生成 AI で挑む業務改革と CX 向上により、「安心」と「安全」をお届けする未来のコールセンターへ

はなさく生命保険株式会社とIBM
大きなオープンプランのオフィスで発信者に挨拶する若いコールセンター担当者

はなさく生命保険株式会社(以下、はなさく生命)は、2018 年に日本生命の 100%子会社として設立され、代理店や郵送、Web チャネルを通じて順調に保有契約件数を増やしています。その成長の中で、顧客体験(CX)の重要なタッチポイントであるコールセンター運用において、2 つの大きな課題に直面しました。

業務の非効率が引き起こした成長への障壁

1つ目の課題は、「管理者の負担が増加している」ということです。同社のコールセンターでは、情報や FAQ が紙のマニュアルや複数のツールに分散しているため、どうしてもオペレーターが必要な情報を検索するのに時間がかかっていました。対応が難しい場合、オペレーターは管理者にサポートを依頼する「手上げ」制度を利用しますが、過剰な「手上げ」回数は管理者の負担になります。一般的なコールセンターでは、管理者 1 名が 6〜10 名のオペレーターを担当しますが、はなさく生命では管理者 1 名が3 名のオペレーターを担当する状況が続いていました。これに加え、マニュアルや FAQ の整備が追いついておらず研修期間も長期化するなどの課題もあり、迅速に「照会」ができるツールの導入が必要になっていました。

2つ目の課題は、「通話後の処理時間が長い」ことです。現状 1 件のお問い合わせに対して、通話時間が平均 6 分、後処理が 9 分、合計 15 分を要していました。この後処理には、Salesforce などのシステムへの情報入力が含まれますが、この長い後処理時間のためオペレーター1 人が対応できるお問い合わせ件数は 1 時間 4 件に制限されます。対応時間短縮のためには「応接」システムを整備することが急務となっていました。

顧客中心のサービスが求められる保険業界で競争力を維持するため、はなさく生命は現在、これら 2 つの大きな課題の抜本的な改革を進めています。これは単なるプロセスの効率化にとどまらず、はなさく生命の掲げる「2026 年までに 25%の生産性向上と CX の向上」を達成するために不可欠なものです。

2 倍
1人の管理者がサポートできるコールセンター・オペレーター人数

2/3
生成 AI の導入により通話後の処理時間が9分から6分に短縮

25%
はなさく生命が2年間で目指す生産性向上率
お客さまの案内もここ数年、紙からデジタルへと移行しており、 コールセンターにおける応接もデジタル化が進んでいます。これ までにないCXを提供し、いずれは業界標準を超えた世界標準のコ ールセンターを実現していきたいです。そのためにもIBMとの共創がカギとなってきます。
西藤 泰輝 氏 はなさく生命保険株式会社 取締役 CS戦略部長
デジタル変革による期待以上の効果

管理者の負担と応答時間の課題を解決するために、はなさく生命は生成 AI プラットフォームである IBM watsonx の導入を決断しました。はなさく生命のビジネス環境と運営ニーズに最適化したソリューションの構築により、デジタル変革が大きく前進することが期待されます。

IBM watsonx は、多様なデータソースを活用し、AI モデルの開発、調整、運用を効率的にサポートする強力なプラットフォームです。はなさく生命はこのプラットフォームの中心製品である「watsonx.ai」と大規模言語モデル(LLM)を活用し、分散していたツールセットや業務の非効率性の克服を目指しました。はなさく生命 取締役 CS 戦略部長の西藤泰輝氏は、日本 IBM の Client Engineering チームとともに実施したPoC(概念実証)1 を通じて生成 AI の可能性を実感し、期待以上の効果を感じたと言います。

IBM Client Engineering はお客様のビジネス課題に向き合い、アジャイル開発の手法を用いて迅速かつ効率的に MVP(最小実行可能製品)2 開発と検証を行う専門組織です。IBM Client Engineering は、無償で約 1 ヶ月間、お客様と共創活動をしながら PoC を実施します。そのため、お客様は生成 AI ソリューションの導入を決定する前に、必要な検証を行うことができ、安心して投資の意思決定ができます。PoC では、深い業務知識や技術的な専門性に基づき、お客様とのディスカッションを通じてニーズに合わせて開発した MVP を実際に検証し、その フィードバックを元に1週間程で改善を行います。このサイクルを数回繰り返すことで、お客様に最適なシステムを構築していきます。また、お客様の依頼内容をそのまま開発するのではなく、生成 AI や関連技術の特性を最大限に引き出しつつ、業務要件とシステムの運用・保守性 のバランスを取り、さらには経営計画を含めたお客様の将来像を見据えて仕様を検討し、お客様の持つ課題を真に解決することを目指します。

はなさく生命のカスタマーサポート・マネジメント・チームは、この IBM Client Engineering との共創活動を通じて、AI を使用したナレッジ検索・回答生成を「照会サポート」として検証しました。IBM watsonx.ai を用いたこの取り組みにより、生成 AI が信頼できるソリューションであるという認識がはなさく生命の社内にも広まりました。

 

 

1PoC: Proof of Concept。新しいアイデアなどの実現可能性を示すためだけに行われる、部分的なデモンストレーション。
2MVP: Minimum Viable Product。ユーザー・顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト。

未来型コールセンター実現への前進

IBM watsonx を導入したことにより、はなさく生命は理想として描いていた未来のコールセンター像を現実のものにしつつあります。

導入当初、AI の「照会」機能の正答率は 50%にとどまっていましたが、IBM Client Engineering とのPoC により、正答率は 80~90%まで向上しました。また、商品に改定があった際には自動的に回答内容を更新する機能を追加したことにより、マニュアル作成・編集の手間が大幅に軽減され、検索精度も向上します。従来のマニュアル内容に加え、約款に関する情報、厚生労働省の公開情報も案内できるようになり、短時間で顧客へのより適切な案内が可能になりました。これにより、オペレーターの「手上げ」回数が減少し、1人の管理者が 6 名のオペレーターを管理できる環境の実現が期待されています。

IBM watsonx の導入により、顧客情報や履歴、問い合わせの緊急度に基づいたスクリプトを自動生成できるようになり、管理の効率化が進んでいます。この自動生成機能により、高い正答率を維持しつつ、ドキュメントの更新も簡単に行えるようになっています。さらに、AI がオペレーターを支援し、顧客の状況に応じて質問を省略・追加することで、迅速で柔軟な対応が可能になりました。応答記録の自動生成により後処理の時間も短縮され、全体の生産性向上が見込まれています。2024 年 12 月には、IBM watsonx を組み込んだ「照会サポート」サービスの提供を開始する予定です。

「照会サポート」のサービス開始以降のロード・マップとして、2025 年度には IBM watsonx と CRM システム、更には AI 音声認識技術である AmiVoice(アミボイス)との連携により、次世代の「応接サポート」を実現する計画です。そして 2026 年には、 IBM watsonx とボイスボット(自動音声応答システム)を連携させ、実現すれば保険業界でも先進的なオペレーターを必要としないコールセンターの「自動応答」の実現を目指しています。

生命保険業界の CX 向上に貢献するため AI の精度を向上し、 安全かつ信頼性の高い AI テクノロジーでお客様の取り組みを支えていきたいと IBM は考えています。そして今回の取り組みを通じて業界全体に波及するような CX 向上を目指す西藤氏は、業界標準を超えるコールセンターの実現に向け、IBM との共創が不可欠だと感じています。

はなさく生命保険株式会社について

はなさく生命保険株式会社(ibm.com 外部へのリンク)は「新たな発想でお客様一人ひとりの人生をサポートし続ける」という企業理念に基づき、日本生命グループの一員として設立されました。事業基盤の維持・発展を通じて業界の発展に貢献しており、ステークホルダーとの対話を通じ、安心・安全で持続可能な社会の実現を目指しています。またサステナビリティ重要課題を選定し、その解決に向けた取り組みを推進しています。

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このカタログの情報は2024年9月現在のものです。仕様は予告なく変更される場合があります。記載の事例は特定の顧客に関するものであり、すべての場合において同等の効果が得られることを意味するものではありません。効果は顧客の環境その他の要因によって異なります。製品、サービスなどの詳細については、弊社もしくはビジネス・パートナーの営業担当員にご相談ください。

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