dist コマンド

目的

追加アドレスにメッセージを再配布します。

構文

dist+ Folder ] [  -nodraftfolder -draftfolder +Folder ] [  Message -draftmessage Message ] [  -annotate -inplace -noinplace ] |  -noannotate ] [  -form FormFile ] [  -editor Editor -noedit ] [  -nowhatnowproc -whatnowproc Program ]

説明

dist コマンドは、既存のメッセージを一連の新しいアドレスに再配布するためのインターフェースの働きをします。 デフォルトでは、dist コマンドは、現行フォルダーから UserMHDirectory/draft ファイルに現行メッセージをコピーして、エディターを始動します。現行フォルダーにデフォルト以外のメッセージを指定するには、Message パラメーターを使用します。

エディターは始動すると、各ヘッダー・フィールドの値の入力を求めるプロンプトを出します。 dist コマンドは、UserMHDirectory/distcomps ファイルに定義されたヘッダー・フォーマットを使用します。 (このファイルがない場合、システムは /etc/mh/distcomps ファイルを使用します。) メッセージ本体は、現在再配布中のメッセージなので、メッセージ本体に書き込みを行わないでください。 UserMHDirectory/distcomps ファイル以外のフォーマット・ファイルを定義するには、-form フラグを使用します。

デフォルト・エディターを変更するには、-editor フラグを使用するか、 または $HOME/.mh_profile ファイルの、 Editor: エントリーを定義します。

エディターを終了するには、Ctrl-D キー・シーケンスを押します。 エディターの終了時に、dist コマンドはメッセージ・ハンドラー (MH) の「What Now?」というプロンプトを始動します。使用可能な whatnow サブコマンドのリストを参照するには、 Enter キーを押してください。これらのサブコマンドを使用すれば、メッセージ・ヘッダーの編集を続行したり、メッセージ・ヘッダーを表示したり、メッセージの後処理を指示したり、dist コマンドの処理を終了することができます。

注: 送信時にメッセージが識別できるように、メッセージのヘッダーと本文の間に、ハイフンの行またはブランク行を 1 行入れておく必要があります。

再配布されるメッセージは、元のヘッダーと、新しいヘッダーに追加された本体で構成されています。 dist コマンドを使用して編集する draft ファイルは、ヘッダー・フィールドだけから構成されています。 新しいドラフト・メッセージを持つ元のメッセージのコピーは自動的には格納されません。

元のメッセージに再配布情報に関する注釈を付けるには、-annotate フラグを使用します。 このフラグは、元のメッセージに Resent: フィールドと、現在の日付および時刻を追加します。

フラグ

項目 説明
-annotate 再配布されるメッセージに、次のような行の注釈を付けます。
Resent: date
Resent: address

-annotate フラグはコマンドの実行後まで保存されないため、メッセージが dist コマンドから直接送信された時点で、注釈付けは完了します。 -inplace フラグを指定すると、注釈付きメッセージとのリンクを保存するために、注釈付けが所定の箇所で強制的に行われます。

-draftfolder +Folder 指定したフォルダーにドラフト・メッセージを入れます。-draftfolder +Folder フラグの後に Message 変数が続いている場合は、-draftmessage フラグを使用した場合と同じです。 +Folder が指定されていないと、ドラフト・メッセージは Current-Folder に取り込まれます。
-draftmessage Message ドラフト・メッセージを指定します。デフォルトでは、現行フォルダーに新しいドラフト・メッセージが作成されます。 そのドラフト・メッセージが現行メッセージになります。
-editor Editor 配布するメッセージを作成するための初期エディターを指定します。
+Folder 再配布するメッセージが入っているフォルダーを指定します。フォルダーが指定されていないと、Current-Folder が代わりに用いられます。
-form FormFile メッセージのフォーマットを決定します。dist コマンドは、指定されたフォーマット・ファイル内の各行を扱います。
-help コマンド構文、使用可能なスイッチ (トグル)、およびバージョン情報を表示します。

注: メッセージ・ハンドラー (MH) の場合、 このフラグ名は完全にスペルアウトしなければなりません。

-inplace 注釈付きメッセージとのリンクを保存するために、注釈付けが所定の箇所で強制的に行われるようにします。
Message 再配布するメッセージを指定します。メッセージの指定には、次の参照を使用します。
Number
メッセージの番号。
cur または . (ピリオド)
現行メッセージ。これはデフォルトです。
first
フォルダー内の最初のメッセージ。
last
フォルダー内の最後のメッセージ。
next
現行メッセージの次のメッセージ。
prev
現行メッセージの直前のメッセージ。
-noannotate 注釈を抑止します。このフラグがデフォルトです。
-nodraftfolder ドラフトを UserMHDirectory/draft ファイルに入れます。
-noedit 初期編集を抑制します。
-noinplace 適切な注釈付けを強制しません。このフラグがデフォルトです。
-nowhatnowproc dist コマンドの対話式処理を抑止します。 -nowhatnowproc フラグはいかなる編集も発生しないようにします。
-whatnowproc Program 指定されたプログラムを始動すると、配布タスクが示されます。 Program 変数として whatnow コマンドを指定すると、dist コマンドは whatnow というファイル名を持つプログラムではなく、内部 whatnow プロシージャーを始動します。

プロファイル・エントリー

次のエントリーを、 UserMHDirectory/.mh_profile ファイルに入力します。

項目 説明
Current-Folder: デフォルトの現行フォルダーを設定します。
Draft-Folder: ドラフトを入れるデフォルトのフォルダーを設定します。
Editor: デフォルトのエディターを設定します。
fileproc: メッセージをリファイルするプログラムを指定します。
Path: ユーザーの MH ディレクトリーを指定します。
whatnowproc: What now?」という質問のプロンプトを出すのに使用するプログラムを指定します。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー 」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 現行メッセージを現行フォルダーから再配布するには、次のように入力します。
    
    dist
    ヘッダー・フィールドの値の入力を求めるプロンプトが表示されます。 値を入力したら、Enter キーを押します。入力をスキップするには、値を入力しないで、Enter キーを押します。 Resent-to: フィールドは必須です。ヘッダーの完了後に、テキスト本体を変更しないでください。 エディターを終了するには、Ctrl-D キー・シーケンスを押します。 次のようなプロンプトが表示されます。
    What now? 
    使用可能なオプションのリストを表示するには、Enter キーを押します。このメッセージを再配布したい場合は、send. と入力してください。メッセージは新しいリストのアドレスに再配布されます。
  2. メッセージ・ドラフトが存在する場合に、新しいリストのアドレスにメッセージを再配布するには、次のように入力します。
    dist
    システムは、以下のようなメッセージで応答します。
    Draft "$HOME/Mail/draft" exists (43 bytes).
    Disposition? _
    このドラフトを再配布するには、次のように入力します。
    
    replace
    ヘッダー・フィールドの値の入力を求めるプロンプトが表示されます。値を入力したら、Enter キーを押します。入力をスキップするには、値を入力しないで、Enter キーを押します。Resent-to: フィールドは必須です。ヘッダーの完了後に、テキスト本体を変更しないでください。エディターを終了するには、Ctrl-D キー・シーケンスを押します。次のようなプロンプトが表示されます。
    
    What now?
    使用可能なオプションのリストを表示するには、Enter キーを押します。ドラフトを再配布したい場合は、send. と入力してください。メッセージは新しいリストのアドレスに再配布されます。
  3. schedules フォルダーから、 メッセージ 15 を再配布するには、次のように入力します。

    dist  +schedules 15
    ヘッダー・フィールドの値の入力を求めるプロンプトが表示されます。値を入力したら、Enter キーを押します。入力をスキップするには、値を入力しないで、Enter キーを押します。Resent-to: フィールドは必須です。ヘッダーの完了後に、テキスト本体を変更しないでください。エディターを終了するには、Ctrl-D キー・シーケンスを押します。次のようなプロンプトが表示されます。
    What now?
    使用可能なオプションのリストを表示するには、Enter キーを押します。メッセージを再配布するには、send と入力して Enter キーを押します

ファイル

項目 説明
/etc/mh/distcomps システムのデフォルト・メッセージ形式が入っています。
UserMHDirectory/distcomps ユーザーのデフォルト・メッセージ形式が入っています。
UserMHDirectory/draft 現行ドラフト・ファイルが入っています。
/usr/bin/dist dist コマンドの実行可能フォーマットが入っています。