Credem銀行は、IBM® Process Mining*とIBM Cloud Pak® for Business Automationソリューションを選択しました。バックオフィスのプロセスや、信用調査などの重要なお客様サービス関連のプロセスを含む社内プロセスを分析し、自動化をはかったのです。その目的は、監視と制御を可能にしながら、コストを削減し、効率を向上させて価値を生み出すことでした。2つのソリューションはそれぞれ独立して選択されたものですが、当初から補完関係にありました。実際、現在もIBM Process MiningはIBM Cloud Pak for Business Automationの基本機能として組み込まれています。

Credem銀行は、卓越した顧客エクスペリエンスと従業員エクスペリエンスを創造するというビジョンを実現するために、ITの専門家と非ITの専門家からなるグループを設立し、プロセスと自動化に特化したITプラットフォームと、オートメーション・センターと呼ばれるセンター・オブ・エクセレンスを共同開発しました。このセンターは、技術、プロセス、銀行業務の専門知識を結集して、主要なオートメーション・テクノロジーに基づいた統合ソリューションを開発し、IBM自動化ソリューションの選択と実装において重要な役割を果たしました。

IBM Process Miningを導入したCredem銀行は、既存のデータを使用してプロセスおよび領域のボトルネックを特定し、自動化によって時間とコスト効率を最も大きく改善できるようになりました。Credem銀行はこのソリューションを使用して、IBM Cloud Pak for Business Automationやロボット・プロセス・オートメーション（RPA）などのオートメーション・ツールを使用した場合の投資利益率の予測値を計算することもできます。

Credem銀行は、IBM Cloud Pak for AutomationのBusiness Automation Workflow機能を適用して、複数のシステムまたはレガシー・アプリケーションで実行されているビジネス・プロセスの最新化と管理を可能にしています。同行はまた、IBM Cloud Pak for Business Automationの運用上の意思決定管理機能を活用し、銀行のさまざまなシステム上のビジネス・ルールを特定して、単一のコンソールからこれらのシステム全体のルールを一元管理しています。

例えば、Credem銀行はIBM Process Miningを使用して、小売顧客向けのクレジット・カードのチェックと承認のプロセスで自動化できる領域を特定しました。IBM Cloud Pak for Business Automationのビジネス自動化ワークフロー機能を適用して、承認にかかる時間を4日から1日に短縮し、結果として年間約50万ユーロのコスト削減を実現しました。

「短期的な目標としては、手作業かつ紙ベースのプロセスを自動化すること、すべてのアクティビティを追跡すること、必要に応じてRPAを適用することに集中して取り組みます。その狙いは、価値を創造し、従業員を反復的な作業から解放し、より価値の高い活動に集中できるようにすることです」と、Credem銀行のオートメーション・センターのオートメーション開発者、Francesco Ferrara氏は述べています。

「長期的には、完全にデジタル化されたプロセスを大幅に増やし、銀行のアーキテクチャーやIT手順と統合したいと考えています」とCredem銀行のITプロセスとオートメーション・プラットフォーム・マネージャーのLuca Bonfatti氏は付け加えます。「そうすることで、人工知能などの他のツールや機能とリンクして、IBM Cloud Pak for Business Automationのビジネス自動化ワークフロー機能をさらに活用できます。ビジネス・プロセスと銀行のアーキテクチャーを完全に統合することで、プロセス・マイニング機能をサポートしてビッグデータを管理し、より効果的な分析を利用できるようになります」

このソリューションは2020年に試験的に導入され、この年に400%もの融資の申し込みが殺到しました。増加する負荷に対処するため、融資申請プロセスを深く理解する必要に迫られました。IBM Process Miningを使用することで、同行は融資プロセスを自動的にマッピングし、ボトルネック（1つのプロセス内で重複するお客様からの書類の要求や、時間的制約のある承認取得の遅れなど）を特定し、プロセスのパフォーマンスを監視し、案件のリードタイムとコストを予測することができるようになりました。

以前は、この種の分析にはITサポートや社内の聞き取り調査が必要でしたが、そうした方法で得られる情報は不正確あるいは不完全なものもありました。しかし、この新たな方法により、リードタイムに悪影響を及ぼす大量の手戻り作業が明らかになり、根本的な冗長性が特定されました。最終的に、Credem銀行は従業員がローンの処理に費やす時間を70%削減することができました。

「IBMのプロセス・マイニングとオートメーション・テクノロジーの活用により、2019年から2022年第1四半期までに91件のオートメーションが実施され、社内コストとサービス・コストを約140万ユーロ削減できました」と、Credem銀行のオートメーション・センターのコンピテンス・リーダーであるStefano Bevivino氏は言います。従業員は、予測や統計分析のためのデータに簡単にアクセスし、プロセスをチェックおよび監視し、意思決定プロセスを追跡し、さまざまなプロセスからのデータを一元的に表示できるようになります。

銀行の利用者にとっては、ローンやクレジット・カードの承認が迅速になり、プロセス関連の誤りが減って、モバイル・バンキングへのアクセスが向上するといったメリットがあります。また、紙の使用量が減り、銀行に出向く必要性が減るため、環境への影響も少なくなります。

時間とお金の節約は十分実感できるものでした。例えば、インターネット・バンキング・キャンペーンの情報提供および販売機能を自動化した結果、年間180,000ユーロ節減できました。以前は、営業組織が書面をしたため、手作業で処理していました。現在、このプロセスは、IBM Cloud Pak for Business Automationがサポートするモバイル・テクノロジーを搭載したカスタマー・オンボーディング・ウェブ・プラットフォーム上で実行され、ワークフローとRPAを追跡して、レガシー・システム上でインターネット・バンキングを利用可能にしています。

お客様の信用格付けの審査プロセスを自動化することで、同行のお客様は審査プロセス全体を通じて自分の信用口座に継続的にアクセスできるようになりました。これにより年間140,000ユーロのコスト削減が可能になりました。また、Credem銀行は銀行口座の閉鎖プロセスを合理化することで、閉鎖にかかる時間を20日から10日に短縮しました。

銀行は自動化への取り組みを進める中で、IBM Cloud Pak for Business Automationの機能をさらに活用すること、つまりナレッジ・ワーカーにRPA機能を提供することを検討しているほか、デジタル・トランスフォーメーションのビジョンを実現するためにAIと機械学習にも目を向けています。

「私たちが選択したソリューションでは、テクノロジーを明確に把握し、どのプロセスが最大のメリットをもたらすかを理解し、適切なテクノロジーでプロセスを自動化し、自動化によって生成されたデータを使用してよりしっかりと定義されたプロセスを作成できるようになります」とTorelli氏は述べています。「そうすることで、より正確なモニタリングが可能になり、迅速な意思決定が促進され、デジタル変革が加速されます」

*このケース・スタディーで紹介されているクライアントは、当初、2021年8月1日にIBMとして事業を開始したmyInvenioと提携していました。このケース・スタディーに登場するmyInvenio製品、myInvenio Process Miningは、現在IBM Process Miningとして知られています。

Credem（ibm.com外部へのリンク）は、1910年に設立され、イタリアのレッジョ・エミリアに本社を置くナショナル・プライベート・バンクです。100万人以上の顧客を抱えるイタリア最大の銀行の1つです。Credem銀行は全国19の地域に拠点を置き、6,000人以上の従業員を擁しています。同行は、マルチチャネル・アプローチを使用してパーソナライズされた顧客サービスを提供することを重視しています。