Business Challenge story

C/Sモデルによる競争力低下と顧客の要望でクラウド化を決定

銀行のコンピューター受託計算部門から独立し、1970年に創業した三菱総研DCS株式会社(以下、三菱総研DCS)は、銀行、クレジットカード業務における豊富な経験と実績を生かし、金融業界をはじめとした顧客の業務変革を実現し、企業価値を向上するための良きパートナーとなるべく事業を拡大しています。

2004年には、三菱総合研究所(MRI)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との資本面、業務面での戦略的な業務提携を締結。シンクタンクからコンサルティング、ソリューション、さらにはアウトソーシング、BPOまでの一貫したバリューチェーンを提供することで、これまで以上に高品質なサービスの提供を目指しています。

また、会社創業時からの主力サービスである給与人事サービス「PROSRV(プロサーブ)」は、現在、受託数2000社、40万人の利用者にサービスを提供。人事部門で60%以上あるといわれている定型業務をアウトソーシングにより削減し、人事部門本来のコア業務へ集中することにより、労力・時間を抜本的に改革できるサービスを提供しています。

三菱総研DCSのPROSRVで稼働する業務アプリケーションは、データベース管理システム(DBMS)であるMicrosoft SQL Serverを中心としたクライアント/サーバー(C/S)モデルとして構築されていました。しかし他社が提供する同様のサービスの多くがWeb対応されていることから、C/Sモデルのままでは競争力が落ちてしまう恐れがありました。

また、業務アプリケーションに変更や追加が発生した場合には、変更・追加のモジュールを登録したCD-ROMを利用者に送付して、クライアントPCにインストール済の業務アプリケーションの更新や、オンサイトサポートで顧客企業のクライアントPCを1台ずつ更新する作業が必要でした。

技術推進事業本部 技術企画統括部 部長の大和田牧郎氏は、「更新・追加モジュールのCD-ROMを作成して配布したり、オンサイトでサポートしたりする作業が大きな負担になっていました。また昨年の大震災以降に高まった災害対策への対応もC/Sモデルでは難しかったことも一因となりました」と話します。

そこで三菱総研DCSでは、PROSRVをクラウド化することを決定。クラウド環境の中核となるDBMSの選択において、IBM DB2 9.7(以下、DB2)とOracleデータベースの機能、性能、コストなどを総合的に比較検討した結果、DB2の採用を決定しました。

Transformation

Javaの採用でDB2 9.7の導入を決定。柔軟なアクセス権限設定も評価

三菱総研DCSでは、クラウド対応のPROSRVの仕様やシステム構成などに関して、2010年より約1年間をかけて検討。2011年3月よりシステムの開発を開始し、2012年4月よりクラウド対応のPROSRVのサービスを提供しています。

クラウド対応のPROSRVは、三菱総研DCSの業務システムが稼働するデータセンターのインフラを活用し、その上にJavaベースのフレームワークを構築。Java言語により開発された給与人事アプリケーションを稼働させています。

DB2の稼働環境としては、2台のサーバーをアクティブ・スタンバイ構成にすることで可用性の向上を実現。また全顧客で同じスキーマを利用することで構成をシンプルにしています。

DB2を採用した理由を大和田氏は、次のように語ります。「PROSRVのクラウド化において、まず大前提だったのがJavaによる開発でした。ほかのシステム開発でもJavaを採用していたので、社内の人的リソースを有効に活用できるということが、開発環境にJavaを採用した最大の理由でした」。

大和田氏は、「開発言語にJavaを採用したことで、まずSQL Serverという選択肢はなくなりました。またインターネット上で複数の企業にサービスを提供することから、ローレベルで柔軟にアクセス権限を設定でき、かつ強固なセキュリティーを実現できるDBMSであることが必要でした」と話します。

これまで三菱総研DCSのシステム開発案件は、ほとんどがOracleデータベースによる開発でした。しかしDB2 9.7で、Oracleデータベース互換機能が強化されたことにより、SQLやストアドプロシージャなど、開発面における不安が払拭されたことも、DB2の採用を加速しました。

技術推進事業本部 技術企画統括部 企画グループの菅野洋介氏は、「社内でDB2とOracleデータベースの互換性を検証した結果、必要な機能の90%以上で互換性があることが確認できました」と話しています。

Benefits

DB2の採用で導入コストを削減。多彩な機能で運用効率も向上

DB2を採用した効果のひとつが、導入コストの削減でした。大和田氏は、「PROSRVは、データセンターに設置されているサーバーの上で稼働することから、クラウド環境に対応した柔軟なライセンス体系が必要でした」と話します。

DB2はクラウドや仮想環境向けに、DB2が使用するCPUコア数に対して課金するライセンス体系を提供し、ユーザーからのアクセスをデータベースの表の行や列ごとに制御する「LBAC(ラベル・ベース・アクセス・コントロール)機能」のようなクラウド環境に有用なオプション機能のライセンスも低価格で提供しています。大和田氏は、「5年間のDBMSのライセンスおよび保守コストでみますと、DB2はOracleデータベースに比べ、23%削減できる見込みです」と話しています。

またバックアップデータの圧縮機能もDB2を導入した効果のひとつでした。菅野氏は、「当初は、1度フルバックアップをとって、後は差分バックアップで運用していこうと考えていました。しかしDB2でバックアップデータを圧縮することで、毎日フルバックアップができるようになりました」と話します。

「スペックシートには、70~80%という高い圧縮効率が書いてあったのですが、実際には50%程度だろうと考えていました。しかし実際に、70~80%という高い圧縮効率を実現できたことには、非常に驚きました」(菅野氏)

さらにPROSRVのクラウド化においては、どのレイヤーでマルチテナントにするかも大きなポイントでした。マルチテナント化には、アプリケーションサーバーで対応する考え方もあれば、データベースのインスタンスを分ける考え方もあります。

大和田氏は、「この2つの考え方は、システム管理者の立場からすると少しメンテナンスの負荷が大きくなります。そこで今回は、データベースのインスタンスを分けるのではなく、データ自体を分ける方法でメンテナンスの負荷を軽減できました」と話します。そのほか菅野氏は、「統計情報を取得して、表や索引の再編成(REORG)が必要かどうかを確認できるのは便利です。REORGにより、削除されたスペースを再利用することができるので、ストレージを有効利用できました」と話しています。

「DB2のセルフチューニング・メモリーも実装しています。基本的なメモリの監視はセルフチューニング・メモリー機能に任せることができるので、パラメータチューニングも不要になりました。性能テストの実施結果を確認したところ、性能にはまったく問題はありませんでした」(菅野氏)

 

将来の展望

PROSRVをベースに、他システムの機能を拡張予定

三菱総研DCSでは、企業の給与計算だけでなく、介護事業者と提携した介護事業者向けの給与計算サービスを、PROSRVをベースに提供します。大和田氏は、「介護事業者向けのデータは、一般企業向けのデータとは少し異なるので、そのデータをDB2に取り込む仕組みも構築しています」と話します。

また要望があれば、PROSRVに付帯するサービスとして大阪支店が展開している「HR- Web(人事業務支援システム)」の機能をPROSRVに取り込んで行く計画です。

 

お客様情報

三菱総研DCS株式会社は、1970年の創業以来、金融業界をはじめとする数多くの顧客に支えられて業容を拡大。2004年には株式会社三菱総合研究所(MRI)、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との資本・業務両面での戦略的な業務提携により、業務コンサルティングからシステムの設計・開発、アウトソーシング・BPOまで、IT活用のライフサイクル全般を支援できる企業集団として、顧客企業の価値を向上させる事業に取り組んでいます。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • DB2 for Linux, UNIX and Windows