基幹システムの最新化プロジェクトは当初、BNP Paribas Partners for Innovation(BP2I、BNP ParibasとIBMが対等出資する合弁会社)内で実施され、フランスの小売銀行を対象に実施されていましたが、将来的には銀行全体に拡大する予定です。このプロジェクトには4つの基本的な指針があります。それは、開発者に自主性をもたらすこと、開発者に責任を担わせて関与させること、効率化と自動化を通じて開発環境とテスト環境を最新化すること、エンタープライズ・システム環境とオープン・システム環境の開発アプローチとツールを統合することです。
「IBM Zプラットフォームにオープン・ツールを導入することで、オープンな世界とZの世界の開発者が同じ言語で話せるようにすることを目指しました」とLoumassine氏は言います。「しかし、ツールはそれ自体が目的ではありません。最終的には、新しい文化と新しい働き方という目的を達成するための手段なのです」
BNP Paribasの基幹プラットフォームは数十年にわたって構築され、プロセスとツールを着実に増やすことで、開発者用の静的な環境が構築されました。その結果、以前と同じ方法で物事を進め続ける傾向が生じたため、開発者がオープン・システムの世界で他の開発者の俊敏性に匹敵しなくなってしまいました。
「私たちは、創造的破壊を行って、基幹システム開発者の役割を完全に改革したかったのです」とLoumassine氏は振り返ります。「過去に根付いた習慣を打ち破るにはリスクが伴うため、プロジェクト全体を通じてIBMと緊密に連携しました。IBMフランスとの既存の緊密な関係を基盤に、米国のIBM Z Labsと連携しましたが、彼らは非常に迅速に対応して課題を解決できることがわかりました」
BNP Paribasは、IBM Z上で開発とテスト業務を最新化するため、新しい統合開発環境(IDE)としてIBM Developer for z/OSを導入し、柔軟な開発とテストを実現するIBM Z Development and Test Environment、さらにデータ管理のためのIBM InfoSphere® Optim™ソリューションも導入しました。同行は、オープンソースのGitツールをソースコード管理(SCM)ソリューションとして導入しており、テスト中のコード・カバレッジを測定し、環境評価中にアプリケーションをマッピングするために、IBM Application Discovery and Delivery Intelligenceの導入を検討しています。
「新しいツールを導入するに伴い、コードの作成とテストの効率性が大幅に向上していることがすでに確認されています」と Loumassine 氏はコメントしています。「長期的にさらに重要なのは、開発者に自主性とコントロールを付与することです。彼らは今、独自の開発環境を設定する責任を担っており、当行はそれらの環境に対する権限/役割を開発者に付与することができます。それは、従来のLPARではリスクが大きすぎて、おそらく不可能であったでしょう。
IBM Developer for z/OSへの切り替えからもたらされた効率性は、特に回帰テストの期間と範囲を改善することによって、品質にもその効果が反映されています。最終的には、テストを改善することで、エンドユーザーにリリースされるソフトウェアの品質と堅牢性が向上し、下流の修正の必要性が減ります。
BNP Paribasは、IBM ZサービスをRESTful APIとして公開し、他のアプリケーションから呼び出して利用するための戦略的ツールとして、IBM z/OS Connect Enterprise Editionも導入しました。「モダナイゼーション・プロジェクトによって、エンタープライズ・システム上で実行されているサービスへの理解とコントロールが向上しています」とLoumassine氏は言います。「IBM Z上で稼働しているアプリケーションやビジネス・ロジックを公開できれば、それだけビジネスや顧客に付加価値を提供することことができます」BNP Paribasは、敏捷性に優れた最新の開発プラクティスとサービスを導入したことで、ハイブリッド・クラウド戦略の中で、IBM Z上のビジネス・クリティカルなデータとトランザクションをシームレスに利用できるようになりました。