IBM Cloudを活用しDXを推進

かんぽシステムソリューションズは、IBM Cloudを活用してクラウド上で重要業務システムの構築を行い、顧客体験の向上と業務効率化を実現。

コンピューターのモニターを見ながら一緒に作業する 2 人。
クラウドシステムの安定運用とDX 推進への取り組み

かんぽシステムソリューションズ株式会社(以下、かんぽSOL)は、株式会社かんぽ生命保険のIT戦略パートナーとして、システム開発・運用の全工程にわたって中心的な役割を担っています。同社では、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の一環として、2019年にインターネットでの契約者サービス「マイページ」をリリースし、コーポレートサイトの全面刷新を行っています。また、2021年頃より「全社的なDX推進システムの展開」を中期経営計画の一環に位置付け、体制を整えながら取り組みを進めてきました。

DX推進計画には「顧客体験の向上」と「業務効率・働き方改善」という2つの大きな目的がありました。かんぽSOLはIBM CloudやAWS、Salesforceなどのマルチクラウド環境を利用し、迅速な顧客体験を叶え、価値創出につながるアプリケーション開発へ着手しました。

当時、同社は大規模なオンプレミスのシステム構築や運用の実績はありましたが、重要業務システムのクラウド採用は困難な状況でした。そんな中、IBMは開発・基盤・運用の全ての領域でワンストップサポートを提供。同社の大きな転換期を成功に導く体制づくりを整え、クラウドの特性を最大限に活かすべく、コンテナ技術を中核としたクラウドネイティブなシステム設計をIBM® Cloud上に新規に作成することを決定しました。コンテナ基盤には、Red Hat OpenShiftのマネージドサービスである Red Hat OpenShift on IBM® Cloud を採用しています。

同社のクラウドCoE室、惣田 隼矢 室長は「クラウドの本格活用はかんぽSOLとしても初めての取り組みだったため、IBMに総合的なサポートを依頼しました。急激なユーザー増加への対応や、インターネット上での新たなお手続きの迅速な追加など、IBMが持つクラウドやコンテナ技術を活かした柔軟なサポートを受けることができました」と話します。この成功をベースにして、かんぽSOLではさらなるDX推進施策を進め、窓口でのお客様手続きの強化やフロントシステム向けのデータ連携基盤の構築といった新たなシステムをIBM Cloud上に構築しました。

クラウドで構築された業務システムの重要性が増すにつれて、IBM Cloudの安定稼動への期待も高まりました。しかし、クラウド内部では毎月数万件の変更作業が行われており、これらのメンテナンス作業が顧客サービスに影響を及ぼすなど、予期せぬトラブルが発生するケースがありました。かんぽSOLとIBMは、クラウドの特性を活用したコンテナ環境とクラウドネイティブ環境の利用をより安定したものにし、スキル習得と新たな運用体制の確立に向けて動き出しました。

障害発生を抑制し、より安定したクラウド運用へ

IBMは、IBM Cloudの安定性向上に向けてグローバル全体の課題として取り組みました。かんぽSOLとともにクラウド内部の変更に対する影響の事前評価を強化し、システム影響の予測精度の改善を図りました。同時に日本IBMではシステム監視の強化、障害影響を最小化するための設計変更、内部変更作業に対する追加レビューといった様々な施策を実施。障害発生の抑止やお客さまへの影響の最小化へつながりました。結果として、影響度が極めて大きいとされる障害の発生頻度や、かつては高頻度で発生していたお客さまシステムに対する影響は、2022 年から2024年にかけて劇的に削減されました。

現在、IBM CloudはかんぽSOLのマルチクラウド戦略の重要領域を担っています。契約内容の紹介や住所変更といった簡易な手続きを含め、Red Hat OpenShift on IBM Cloud上の「マイページ」から提供されるサービスは、現在では保険金請求や契約者貸付の請求といった重要業務まで拡大し、顧客からの多様なニーズに対応しています。さらに、基幹データ統合機能の開発も進み、内部管理システムとの連携によるデータ活用も可能となりました。

また、顧客接点や内部管理の用途に加えて、IBM Cloud上で営業支援システムやお客さまの手続きをサポートするシステムの構築にも取り組みました。かんぽSOLが開発した同システムは、IBM Cloudのマネージド・コンテナ環境で構築され、全国23,000の郵便局で2万人以上の従業員をサポートしています。システムの健全性を確立するためにIBM® Instana Observabilityも活用することで、さらなる安定性に寄与しています。

IBMは単なるクラウド事業者にとどまらず、私たちのパートナーとして、ともに改善に取り組んでくれました。今後も、こうした顧客に寄り添う姿勢を持ち続けてくれることを期待しています。
惣田 隼矢 氏 かんぽシステムソリューションズ株式会社 クラウドCoE室 室長 
導入後の定期的なサポートを通して、長期的なパートナーシップを築く

IBMは、かんぽSOLのビジネス環境を支えるため、営業・技術・サポート部門が連携した全社的な体制で、継続的な支援を行っています。さらに、クラウド・サービス環境の継続的、安定的な稼働に貢献するため、カスタマー・サクセス・マネージャー(CSM)やテクニカル・アカウント・マネージャー(TAM)といったポスト・サポート体制を提供しています。

CSMは、サービス変更が顧客環境に与える影響を事前に通知し、スムーズな移行計画の立案や移行作業などの支援をします。また、新しいサービス利活用についての紹介やクラウドの進化に追従するスキル習得もサポートしています。TAMは、技術面での問い合わせについて、お客さまの利用状況を考慮し包括的なサポートを提供します。技術的問い合わせの際に発生するチケット起票などの細かい作業や英語で行われるコミュニケーションについて、お客さま視点できめ細やかなサポートを行います。

かんぽSOLの惣田氏は「AI を取り巻くテクノロジーが日々進化しているように、クラウドのサービス変更も頻繁に行われます。そのため、スピーディーなスキル習得はわれわれにとって重要です。IBMには、継続的な支援を期待します」と、所感を述べます。

金融業界での豊富な運用支援実績を背景に、IBMは今後も、高品質なマネージド・コンテナサービスと人によるきめ細かな支援を組み合わせることで、システムの安定稼働とビジネス価値の向上に貢献していきます。

かんぽシステムソリューションズ株式会社について

かんぽシステムソリューションズ株式会社は(ibm.com 外部へのリンク)、かんぽ生命保険の業務を支える巨大システムのソフトウェア設計・開発・保守を行う、かんぽ生命のIT戦略パートナーです。ライフステージに合わせた多彩な保険商品は、全国津々浦々の郵便局が窓口となって販売されています。同社は、そんな日本最大級の生命保険に関わるシステムを構築。決して止まることが許されない、ミッションクリティカルなシステムの設計から開発、運用、保守に至るまで、そのすべてを担っています。かんぽ生命の事業をシステムから支えることで、日本全国のお客さまの暮らしをサポートしています。

製品・サービス Red Hat OpenShift on IBM® Cloud IBM® Cloud IBM® Instana Observability
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引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBMの製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の性能、コスト、削減効果、またはその他の結果は、運用環境によって異なる場合があります。