DataOpsフレームワーク:4つの主なコンポーネントとその導入方法

暗い部屋の中で、情報が表示された大きなデータ・ディスプレイの前に立つビジネス・プロフェッショナルのグループ。

DataOpsフレームワークとは

DataOpsフレームワークは、組織がデータ管理と分析業務のスピード、正確性、信頼性を向上させることができる一連の実践です。DataOpsはデータチームのサイロを取り払い、コラボレーションを促進し、ワークフローを合理化することを目的としているため、しばしばソフトウェア開発で使われるDevOpsやアジャイル手法と比較されます。

DataOpsの基本理念は、データを効率的に管理・処理すべき価値ある資産として扱うことです。データエンジニア、データサイエンティスト、ビジネス・アナリストといった異なるチーム間のコラボレーションの重要性を強調し、誰もが適切なタイミングで適切なデータにアクセスできる体制を整えます。DataOpsはまた、継続的な改善とイノベーションの文化を奨励し、チームが協力してデータ・パイプラインとプロセスにおけるボトルネックと非効率性を特定し、対応できるようにします。

自動化はDataOpsフレームワークにおいて重要な役割を果たします。自動化によって、組織はデータ管理とアナリティクスのプロセスを合理化し、人的ミスの可能性を減らすことができるためです。これは自動化されたデータ取り込み、データ変換、分析ツールの使用によって達成可能です。反復的なタスクやプロセスを自動化することで、データ担当チームは、ビジネスの成長を促進するための新しいインサイトや戦略の開発など、より価値の高い活動に集中することができます。

この記事では、DataOpsフレームワークとその主要コンポーネント、フレームワークのメリット、およびこのフレームワークの実践方法について説明します。

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DataOpsフレームワーク導入のメリット

DataOpsフレームワークを採用する主なメリットを解説します。

データ品質と精度の向上

DataOpsフレームワークを採用する主なメリットの1つが、データ品質と精度の向上です。DataOpsの実践により、組織は堅牢なデータ・ガバナンスのポリシーと手順を確立し、データの一貫した検証、クレンジング、様々な利害関係者のニーズに合った変換を確実に実現することができます。その結果、より正確で信頼性の高いインサイトを得て、より良い意思決定と成果をもたらすことができます。

インサイトを得るまでの時間を短縮

DataOpsは、組織がデータからインサイトを得るまでの時間を劇的に短縮することができます。データ管理とアナリティクスのプロセスを合理化・自動化することで、DataOpsはチームがより迅速かつ効率的にデータを処理・分析し、インサイト取得までの時間を短縮することを可能にします。これにより、組織は変化する市場環境や顧客ニーズに迅速に対応することができ、大きな競争優位性を得ることができます。

コラボレーションと敏捷性の強化

DataOpsフレームワークは、サイロを打破し、部門間のコミュニケーションを促進することで、データ・チーム間のコラボレーションと俊敏性の文化を育みます。これにより、チームが協力して問題を特定して対処し、新しいインサイトを開発し、ソリューションをより迅速に反復できるため、より革新的かつ効果的なデータ駆動型戦略が可能になります最終的には、変化するビジネス要件によりよく適応し、新たな機会を活用できる、より俊敏な組織が実現します。

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DataOpsフレームワークの主要コンポーネント

成果の出るDataOpsフレームワークを構築するには、いくつか不可欠なコンポーネントが存在します。

データ・オーケストレーション

データ・オーケストレーションは、データ・パイプラインの複数のステージにわたるデータの流れを管理するのに役立つため、DataOpsに不可欠なコンポーネントです。これにはデータ取り込み、処理、保管、分析が含まれます。データ・オーケストレーションによって、データの効率的な移動と処理を確実に実施し、可能な限り早く分析に利用できる状態にします。

データ・オーケストレーションの重要な側面の1つが、データ・パイプライン・タスクの自動化です。データの抽出、変換、ロード(ETL)などの反復作業を自動化することで、組織はワークフローを合理化し、人的エラーのリスクを減らすことができます。さらに自動化によって、データ担当チームはデータ・モデリングや分析など、より価値の高い作業に集中できるようになります。

データ・オーケストレーションのもう一つの重要な側面は、データ・パイプラインの異なるステージ間の依存関係を管理する能力です。これによって、正しい順序でデータを確実に処理し、ある段階の変更や更新が下流のプロセスに悪影響を与えないようにできます。

データ・ガバナンス

データ・ガバナンスは、データの正確性、一貫性、安全性を保証することから、DataOpsフレームワークの不可欠な要素となっています。これは、組織内でのデータの収集、保管、管理、使用方法を規定する方針、手順、基準を規定することで達成できます。

データ・ガバナンスの重要な側面の一つが、データ品質管理である。ここには、データの正確性、完全性、一貫性を確保するためのプロセスと統制の導入が含まれます。データ品質管理には、データ検証、データクレンジング、データ標準の実施などが含まれます。データ品質を向上させることで、組織はデータ駆動型のインサイトの信頼性を高め、より良い情報に基づいた意思決定ができるようになります。

データ・ガバナンスのもう一つの重要な側面が、データ・セキュリティーとプライバシーです。ここには不正アクセスからの機密データの保護、一般データ保護規則(GDPR)などのデータプライバシー規制の管理などが含まれます。データ・ガバナンス・ツールは、組織が暗号化やアクセス制御などのデータ・セキュリティー対策を実装し、データ・プライバシー規制へのコンプライアンスを維持するのに役立ちます。

継続的インテグレーション/継続的デプロイメント(CI/CD)

継続的インテグレーションと継続的デプロイメント(CI/CD)は、データプロジェクトの迅速で反復的な開発とデプロイメントを可能にするため、DataOpsフレームワークの重要なコンポーネントです。CI/CD手法には、ビルド、テスト、デプロイメントプロセスのオートメーションが含まれており、データチームが迅速に問題を特定、解決し、新しい主要な機能や改善を提供できるようにします。

CI/CDの重要な側面の一つはバージョン管理であり、これによってデータ担当チームはコードとデータ資産の変更を追跡することができます。バージョン管理を活用することで、データ担当チームはプロジェクトの別個の部分で同時に作業しつつ、変更内容を干渉なく統合できるため、より効果的に連携できるようになります。さらに、バージョン管理によって、問題が特定された場合の変更のロールバックが簡単になり、データ・パイプライン障害のリスクが軽減されます。

CI/CDのもう一つの重要な側面が自動テストです。テストのプロセスを自動化することで、データ担当チームは、コードとデータ資産が品質基準を満たし、期待どおりに機能することを確認できます。自動テストには、データ・パイプラインのさまざまな側面を検証するのに役立つ単体テスト、統合テスト、エンドツーエンドのテストが含まれます。自動テストをCI/CDプロセスに組み込むことで、データチームは、下流のプロセスやエンドユーザーに影響を与える前に、問題を早期に発見し、修正することができます。

データのモニタリングとオブザーバビリティー

データのモニタリングとオブザーバビリティーは、データ担当チームがデータ・パイプライン内の問題を事前に特定して対処できるようにするため、DataOpsフレームワークの重要なコンポーネントです。これは、データパイプラインのメトリクス、ログ、イベントの収集、分析、可視化によって実現し、データ担当チームがデータ・ワークフローの性能とヘルスを把握するのに役立ちます。

データ・モニタリングとオブザーバビリティーの重要な側面のひとつに、性能モニタリングがあります。ここには、データ処理時間、リソース利用率、エラー率などのメトリクスの追跡が含まれ、データチームがボトルネックを特定し、データ・パイプラインを最適化して性能を向上させるのに役立ちます。性能監視ツールは、データ・パイプラインをリアルタイムで可視化し、データチームが下流のプロセスやエンドユーザーに影響を与える前に、問題を迅速に検知して解決できるようにします。

データ・モニタリングとオブザーバビリティーのもう一つの重要な側面が、データ・パイプラインの監査です。ここには、データ・パイプラインを通過するデータ資産への変更の追跡と分析、およびデータへのアクセスや使用パターンの監視が含まれます。データパイプラインの監査は、組織がデータ・ガバナンスのポリシーや規制へのコンプライアンスを維持し、セキュリティ面の潜在的なリスクやデータ品質の問題を特定するのに役立ちます。

DataOpsフレームワークの導入プロセス

組織へのDataOpsフレームワークの導入には、いくつかの重要なステップがあります。これらのステップは、データ管理と分析のオペレーションを最適化し、意思決定と成果を引き出す上で役立ちます。

1. 現在のデータ・ランドスケープの評価

DataOpsフレームワークを実装する最初のステップは、組織が使用しているシステム、アプリケーション、データ・ストアを含む現在のデータ・ランドスケープを評価することです。これにより、既存のデータ管理と分析のプロセスにおけるギャップや非効率性を特定し、DataOpsの実践が最も効果を発揮する分野を特定することができます。

2. DataOps戦略とロードマップの策定

現在のデータのランドスケープを評価したら、達成したい具体的な目標、目的、マイルストーンをまとめたDataOps戦略とロードマップを策定することが重要です。これには、DataOpsの各コンポーネント(オーケストレーション、ガバナンス、その他)の実装に必要な人材、ツール、テクノロジー、リソースの決定が含まれます。

3. DataOpsチームとガバナンス構造を確定し、ツールを導入

DataOpsフレームワークを効果的に導入するには、データ管理と分析のオペレーションを管理し最適化する、専門のDataOpsチームの設置が不可欠です。こうしたチームには、データ・エンジニア、データ・サイエンティスト、ビジネス・アナリストなど、さまざまな職種のメンバーを参加させ、協力的かつ部門横断的なアプローチを確保する必要があります。

また、コンプライアンスに準拠して一貫した方法でデータを管理・使用するため、役割、責任、プロセスの概要を明記した、明確なデータ・ガバナンス構造の確定も重要です。次のステップは、DataOpsパイプラインの構築に必要なツールとテクノロジーの展開です。

4. DataOpsフレームワークを継続的に監視し、繰り返す

DataOpsフレームワークの実装は継続的なプロセスであり、最適なパフォーマンスと成果を実現するには、継続的なモニタリングと反復が必要です。ここには、データ・パイプラインとプロセスのパフォーマンスおよびヘルスの追跡、発生しうる問題やボトルネックの特定と対処、より良い意思決定と価値創造を推進するためのDataOpsのプラクティスの継続的改善・改良が含まれます。

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