grpsvcsctrl コマンド

目的

グループ・サービス・サブシステムを始動します。

構文

grpsvcsctrl { -a-s-k-d-c-u-t-o-h }

説明

grpsvcsctrl コマンドは、グループ・サービス・サブシステムを開始します。 この制御スクリプトは、グループ・サービスに必要なサブシステムの操作を制御します。 これらのサブシステムは、サブシステム・リソース・コントローラー (SRC) の制御下にあり、 grpsvcs と呼ばれるサブシステム・グループに属しています。 各サブシステムには、デーモンが関連付けられています。操作上の視点から、グループ・サービス・サブシステム・グループは次のように編成されています。
サブシステム
グループ・サービス
サブシステム・グループ
grpsvcs
SRC サブシステム
grpsvcshagsd デーモンと関連しています。ノード上のサブシステム名は grpsvcs です。 各ノード上の grpsvcs サブシステムは、 そのノードが属しているクラスターと関連しています。
デーモン
hagsd — グループ・サービス機能の大部分を提供します。

grpsvcsctrl スクリプトは、通常はコマンド・ラインから実行されません。 このスクリプトは、通常、クラスターのインストール時に startup コマンドによって呼び出されます。

grpsvcsctrl スクリプトは、グループ・サービス・サブシステムの操作に関するさまざまな 制御を提供します。
  • サブシステムの追加、開始、停止、削除およびクリーンアップ
  • トレースのオンおよびオフ
これらの機能を実行する前に、スクリプトは、現行のクラスター名を入手します。
サブシステムの追加: -a フラグを指定すると、 制御スクリプトは mkssys コマンドを使用して、SRC にグループ・サービス・サブシステムを 追加します。 制御スクリプトは次のように動作します。
  1. grpsvcs サブシステムが停止していることを確認します。
  2. このクラスターの grpsvcs サブシステムのポート番号をグローバル・オブジェクト・データ・マネージャー (ODM) から入手し、そのポート番号が /etc/services ファイルに設定されていることを確認します。ポート番号の有効範囲は 10000 から 10100 まで (両方の値が含まれる) です。
  3. /etc/services ファイルに入っているサービス名は grpsvcs.cluster_name です。
  4. SRC から grpsvcs サブシステムを除去します (それが万一存在している場合に備えて)。
  5. grpsvcs サブシステムを SRC に追加します。クラスター名 は、mkssys コマンドのデーモン・パラメーターに従って構成されます。

サブシステムの始動: -s フラグを指定すると、制御スクリプトは startsrc コマンドを使用して、グループ・サービス・サブシステム grpsvcs を始動します。

サブシステムの停止: -k フラグを指定すると、制御スクリプトは stopsrc コマンドを使用して、グループ・サービス・サブシステム grpsvcs を停止します。

サブシステムの削除: -d フラグを指定すると、制御スクリプトは rmssys コマンドを使用して、SRC からグループ・サービス・サブシステムを除去します。制御スクリプトは次のように動作します。
  1. grpsvcs サブシステムが停止していることを確認します。
  2. rmssys コマンドを使用して、SRC から grpsvcs サブシステムを除去します。
  3. ポート番号を /etc/services ファイルから除去します。
サブシステムのクリーンアップ: -c フラグを指定すると、制御スクリプトは、すべてのシステム区画のグループ・サービス・サブシステムを停止して、SRC から除去します。制御スクリプトは次のように動作します。
  1. stopsrc -g grpsvcs コマンドを使用して、すべての区画におけるサブシステム・グループ 内のサブシステムのすべてのインスタンスを停止します。
  2. rmssys コマンドを使用して、すべての区画におけるサブシステム・グループ 内のサブシステムのすべてのインスタンスを SRC から除去します。

トレースのオン: -t フラグを指定すると、制御スクリプトは、traceson コマンドを使用して、hagsd デーモンに対するトレースをオンにします。

トレースのオフ: -o フラグを指定すると、制御スクリプトは、tracesoff コマンドを使用して、hagsd デーモンに対するトレースをオフ (デフォルト・レベルに戻す) にします。

ロギング: グループ・サービス・デーモンは、実行中に、/var/ha/log ディレクトリー にあるログ・ファイルにエントリーを書き込むことにより、稼働状況に関する情報を提供します。

各デーモンは、ログ・サイズを事前に設定された行数に制限しています。デフォルトは 5000 行です。 この制限に達すると、デーモンは現行ログ・ファイルの名前に文字列 .bak を追加して、新規ログを開始します。.bak バージョンが既に存在している場合は、現行ログの名前を変更する前に、既存のファイルを除去します。

フラグ

-a
サブシステムを追加します。
-s
サブシステムを始動します。
-k
サブシステムを停止します。
-d
サブシステムを削除します。
-c
サブシステムをクリーンアップします (つまり、すべてのシステム区画のサブシステムを削除します)。
-u
すべての区画からグループ・サービス・サブシステムを除去します。
-t
サブシステムのトレースをオンにします。
-o
サブシステムのトレースをオフにします。
-h
スクリプトの使用方法に関するステートメントを標準出力に書き込みます。

セキュリティー

有効なユーザー ID である root を使用して実行する必要があります。

終了状況

0
コマンドが正常終了したことを示します。
1
エラーが発生したことを示します。

制限

このスクリプトは、HACMP 環境でのみ有効です。

標準出力

-h フラグが指定されている場合は、このコマンドの使用状況ステートメントが標準出力に書き込まれます。

標準エラー

このコマンドは、エラー・メッセージを (必要に応じて) 標準エラーへ書き込みます。

  1. グループ・サービス・サブシステムを SRC に追加するには、次のように入力します。
    
    grpsvcsctrl -a
  2. グループ・サービス・サブシステムを開始するには、次のように入力します。
    
    grpsvcsctrl -s
  3. グループ・サービス・サブシステムを停止するには、次のように入力します。
    
    grpsvcsctrl -k
  4. グループ・サービス・サブシステムを SRC から削除するには、次のように入力します。
    grpsvcsctrl -d
  5. グループ・サービス・サブシステムをクリーンアップするには、次のように入力します。
    
    grpsvcsctrl -c
  6. グループ・サービス・デーモン hagsd のトレースをオンにするには、次のように入力します。
    grpsvcsctrl -t
  7. グループ・サービス・デーモン hagsd のトレースをオフにするには、次のように入力します。
    grpsvcsctrl -o

位置

/opt/rsct/bin/grpsvcsctrl
grpsvcsctrl スクリプトが入っています。

ファイル

/var/ha/log/grpsvcs_nodenum_instnum.cluster_name
ノード上の hagsd デーモンのログが入っています。
ファイル名の変数は次のとおりです。
nodenum
デーモンが稼働しているノード番号。
instnum
デーモンのインスタンス番号。
cluster_name
デーモンが稼働しているクラスターの名前。

実装上の固有な条件

このコマンドは、Reliable Scalable Cluster Technology (RSCT) ファイルセットの一部です。