英国で最も乾燥した地域の1つに水およびウォーターリサイクル・サービスを供給するAnglian Water社は、リサイクルを含め、一滴一滴が大切に扱われていることを確実にしなければなりません。現在実施されている効率性とサステナビリティープログラムの一環として、Anglian Water社は運用におけるレジリエンスの変革、リスクの軽減、何百万人もの顧客を対象とするサービスの強化に取り組んでいます。
何百万もの世帯および事業顧客がAnglian Water社に依存しています。重要なバックオフィス・インフラストラクチャーの耐用年数が終わりに近づく中、サービス・レベルを強化し、さらに改善するためにはどうすればよいでしょうか?
Anglian Water社は、重大なSAPソリューションをIBM® Power Systems™サーバーとIBM Db2®データベースに移行することで、ビジネス・リスクの軽減、オペレーティングコストの削減、サービス効率性の向上に取り組んでいます。
Anglian Water社は、イングランドとウェールズの地理的領域において給水・リサイクル水を取り扱う最大の会社です。この地域の年間降水量は平均わずか600ミリメートルで、イングランドの他の地域に比べると3分の1以下となっています。このように限られた供給量と長期に及ぶ干ばつは、600万人以上の顧客に持続可能な給水・リサイクル水サービスを提供する責任を負う同社にとっての継続的な課題となっています。
Anglian Water社は、SAP® Business Suite(リンク先はibm.comの外部サイト)と、SAP for Utilities(リンク先はibm.comの外部サイト)を利用して、コアビジネス・プロセスの管理を行っています。これには、人事、運用、財務、顧客への請求が含まれます。たとえば、顧客がコンタクト・センターに電話をかけ、技術員がメンテナンスの作業指示を受け入れると、データはSAP Business Suiteソリューションにより提供、管理、処理されます。
事業体において重要なこれらのSAPアプリケーションは、耐用年数が終了したインフラストラクチャーに実装されました。メンテナンスは、事前に予約されたダウン時間にのみ完了できます。通常は現場作業やトランザクションボリュームが少ない日曜日に行われます。
SAPプログラム・リーダーの Sam Mellodew氏は次のように説明します。「当社では、できる限り優良なサービスを顧客に提供するよう努めています。つまりこれは、問題の発生時にコンタクト・センターのチームが情報に迅速にアクセスし、迅速な対応と適切で役に立つサービスを提供できるようにするためには、信頼性の高いバックオフィス・システムが必要であることを意味します。」
「システムの老朽化に伴い、ビジネス・リスクが増大しました。計画休止時間においては、紙面のレコードに切り替えるようアドバイスしましたが、これにより業務効率と顧客サービスが影響を受けた可能性があります。」
「既存のIT インフラストラクチャーでは、将来的なキャパシティーの条件を満たすことができないことは明らかでした。メンテナンスのためのダウン時間が増加するにつれて、コスト、効率性、回復力の課題を解決する目的で設計された完全なシステム・リフレッシュを優先する方向にバランスが傾きました。」
Anglian Water社は、同社を代表してデータセンターをホストするパートナーであるCapgemini社に対し、ベンダーと協力して可能なインフラストラクチャーソリューションを提案するよう求めました。提供されるソリューションは、Ofwat(水道業界規制当局)が定義する次の資産管理期間(AMP)に向けた同社の事業計画にも適合する必要がありました。
Sam Mellodew氏は次のようにコメントしています。「私たちは、高可用性、改善された効率、優れた所有コストと、当社のサステナビリティーの理念をサポートする効率性を兼ね備えたサーバーおよびデータベース・プラットフォームを求めていました。
「IBM Power SystemsとIBM Db2プラットフォームは、システム回復力の改善を含め、災害復旧の強化からデータ圧縮まで、あらゆる分野における運用上の大きなメリットをもたらしました。私たちは、新しいプラットフォームやデータベースへの移行のリスクと期待されるメリットとのバランスをある程度とりました。
「リーダーシップ・チームにビジネス・ケースを提示した結果、IBM Power SystemsとDb2の組み合わせが、ハイパフォーマンスかつスケーラブルで、実績があり、信頼性が高く、アジャイルなプラットフォームをSAPに提供し、大幅なコスト削減を実現する最適な組み合わせであると判断しました。」
Anglian Water社は、CapgeminiおよびIBMとの統合チームとして9カ月のプロジェクトに取り組み、インフラストラクチャーのデプロイメントとSAPアプリケーションおよびデータベースのマイグレーションを完了しました。Expert IBM Db2 SAP Migration ServicesとIBM Systems Lab Servicesは、Capgemini社およびAnglian Water社と緊密なチームワークを築きました。
Sam Mellodew氏は次のように述べています。「プロジェクト全体を通し、チームワークとコラボレーションは素晴らしく、様々な組織やタスクの間で仲裁を行う必要はありませんでした。IBM とCapgemini社の間の境界線は私達にとっては存在せず、全員が『1つのチーム』としての視点を持ち、成功するソリューションの提供に集中していました。」
「特に、IBMは、期待すべきテクニカルな改善と、それによりもたらされる事業体のメリットについて、常に明確かつ透明性を確保していました。約束を現実にすることにより結果に対するリスクを正確に評価できたため、これが正しい選択であったという確信を持つことができました。」
Anglian Water社は、24台のマシンを、IBM POWER8®プロセッサー・ベースの IBM Power® System E850を6台、そしてIBM Power System S822のサーバー2台に置き換え、IBM AIX®とIBM Db2ソフトウェアを稼動させました。これらは、Capgemini社が2棟のデータセンターでホスティングしました。
SAP Business Suite、SAP for Utilities、SAP Business Warehouse、SAP Enterprise Portal (リンク先はibm.comの外部サイト)を含むコア・ソリューション、SAP Gateway(リンク先はibm.comの外部サイト)とSAP Process Orchestration (リンク先はibm.comの外部サイト)は、8月の連休中、土曜日から月曜日にかけてIBM Db2へ移行され、火曜日の朝にはすぐに稼動しました。
マイグレーションの際、Anglian Water社はDb2が提供する高度なアダプティブ圧縮機能を活用して総データ・ボリュームを約5TBから2TBへと60%程度縮小し、将来的なストレージ投資の必要性を劇的に削減しました。さらに、SAP NetWeaver / ERPとDb2のリリース・サイクルは一致しているため、同社はアプリケーションとデータベースの新機能をニーズに合わせたペースで利用することができ、結合ソリューションの提供するメリット、可用性、安定性を最大限に高めることができます。
Power Systemsのサーバーは、IBMキャパシティー・アップグレード・オンデマンド (CUoD)機能を備えており、デプロイされた容量の使用を最適化しながら、必要に応じてピーク時の処理条件に合わせてスケールアップする柔軟性を提供します。
さらに、プロセッサー数の削減により、バッチ処理時間が最大で40%改善されただけでなく、ソフトウェアとデータベース・ライセンスのコストを抑えることに成功しました。また、バッチ処理時間が短縮されたことで、Anglian Water社のITディビジョンはサービス・レベル・アグリーメントに準拠し、その条件を上回り、さらに経営陣のビジネス上の意思決定プロセスにタイムリーな情報を提供できるようになります。
「効率と納入・引渡しに関する目標はすべて達成しました」と、Sam Mellodew氏はコメントしています。
重要なSAP ソリューションをIBM Power SystemsサーバーとIBM Db2データベースにマイグレーションすることにより、Anglian Water社はビジネス・リスクの軽減、効率改善、オペレーティングコストの削減を実現しました。
Sam Mellodew氏は次のように説明します。「当社の新機能は、当社の情報システムによって継続的にサポートされ、Anglian Water社の顧客に高品質で即応性のあるサービスを提供するのに役立ちます。運用面では、ダウン時間が減少することで紙ベースのプロセスに切り替える必要性が最小限に抑えられ、プロダクティビティーと継続性が大幅に改善されます。」
このソリューションは、5年間のOfwat規制期間を満たし、さらにそれを超えるように設計されており、Anglian Water社に付与された AMP支援金の制限内で事業体、顧客サービス、効率性の目標達成を支援します。回復力と災害保護が改善されたことによりビジネス・リスクが大幅に軽減され、このソリューションにより、将来の成長を促すより大きなキャパシティーがもたらされます。
「新しいIBM Power SystemsとDb2ソリューションは、データベース・ライセンスとサポートのコストが低く、データ・ストレージとバックアップのコストも削減されるため、コスト効率が非常に優れています。」と、Sam Mellodew氏はコメントしています。「このようなコスト削減により、重要な顧客対応サービスやサステナビリティープログラムなど、事業体の他の分野において資金を最大限に活用することができます。
「当社のSAPアプリケーションとデータをIBM Power SystemsプラットフォームとIBMのDb2にマイグレーションすることで、効率が向上し、運用コストが削減され、当社の事業体に新たなレジリエンスがもたらされました。これらは、持続可能かつさらに優れた給水・リサイクル水サービスをお客様に提供するために不可欠な要素です。これは、一滴一滴を大切に扱う必要があるためです。」
Anglian Water社(リンク先はibm.comの外部サイト)は、イングランドとウェールズの地理的領域において給水・リサイクル水を取り扱う最大の会社であり、600万以上の世帯および事業顧客にサービスを提供しています。Anglian Water社は、2万7500平方キロメートルを網羅する11万2833キロメートルのパイプを通じて、1日あたり約12億リットルの水を収集、浄水、配水しています。また、雇用者数は約4000人です。
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2021年8月
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