Business Challenge story

パイロット・プロジェクトを経て本格的なビッグデータへの取り組みを開始

NTTぷららでは、人気の専門チャンネルや地上デジタル放送(20都道府県で提供)、BSデジタル放送を最大94チャンネル提供するテレビサービス、幅広いジャンルの映画やドラマを楽しめるビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス、クラウドゲームや音楽配信、ショッピングなど、多彩なメニューを用意した総合ライフエンターテインメントサービス「ひかりTV」を提供しています。同社は「ひかりTV」に新サービスやマルチデバイス対応などの先進機能を投入しつつ、ユーザー・インターフェースの改良やお客様サポートの強化を推進してきました。その結果、2008年のサービス開始以来、「ひかりTV」は年々会員数を増やすとともに、その先進性やユーザー目線のサービスは外部機関からも高い評価を得ています。このように、たゆまぬ挑戦を続ける同社が、近年注力しているのがビジネス・データの分析です。NTTぷらら技術本部技術開発部の担当部長を務める堀内周氏は、このように話します。

「ひかりTVは、IP網を通じてコンテンツを提供するため、会員の利用動向に関する実データを収集することができます。これによって基幹データベースにさまざまなデータが蓄積されるようになり、社内ではそれらを活用することで、さらなるお客様満足度向上につなげようという機運が高まってきました」。

もともとISP事業者として大規模なデータウェアハウスやBI(ビジネス・インテリジェンス)などを保有していた同社は、これらのシステムを利用してレポーティング体制を強化してきました。その上で、データ量の増大を背景に、ビッグデータへの取り組みに着手。最初にビッグデータの先行事例の調査やデータ分析の教育プログラムの受講などで情報を収集し、2012年4月に、ビッグデータ利活用のパイロット・プロジェクトを始動させました。

この時点で、「ビジネスに直結し、利益の向上にいかに貢献できるか」という目標がより鮮明になったと、同社技術本部技術開発部のマネージャーである安達健一郎氏は話します。

「利益の向上に貢献するためには、新規会員の獲得や既存会員の解約防止と同時に、社内業務の効率化を図らなければなりません。私たちは、そこに着目し、データ分析で何ができるかを考えてきました。膨大かつ多岐にわたるデータを本当に活用しきれるのかどうか。また、その取り組みの先頭に立ち、営業やサービス開発部門をはじめとする、分析結果を活用する実務部門と連携していくデータ・サイエンティストと呼ばれる人材を技術部門内で育成できるかどうか――。これらの答えを見つけることが、プロジェクトの目的でした」。

テスト用システムを導入し、さまざまな検証を重ねた結果、NTTぷららでは、分析によって一定の効果が見込めそうだという確信と、自分たちで分析に取り組んでいけるという手応えをつかみます。例えば、会員データの分析から、解約しようとしている会員を「引き留めることが難しい人」と「引き留めることができそうな人」のふたつに分類し、後者に対しては丁寧にサービスを説明することに努めた結果、リテンション(顧客維持)率の向上に貢献できました。

こうした実績の上に、データの分析・活用が本格的な投資に値するという判断が下され、いよいよビッグデータの戦略的活用基盤の整備に向けた取り組みが始まりました。

Transformation

卓越したデータ処理能力と分析・予測モデル作成の容易性を評価

本番システムの選定にあたっては、パイロット・プロジェクトで用いたシステムにはこだわらず、複数社から寄せられた提案内容を比較する形で行われました。その結果、NTTぷららが導入することにしたのが、IBMのPureData System for AnalyticsとSPSS Modelerでした。

PureData System for Analyticsは、その高いパフォーマンスと導入・運用の容易性が特徴のNetezzaテクノロジーを搭載するデータウェアハウス・アプライアンスです。SPSS Modelerは、専門知識を要するプログラミングを行うことなく、迅速かつ直感的に分析・予測モデルを作成できるデータマイニング・ツールです。ひかりTVから日々生み出される視聴ログのデータ量は膨大です。また、チャンネル別、ジャンル別、時間帯別など、分析要件も複雑化する一方です。そうした大量かつ複雑なデータの分析を効率的に進めるために、NTTぷららでは、分析ソフトウェアに加えて、大量データを高速に処理できるデータウェアハウスが必要だと考えていました。

PureData System for Analyticsの導入の決め手となったのは、データの処理速度です。NTTぷららでは各社が用意した実機検証(Proof Of Concept 〈POC〉)環境において、パフォーマンスを中心とするテストを実施しました。具体的には、パイロット・プロジェクトで行った分析内容を踏まえ、向こう10年で増えると予想される規模のテスト・データを準備し、クラスタリングなどのデータ処理からレポーティングまでの所要時間を比較しました。その結果、他社のソリューションでは10時間以上かかった処理を、PureData System for Analyticsはわずか2~3時間で終えることができました。

さらに、SPSS Modelerについて、安達氏は「ユーザー・インターフェースが最も魅力的だった」と話します。

「モデルを構築する際のストリーム(分析プロセスの流れ)が視覚化され、絵として残る点に魅力を感じました。スクリプト・ベースで分析・予測モデルを作成するツールの場合、中身の意図を作成者以外の人間に伝えることは困難ですが、数理統計の専門知識を持たない人でも容易に使用可能な点は魅力的でした。さらにチーム全体で分析ノウハウや情報を共有できること、属人的で煩雑な作業を排除できること、保守運用も自分たちで行えることなども選定条件にしていた私たちにとって、PureData System for AnalyticsにSPSS Modelerを組み合わせた基盤は、最適なソリューションだと直感しました」。

Benefits

分析結果に基づくリコメンデーション施策を展開し顧客満足度向上に貢献

新システムは、2013年2月に運用を開始しました。

現在、ビッグデータ分析は技術部門の分析チームが主体となって進めていますが、仮説の立案から分析、結果の検証はサービス開発部と一体となって行っています。また、営業部門や販売戦略企画部門など、データを活用して施策を実施する実務部門とワーキング・グループを組んで、分析のPDCAサイクルを回しています。

システム導入後、約半年が経過し、実際に施策が実施され、ビジネスにも徐々に成果が表れ始めました。例えば、「ひかりTV」では多彩なコンテンツや機能を有していますが、お客様は決まった使い方しかされていないケースが多々あります。そうした場合には、過去の視聴履歴を分析し、それぞれの会員の嗜好やニーズに合ったサービスやコンテンツをネットワーク経由で積極的に薦めることで、顧客満足度の向上を実現しています。また、実務部門からは、従来よりも、依頼してから分析結果が出るまでの時間が短くなったと評価されています。

さらに、分析チームは、さまざまな分析から見えてきた意外な事実(知見)や試行錯誤のプロセスを「ビッグデータ・レポート」としてまとめて、社内で公開し、実務部門の担当者が興味を持つようにしています。「分析することも大事ですが、失敗事例も含めて結果を共有することも、私たちの重要なミッションです」(堀内氏)。

NTTぷららでは、新たなツールの導入により、分析チーム内での作業の効率化や分析ノウハウの共有にも効果が表れています。同社技術本部技術開発部の金井理奈氏は、次のように評価します。

「一つひとつ考えながら行う作業で、SPSSのグラフィカルな画面は思考を止めずに、作業を進めていくことができます。私自身、数理統計に詳しいわけではありませんが、チームのメンバーと『こういうモデルを作れば、こんな結果を出せる』といった情報を交換し合いながら、知識の習熟に努めています」。

さらに、新たにチームに加わった、技術本部技術開発部の神山泰典氏も、次のように続けます。

「操作に習熟していなくとも、既存の分析・予測モデルを目で追うことで、比較的容易に内容を理解することができます。チームに合流して約3カ月が過ぎた現在では、自分の考えを簡単にモデルに反映させることができるようになりました。

SPSS Modelerのようなビジュアル化された環境がなかったら、同じレベルのスキルを習得することは難しかったと思います」。

 

将来の展望

分析対象を社内から社外へと拡大あくまでビジネスに直結した価値の創造を目指す

これまでNTTぷららの分析チームは、パイロット・プロジェクトを含めて、社内データの分析を中心に進めてきました。社内データの分析を十分に行うことができた現在、分析チームでは、SNSのデータなどの社外の情報も取り入れ、社内データと突き合わせながら複合的に分析することで、新たな知見や洞察(気づき)につながる可能性を少しずつ探っていく計画です。

ビッグデータの活用に積極的に取り組んできたNTTぷらら。堀内氏と安達氏は、これまでの取り組みを振り返り、成功のカギをこう話します。

「どんなによい分析をしても、その後の施策の展開がなければ意味がありません。ターゲットを特定して分析を実施し、効果を検証しつつ、さらに改善を図っていく。そして、分析で得られた知見をいかにビジネスに結びつけていくのかという視点が大事です」と堀内氏。安達氏も、「分析は費用対効果が見えにくいので、結果を出していくところに、根気よく力を注いでいく必要がある」と話します。加えて、データ分析の専任部門と業務に精通している部門が密接に連携することの重要性も強調しました。

「ビッグデータの一番の価値は、見えていなかったものが見えてくるところにあります。しかし、現実には、100回打って1回当たるかどうかの世界なので、粘り強く結果を出していくところに注力していきます」と語る堀内氏。NTTぷららのチャレンジは続きます。

 

お客様の声

“どんなによい分析をしても、その後の施策の展開がなければ意味がありません。ターゲットを特定して分析を実施し、効果を検証しつつ、さらに改善を図っていく。そして、分析で得られた知見をいかにビジネスに結びつけていくのかという視点が大事です”

株式会社NTTぷらら 技術本部 技術開発部 担当部長 堀内 周氏

 

“チーム全体で分析ノウハウや情報を共有できること、属人的で煩雑な作業を排除できること、保守運用も自分たちで行えることなども選定条件にしていた私たちにとって、PureData Systemfor AnalyticsにSPSS Modelerを組み合わせた基盤は、最適なソリューションだと直感しました”

株式会社NTTぷらら 技術本部 技術開発部 マネージャー プロジェクトマネージャー 安達 健一郎氏

 

お客様情報

映像配信サービス「ひかりTV」、インターネット接続サービス(ISP)「ぷらら」を主に提供。サービス開始から5年を迎える「ひかりTV」は、80ch以上の専門チャンネルや約3万本の作品を取り揃えたビデオオンデマンド(VOD)などを提供し、国内最大のIPTV事業に成長。また、カラオケ、ショッピング、電子書籍、音楽配信、国内初のテレビ向けクラウドゲームなど、サービスラインアップを積極的に拡大することで、2013年9月末に263万会員を突破した。ISP「ぷらら」は、光回線から高速モバイル接続までさまざまな接続形態に対応。特にセキュリティーサービスに力を入れており、安心・安全なインターネット利用を推進している。

 

テクノロジープラットフォーム

ソフトウェア

  • IBM PureData System for Analytics
  • IBM SPSS Modeler

 

Solution Category

  • IBM Hybrid Cloud
    • PureData System for Analytics (powered by Netezza technology)
    • SPSS Modeler
    • Telecom: Accelerate Digital Transformation