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ストレージ・グループと表スペースのメディア属性

自動ストレージ表スペースは、メディア属性値、デバイス読み取り速度属性、およびデータ・タグ属性を、その表スペースがデフォルトで使用するストレージ・グループから継承します。

CREATE STOGROUP ステートメントを使ってストレージ・グループを作成する際には、次のストレージ・グループ属性を指定できます。
OVERHEAD
この属性は、I/O コントローラー時間、ディスク・シーク時間、および待ち時間をミリ秒単位で指定します。
DEVICE READ RATE
この属性は、読み取り転送速度に関するデバイス仕様を M バイト/秒単位で指定します。 この値を使用して、照会最適化時の入出力のコストを判別します。 この値がすべてのストレージ・パスで同一でない場合は、ストレージ・グループに属するすべてのストレージ・パスの平均値になります。
DATA TAG
この属性は、特定のストレージ・グループのデータのタグを指定します。 WLM はこれを使用して、データベース・アクティビティーの処理優先順位を決定することができます。
ストレージ・グループ属性のデフォルト値は、以下のとおりです。
表 1. ストレージ・グループ属性のデフォルト設定
属性 デフォルト設定
DATA TAG NONE
DEVICE READ RATE 100 MB/秒
OVERHEAD 6.725 ms

自動ストレージ表スペースを作成する際、その表スペースに含まれるデータを識別するタグを指定できます。 その表スペースがストレージ・グループに関連付けられる場合、表スペースのデータ・タグ属性は、ストレージ・グループで設定されているデータ・タグ属性をすべてオーバーライドします。 表スペースのデータ・タグ属性をユーザーが指定せず、ストレージ・グループに表スペースが含まれる場合、表スペースは、ストレージ・グループのデータ・タグの値を継承します。 データ・タグ属性は、カタログ表スペースを除く、あらゆる REGULAR 表スペースまたは LARGE 表スペースで設定できます (SQL0109N)。 TEMPORARY 表スペースではデータ・タグ属性を設定できず、SQL0109N メッセージ・エラーが返されます。

自動ストレージ表スペースは、それが使用するストレージ・グループのオーバーヘッド属性および転送速度属性を継承します。使用するストレージ・グループから表スペースが転送速度属性を継承すると、ストレージ・グループのデバイス読み取り速度は、表スペースのページ・サイズ設定を考慮に入れて、ミリ秒/ページの読み取りから変換されます。次のようになります。
TRANSFERRATE = ( 1 / DEVICE READ RATE ) * 1000 / 1024000 * PAGESIZE
自動ストレージ表スペースと非自動の表スペースのどちらの場合も、ページ・サイズの設定には、対応するデフォルトの TRANSFERRATE 値があります。
表 2. デフォルトの TRANSFERRATE 値
PAGESIZE TRANSFERRATE
4 KB 0.04 ミリ秒/ページの読み取り
8 KB 0.08 ミリ秒/ページの読み取り
16 KB 0.16 ミリ秒/ページの読み取り
32 KB 0.32 ミリ秒/ページの読み取り

自動ストレージ表スペースのデータ・タグ属性、デバイス読み取り速度属性、およびオーバーヘッド・メディア属性は、それに関連付けられているストレージ・グループの値を動的に継承するように変更することができます。 メディア属性が動的に更新されるようにするには、CREATE TABLESPACE ステートメントまたは ALTER TABLESPACE ステートメントに INHERIT オプションを指定します。

表スペースがストレージ・グループの属性値を継承する場合、SYSCAT.TABLESPACES カタログ表ビューには、その属性の値は -1 と報告されます。 オーバーヘッド、転送速度、およびデータ・タグの各属性について、実行時の実際の値を表示するには、以下の照会を使用します。
 select tbspace,
  cast(case when a.datatag = -1 then b.datatag else a.datatag end as smallint) 
	 eff_datatag,
  cast(case when a.overhead = -1 then b.overhead else a.overhead end as double) 
	 eff_overhead,
  cast(case when a.transferrate = -1 then 
	 (1 / b.devicereadrate) / 1024 * a.pagesize else a.transferrate end as double) 
		eff_transferrate
 	from syscat.tablespaces a left outer join syscat.stogroups b on a.sgid = b.sgid

V10.1 にアップグレードする場合、既存の表スペースはそのオーバーヘッド設定と転送速度設定を保持し、ストレージ・グループのオーバーヘッド属性および読み取り速度属性は未定義に設定されます。 ストレージ・グループ内に新しく作成された表スペース (デバイスの読み取り速度が未定義に設定されているもの) は、DB2® データベースの作成時に定義されたそのデータベースのデフォルトを使用します。 ストレージ・グループのメディア設定の値が有効な場合、新しく作成された表スペースは、それらの値を継承します。 ストレージ・グループのメディア属性は、ALTER STOGROUP ステートメントを使って設定できます。 非自動の表スペースの場合、メディア属性は保持されます。