mklv コマンド
目的
論理ボリュームを作成します。
構文
mklv [ -a position ] [ -b badblocks ] [ -c copies ] [ -C stripewidth ] [ -d schedule ] [ -R PreferredRead ] [ -e range ] [ -i ] [ -L label ] [ -m mapfile ] [ -o y / n ] [ -r relocate ] [ -s strict ] [ -t type ] [ -T O ] [ -u upperbound ] [ -v verify ] [ -w mirrorwriteconsistency ] [ -x maximum ] [ -y newlogicalvolume | -Y prefix ] [ -S stripsize ] [ -U userid ] [ -G groupid ] [ -P modes ] [ -p copyn=mirrorpool ] [ -O y | n ] [ -k y | n ] volumegroup number [ physicalvolume ... ]
説明
mklv コマンドは、volumegroup 内に新しい論理ボリュームを作成します。 例えば、すべてのファイルシステムはそれぞれ別の論理ボリュームに置かなければならない場合です。 mklv コマンドは、新しい論理ボリュームにこれらの論理区画を必要数分割り当てます。physicalvolume パラメーターに 1 つ以上の物理ボリュームを指定した場合、これらの物理ボリュームだけを物理区画の割り当てに使用できます。それ以外の場合、ボリューム・グループ内のすべての物理ボリュームが割り当てに使用できます。
デフォルトの設定では、もっとも一般的に使用される特性が提供されますが、いくつかのフラグを使用して論理ボリュームをユーザーのシステムの運用条件に合わせます。ある論理ボリュームの作成後は、chlv コマンド を使ってその特性を変更可能です。
デフォルトの割り当てポリシーは、1 つの論理ボリューム・コピーに最小数の物理ボリュームを使用し、コピーに属している物理区画をできるだけ連続的に設定し、-a フラグで指定された適切な領域に、物理区画を設定する方法です。また、デフォルトでは、論理区画の個々のコピーは、別々の物理ボリュームに配置されます。
-m フラグは、論理ボリュームを作成するときに使用する正確な物理区画を指定します。
-U、-G、および -P フラグを使用して、論理ボリューム・デバイス・スペシャル・ファイルの所有権、グループ、およびアクセス権をそれぞれ設定できます。 これらの値を設定できるのは、root ユーザーのみです。 エクスポートされる、拡張が容易なビッグ vg フォーマットのボリューム・グループの場合は、インポート時にこれらの値を復元するために importvg コマンドで -R フラグを指定します。
mklv コマンドを使用する場合には、512 ブロック/KB/MB/GB の論理ボリューム・ サイズを指定できます。 論理ボリューム・サイズは、整数値でなければなりません。
物理区画は、もっとも端にあるものから 1 から順番に番号が付けられます。
- 論理ボリュームに対して行った変更は、 ファイルシステムに反映されません。ファイルシステムの特性を変更するには、chfs コマンドを使用します。
- 各論理ボリュームには制御ブロックがあります。 この論理ボリュームの制御ブロックは、論理ボリューム内の最初の数百バイトです。 制御ブロックを考慮して論理ボリュームへ直接読み取りや書き込みをする場合には注意が必要です。 論理ボリュームのデータは、2 番目の 512 バイト・ブロックから始まります。
- このコマンドを使用するには、root ユーザー権限を持っているか、system グループのメンバーでなければなりません。
- -S フラグを使用してストライピングされた論理ボリュームを作成する場合は、 複数の物理ボリュームを指定するか、 あるいは、-C または -u フラグを使用しなければなりません。
- ストライプ化論理ボリュームを作成する場合は、区画の数をストライプ幅の偶数倍にしなければなりません。そうでない場合は、区画の数は次の有効な値に切り上げられます。
- mklv コマンドは、スナップショット・ボリューム・グループでは 許可されません。
- あるディスクに同時にアクセスする複数のアクティブ・ノードを使用した並行セットアップでは、Mirror Write Consistency (MWC) と Bad Block Relocation (BBR) はサポートされません。 この 2 つのオプションは、このタイプの並行セットアップでは使用不可にしなくてはなりません。
- 論理ボリュームの不良ブロック再配置ポリシーは、4 KB ブロックの物理ボリュームで作成されたボリューム・グループではサポートされません。
このコマンドは、System Management Interface Tool (SMIT) smit mklv 高速パスを使用して実行することができます。
ストライプ論理ボリューム上のファイルシステム
ファイルシステムをストライプ論理ボリューム上で作成する場合は、crfs コマンドまたは mkfs コマンドを実行してファイルシステムを作成する前に、 ストライプ論理ボリュームを作成する必要があります。 ストライプ幅内でディスク・スペースの使用を最大化するために、ストライプ論理ボリュームを作成する際は、同サイズのハード・ディスクを選択する必要があります。ストライプ幅は、ストライプ論理ボリュームを形成するハード・ディスクの数です。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
-a position | 物理ボリューム内割り当てポリシーを設定します (物理ボリューム上の論理区画位置)。 position 変数は、次のいずれかになります。
|
-b badblocks | 不良ブロック再配置ポリシーを設定します。
Relocation 変数には、次のいずれか 1 つを設定できます。
|
-c copies | 各論理区画に対して割り当てられる物理区画の必要数分を設定します。copies 変数は、1 から 3 までの値に設定できます。デフォルトは 1 です。 |
-C stripewidth | 論理ボリュームのストライプ幅を設定します。 Stripewidth が入力されない場合は、upperbound か、コマンド・ラインに指定されたディスクの総数が想定されます。 |
-d schedule | 複数の論理区画が書き込まれるときに、スケジューリング・ポリシーを設定します。 schedule 変数は、次のいずれかになります。
注: -R フラグは、-d フラグによって指定された読み取りポリシーを上書きします。
優先コピーを使用できない場合は、読み取り操作はスケジューリング・ポリシーに従います。
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-R PreferredRead | 論理ボリュームのコピーに読み取り優先を設定します。-R フラグが指定されていて、優先コピーを使用できる場合は、読み取り操作は優先コピーから行われます。優先コピーを使用できない場合は、読み取り操作は、論理ボリュームのスケジューリング・ポリシーに従います。PreferredRead 変数は、0 から 3 の範囲内の値に設定できます。デフォルト値は 0 です。 |
-e range | 物理ボリューム内割り当てポリシー (拡張される物理ボリュームの数。最良の配置になるボリュームを使用します) を設定します。
Range 値は、upperbound 変数 ( -u フラグによって設定される) によって制限され、次のいずれかになります。
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-G groupid | 論理ボリューム・スペシャル・ファイルのグループ ID を指定します。 |
-i | 標準入力から physicalvolume パラメーターを読み取ります。physicalvolume が標準入力から入力される場合にのみ、-i フラグを使用します。 |
-k y | n | 論理ボリュームのデータ暗号化オプションを有効にします。
-k フラグは IBM® AIX® 7.2 (テクノロジー・レベル 5 適用) 以降で使用可能です。
このフラグに指定できる値は以下のとおりです。
注:
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-L | 論理ボリューム・ラベルを設定します。
デフォルト・ラベルは None です。
ラベル・ファイルの最大サイズは 127 文字です。
注: 論理ボリュームがジャーナル・ファイルシステム (JFS) として使用される場合、
JFS はこのフィールドを使用して、以後の参照のために、
その論理ボリューム上のファイルシステムのマウント・ポイントを保管します。
|
-m mapfile | 割り当て対象の物理区画を正確に指定します。 区画は、mapfile パラメーターによって指定されたファイルにある順序で使用されます。
コピーに属するすべての物理区画が割り当てられてから、次のコピーに割り当てられます。 mapfile の形式は次のとおりです。
重要: マップ・ファイルを使用する場合は、厳密性、上限、およびストライプ幅などのすべての LV 割り当てパラメーターについて理解し、これらに従う必要があります。マップ・ファイルを使用すると、LVM 割り当てルーチンで行われる検査が回避されます。これは、ストライプ幅に準拠している通常のストライプ済み割り当てパターンをもっていると考えられているストライプ済み LV には重要なことです。
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-o y / n | 重複入出力のシリアライゼーションをオン/オフにします。シリアライゼーションをオンにすると、ブロック範囲において、重複入出力が許可されず、一度に単一の入出力のみが処理されます。ファイルシステムやデータベースのようなほとんどのアプリケーションがシリアライズを行うので、 シリアライズは オフにしてください。新規論理ボリュームのデフォルト は、オフです。 |
-O y / n | 論理ボリュームの無限再試行オプションを使用可能にします。
注: アクティブ・ミラー書き込み整合性が設定されている場合、論理ボリューム (LV) に対する無限再試行オプションは無視されます。アクティブ・ミラー書き込み整合性が設定されている場合、論理ボリュームに対して機能するように、無限再試行オプションがボリューム・グループ・レベルで使用可能にされる必要があります。
注: 無限再試行オプションは、Geographic Logical Volume Manager (GLVM) 環境ではサポートされていません。
|
-p copyn=mirrorpool | 論理ボリュームのミラー・プールを使用可能にします。ミラー・プールは、copyn=mirrorpool パラメーターを使用してコピーに割り当てられます。コピーごとにミラー・プールを指定します。複数の copyn=mirrorpool ペアを指定するには、複数の -p copyn =mirrorpool フラグを指定してください。ミラー・プール名は最大 15 文字で、ボリューム・グループ名および論理ボリューム名に適用されるのと同じルールに従います。 |
-P modes | 論理ボリューム・スペシャル・ファイルのアクセス権 (ファイル・モード) を指定します。 |
-r relocate | 再編成再配置フラグを設定します。 ストライプ化論理ボリュームの場合は、relocate パラメーターを n (ストライプ化論理ボリュームのデフォルト) に設定する必要があります。relocate パラメーターは次のいずれかになります。
|
-s strict | 厳密な割り当てポリシーを決定します。
同じ物理ボリュームを共用できるように、または共用できないように、論理区画のコピーを割り当てることができます。 strict パラメーターは次の 1 つによって表されます。
|
-S stripSize | ストリップごとのバイト数を指定します (ストリップ・サイズにアレイ内のディスク数を乗算するとストライプ・サイズになります)。
有効な値には、
4K、8K、16K、32K、64K、128K、256K、512K、
1M、2M、4M、8M、16M、32M、64M、および 128M が含まれます。
注: -S フラグを使用してストライプ化論理ボリュームを作成する場合、
-d、-e、-s フラグは無効です。
|
-t type | 論理ボリュームのタイプを設定します。標準タイプは jfs (ジャーナル・ファイルシステム)、
jfslog (ジャーナル・ファイルシステム・ログ)、jfs2
(拡張ジャーナル・ファイルシステム)、jfs2log (拡張ジャーナル・ファイルシステム・ログ)、
および paging (ページング・スペース) ですが、ユーザーはこのフラグを
使用して他の論理ボリューム・タイプを定義することができます。
boot タイプのストライプ化論理ボリュームの作成はできません。
デフォルトは jfs です。 ファイルシステムのログを手作業で作成する場合、
ユーザーは、logform コマンドを実行して新しい jfslog を空にしておかないと、
そのログを使用できません。
例えば、論理ボリューム logdev をフォーマットするには、次のように入力します。
ここで、/dev/logdev は論理ボリュームへの絶対パスです。 |
-T O | -T O オプションは、論理ボリューム制御ブロックが論理ボリュームの最初のブロックを占有しないことを示します。したがって、スペースがアプリケーション・データに使用できます。
アプリケーションは、このタイプの論理ボリュームを IOCINFO
ioctl 操作で識別できます。論理ボリュームのデバイス・サブタイプは DS_LVZ です。このオプションを指定せずに作成した論理ボリュームのデバイス・サブタイプは |
-U userid | 論理ボリューム・スペシャル・ファイルのユーザー ID を指定します。 |
-u upperbound | 新規割り当てに対して物理ボリュームの最大数を設定します。 upperbound 変数の値は、1 から物理ボリュームの合計数の間で指定します。 極度の厳密さを使用する場合、 上限は、ミラー・コピーごとに許される物理ボリュームの最大数を示します。 ストライプ済み論理ボリュームを使用する場合、上限は stripewidth の倍数でなければなりません。upperbound が指定されていない場合は、ストライプ済み論理ボリュームの stripewidth が想定されます。 |
-v verify | 論理ボリュームに対する書き込み検査状態を設定します。
y を指定すると、論理ボリュームへのすべての書き込みの後に読み取り検査を行います。n を指定すると、論理ボリュームへのすべての書き込みの後に検査は行いません。 verify パラメーターは次のいずれかによって表されます。
|
-w mirrorwriteconsistency |
|
-x maximum | 論理ボリュームに割り当てることのできる論理区画の最大数を設定します。 デフォルト値は 512 です。 number パラメーターによって表される数は、maximum 変数によって表される数以下でなければなりません。 |
-y newlogicalvolume | 自動的に生成される名前を使用せずに、論理ボリューム名を指定します。 論理ボリューム名は、システム共通の固有の名前で、1 から 15 文字までの範囲です。 volumegroup が並行モードでオンに構成変更されている場合、新しい論理ボリューム名はその volumegroup がオンに構成変更されているすべての並行ノードで固有でなければなりません。 他のデバイス用のデバイス構成データベース中の PdDv クラスに既に定義されている接頭部を名前の先頭に指定できません。 作成された論理ボリューム名は、標準出力に送信されます。
論理ボリューム名には、以下の文字のみを組み込むことができます。
|
-Y prefix | システムが生成する名前の接頭部の代わりに、新しい論理ボリュームに使用する prefix を指定します。接頭部は 13 文字以内でなければなりません。 名前は、他のデバイス用のデバイス構成データベース中の PdDv クラスに既に定義されている接頭部で始めてはなりません。また、他のデバイスによって既に使用されている名前も使用できません。 |
セキュリティー
例
- ボリューム・グループ vg02 に論理区画が 1 つとデータのコピーが 2 つある論理ボリュームを作成するには、次のように入力します。
mklv -c 2 vg02 1
- ボリューム・グループ vg03 に 9 つの論理区画と最大 2 つの物理ボリュームにまたがる 3 つのコピーがあり、割り当てポリシーが厳密ではない論理ボリュームを作成するには、次のように入力します。
mklv -c 3 -u 2 -s n vg03 9
- 可能であれば物理ボリュームの中心セクションに割り当てられた 5 つの論理区画があり、不良ブロックの再配置を行わないページング・タイプの論理ボリュームを vg04 内に作成するには、次のように入力します。
mklv -a c -t paging -b n vg04 5
- 3 つの物理ボリューム、
hdisk5、
hdisk6、hdisk9 から選択された 15 個の論理区画のある論理ボリュームを vg03 内に作成するには、
次のように入力します。
mklv vg03 15 hdisk5 hdisk6 hdisk9
- vg05 内で、3 つの物理ボリュームと 12 の論理区画にまたがって、ストライプ・サイズが 64 K のストライプ化論理ボリュームを作成するには、次のように入力します。
mklv -u 3 -S 64K vg05 12
- vg05 内で、hdisk1、hdisk2、hdisk3 と 12 の論理区画にまたがって、ストライプ・サイズが 8 K のストライプ化論理ボリュームを作成するには、次のように入力します。
mklv -S 8K vg05 12 hdisk1 hdisk2 hdisk3
- 最小サイズが 10MB の論理ボリュームを要求するには、次のように入力します。
mklv VGNAME 10M #
mklv コマンドは、少なくともそのサイズの論理ボリュームを作成するのに 必要な区画数を決定します。
次のように、英大文字および英小文字を使用できます。B/b 512 byte blocks K/k KB M/m MB G/g GB
- ボリューム・グループ
testvg
内の論理ボリュームの 3 つのコピーを作成して、読み取り優先を 2 番目の論理ボリューム・コピーに設定するには、次のコマンドを入力します。mklv -c 3 -R 2 -y testlv testvg 10
ファイル
項目 | 説明 |
---|---|
/usr/sbin | mklv コマンドが入っているディレクトリー。 |
/tmp | コマンドの実行中に一時ファイルを保管するディレクトリー。 |
/dev | 論理ボリューム用の文字エントリーとブロック・デバイス・エントリーが作成されるディレクトリー。 |