モバイルバンキングのみを提供するメキシコ初の銀行、Banco Sabadell S.A.がメキシコにおけるオンライン・バンキング事業を切り開いた際には、スペインを拠点とする同社の親会社がITインフラストラクチャーの運用とメンテナンスを担当しました。しかし、セキュリティとデータ保護に関するローカル・ポリシーと規制要件を遵守するため、Banco Sabadell社の幹部はメキシコ国内のITインフラストラクチャーをただちにクラウドベース・サービスへ移行しました。
この銀行は、課題に直面しました。それは、サービスとしてのバンキング（BaaS）ビジネス・モデルが、マイクロサービスから作成され、DevOpsプロセスを用いて開発されたクラウドネイティブ・アプリケーションに依存していたことです。しかし、同社のクラウド・サービス・プロバイダーは、DevOps管理に関する専門知識を十分に持ち合わせておらず、このために新しいサービスやアプリの市場投入に遅れが生じていました。さらに、クラウド・サービス自体も停止に見舞われ、顧客サービスに支障が出てしまいました。
その解決策は、より信頼性の高いクラウド・テクノロジーだけでなく、環境を管理し、ソフトウェア開発プロセスを改善するための専門知識を持ち合わせた新しいテクノロジー・プロバイダーを選択することでした。
広範囲のリーチを実現
革新的なオンライン・バンキング・プラットフォームがメキシコ全土 100万人の顧客にサービスを提供
初のモバイル・バンク
モバイルサービスのみを提供する メキシコ初の銀行
Banco Sabadell社は、BaaS（サービスとしての銀行）モデルの展開と管理におけるサポートを受け、全国100万人に及ぶクライアントにリーチするためのデジタル・ソリューションとサービスのイノベーションを継続していくために、IBM Consulting™ を選択しました。
2018年、Banco Sabadell社はIBM Cloud®へワークロードのデプロイを開始しました。まず、開発およびテスト用クラウドとして、IBM Cloud上に4台の仮想マシン（VM）と4台のBare Metal Serverをデプロイしました。
2019年から2020 年にかけて、同銀行はIBM Cloudの使用を拡大し、さらに50台を超える追加のVMをデプロイし、スペインのBitter Water Data CenterからメキシコのIBM Cloud Data Centerへとワークロードを移行しました。この環境では、VMware on IBM Cloudサービスに基づくVMwareファームを用いて、移行の俊敏性と柔軟性を実現しました。メキシコを拠点とする唯一のクラウドとして、セキュリティーとデータ保護に関するポリシーや規制要件への対応に貢献しています。
Banco Sabadell社は自社アプリケーションをIBM Cloudへ移行し、仮想マシンとIBM Cloud Bare Metal Serverの両方にワークロードをデプロイしています。同社は、IBM Cloud for VMwareソリューションを用いてVMwareのワークロードを移行しました。金融機関のコンプライアンス管理に役立つこのソリューションは、頑強なセキュリティーを備えた自動化デプロイメント・アーキテクチャーです。
さらに、Red Hat® Enterprise Linux®（ibm.com外部へのリンク）上で稼働するIBM Cloudサービスは、Banco Sabadell社に柔軟性とスピードをもってバンキング環境を効率的に管理する機会を提供し、さらに顧客体験の改善に役立ちます。
Banco Sabadell社のCOOであるFernando Boza氏は次のように述べています。「 サービスとしての銀行」 モデルの先駆けであることにより大きな課題に直面した同社は、、 業界における豊かな経験を有するIBMのサポートを必要としていました。」
Banco Sabadell社は、IBM パブリッククラウドでインフラストラクチャーをホストし、Red Hat Enterprise Linuxを用いてアプリケーションをモダナイズすることで革新的なサービスを顧客に提供します。
また、IBM チームは、モバイル・デバイスをマネージド・サービスとして管理するために IBM® MaaS360® テクノロジーを用いたアプリケーション・モニタリング用ダッシュボードを作成し、新しい災害復旧（DR）サービスを実装しました。
開発面では、IBMソフトウェアのエキスパートが旧プロバイダーの DevOps作業を引き継ぎ、新しいケイパビリティーを追加しました。エキスパートらは、アプリケーションの開発、配信、統合の継続的なサイクルを実現するための、アジャイルかつ反復的なプロセスを考案しました。市場を牽引するKubernetesオーケストレーション・プラットフォームである Red Hat OpenShift®とRed Hat Enterprise Linuxに基づくオープン・ハイブリッドクラウド環境は、サービスとしてのコンテナ（CaaS）の基盤となります。
CaaSはクラウド・コンピューティングのモデルであり、これにより開発者は、オンプレミスのリソースまたはクラウドを用いたコンテナ・ベースの抽象化を通じて、要件に最適なアプリケーションのデプロイや管理を行い、拡大縮小や更新、その他の主要なIT機能を自動化することができます。このようにCaaSは、より効率的でモダナイズされたIT環境の実現に役立ちます。
この銀行の主な取り組みの1つは、 IBM API Connect® テクノロジーによって実現したBaaSモデルです。このソリューションは銀行のAPIを統合し、フィンテック企業や大企業が Banco Sabadell社と協力して新しいオンライン金融サービスやアプリを構築するための最初の連絡窓口として機能するワークスペースを作成します。
クラウド移行、マネージド・サービス、API Management、CaaSは、同社のBaaSプラットフォームを改善するための基礎的なステップであり、競合他社との差別化を図るための新しいアプリやサービスの開発における鍵となります。
もう1つの重要な取り組みは、 IBM Cloud Pak® for Dataを用いてさまざまなソースのデータを統合する「ゴールデン・ソース・リポジトリー」の構築です。Cloud Pak for Dataにより、Banco Sabadell社は信頼できるデータへアクセスできるようになり、企業レポート用に準備するデータ量を削減できます。ゴールデン・ソース・リポジトリーはデータ・ガバナンスを実現し、リスク報告と海外株式預託証書（GDR）慣行に関するリスクデータ集計（RDA）の原則に対するコンプライアンス管理をサポートします。幅広いデータ管理機能を通し、ビジネス・ユーザー、データ・エンジニア、データ・サイエンティスト、アプリケーション開発者により迅速かつ信頼性の高いデータ消費を提供することにより、俊敏性と生産性を改善します。
「当社は、IBMをグローバル・テクノロジー・パートナーに選び、IBM Cloudをベースとしたハイブリッドクラウド・インフラストラクチャーの開発をサポートすることで、より良いサービスの提供や顧客体験の向上を継続的に実現しています。」と、Boza氏は述べています。
IBMコンサルティングのチームは、Banco Sabadell社の伝統的なIT環境をIBMのパブリッククラウドに移行し、高可用性を実現するためにセキュリティーを強化して設計されたITインフラストラクチャーを構築しました。
金融サービス業界における豊かな経験を備えたIBMのオープン・パブリッククラウド戦略は、Banco Sabadell社の運営に関するイノベーションの推進とコンプライアンス施策の継続に役立ちます。
この変革は、アプリのモダナイゼーションとクラウドネイティブ開発のための基盤を整え、銀行のAPIをパートナーに公開することにより顧客に豊かな体験を提供する新しいデジタルサービスを開発し、さらに地域全体におけるバンキングの未来を再設計するための一助となります。
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メキシコのマルチバンキング機関として3年以上にわたり事業を展開し、国内10カ所の都市に拠点を持つBanco Sabadell社 （ibm.com外部へのリンク）は、2020年11月30日現在、約880億MXNのコーポレート・バンキングおよびクレジット・ポートフォリオと約440億MXNの回収額を報告しています。
同社は、モバイル・バンキングを100％利用可能にし、メキシコ・フィンテック協会に加盟したメキシコ初の銀行でもあります。これにより、同社は豊かなデジタル戦略を策定し、「サービスとしての銀行」に注力した製品の先駆者となりました。
Banco Sabadell社は、総資産が2250億ユーロを超えるスペイン第4位の銀行グループであるBanco Sabadell Groupに属しています。同社は、20カ国の国々で国際的に活動し、2500カ所以上のオフィスと約 2万6000人の従業員を擁する、この事業部門の大手フランチャイズです。
法務
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2021年1月
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