これら 10 社のお客様は、IBM Blockchain を使用して組織に革命を起こしています。同様に、貴社にも革命を起こせるのです。
IBM Blockchain によって会話が具体的なビジネス成果に変わる
進歩的な企業は、日々、ブロックチェーンの力を実利のあるビジネス成果に変えています。さらに、それを IBM Blockchain で実現しています。
しかし、企業のブロックチェーン・ソリューションの構築と導入は、自社だけでは取り組めないほど大きなものになっています。IBM Blockchain が部門と作業分野、業種と組織、国と文化を越えた参加事業者の結び付けをどのように支援できるのかをご覧ください。
ノルデア銀行は欧州の他の大手金融機関と協力して、IBM Cloud 上で稼働する IBM Blockchain Platform を基盤とした貿易金融プラットフォーム「we.trade」を構築し、中堅企業が国際貿易に従事できるようにしました。
国際貿易は国境を越えた売買であり、新たな市場機会となります。グループとしての中堅企業 (SME) は、国際貿易から最大限の利益を引き出すことができますが、いわゆる取引先リスクを緩和するための態勢が最も整っていないのも中堅企業です。
we.trade のメンバーは欧州の代表的な大手銀行であり、国境を越えた貿易のための保護されたエコシステムであると見なされています。この we.trade プラットフォームを実現したテクノロジーが、IBM Blockchain と IBM Cloud です。
「IBM とのパートナーシップと他行とのコラボレーションによって、私たちだけでは成し得なかったことが可能になりました。私たちは、たちどころに現在の欧州 SME 市場の 30% を占めることができるようになったのです。」
— InBlock 社副社長、Jay Baek 氏
「IBM とのパートナーシップと他行とのコラボレーションによって、私たちだけでは成し得なかったことが可能になりました。私たちは、たちどころに現在の欧州 SME 市場の 30% を占めることができるようになったのです。」
— InBlock 社副社長、Jay Baek 氏
フィンテック (IT を活用した金融サービス) のスタートアップ企業である InBlock 社には、ブロックチェーン内で価額のやり取りや保管に使用できる新しい暗号通貨であるメタコインを発行し管理するという構想がありました。
InBlock 社は、Hyperledger Fabric を基盤とした暗号通貨メタコインを発行して効率的に運用するために設立されました。InBlock 社は、暗号通貨の技術的欠陥を克服することを目標としており、IBM LinuxONE を使用してデジタル資産の商用取引をさらに高速化し、より便利かつ安全なものにしています。
「InBlock は IBM の LinuxONE を使用することで、既存のプロトコルによって発行された暗号通貨の技術的欠陥を克服し、デジタル資産の取引をさらに高速かつ安全なものにします。」
— InBlock 社副社長、Jay Baek 氏
「InBlock は IBM の LinuxONE を使用することで、既存のプロトコルによって発行された暗号通貨の技術的欠陥を克服し、デジタル資産の取引をさらに高速かつ安全なものにします。」
— InBlock 社副社長、Jay Baek 氏
クローガー社は米国有数の食品小売業者であり、食品業界の他の企業と同様に、多くの課題に直面しています。その中でも最大の課題は、トレーサビリティーです。連邦規制によって、企業は自社のサプライ・チェーン全体を把握しなければならなくなりました。最終的に、商品をどこで入手したのか、その商品は食べても安全かどうかだけでなく、その商品がどこから来ているのかについても正確に把握しておく必要があるためです。
米国有数の食品小売業者であるクローガー社にとって、食品のリコールは非常にコストがかかります。影響を受けていない商品まで、売り場から撤去されることも珍しくないからです。食品のトレーサビリティー用に業界固有の IBM モジュールを備えた Hyperledger ブロックチェーンを導入することにより、同社は納入業者と協力して農場から売り場まで食品を追跡することができ、回収しなければならない商品と、お客様にとって安全な商品を特定できるようになりました。
「食品業界には、私たちがまさに今直面している多くの課題があります。最大の課題の 1 つにトレーサビリティーがあると言えるでしょう。食品のトレーサビリティーと証明書管理用に、IBM はカスタマイズしたモジュールをブロックチェーンの上に構築しました。」
— クローガー社コンプライアンスおよび納入業者完全性プログラム・マネージャー、Steve O’Nan 氏
「食品業界には、私たちがまさに今直面している多くの課題があります。最大の課題の 1 つにトレーサビリティーがあると言えるでしょう。食品のトレーサビリティーと証明書管理用に、IBM はカスタマイズしたモジュールをブロックチェーンの上に構築しました。」
— クローガー社コンプライアンスおよび納入業者完全性プログラム・マネージャー、Steve O’Nan 氏
企業の意思決定に対する委任投票は、長い間コストも時間もかかるプロセスでした。投票の匿名性の放棄を受け入れないことが特徴として挙げられる、開示拒絶実質株主 (OBO) は、特に問題となる委任有権者の区分です。
NuArca 社は IBM とチームを組んで、IBM Blockchain Platform を基盤としたブロックチェーン投票ネットワーク・ソリューションを導入し、開示拒絶実質株主と彼らの票を直ちに委任投票サイクル内に表示できるようにしました。これにより、提案の支持者たちは、自分たちの望む結果を達成するために、より多くのコストを費やすのかどうか、また、そのコストをどこで費やすのかについて最適な決定を行うことができるようになりました。ブロックチェーン・ソリューションは、投票プロセスの透明性と監査能力を確保しつつ OBO の匿名性を保ちます。
「委任投票に関するブロックチェーンのユース・ケースが非常に強力であることは誰も否定しませんが、今までそれをやり遂げた人はいませんでした。」
— NuArca 社最高経営責任者兼共同設立者、Todd Cooper 氏
「委任投票に関するブロックチェーンのユース・ケースが非常に強力であることは誰も否定しませんが、今までそれをやり遂げた人はいませんでした。」
— NuArca 社最高経営責任者兼共同設立者、Todd Cooper 氏
Plastic Bank 社は、ブロックチェーンと IBM Cloud のテクノロジーを活用して、海洋プラスチックの収益化に役立つアプリケーションを構築しました。
近年、世界中のあらゆる海でのプラスチック汚染の問題に対する認識が高まってきました。認知度が高まっているのは確かですが、問題の根本的原因の抑制はほとんど行われておらず、推定 800 万トンのプラスチックが毎年海に流出しています。Plastic Bank 社には、地元の住民がプラスチックごみを金銭に変えることができるようなリサイクル・システムを世界の経済的に恵まれていない地域に設置するという構想があります。
Plastic Bank 社は IBM Cloud 上で稼働する、セキュリティーに優れた拡張可能な報酬システム — ブロックチェーン・バンキング・プラットフォーム — を構築しました。
クラウドへの前進と移行は、私たちの成長とともにはるかに有意義なものとなりました。私たちが世界中の国で導入を続けるにあたって、IBM Cloud が役に立ちます。」
— Plastic Bank 社 CEO 兼創立者、David Katz 氏
「クラウドへの前進と移行は、私たちの成長とともにはるかに有意義なものとなりました。私たちが世界中の国で導入を続けるにあたって、IBM Cloud が役に立ちます。」
— Plastic Bank 社 CEO 兼創立者、David Katz 氏
コンサートやスポーツ・イベントのチケットを購入する人々にとっての大きな問題は、偽造です。転売市場でチケットを購入する場合、常にその脅威にさらされます。ブロックチェーン・テクノロジーは、エンドツーエンドの透明性とチケット販売ビジネスに著しく欠けていたセキュリティーを織り込む、理想的なツールを提供します。
True Tickets 社は、IBM Blockchain パートナーである Chateaux Software Development 社と協力して、Hyperledger Fabric を採用したチケット販売システムを IBM Blockchain Platform 上に構築しています。チケット販売ソリューションは、2 つの重要な成果をもたらします。1 つ目は、すべての購入者と販売者を特定することでチケットの出所を作成して保持し、チケットが本物でありそれを購入する人が正当な購入者であることを保証することです。2 つ目は、チケット販売プラットフォームが変更不可能な台帳として機能し、チケットの作成からイベントでの使用まで、そのライフサイクルの各段階を通してアーティスト、会場、主催者、ファンがチケットを追跡できることです。
「私たちはブロックチェーンを使用してより賢明なやり方でチケット販売ができるようにしていますが、すべては、ブロックチェーンに投入されるすべてのデータは永続的であるという事実を基に成り立ちます。」
— True Tickets 社共同設立者兼代表取締役社長、Steven Dobesh 氏
「私たちはブロックチェーンを使用してより賢明なやり方でチケット販売ができるようにしていますが、すべては、ブロックチェーンに投入されるすべてのデータは永続的であるという事実を基に成り立ちます。」
— True Tickets 社共同設立者兼代表取締役社長、Steven Dobesh 氏
貿易は市場経済の中心にありますが、多くの銀行では貿易取引をする上で重要な要素である貿易金融商品を数十年にわたって開発していません。欧州の 12 の大手金融機関 — カイシャバンク、ドイツ銀行、エルステ・グループ、HSBC 銀行、KBC 銀行、ナティクシス、ノルデア銀行、ラボバンク、サンタンデール銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行、UBS 銀行、ウニクレディト銀行 — の共同事業である we.trade は、2017 年にブロックチェーン・プラットフォームを構築し、参加企業の貿易取引プロセスにおけるあつれきを軽減し、プロセスを容易にしました。
乗り越えるべき障壁
世界経済の成長は、企業間の貿易にかかっています。しかし、資金調達、取引先リスク、支払いの速さに関係する課題がたびたび貿易の障壁となります。
国際的な貿易取引によって新たな収入源の開拓と増収が可能になり、企業は内部投資を増やして開発を加速できるようになります。しかし、他の国の顧客との取引には、長く、困難でコストのかかる交渉も含まれており、例えば、購入者が支払いをしない場合はどうなるのか、といったリスクも伴います。
従来、銀行は仲介業者としての役割を担い、商用取引のための資金供給をする貿易取引のまとめ役でした。しかし、銀行は何十年もの間、貿易金融のデジタル化を行っていませんでした。そして、貿易金融は銀行にとって拡張が容易なものではなく、大多数の企業にとっても非常に複雑でコストのかかるものでした。そのため、約 70 パーセントの企業が貿易金融サービスに手を伸ばせる状況にありませんでした。さらに、国際貿易取引に関連する法的手続きは面倒で時間を要するものが多く、迅速な取引の妨げとなっていました。
we.trade の共同設立者である Roberto Mancone 氏は、次のように述べています。「銀行が実施してきた従来の貿易金融モデルは、数十年もの間更新されませんでした。銀行と企業の両方が制約されていました。銀行はプラットフォームを拡張してすべての顧客がそれを利用できるようにすることはできませんでしたし、企業も取引先リスクに晒されることを望みませんでした。
we.trade は、この業界をもっとシンプルかつ効率的なものにすることができると信じています。それによって、あらゆる規模の企業がより簡単かつ安全に国境を越えた貿易を行うことができるようになり、世界経済の成長を促進することになるでしょう。私たちはこれを実現できるプラットフォームの開発を目的としています。」
ブロックチェーン上での自動化
we.trade は IBM と協力してスマート・コントラクトと分散台帳テクノロジーを使用するブロックチェーン貿易プラットフォームを IBM Cloud 上に構築し、企業がシームレスかつ簡単に、信頼感を持って貿易を行えるようにしました。IBM® Cloud™ は Linux Foundation の Hyperledger Fabric フレームワークを使用して、国境を越えた貿易に関連するあつれきを軽減し、企業が国際商業取引を簡単に実施できるようにします。
企業は取引のある銀行を経由してブロックチェーン・プラットフォームにアクセスできるため、取引相手を信用することに対する潜在的な懸念が取り除かれます。これまでは、海外のパートナーとの貿易に関連する多数の法的、財務的、文化的なリスクによって、企業が国際的な貿易に対して消極的になっていた可能性があります。しかし、we.trade プラットフォームのすべてのユーザーは、国際的な顧客確認 (Know Your Customer) プロセスを踏んできており、適用される反マネー・ロンダリング法を遵守していることが保証されているため、そうしたリスクが大幅に軽減されます。
ブロックチェーンは、単一の事業体による制御が不可能であり、単一障害点のない安全な共有データベースとして機能します。ブロックチェーンにデータを入力すると、タイム・スタンプと固有の暗号署名が付与されます。we.trade と IBM によって開発されたブロックチェーン・プラットフォームには、分散台帳テクノロジー (DLT) とスマート・コントラクトという 2 つの主要な機能があります。これらの機能は、あらゆる規模の企業が国際貿易に加わることができるようにします。
DLT はすべての関係事業者が貿易取引に関する同じ情報に同時にアクセスできるようにし、いずれの事業者もこのデータを操作できないようにします。A 社が B 社との貿易契約書の条項に変更を加えると、ブロックチェーン内の暗号ハッシュが変更され、直ちに B 社、銀行、他の仲介業者を含むすべての関係事業者が変更に関する通知を受け取ります。
多くの場合、契約の履行を保証することの難しさが、他国の企業と貿易を行う際の障壁となります。キャッシュ・フローは貿易契約の適時の履行に依存している可能性があるため、支払いや商品の引き渡しの遅延は、大きなダメージとなり得ます。
we.trade に組み込まれているスマート・コントラクトは、この種の取引先リスクを排除します。このスマート・コントラクトにより、取引において一方の事業者が、ブロックチェーン内に記録されている合意済みの必要な条件を満たした場合、支払いプロセスが自動的に実行されることが保証されます。スマート・コントラクトにより、すべての関係事業者が即時トリガーを受け取ります。このトリガーには、一方の事業者が契約書にどのように従っているかが示され、さらにもう一方の事業者が支払いの送金といった処理を実行に移さなければいけない期限を通知する内容が含まれています。契約がプラットフォームのコードに書き込まれるという事実によって、基盤となる法制度や法的な施行機構が不要になります。
we.trade は、IBM の高度な専門知識と金融サービス部門との協業における豊富な経験により、部分的なテクノロジー・パートナーとして IBM を選択しました。さらに、世界中への複雑なプロジェクトの導入を可能にする、IBM の 世界的な展開力にも深く印象付けられました。これは、we.trade のグローバルな目標をかなえるために欠かせないものだからです。競合他社とは異なる、プラットフォームのあらゆる側面の開発やサポートを行う IBM の技術力もまた、鍵となる差別化要因でした。
we.trade は、IBM Blockchain Services と連携してプラットフォームを実装しました。プラットフォームに対する we.trade の目標について明確なイメージを持つことができるように、IBM チームはプロジェクトの開始時に企業の要件について機能分析を行い、何度も話し合いを持ちました。チームは実用最小限のネットワークを構築してから、わずか数カ月で we.trade の要求に合わせて調整された定義済みのオペレーティング・モデルを備えた商用プラットフォームへと進みました。
国際貿易の簡素化
we.trade プラットフォームは、2018 年 7 月に実際の商用取引による本稼働を開始しました。we.trade は現在、更新バージョンの立ち上げで IBM と協業しており、2018 年 10 月には we.trade プラットフォームに新たな 3 つの銀行が加入し、地理的範囲が 13 の国にまで拡大されたことを発表しました。
未知の取引先との貿易に関連するリスクの排除に加えて、すべての関係事業者に表示される貿易に関するリアルタイム情報の「ワンストップ・ショップ」の作成、およびスマート・コントラクトによる自動支払いのトリガーによって、このプラットフォームは、企業による国際的な貿易の開始を促進するさらなる幅広いメリットをもたらします。
これらの中で鍵となるものが銀行支払確約 (BPU) です。販売側にとって、BPU は、このプラットフォームにより既に最小限に抑えられている取引先のリスクを銀行に移転するものです。これは、企業が取引先に支払わなくてはならない代金を支払えない場合、その取引をまとめている銀行が中間納付を行うことを意味します。購入側にとって、BPU は、貿易金融の供与を請け負うことを意味し、取引を極めて簡単に完了できるようにするものです。
we.trade はさらなる発展とより広範囲の顧客基盤の獲得を見据えています。現時点で、プラットフォームのユーザーの大部分は、ブロックチェーン・テクノロジーにこれまで最も興味を示してきた業界である、金融サービス企業です。しかし、we.trade は物流企業や保険会社からの高い関心も得ており、間もなくこれらの業界の企業のオンボードを求めることになるでしょう。プラットフォームの発展に伴い、IBM Blockchain Services が新しいメンバーのオンボーディングを支援します。
より多くの参加企業を獲得することは、we.trade の収益源の拡大と多様化につながります。プラットフォームを使用する企業の数と業種の増加はまた、貿易会社自体にとっての好循環を生み出すことになります。潜在的な取引先の数が多ければ多いほど、より多くのユーザーが同じプラットフォームで目的のものを得ることができるようになります。we.trade は、企業がプラットフォーム上で適切な取引先を簡単に探し、話し合いをして、取引を行うことを決断できる場所である、貿易用の便利なディレクトリー・サービスを効率的に構築しています。
より多くの参加企業を獲得することは、we.trade の収益源の拡大と多様化につながります。プラットフォームを使用する企業の数と業種の増加はまた、貿易会社自体にとっての好循環を生み出すことになります。潜在的な取引先の数が多ければ多いほど、より多くのユーザーが同じプラットフォームで目的のものを得ることができるようになります。we.trade は、企業がプラットフォーム上で適切な取引先を簡単に探し、話し合いをして、取引を行うことを決断できる場所である、貿易用の便利なディレクトリー・サービスを効率的に構築しています。
we.trade について: we.trade は欧州の 12 の大手金融機関によって、透明性が高く、安全で簡略化された企業と銀行のための貿易環境を構築することを目的として開発された革新的なブロックチェーン・プラットフォームです。
「we.trade によって私たちはこの業界をもっとシンプルかつ効率的なものにすることができると信じています。それによって、あらゆる規模の企業が国境を越えた貿易を行うことができるようになり、世界経済の成長を促進することになるでしょう。」
—Roberto Mancone 氏、we.trade 共同設立者
「we.trade によって私たちはこの業界をもっとシンプルかつ効率的なものにすることができると信じています。それによって、あらゆる規模の企業が国境を越えた貿易を行うことができるようになり、世界経済の成長を促進することになるでしょう。」
—Roberto Mancone 氏、we.trade 共同設立者
建設会社は請負業者や一時的な仕事の作業員を雇用する際、作業の開始前に保険証明書の提出を求めます。しかし、この証明書を取得して提出するには、複雑な手作業によるプロセスのために数日から数週間かかることがあります。マーシュ社では顧客のために毎年数百万もの保険証明書の書類の作成支援をしているため、経営陣はこのことを熟知していました。
毎年数百万もの保険証明書の作成支援をする保険会社として、マーシュ社はこれを IBM Blockchain テクノロジーを活用してプロセスを簡略化して改善するチャンスと捉えました。IBM Services チームは、許可済みのすべてのネットワーク・メンバーがアクセスできる変更不可能な保険証明記録を作成して効率を高め、取引に対してあらゆる関係事業者の信頼を高めるための証明書プロセス内の開始点として、マーシュ社による Salesforce.com と IBM Blockchain Platform の統合を支援しました。
「私は IBM によるオープン・ソース・コミュニティー、特に Hyperledger プロジェクトに対する投資とコミットメントを目にしてきました。この IBM の取り組みこそ、IBM とパートナーになることが私たちにとって大きな意味があると思わせるものでした。」
— マーシュ社最高デジタル責任者兼データ分析責任者、Sastry Durvasula 氏
「私は IBM によるオープン・ソース・コミュニティー、特に Hyperledger プロジェクトに対する投資とコミットメントを目にしてきました。この IBM の取り組みこそ、IBM とパートナーになることが私たちにとって大きな意味があると思わせるものでした。」
— マーシュ社最高デジタル責任者兼データ分析責任者、Sastry Durvasula 氏
RCS Global 社は、データに基づく、信頼性の高い調達における主要企業です。同社はデータを活用して、サプライ・チェーンにおける信頼性の高い天然資源の採掘の慣行を検証します。RCS Global 社は、サプライ・チェーンのすべての段階にある企業と協業し、信頼性の高い人権活動と環境に関する法令遵守の監査・監視を通じて、信頼性の高い調達に対する市場と利害関係者の期待に応えます。同社は、サプライ・チェーンのすべての段階におけるデータへのアクセス、可視性、透明性を確保するという課題に取り組んできました。特に労働環境や、リスクが発生した場所よりもはるかに下流にある企業の状況などを見通す必要があります。
データに基づいた信頼性の高い調達におけるリーダーである RCS Global 社は、IBM と協力して信頼性の高い調達のためのブロックチェーン・ネットワークを構築しました。IBM Blockchain プラットフォームは、ブロックチェーン上で互いに取引や情報の交換を直接行うことができる有効な企業のネットワーク基盤を提供します。これにより、サプライ・チェーンで鉱物を追跡していくにあたり、企業間での信頼を築くことができます。ブロックチェーンは信頼できる安全な環境を提供することで、効率化をもたらし、ブロックチェーンを使用しなければ自社で実施しなければならなかった監査コストを削減します。
「信頼性の高い調達へのブロックチェーンの導入は、変革をもたらすものでした。それによって、今まであり得なかったような企業間の信頼が築かれたのです。」」
— RCS Global 社グループ最高経営責任者、Nicholas Garrett 博士
「信頼性の高い調達へのブロックチェーンの導入は、変革をもたらすものでした。それによって、今まであり得なかったような企業間の信頼が築かれたのです。」」
— RCS Global 社グループ最高経営責任者、Nicholas Garrett 博士
iPoint-systems GmbH は、製造業で使用される鉱物の原産地を検証するブロックチェーン・ネットワークの迅速な立ち上げを支援する技術的な専門知識を必要としていました。
iPoint 社は IBM Garage を指名し、コンゴ共和国やルワンダ共和国のような紛争地域や高リスク地域の採掘所の鉱物を追跡するためのブロックチェーン・パイロットを IBM Cloud 上で迅速に開発して立ち上げるための支援を依頼しました。ブロックチェーン・テクノロジーは、「紛争鉱物」がサプライ・チェーンを進んでいく際にその資源に関する変更不可能な記録とデジタル・ツインを提供することで、「紛争鉱物」が重要な製品で使用されないようにするのに役立ちます。
サプライ・チェーンにおける紛争鉱物の追跡
多くの人が「ブラッド・ダイヤモンド」や「紛争鉱物」という言葉をご存じでしょう。それらは、採掘される地域のさまざまな戦争や紛争の資金源となる天然資源を示しています。紛争資源はダイヤモンドをはるかに超えた広がりを見せ、携帯電話、電気自動車のバッテリー、その他のハイテク製品に使用される鉱物が含まれます。さらに、昨今の「紛争」には、戦争の資金源だけではなく、児童労働、強制労働、現代の奴隷制、悪しき環境慣行も含まれます。
EU と米国は規制を拡張し、紛争地域や高リスク地域から鉱物を購入する企業に対して、これらの資源の持続可能で紛争とは関係のない調達を命じるようになりました。これには米国のドッド・フランク法が含まれます。この法律は、上場企業は製造している製品の機能や生産に必要な鉱物がコンゴ共和国原産かどうかを証券取引委員会に公表するよう命じています。「3TG」として知られるスズ (Tin)、タンタル (Tantalum)、タングステン (Tungsten)、金 (Gold) の輸入業者を管理する EU の同様の規制 (2017/821) は、2021 年に施行されます。
政府による監視に加えて、一般の認知度の高まりは、使用する製品と購入先の企業が紛争や人権侵害に手を貸していないということを、消費者が知りたがっているということを表しています。
「多くのテクノロジー・ブランドや自動車ブランドが、自社の製品が児童労働や奴隷制度とは関係がなく、紛争に手を貸していないということを保証することに強い関心を持っています。」と iPoint SustainBlock プロジェクトのプロジェクト・リーダーである Sebastian Galindo Schaly 氏は述べています。「私たちのソリューションで、こうした企業をサポートしたいと思っています。」顧客によるその他のコンプライアンスや持続可能性の課題への対処に役立つ SustainHub ソリューションをすでに提供している iPoint 社は、3TG 資源を採掘所から市場まで追跡できるソリューションを構築することにしました。
iPoint 社は、採掘所と鉱物源で持続可能かつ信頼できる運営がなされているかを検証するためのブロックチェーン・ベースのソリューションの設計に着手し、上流の購入者が米国と EU の規制への準拠を確認できるようにしました。ルワンダやコンゴのような国の小規模から中規模の採掘所でさえ、責任を持って事業を行っていることを証明しなければなりません。このプラットフォームは、採掘所に持続可能性と紛争とは関係のない採掘の要件に準拠するための報奨金を与えるため、最終的に採掘環境を改善します。
iPoint 社はこのトレーサビリティー・プラットフォームの開発に着手したとき、ソリューションを EU 3TG 規制開始に間に合わせるよう確実に稼働させるためには、ブロックチェーン・テクノロジーについて自社より高い専門知識を必要とすることに気付きました。ソリューションをゼロから作成して苦労するよりも、iPoint 社は IBM Garage のブロックチェーンの専門家に頼ることを選択しました。
理想的なブロックチェーンのシナリオ
iPoint 社は IBM Garage と協力して IBM Enterprise Design Thinking™ 手法を使用し、IBM Cloud 上で SustainBlock ブロックチェーン・ネットワークのパイロットを迅速に開発し、立ち上げました。このパイロットは、アフリカ大湖地域のような紛争地域や高リスク地域の採掘所の鉱物を追跡します。
ブロックチェーン・テクノロジーにおける IBM のリーダーシップを知っていたため、iPoint 社は IIBM Garage for Blockchain のコンサルタントに会ってみることにしました。iPoint 社のソフトウェア・アーキテクト兼 SustainBlock の主任開発者である Marjan Stanković 氏は、「私たちが最初に気付いたのは、IBM の社員が Hyperledger とブロックチェーン・テクノロジーについて話す能力が高いということでした。」と述べています。
IBM Garage のコンサルタントは、優れたブロックチェーンのユース・ケースがあるということをすぐに iPoint 社に伝えました。さらに、iPoint 社が実際のブロックチェーン・パイロットを立ち上げるための最速の方法として、MVP へと導く Enterprise Design Thinking 手法を提供しました。「私たちは別のプロバイダーと協業することで時間を無駄にしたくありませんでした。」と Stanković 氏は述べています。「私たちの現実の問題について、IBM と話し合うことができました。私たちは IBM Garage にとても満足していましたし、感銘を受けてさえいました。」
iPoint 社と IBM チームはそれぞれの専門知識を共有しました。IBM のサプライ・チェーン用のブロックチェーンと Hyperledger Fabric についての深い知識、および iPoint 社の信頼性の高い鉱物サプライ・チェーンにおけるデータ収集プロセス、持続可能性、説明責任においての経験です。これは、Garage チームにとって例外的なシナリオでした。なぜなら、何も書かれていないホワイトボードを使用して取り掛かるのではなく、iPoint 社には十分に開発されたふさわしいブロックチェーン・プロジェクトのための特定の要件があったからです。
SustainBlock: 未来に向けたブロックチェーン
IBM Garage チームとの協業を始めてから 4 週間以内に、iPoint 社のための MVP (Minimum Viable Product) が IBM Cloud 上に構築されました。ブロックチェーンをテストするときが来ました。
EPRM (European Partnership for Responsible Minerals) と BetterChain からのサポートを得て、iPoint 社は SustainBlock のパイロットを立ち上げました。ブロックチェーン・テクノロジーによって iPoint 社は、リソースの「デジタル・ツイン」を作成できるようになりました。これにより、実際の鉱物がサプライ・チェーンを移動するように、採掘所から、精錬所、製造業者まで「デジタル・ツイン」を追跡できるようになりました。
iPoint 社がパイロットを立ち上げることができたスピードが、プロジェクトの成功に重要な役割を果たしました。最初に IBM Garage のところに来たとき、iPoint 社は既にソフトウェア要件を作成済みであり、すぐに MVP に着手することを望んでいましたが、デザイン思考アプローチについてはやや疑念を抱いていました。「当初、私たちは疑問を抱いており、デザイン思考フェーズに時間がかかりすぎるのではないかと思っていました。」と Galindo 氏は述べています。「結局、それは適切な時間でした。」
Stanković 氏は「技術者である私にとって、IBM チームの専門知識がなかったら起こり得たであろう試行錯誤アプローチで苦労して時間を無駄にしなかったことは、間違いなくメリットだったと言えます。」と賛同しています。IBM Garage と共に初めてデザイン思考アプローチを採用した後、Stanković 氏は納得しました。「Garage のアプローチは、iPoint 社内で再利用できるものでした。」と述べています。「それは時間とリソースを節約します。さらに、結局はこうした節約がコスト削減となって現れるのです。」
このパイロットでは、アフリカ大湖地域の過酷な採掘環境と労働環境にある 2 つのタングステン採掘現場に焦点を当てています。相手先商標製造業者 (OEM) は、信頼性を持って鉱物を調達するためにサプライ・チェーンに関する理解を深めるだけでなく、既存および将来の規制への準拠をより的確に管理する構えです。
小規模から中規模の採掘業者から調達している鉱物に関するトレーサビリティーを製造業者に提供することに加えて、Galindo 氏は「私たちは紛争地域や高リスク地域にある小規模から中規模の採掘業者の労働環境の改善に努めています。」と語っています。ネットワークに参加するには、企業は信頼できる事業慣行に従っていることを証明する必要があります。その後、採掘業者がブロックチェーン・ベースのコンソーシアムの一員になり、継続的な顧客とのつながりが築かれると、そうした業者が採掘技術と採掘環境を絶えず改善していくことができます。
2019 年 4 月、iPoint 社最高経営責任者 (CEO) Joerg Walden 氏は、INATBA (International Association of Trusted Blockchain Applications) のソーシャル・インパクト・ワーキング・グループの共同議長に選任されました。同グループは、ブロックチェーンは今日人類が直面している最も差し迫った問題の一部に取り組むための固有のツール・セットを提供すると考えており、テクノロジーを使ってとりわけ現代奴隷、貧困、汚職の問題の解決を支援することを目標としています。
iPoint 社は、現在と将来にわたりブロックチェーン・テクノロジーを使用することに大きな可能性を見いだしています。同社は、テクノロジーを将来的な試みに取り入れて、新しいサーキュラー・エコノミー (循環型経済) に企業が加わっていけるような支援を目指しています。EU は、製品の原料の継続的なリサイクルと再利用による廃棄物の大幅な削減を目的としたサーキュラー・エコノミー・フレームワークを構築しました。「私たちは設計、製造、使用、リサイクルの各フェーズを通して情報を持ち運ぶデジタル・ツインを開発し、そうした原料を入手してそれらを新しいサイクルに再度取り込みたいと考えています。」と iPoint 社イノベーション・ハブ CircularTree 創設者である Gunther Walden 氏は述べています。
iPoint 社について: 2001 年設立。iPoint 社は、製品とプロセスのコンプライアンスおよび持続可能性に重点を置くソフトウェアとサービスのプロバイダーです。同社は、製品コンセプトから使用、リサイクルと再利用に至るまで、サプライ・チェーン全体にわたるデータの管理、追跡、レポートを行う専用ソフトウェアを提供します。iPoint 社はドイツのロイトリンゲンにある本社から、北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアにわたる 14 拠点の 170 人の従業員を監督しています。100 カ国、50,000 社を超える同社の顧客には、250 社の世界有数のメーカーが含まれます。
「私たちは紛争地域や高リスク地域にある小規模から中規模の採掘業者の労働環境の改善に努めています。」
— IPoint-systems GmbH SustainBlock プロジェクト・リーダー、Sebastian Galindo Schaly 氏
「私たちは紛争地域や高リスク地域にある小規模から中規模の採掘業者の労働環境の改善に努めています。」
— IPoint-systems GmbH SustainBlock プロジェクト・リーダー、Sebastian Galindo Schaly 氏
「Garage のアプローチは、私たちが再利用できるものです。それは時間とリソースを節約します。さらに、結局はこうした節約がコスト削減となって現れるのです。」
— IPoint-systems GmbH ソフトウェア・アーキテクト兼 SustainBlock 主任開発者、Marjan Stanković 氏
「Garage のアプローチは、私たちが再利用できるものです。それは時間とリソースを節約します。さらに、結局はこうした節約がコスト削減となって現れるのです。」
— IPoint-systems GmbH ソフトウェア・アーキテクト兼 SustainBlock 主任開発者、Marjan Stanković 氏