「海外に住む人々にとって、この国の銀行業の複雑さを理解することは困難です。為替レート、インフレ率、マクロ経済の前提条件に関する非常に多くのシナリオがあるためです」と、IBMビジネスパートナーのKMG Analytics社でコンサルティング・ディレクターを務めるGuillermo Palombella氏は述べています。「プランニングチームは、よく午前2:00までオフィスに残ったり、週末もすべてのスプレッドシートを開いて相互にリンクして作業したりしていました。また、データの一貫性を確認するためにExcelの計算にも多くの時間を費やしていました」

それほど多くのスプレッドシートで作業すると、エラーや遅延の可能性が高まりました。「エラーの多くは、スプレッドシートへデータを入力するときに起こった間違いでした」とCarranza氏は言います。「これらすべてのスプレッドシートが相互リンクしていたので、期待した結果が常に得られるとは限らず、そんなときは再度確認する必要がありました。そこで私たちはプランニング・ソフトウェアの検討を開始し、KMG Analytics社が、当時はTM1として知られていたIBM Planning Analytics with Watsonを紹介してくれました」

ICBC Argentina社は、KMG Analytics社と協議して、IBM® Planning Analytics with Watsonプラットフォームを導入して、使い慣れたExcelインターフェースと連携し、プランニングを統一化および合理化し、すべてのユーザーが同じデータを表示し操作できるようにしました。「連携により、すべてのエリアが同じプラットフォーム上で接続されました。すべてを非常に迅速に統合できます」とPalombella氏は言います。

当初、IBM Planning Analytics with Watsonソリューションは、財務計画と分析の見直しに使用されていましたが、後に他の分野にもその機能を適用しました。同行はアジャイル方式で展開を行い、運用費用と人的資源を管理するためのツールを追加しました。ソフトウェアのモジュール式でスケーラブルなアーキテクチャを生かし、同行は、政府が要求する複雑な銀行ストレステストを実施するために、本当に必要としていたソリューションも実装しました。

KMG Analytics社は、銀行のプランニング、予算編成、レポート作成チームと緊密に連携して、柔軟性を最大限に高めるためにIBM Planning Analytics with Watsonソリューションをセットアップしました。これにより、チームはICBC Argentina社、中国のICBC社の幹部、政府規制当局、アルゼンチン中央銀行向けに損益計算書と貸借対照表を調整できるようになったのです。

「同行は、IBM Planning Analyticsプラットフォームと、より自信を持って迅速にデータを処理する能力を高く評価しています。スプレッドシートへのデータ入力やリンクに関連するエラーや不整合を引き起こすことは、もうありません」とPalombella氏は言います。

Carranza氏のチームは、アジャイル手法を使用してプランニング分析プロセスも開発しました。「当社は現在、ツールに機能を追加しており、データを入力するすべての人が参加しています」と Carranza氏は言います。「例えば、数値に自動インフレ調整を組み込んでいますが、これはスプレッドシートではできなかったことです」

導入中に得られた重要な教訓の1つは、プランニング分析の専門家との緊密なパートナーシップが成功に不可欠だということでした。「KMG Analytics社のプロバイダーと長期的な関係を築き、継続的なメンテナンス契約を結ぶ必要がありました」とCarranza氏は言います。「これほど大きな仕事にはパートナーが必要です。」

AIを組み込んだプランニング・ソリューションとして、IBM Planning Analytics with Watsonは、ワークフローを自動化してプロセスを可視化し、すべてのユーザーにカスタマイズ可能な分析ワークスペースを提供します。AI ツールは、自然言語検索とマルチディメンション式ベース（MDX）のクエリをサポートして高速で強力な分析を行い、組み込みの予測機能により、より正確な予測が可能になります。

IBM Planning Analytics with Watsonを2年以上使った後、ICBC Argentina社は、いくつかの極めて複雑な財務報告タスクで大幅な時間の節約を実現しました。例えば、「What-if」プランニング・シナリオの作成では、このツールを使うことで、2日かかるプロセスを数秒に短縮できました。「私たちが開発したモデルでは、数回クリックするだけで済みます。このソリューションに非常に満足しています」と Carranza氏は言います。

政府指令による銀行のストレステストに準拠するためのレポートの生成には、以前は4週間のスタッフの時間が必要でしたが、現在は2週間でストレステストを実行でき、50%の時間を節約できるようになりました。

より戦略的な観点から見ると、Planning Analytics with Watsonソリューションを使用することは、Carranza氏の部門の変革に役立ちました。「私たちはコストセンターであるため、収益を生み出しません。生み出すのは支出だけです。私たちの主な目的はさらに効率的になることであり、内部プロセスを変えてより良いサービスを提供する必要があります」とCarranza氏は言います。「今では、単に情報を処理するために時間を費やすのではなく、情報の分析により多くの時間をかけることができます。」

アルゼンチンにおける銀行の状況は絶えず変化するため、ICBC Argentina社は将来の規制や変化する経済状況に迅速に対応する必要があります。IBM Planning Analytics with Watsonソリューションは、業務プロセスを合理化し、ワークロードに合わせてスケーリングすることができます。「毎年変更があるため、今後もツールを使い続け、より多くの機能を組み込み、時間とリソースを節約していきます。Planning Analyticsのおかげで、私たちは正しい方向に進んでいると思います」とCarranza氏は言います。

1998年にStandard Bank社として設立され、2011年にICBC社に買収されたICBC Argentina社（ibm.com外部へのリンク）はブエノスアイレスに拠点を置き、17の州に100を超える支店を持っています。3,500人以上の従業員を擁するこの銀行は、100万人の一般顧客と40,000の法人顧客にサービスを提供しています。同行は、4.9兆米ドルを超える資産を持ち世界最大の銀行であるICBC社の一部です。ICBC社は、1984年に設立され、北京に本社を置いています。

ブエノスアイレスとチリのサンティアゴにオフィスを構えるKMG Analytics社（ibm.com外部へのリンク）は、企業がデータを最大限に活用し、自己管理可能なレポートを使ってより良い意思決定を行い、AIと機械学習を使用して予測を改善するのを支援してきた20年以上の経験があります。その他のサービスには、ソフトウェアライセンス、要員計画、販売と運用、ローリング・フォーキャストなどがあります。