました。

Synapxe社のプロジェクト・マネージャーは、ユーザー要件、スケジュール、技術構成に対するIBMの強力な管理を高く評価しました。タイトな日程と決まった予算のもとで巨大なユーザー・グループを相手に作業を進めるうえで、こうした管理は成功の鍵となります。
シームレスで反応が速い人事サービスの大きなメリット

シームレスで反応が速い人事サービスの大きなメリット

NUHSはSAP SuccessFactors HRプラットフォームから既に非常に大きなメリットを得ています。より俊敏で反応が速い人事サービスを提供するうえで、このプラットフォームは大きな一歩です。

モバイル・アクセスやセルフサービス機能を導入すると、ユーザー・エクスペリエンスは向上します。NUHSはグループ全体で単一のシステムを利用することで、全機関の人事ポリシーとプロセスを揃えることができるようになりました。技術チームは一元的な共通の人事データベースを構築して、人事の分析や意思決定をサポートできます。ビジネス・チームは手作業や文書事務を排除して、人事のワークフローを合理化できます。また、このプラットフォームは採用候補者向けのデジタル・エクスペリエンスを提供し、採用活動をサポートします。

さらに、新たに収集された広範な人事データにより、人事マネージャーはプラットフォームの強力なレポート・分析ツールを活用できるようになりました。これにより、ユーザーは人事チームに問い合わせることなく自分自身でレポートを実行できるため、予算と計画のレポート作成がはるかに簡単になります。

この新しいプラットフォームでは、SAPソフトウェアのオンプレミス・ライセンスの削減によってコストを抑制できます。さらに、習得に要する時間が短縮されることや、新機能を迅速に再テストできることから、NUHSの従業員が時間を節約できています。

NUHSのロゴ
国立大学保健機構(NUHS)について

国立大学保健機構(NUHS)について

National University Health System(NUHS)(ibm.com外部へのリンク)は、同じ価値観とビジョンを共有する他の人々と協力して、病気の原因を発見し、学際的な共同研究と臨床試験を通じてより効果的な治療法を開発し、より優れたテクノロジーとケア提供システムを構築することで、病気の予防と管理方法を変革することを目指しています。

NUHSグループの機関には、National University Hospital、Ng Teng Fong General Hospital、Jurong Community Hospital、Alexandra Hospital、3つのNational Specialty Centres(National University Cancer Institute, Singapore(NCIS)、National University Heart Centre, Singapore(NUHCS)、National University Centre for Oral Health, Singapore(NUCOHS))、National University Polyclinics(NUP)、Jurong Medical Centre、3つのNUS健康科学スクール(NUS Yong Loo Lin School of Medicine(Alice Lee Centre for Nursing Studiesを含む)、NUS Faculty of Dentistry、およびNUS Saw Swee Hock School of Public Health)が含まれています。

NUHSは、共通の統治体制の下にある加盟機関とともに、患者ケア、健康科学教育、生物医学研究を統合することで、健康増進のための相乗効果を生み出しています。地域医療システムとして、NUHSはシンガポール全土の医療および社会福祉パートナーと緊密に連携し、シンガポール西部での健康でつながりの深い人づくりに貢献するプログラムを開発および実施しています。

Synapxeのロゴ
Synapxeについて

Synapxeについて

Synapxe(ibm.com外部へのリンク)は、明日の健康を促進する国立ヘルステック機関です。ヘルステックの中核として、人々とシステムを結び付け、より健康なシンガポールを実現します。パートナーとともに、インテリジェントな技術ソリューションを創造し、毎日、あらゆる場所で何百万人もの人々の健康を改善しています。www.synapxe.sgで、健康の未来をともに再構築しましょう。

製品・サービス IBM Application Management Services for Hybrid Cloud IBM SAP SuccessFactorsコンサルティング・サービス
SAP社のロゴ。フルカラー、青のグラデーション。
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2024年7月

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SAP SuccessFactorsはSAP SEの商標です。

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引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBMプロダクトを使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストや結果の特性は、クライアントごとの構成や条件によって異なります。お客様のシステムおよびご注文のサービス内容によって異なりますので、一般的に期待される結果を提供することはできません。本書の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBMプロダクトは、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。

SAP SuccessFactorsはIBMの製品またはサービスではありません。SAP SuccessFactorsは、場合によっては、製品またはサービスに付属するSAP SEの利用規約に基づいてユーザーに販売またはライセンス供与されます。SAP SuccessFactorsの可用性、あらゆる保証、サービス、サポートは、SAP SEが直接責任を負い、ユーザーに直接提供します。

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