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Smarter Business

保険業界で注目されるプロセス・マイニング

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桑田 洋之介氏

桑田 洋之介氏
Celonis株式会社
第二営業本部長

IT商社、セキュリティーSW会社を経て、大手外資系ITベンダーにて約15年勤務。保険会社向けのパッケージSW・関連サービスビジネスの営業、保険事業部門にてアカウントチームの営業部長など、保険業界に約10年携わる。他、アプリケーションSW部門立ち上げ、ソフトウエア営業部長等も経験。2022年6月よりCelonis株式会社にて金融機関、自動車、製造業を担当。

 

中村 彰子

中村 彰子
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
保険・郵政グループサービス事業部
インダストリーコンサルタント

SIer、外資系生命保険会社、コンサルティングファームを経て2021年にIBMに入社。
入社以降、保険のシステムや業務知識、およびコンサルティング力を活かして様々なプロジェクトに従事。直近では、生命保険会社様向けにCelonis活用に向けた分析・検討プロジェクトをリード。

 

池田 直子

池田 直子
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
保険・郵政グループサービス事業部
インダストリーコンサルタント

外資系損害保険会社、コンサルティングファームを経て2022年にIBMに入社。20年の損害保険のほとんどを保険金支払部門で経験。損調系システムに関わるプロジェクトやデータ分析の経験を活かし、国内外のプロジェクトに従事。プロセス・マイニングのオファリングを担当。

プロセス・マイニングは、デジタル時代に保険会社のお客様の変革を支えるプロセス管理手法です。多種多様なプロセスが存在する保険の各業務領域で、プロセス・マイニングが保険会社にどのような価値を提供するのか、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)の保険コンサルタントの二人が、プロセス・マイニング大手でIBMと戦略的パートナーシップを結ぶCelonis株式会社(以下、Celonis)の桑田氏に、対談形式で質問しました。

――プロセス・マイニングとはどのような技術なのでしょうか? 

桑田 プロセス・マイニングは、企業のビジネスプロセスを可視化・分析し、業務の効率化やコスト削減、さらには品質向上、顧客満足度の向上などビジネス上の問題解決に役立てることができるプラットフォームです。
Celonisは2011年にドイツで設立されたプロセス・マイニング世界最大手の企業です。

プロセス・マイニングの概要|デジタル・データによる可視化のイメージプロセス・マイニングの概要|デジタル・データによる可視化のイメージ width=

池田 保険業界でも、プロセス・マイニングの導入や紹介を求めるお客様が増えてきていると感じています。その理由について、桑田さんはどのようにお考えですか?

桑田 データ・ドリブン経営への関心が高まっていることが一つの要因かと思います。データ・ドリブン先進事例をドイツ本社で日本のお客様に紹介したところ、非常に感銘を受けていました。
そのような需要があり、保険業界のお客様からの問い合わせの増加やプロセス・マイニングへの関心につながっていると思います。

――保険業界での経験が豊富なお二人から見ると、プロセス・マイニングは保険ビジネスにとって、どのようなメリットがあると考えますか?また、IBMの強みはどこにありますか? 

中村 データを取得して業務を可視化するだけではなく、その先の打ち手に繋げ、効果を算出するところまでご支援、ご提案できることがコンサルティングサービスの価値だと考えています。保険会社の業務やお客様の困り事がわかるコンサルタントがご支援できるところが我々の強みと思っています。

池田 損害保険会社出身の私は、データ分析には柔軟性が求められると考えています。自分が立てた仮説とは異なる洞察を得ることもあるので、毎月同じ指標だけを追いかけるだけでは、環境変化に対応できません。そのためには、ビジネス部門のお客様であっても容易にデータを扱うことができる点は重要です。その時々でお客様が必要なデータをお客様自身で見やすい形に生成できる操作性が必要です。

理想は、我々コンサルタントがサポートしなくても、お客様自身が自律的、継続的にPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)を回していけたらいいなと考えています。
あと、個人的にはデジタルツインを使ったシミュレーション機能はお客様にご紹介したいと思います。エクセルでは再現できない機能ですね。

中村 コードを使うことなくダッシュボードが作成できるなど、多くのシステムとのコネクターを持っているところもありがたいですね。
桑田さんご自身はCelonisの強みがどこにあると考えていますか?

桑田 製品としての優位性は第三者評価機関からも評価されておりますが、これまでの導入実績をもとにした提案のフレームワークや業種別の事例、提案テンプレートなどがしっかりと整備されている点は強みの一つです。また、プラットフォームの提供に加えて、「人」「ノウハウ」の部分も非常に強いと感じています。

池田 そのノウハウはどのように蓄積されたものなのですか?

桑田 多くの導入実績から蓄積されております。ドイツ本社からGlobalでの導入を経験したVE(Value Engineer;Pre-sales兼CSM的なRole)が日本に来て、お客様をサポートすることもあります。彼らは非常に真面目でスキルも高く、評価されています。業務改革を推進するための組織のあり、そのノウハウなども豊富に持っています。弊社にはユーザー顧客の改革リード役割のリソースもおりますが、そのリーダーは、過去に顧客側でCelonisを使って業務改革をリードしていました。自身の経験を活かして弊社ユーザー顧客の改革支援をリードしています。

池田 私は『プロセス・マイニングの衝撃』という書籍を読みました。IT化が進む自動車業界の代表格である欧州の自動車メーカーの事例は特に印象的でした。プロセス・マイニングを導入することで、プロセスの透明性が向上し、非常に効果的な業務改善が行われたことが紹介されています。そのようなグローバルの知見やノウハウを共有しているのですね。

桑田 こちらのお客様は弊社の中でも先進的なお客様で、最初はバックオフィス業務から導入され、お客様自身がCelonisを理解し、その後製造領域へ適用され、生産性向上にも寄与している事例です。このような改革のジャーニーを中長期的に実現するためには、パートナー企業との協力は必須であると考えております。

プロセス・マイニングの概要|業務を可視化した後の世界プロセス・マイニングの概要|業務を可視化した後の世界 width=

――日本でのIBMとCelonisのパートナーシップに関して、今後の展開をどのように考えていますか?

桑田 お客様やその業界のことを熟知し、お客様と長期間にわたって構築された信頼関係を持つIBM様とCelonisの持つノウハウを融合し、さまざまな領域で協業できると思っています。

中村 最近、大手生命保険会社様に導入いただきました。現在も別のお客様に導入しようとしています。Celonisとの協業で、さらにお客様に価値を提供でき、さらに強い信頼関係を構築していけたらと考えています。他業種の成功事例を学びながら、保険業界の改革に貢献したいですね。次回はこのブログで、ぜひ実際にプロセス・マイニングを導入されているお客様の声を紹介できればと思っています。