bosboot コマンド

目的

ブート・イメージを作成します。

構文

一般的な使用方法

bosboot -Action [ -d Device ] [ -Options ... ]

デバイス・ブート・イメージを作成する場合

bosboot {-a -v} [-d Device] [-p Proto] [-k Kernel] [-I|-D] [-l LVdev] [ -L] [-M { primary| standby|both }] [ -T Type] [ -b FileName ] [ -q]

説明

bosboot コマンドは、マシン・ブートの ROS (読み取り専用記憶機構) EPROM (消去可能プログラマブル読み取り専用メモリー) とインターフェースをとるブート・イメージを作成します。

bosboot コマンドは、 RAM (ランダム・アクセス・メモリー) ディスク・ファイルシステムとカーネルから、 ブート・ファイル (ブート・イメージ) を作成します。 作成されたブート・イメージは、ROS ブート・コードが認識する特定のメディアに転送されます。 マシンの電源を入れるかリブートすると、 ROS ブート・コードはそのメディアのブート・イメージをメモリーにロードします。 ROS は次に、ロードしたイメージのカーネルに制御を移します。

関連する RAM ディスク・ファイルシステムには、マシンのデバイスやファイルシステムを使用可能にするデバイス構成ルーチンが入っています。RAM ディスク・ファイルシステムには、ブート・デバイスに応じて異なる構成ファイルが入っています。デバイスのタイプごとに mkfs プロトタイプ・ファイルが用意されています (注 6 を参照)。現在サポートされているデバイスは次のとおりです。

  • CD-ROM
  • ディスク
  • テープ
  • ネットワーク

ローカル・エリア・ネットワーク (LAN) を介して、 ネットワーク・ブート・サーバーからブートするには、ネットワーク・デバイスとしてトークンリング、 イーサネット、またはファイバー分散データ・インターフェース (FDDI) を使用できます。

ブート・イメージは、ブートされるデバイスのタイプごとに異なり、 メディアに適合させるためと実メモリーの必要量を減らすために圧縮されます。 ブート論理ボリュームは、ブート・イメージが入る大きさでなければなりません。

bosboot コマンドは、ブート・イメージを作成するだけでなく、 常にディスクのデバイス構成データを保存します。 このコマンドは、NVRAM (不揮発性ランダム・アクセス・メモリー) 内のブート・デバイスのリストは更新しません。 bootlist コマンドを使用すると、このリストを変更できます。

bosboot コマンドは通常、 基本オペレーティング・システムのインストール時に呼び出され、また、 オペレーティング・システムのアップグレード時に updatep コマンドによって呼び出されます。

注:
  1. bosboot コマンドを使用するには、 root ユーザー権限が必要です。
  2. ブート・ディスクの作成中に bosboot コマンドが失敗し、 マシンをリブートしないようにというメッセージが表示された場合は、 マシンをリブートしないでください。問題を解決してから、bosboot コマンドを正常終了させる必要があります。
  3. bosboot コマンドは、 /tmp ファイルシステム内にある程度のスペースを必要とします。 また、ターゲット・イメージが存在する場合は、 ターゲット・イメージを格納するファイルシステム内にもスペースを必要とします。
  4. bosboot コマンドでは、 指定した物理ディスクにブート論理ボリュームが入っている必要があります。 指定するディスク・デバイスを決定するには、次のコマンドを入力します。
    
    lsvg -M rootvg
    このコマンドを実行すると、すべての論理ボリュームのマップが表示されます。デフォルトのブート論理ボリュームは hd5 です。ブート論理ボリュームが入っているディスク・デバイスを使用してください。
  5. -d フラグでデバイスを指定しないと、 bosboot コマンドは、システムのブート元のディスクがデフォルト・デバイスであると見なします。ただし、-p フラグでプロトタイプ・ファイルを指定する場合は、-d フラグでデバイスも指定する必要があります。
  6. RAM ディスク・ファイルシステムを構築するために bosboot コマンドが使用するプロトタイプ・ファイルは、 ブート・デバイスと、ブート・イメージを実行するマシンのハードウェア・プラットフォーム (sys0) タイプによって決まります。

    ハードウェア・プラットフォーム・タイプは、プロセッサーの数や入出力バス構造 (または、その両方) などの基本構成上の特性に従ってマシンをグループ分けするための抽象概念です。マシンのハードウェア・プラットフォーム・タイプが異なると、ブート時にデバイスを動的に設定する方法が基本的に異なります。AIX® 5.1 以前のバージョンのハードウェア・プラットフォーム・タイプ rs6k は、 AIX 5.1 を通じてのみ、マイクロチャネル・ベースのユニプロセッサーの全モデルに適用されます。タイプ rs6ksmp は、AIX 5.1 を通じてのみ、 マイクロチャネル・ベースの対称マルチプロセッサーの全モデルに適用されます。AIX 5.1 以前のバージョンのタイプ rspc は、 ISA バスの全モデルに適用されます。新しいモデルが開発されると、そのハードウェア・プラットフォーム・タイプは上記のタイプのいずれかが、基本構成に相違がある場合は新しいタイプが定義されます。マシンのハードウェア・プラットフォーム・タイプが異なると、一般に、個々のデバイス・タイプのブート・イメージが異なります。

    bosboot が使用するプロトタイプ・ファイルは、 該当するプラットフォーム・タイプおよびブート・デバイス用の基本プロトタイプ・ファイル (例えば /usr/lib/boot/chrp.disk.proto) のコピーを使って始動することによって作成されます。 bosboot コマンドは次に、使用しているプラットフォーム・タイプの pcfg ファイル (例えば、/usr/lib/boot/chrp.pcfg) を調べます。pcfg ファイルには、bosboot が proto 拡張ファイルを検索するためにテンプレート内で使用するエントリーが入っています。これらの拡張ファイルは、ディレクトリー /usr/lib/boot/protoext 内にあり、作成中のプロトタイプ・ファイルに拡張機能を提供します。例えば、プラットフォーム・タイプが chrp でブート・デバイスがディスク の場合、ファイル /usr/lib/boot/protoext/chrp.pcfg には次のエントリーが入ります。
    
    scsi.
    chrp.
    chrp_lpar.
    fcp.
    graphics.
    ide.
    isa_sio.
    pci.
    ssa.
    sys.pci.
    tty.
    usbif.
    bosboot コマンドは、始動時に基本プロトタイプ・ファイル /usr/lib/boot/chrp.disk.proto を使用し、ディレクトリー /usr/lib/boot/protoext を検索してテンプレート disk.proto.ext.scsi.* と一致するファイルを探します。見つかったファイルの内容が、作成中のプロトタイプ・ファイルに追加されます。次に、テンプレート /usr/lib/boot/protoext/disk.proto.ext.scsi.* と一致するファイルの内容が、作成中のプロトタイプ・ファイルに追加されます。この動作が、pcfg ファイル内のすべての行を処理し終えるまで続けられます。すべての行の処理が終わった時点で、作成中のプロトタイプ・ファイルは完成します。bosboot コマンドはこのプロトタイプ・ファイルを mkfs コマンドに渡し、そこで RAM ディスク・ファイルシステムが構築されます。
  7. ブート・イメージを作成するために BOSBOOT コマンドが使用するプロトタイプ・ファイルは、 ブート・デバイスに依存します。 さらに、プロトタイプ・ファイルはブート・イメージを作成するマシンのシステム・デバイス・タイプ (sys0) にも依存します。

    これは、次のように、プロトタイプ・ファイルの名前に反映されます。

    /usr/lib/boot/chrp.disk.proto

    /usr/lib/boot/chrp.cd.proto

    /usr/lib/boot/chrp.tape.proto

    /usr/lib/boot/network/chrp.ent.proto

    /usr/lib/boot/network/chrp.tok.proto

    /usr/lib/boot/network/chrp.atm.proto

    /usr/lib/boot/network/chrp.fddi.proto

    システム・デバイス・タイプは、プロセッサーの数や入出力バス構造 (または、その両方) などの基本的な設定上の特性に従ってマシンをグループ分けするための抽象概念です。システム・デバイスは、システム・ノード内の最上位のデバイスで、システム内の全物理デバイスで構成されます。

    マシンのシステム・デバイス・タイプが異なると、ブート時にデバイスを動的に設定する方法が基本的に異なります。

    bosboot コマンドは、デフォルトでは、bosboot コマンドを実行するマシンのシステム・デバイス・タイプと一致するプロトタイプ・ファイルを使用します。-p オプションを使用すると、プロトタイプ・ファイルのシステム・デバイス・タイプを指定できます。

  8. 実行中のシステムからブート・ディスクが削除され、そのディスクの代替コピーからシステム操作を行う状態のままにした場合、bosboot コマンドを実行するときにエラー・メッセージが表示されることがあります。エラー・メッセージには、ブート論理ボリュームがディスク上に存在していないと表示されます。これは、-d 引数なしで bosboot コマンドが呼び出された場合に、システムが前回ブートしたときのディスクをデフォルトとするためです。このシナリオでは、そのディスクが使用可能でないので、bosboot コマンドを -d 引数付きで呼び出して、ブート論理ボリュームのディスク名が存在するようにしておく必要があります。これにより、ブート・イメージの新しい位置を識別するのに必要な情報が bosboot コマンドに提供されます。

フラグ

項目 説明
-d device ブート・デバイスを指定します。このフラグは、ハード・ディスクの場合はオプションです。

次に示すフラグはアクション・フラグです。必ず 1 つだけフラグを指定してください。

項目 説明
-a 完全なブート・イメージおよびデバイスを作成します。
-v 検査しますが、ブート・イメージは作成しません。

次に示すフラグはオプション・フラグです。

項目 説明
-b FileName 指定されたファイル名をブート・イメージ名として使用します。このフラグはオプションです。
-D ロー・レベル・デバッガーをロードします。このフラグはオプションです。
-I (upper case i) 低レベル・デバッガーをロードし、起動します。このフラグはオプションです。
-k Kernel 指定されたカーネル・ファイルをブート・イメージ用に使用します。このフラグはオプションで、 指定されていない場合、/unix がデフォルトです。
-L MP システム用のロック機構を使用可能にします。MP カーネルを使用していないシステムでは、このフラグを指定しても効果はありません。
-l (小文字の L) LVDev ブート・イメージにターゲット・ブート論理ボリュームを使用します。このフラグはオプションです。
-M primary|standby|both 更新するブート・ポインター・テーブル・エントリーを指定します。 オプションは以下のとおりです。
primary
最後に使用したテーブル・エントリーを指定します。
standby
最後に使用したのではないテーブル・エントリーを指定します。
both
両方のブート・ポインター・テーブル・エントリーを指定します。
-p Proto 指定されたプロトタイプ・ファイルを RAM ディスク・ファイルシステムに使用します。このフラグはオプションです。
-q ファイルシステムがブート・イメージを作成するために必要とするディスク・スペースの大きさを判別します。ブート・イメージは作成されません。このフラグはオプションです。
-T Type ハードウェア・プラットフォーム・タイプ (注 6 を参照) を指定します。このフラグを指定すると、bosboot コマンドは、指定されたハードウェア・プラットフォーム・タイプ用のブート・イメージを作成します。タイプを指定しないと、bosboot コマンドは、現在実行中のマシンと同じハードウェア・プラットフォーム・タイプのブート・イメージを作成します。このフラグはオプションです。

セキュリティー

アクセス制御: root ユーザーだけがこのコマンドを読み取り、実行できます。

  1. システムのブート元の固定ディスク上のデフォルトのブート論理ボリュームにブート・イメージを作成するには、 次のように入力します。
    
    bosboot -a
  2. テープ・デバイス用に /tmp/tape.bootimage というブート可能なイメージを作成するには、 次のように入力します。
    bosboot -ad /dev/rmt0 -b /tmp/tape.bootimage
  3. イーサネットをブートするためのブート・イメージ・ファイルを作成するには、次のように入力します。
    
    bosboot -ad /dev/ent0
  4. ハードウェア・プラットフォーム・タイプが chrp のマシンで実行中に、 ハードウェア・プラットフォーム・タイプが chrp のマシン用のトークンリング・ブート・イメージを作成するには、 次のように入力します。
    
    bosboot -ad /dev/tok -T chrp

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/mkboot ブート作成ルーチンを指定します。
/usr/lib/boot/chrp.disk.proto ディスク RAM ファイルシステムのテンプレートを指定します。
/usr/lib/boot/chrp.cd.proto CD-ROM RAM ファイルシステムのテンプレートを指定します。
/usr/lib/boot/chrp.tape.proto テープ RAM ファイルシステムのテンプレートを指定します。
/usr/lib/boot/network/chrp.ent.proto イーサネット RAM ファイルシステムのテンプレートを指定します。
/usr/lib/boot/network/chrp.tok.proto トークンリング RAM ファイルシステムのテンプレートを指定します。
/usr/lib/boot/network/chrp.atm.proto ATM ファイルシステムのテンプレートを指定します。
/usr/lib/boot/network/chrp.fddi.proto FDDI RAM ファイルシステムのテンプレートを指定します。