mirrorvg コマンド

目的

指定されたボリューム・グループに存在するすべての論理ボリュームのミラーリングを行います。

構文

mirrorvg [ -S | -s ] [ -Q ] [ -c copies] [ -m ] [ -p copyn=mirrorpool ] volumegroup [ physicalvolume ... ]

説明

mirrorvg コマンドは、指定のボリューム・グループ上の論理ボリュームすべてをとり、それらの論理ボリュームのミラーリングを実行します。 ボリューム・グループ内の個々の論理ボリュームごとに mklvcopy コマンドを実行すれば、これと同じ機能を手作業で実現できます。 mklvcopy の場合と同様に、データによってミラーリングされるターゲットの物理ドライブがボリューム・グループのメンバーになっていなければなりません。 ディスクをボリューム・グループに追加するには、extendvg コマンドを実行します。

デフォルトでは、mirrorvg がボリューム・グループ内のいずれかのディスク上に論理ボリュームのミラーリングを実行しようとします。 ミラーリングにどのドライブを使用するか制御したい場合は、入力パラメーター physicalvolume にディスクのリストを含める必要があります。厳密なミラーリングが適用されます。また、mirrorvg は、ミラーリングされる論理ボリュームのデフォルト設定を使用して、その論理ボリュームのミラーリングを実行します。 ミラーリングの厳密さを緩めたい場合、またはミラーを作成するポリシーに影響を与えたい場合は、 すべての論理ボリュームのミラーリングを mklvcopy コマンドによって手作業で実行する必要があります。

mirrorvg を実行する場合、このコマンドのデフォルト動作では、コマンドがユーザーに戻る前にミラーの同期が完了していることが要求されます。同期完了時をこのように遅くしないためには、-S または -s オプションを使用します。 また、デフォルト値である 2 つのコピーが常に使用されます。 2 以外の値を指定するには、-c オプションを使用します。

制約事項:
  • このコマンドを使用するには、root ユーザー権限を持っているか、system グループのメンバーでなければなりません。
  • mirrorvg コマンドは、スナップショット・ボリューム・グループでは使用できません。
  • ファームウェア支援の活動状態のダンプ論理ボリュームを含むボリューム・グループでは、mirrorvg コマンドを使用することはできません。
重要: mirrorvg コマンドでは、エラー検査が複雑で、ボリューム・グループ内でミラーリングを実行する論理ボリュームの量があり、新たにミラーリングされた論理ボリュームの同期に時間がかかるため、完了するまでに相当の時間を要する場合があります。

このコマンドは、System Management Interface Tool (SMIT) smit mirrorvg 高速パスを使用して実行することができます。

フラグ

項目 説明
-c copies mirrorvg コマンドの実行が完了した後に各論理ボリュームが持っていなければならないコピーの最小部数を指定します。 mklvcopy を独立して使用することにより、一部の論理ボリュームで mirrorvg コマンドの実行後に指定される最小数よりも大きい数を持つことができます。 最小値は 2 で、3 が最大値です。値が 1 の場合は、無視されます。
-m exact map 元のコピーが並べられた正確な物理区画の順序で論理ボリュームのミラーリングを実行できます。 このオプションでは、正確なマップ・コピーを入れる PhysicalVolume(s) を指定する必要があります。正確なマッピングを行うためのスペースが不足している場合、このコマンドは失敗します。 新たにドライブを追加するか、あるいは全ボリューム・グループの論理ボリューム・マッピングを満足する異なるドライブのセットを選択する必要があります。 ディスク全体を使用するかどうかに関係なく、指定されたディスクは、正確にミラーリングされるドライブのサイズ以上でなければなりません。 また、ミラーリング対象の論理ボリュームが既にミラーリングされている場合、このコマンドは失敗します。
-p copyn=mirrorpool 作成されるコピーにミラー・プールを割り当てます。ミラー・プールは、copyn=mirrorpool パラメーターを使用してコピーに割り当てられます。コピーごとにミラー・プールを指定します。複数の copyn=mirrorpool ペアを指定するには、複数の -p copyn =mirrorpool フラグを指定してください。
-Q Quorum Keep mirrorvg のデフォルトでは、ボリューム・グループの内容がミラーリングされた状態になると、ボリューム・グループのクォーラム (定足数) は使用不可になります。 ユーザーがミラーリングを完了した後にボリューム・グループのクォーラムの条件を保持したい場合は、このオプションをこのコマンドで使用する必要があります。 後でクォーラムを変更する場合については、chvgコマンドを参照してください。
-S Background Sync mirrorvg コマンドを即時に戻し、ボリューム・グループのバックグラウンド syncvg を開始します。 このオプションでは、どの時点でミラーリングが同期を完了しているかが明確ではありません。 しかし、ミラーの部分の同期が完了すると、ミラーの利用でオペレーティング・システムによって即時に使用されます。
-s Disable Sync ミラーのどのタイプの同期もとらずに mirrorvg コマンドを即時に戻します。このオプションを使用すると、論理ボリュームのミラーが存在していても、syncvg コマンドとの同期がとれるまでは、オペレーティング・システムによって使用されません。

以下は rootvg に関する説明です。

項目 説明
rootvg ミラーリング rootvg ミラーリングが完了したら、bosboot および bootlist の 2 つの追加タスクを実行する必要があります。

bosboot コマンドでは、新たにミラーリングされたドライブの Bootrec をカスタマイズする必要があります。 bootlist コマンドは、ミラーリングされたブート・プロセスをどのディスクまたはどの順序で開始するかをシステムに指示するために実行する必要があります。

non-rootvg ミラーリング このボリューム・グループがミラーリングされていると、 デフォルト・コマンドによって Quorum が非活動化されます。
rootvg および non-rootvg ミラーリング システム・ダンプ・デバイスは、1 次および 2 次ともにミラーリングを実行しないでください。 システムのなかには、ページング・デバイスとダンプ・デバイスが同じであるものがあります。 しかし、ほとんどのユーザーは、ページング・デバイスのミラーリングを希望します。mirrorvg がダンプ・デバイスとページング・デバイスが同一のものであることを検出すると、論理ボリュームが自動的にミラーリングされます。

mirrorvg がダンプ・デバイスとページング・デバイスが異なる論理ボリュームであることを検出すると、そのページング・デバイスは自動的にミラーリングされますが、ダンプ論理ボリュームはミラーリングされません。 ダンプ・デバイスは、sysdumpdev コマンドによって照会し、変更することができます。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. ボリューム・グループを三重にミラーリングするには、次のように入力します。
    mirrorvg -c 3 workvg
    workvg によって保持される論理ボリューム内の論理区画は 3 つのコピーを持つようになりました。
  2. rootvg のデフォルトのミラーリングを取得するには、次のように入力します。
    mirrorvg rootvg
    rootvg は 2 つのコピーを持つようになりました。
  3. ミラーリングされたボリューム・グループ内の異常のあるディスク・ドライブを置換するには、次のように入力します。
    unmirrorvg workvg hdisk7
    reducevg workvg hdisk7
    rmdev -l hdisk7 -d
    replace the disk drive, let the drive be renamed hdisk7
    extendvg workvg hdisk7
    mirrorvg workvg

    注: この例では、デフォルトによって、 mirrorvgworkvg 内の論理ボリュームの 2 つのコピーを作成しようとします。 置換されたディスク・ドライブ上に新しいミラーを作成しようとします。 しかし、元のシステムが三重にミラーリングされている場合、他のコピーが論理ボリューム用に既に存在しているため、hdisk7 上に新しいミラーが作成されない場合があります。

  4. 新たに作成されたミラーをバックグラウンドで同期化するには、次のように入力します。
    mirrorvg -S -c 3 workvg
  5. 各ディスク上の物理区画マップ同士が正確に一致している datavg 内で論理ボリュームの第 2 のコピーと第 3 のコピーを作成するには、次のように入力します。
    mirrorvg -m -c 3 datavg hdisk2 hdisk3
    datavg によって保持される論理ボリューム内の論理区画は 3 つのコピーを持つようになりました。

ファイル

項目 説明
/usr/sbin mirrorvg コマンドが入っているディレクトリー。