顧客体験と従業員体験を変革

IBM Process Miningを導入したCredemは既存のデータから各種のプロセスのボトルネックを突き止めるとともに、自動化によって時短とコスト削減の実現が最も見込まれる領域を特定することが可能になりました。またCredem銀行はこのソリューションを利用して、IBM Cloud Pak for Business Automationやロボティック・プロセス・オートメーション（RPA）などの自動化ツールを使用した場合の投資利益率の予測値を算出することもできます。

さらにCredem銀行は、IBM Cloud Pak for AutomationのBusiness Automation Workflow機能を適用することで、複数のシステムやレガシー・アプリケーションで稼働するビジネス・プロセスのモダナイズと管理を可能にしています。加えてIBM Cloud Pak for Business Automationの運用上の意思決定管理の機能を活用することで、銀行のさまざまなシステムのビジネス・ルールを特定して、それらのシステム全体のルールを単一のコンソールで集中管理しています。

一例を挙げると、Credem銀行は小売店舗で顧客が使用するクレジット・カードのチェックと承認のプロセスにおいて自動化できる領域をIBM Process Miningで特定しました。この特定された領域に対してCredem銀行はIBM Cloud Pak for Business Automationのビジネス・オートメーション・ワークフロー機能を適用し、承認時間を4日から1日に短縮し、年間約50万ユーロのコスト削減を実現しました。

「当面は集中的に手作業や紙ベースのプロセスの自動化と、すべてのアクティビティーのトラッキングを進め、必要に応じてRPAを適用します。この変革の目的は、従業員を反復的な作業から解放し、より価値の高い作業に集中できるようにすることです」と、Credem銀行オートメーション・センター開発者であるFrancesco Ferrara氏は述べています。

「当行では完全なデジタル・プロセスを大幅に増やして、既存のアーキテクチャーやIT手順と統合していきたいという長期計画を立てています」と、CredemのITプロセスと自動化プラットフォームのマネージャーであるLuca Bonfatti氏は付け加えています。「IBM Cloud Pak for Business Automationの業務自動化ワークフロー機能を人工知能などのツールや機能と連携させてその効果をさらに引き出すことで、この計画を実現できると考えています。ビジネス・プロセスと当行のアーキテクチャーを完全に統合したうえでプロセス・マイニングの機能を利用することで、ビッグデータの管理とより効果的な分析が可能となるでしょう」

このソリューションが試行されたのは2020年で、Credemにはこの年に400%もの融資の申し込みが殺到しました。この急増した業務に対応するため、Credem銀行は融資の申請プロセスについて深く理解する必要に迫られました。IBM Process Miningを使用することで、Credem銀行は融資の申請プロセスの自動マッピングに成功しました。これにより、同一プロセス内での重複した顧客文書の要求や、期限内に承認が得られないなどのボトルネックを特定できるようになっただけでなく、プロセスのパフォーマンスを監視して案件のリードタイムとコストを予測できるようになりました。

プロセス・マイニングの導入前にこの種の分析をするときにはITサポートや社内インタビューが不可欠でしたが、インタビューで得られた情報には不正確で不完全なものもありました。 プロセス・マイニングを導入した結果、リードタイムに悪影響を及ぼしている手戻りの多さが明らかになり、その根底にある冗長性が特定されました。最終的に、Credem銀行は、従業員が融資を処理する時間を70%削減できました。