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メリーランド大学ボルチモア・カウンティ校(UMBC)

大学向けの高度なコンピューティングパワー

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UMBC、IBM Cloud for Educationで難題に挑む
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医師が患者記録を更新するたび、研究室が検査報告書を発表するたび、または新しい研究論文が発表されるたびに、ヘルスケア・データの津波は新たな高みに達します。ヘルスケア・データは年間推定36%というペースで、メディア、製造、財務データよりも急速に増加しています。さらに、この重要な情報を医療の質の向上とコスト管理に使用するニーズも高まっています。

しかし、ビッグ・ヘルスケア・データの可能性を最大限に引き出すには、2 つの恐るべき障壁が立ちはだかっています。まず、自由形式の医師のメモなど、ほとんどのヘルスケア・データは構造化されていないため、電子医療記録の分析と共有は困難です。さらに米国の医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA法)は、保護された健康情報へのアクセスを厳しく規制し、患者のプライバシーの侵害を罰します。

「ヘルスケア・データについては非常に興味深い課題があります」と語るのは、メリーランド大学ボルチモア・カウンティ校(UMBC)で情報システムを教える准教授で、同大学のCenter for Accelerated Real Time Analytics(リアルタイム分析加速センター)の所長を務めるKaruna Joshi博士です。「そのほとんどはテキスト形式の非常に機密性の高いデータであり、自由に共有することはできません。しかし、特に新型コロナウイルス感染症が流行している状況では、この膨大な量のデータを共有する必要があります。では、プライバシーとセキュリティが侵害されないように、どのようにデータを分析すればよいでしょうか」。

オートメーション

 

HIPAA規制を自動化し、暗号化されたデータへのアクセスを迅速化するための画期的なヘルスケア研究にクラウド・サービスを提供

学生のためのソリューション

 

教授がコンピュータ・サイエンスや電気工学の学生を指導できる、クラウド上の教育ソリューションを提供

アクセスすべきヘルスケア・データが膨大な量にのぼることから、データのジレンマはさらに増幅されます。「私たちが扱っている健康関連の記録は数十億件にのぼります。人間が手動で処理していたのではあまりにも時間がかかるので、自動処理のシステムが必要です」とK. Joshi博士は言います。

UMBCのK. Joshi博士と彼女の率いるデータ分析チームは、非構造化データとプライバシーに関する規制というハードルはあるものの、ビッグ・ヘルスケア・データへのアクセスを高速化および自動化できる研究ツールはすぐに必要だと考えていました。とはいえこの複雑な研究をサポートするには、普通のノートPCやデスクトップPC、ITレガシー・システムの能力を超えるコンピューティング・リソースが必要でした。「IBMを通じてクラウド・テクノロジーと仮想コンピューティングを知り、そこから自然な流れでIBM Cloud for Educationと提携することになりました」とK. Joshi博士は言います。

IBM Cloud for Educationには非常に豊富なツールセットがあり、簡単に使用できるアプリやサービスが多数あるため、学生はそれほどプログラムを書く必要はありません。また、IBMは研究者とのコラボレーションにも積極的です。アイデアがあれば、それを一緒に検討してくれる人がきっと見つかります。 Karuna Joshi博士 メリーランド大学ボルチモア・カウンティ校、情報システム准教授 UMBCリアルタイム分析加速センター(Center for Accelerated Real Time Analytics)所長
ビッグデータとより大規模な研究

ビッグデータとより大規模な研究

K. Joshi博士と研究チームが、高度に規制され暗号化されたヘルスケア・データを分析する方法を研究し始めた時の重要な問題のひとつが、暗号化をめぐるものでした。「医療の領域では迅速な理解と意思決定が必要がありますが、膨大な量のデータがあると復号に何日もかかってしまいます。では、データを暗号化したまま、同時にアルゴリズムやアクセス制御の仕組みを機能させるにはどうすればいいのでしょうか。暗号化されたデータが膨大な量にのぼる場合、復号せずにクエリすると、悪夢のようなコンピューティングが必要になります」K. Joshi博士はそう語ります。

K. Joshi博士の研究チームは、暗号化とセマンティック推論を用いた新しいアプローチを開発し、データの小さなスナップショットを取って、記録のうちの小さなセクションを復号することで、復号に多大な時間を割くことなく必要な情報を引き出すことができました。「ここでの革新的な試みは、AIのアプローチとディープ・ラーニングを使用して、データを復号せずに情報にアクセスすることです」とK. Joshi博士は言います。

UMBCのチームはIBM Cloud for Educationツールを使用してこの戦略を洗練させ、最近、このトピックに関する重要な研究論文を2本発表しました。Big Data Security 2022 Conferenceでの「A Semantically Rich Knowledge Graph to Automate HIPAA Regulations for Cloud Health IT Services(クラウド医療ITサービス向けにHIPAA規制を自動化するためのセマンティック・リッチなナレッジグラフ)」と、Office of Naval Researchがスポンサーとなった「Delegated Access Control using Attribute-Based Encryption(属性ベースの暗号化を使用した委任アクセス制御)」です。

「私たちのセマンティック推論と暗号化のアプローチは、研究コミュニティからは非常に好評を博しています」とK. Joshi博士は言います。「企業にはポリシーがあり、組織にはデータをどのように暗号化してインターネットに送信するかというルールがあります。これらのルールは、今は自動化できません。私たちの目標はこれらのポリシーを自動化することです」

博士はさらに続けます「クラウドはいつでも利用できるので、自動化の作業には最適なソリューションです。誰でも簡単に共有できるのです。私たちの研究ではコンピューティング要件が膨大になるため、クラウドは非常に重要です。研究コミュニティ、そして私たちが連携している医療コミュニティもこのアイデアに高い関心を示しています」。

カリキュラムにクラウドを導入

カリキュラムにクラウドを導入

Anupam Joshi博士はOros Family教授であり、UMBCのコンピューター・サイエンスおよび電気工学(CSEE)学部の部長を務めています。彼は研究プロジェクトをサポートするために、長年にわたってIBM Cloud for Educationを使用してきました。

「例えば、私は現在、高齢者の社会的孤立を理解するためのプロジェクトを、米国および日本と共同で行っています」とA. Joshi博士は言います。「この研究は会話から収集された音声データをもとにしており、IBM Cloudの分析ツールはプライバシーを保護しつつ会話のトーンや感情を伝えるという素晴らしい仕事をしています」

A. Joshi博士は、研究プロジェクトや論文作成にIBM Cloudを使用する大学院生にもアドバイスを行っています。「生徒からのフィードバックは一様にポジティブなものです」とA. Joshi博士は言います。「学生の一人が問題に遭遇したときでも、1時間と経たずに解決されました。大学院生のスケジュールに遅れも出ず、IBMほどの規模の企業がこれほど迅速にリクエストに対応するのは非常にありがたいことだと考えています」。

IBM Cloud for Educationを利用した研究の経験をもとに、A. Joshi博士はオペレーティング・システムに関するUMBCコンピューター・エンジニアリング・コースのハイレベルの指導支援にEducation Solutions on IBM Cloudを選択しました。「アルゴリズムを除けば、オペレーティング・システムは、優れたコンピュータ・サイエンスのカリキュラムの中で最も習得が難しい科目の 1 つです」と A. Joshi博士は言います。「このコースに必要なタスクを実行するため、クラウドの拡張性を活かせるようにコースのIBM Cloudへの移行を進めています」

コースの受講中、学生はLinuxのカーネルに変更を加え、独自のカーネルでオペレーティング・システムを再起動する必要があります。「Linux カーネルのコンパイルは自分のマシンで行うと非常に時間がかかるので『大きな箱』を用意する必要があります」とA. Joshi博士は言います。「需要に弾力性があるため、学期中、プロジェクトの締め切りが来る時に合わせてクラウド上で仮想マシンを起動できます」。

UMBCの学生には、IBM Cloudの仮想マシンで作業する機会もあり、コンピューター・エンジニアリングの仕事に備えて、実験、作業の管理、VMの経験を積むことができます。

クラウドが支えるコンピューター教育プログラムは、多くの学生が人種や民族などの属性から不利な立場に置かれており、強力なノートPCを買う余裕がないという事実への対応でもあります。「UMBCのメッセージは『インクルーシブ・エクセレンス』です。本学ではあらゆる受講者を受け入れ、皆が成功するための手段を提供できるよう全力を尽くしています」とA. Joshi博士は述べています。「高価な最先端のマシンを購入させる代わりに、IBM Cloud上にリソースを用意して、学生が自身のマシンにはないハードウェアやソフトウェアにアクセスできるようにしています」。

クラウド・コンピューティングへの卒業

クラウド・コンピューティングへの卒業

IBM Cloud for Education、Education Solutions on IBM Cloudの他にも、UMBCの研究と教育では下記のIBMソリューションとサービスが貢献しています。

  • IBM Cloud Bare Metal Servers : IBM Cloud for Educationワークロードを専用のサーバー上で実行し、最大限のパフォーマンスと、充実したセキュリティを備えたシングル・テナンシーを実現します。
  • IBM Cloud Satellite Infrastructure Serviceは、パブリッククラウド、オンプレミスのデータセンター、エッジコンピューティング・システム上でアプリケーションをデプロイして実行する分散クラウド・ソリューションです。
  • IBM Cloud App IDは認証機能を追加し、バックエンドとAPIを保護し、モバイルアプリケーションとWebアプリケーションのユーザー固有のデータを管理します。
  • IBM Cloud Object Storageは、医療記録や画像データなどの非構造化データ向けに、柔軟でコスト効率が高くスケーラブルなリモート拠点でのクラウド・ストレージを提供します。
  • IBM Db2 on CloudはAI機能を備えたマネージドSQLクラウド・データベースで、エンタープライズ・アプリケーション向けに専任のオペレーション・チーム、ポイントインタイム・リカバリ、独立したスケーリングを提供します。
  • Red Hat OpenShift on IBM Cloudは、更新、スケーリング、プロビジョニングを自動化し、利用量の予想外の急増に対処するレジリエンスを整えます。

IBM Cloud for Educationは、IBMと南北アメリカ・ヨーロッパの大学との長年にわたるコラボレーションの集大成です。「IBM Cloud for Education は、IBMが20年ほど前に開発したVirtual Computing Lab(VCL)と呼ばれるソリューションを元にしています。ノースカロライナ州が主導しており、UMBCはその初期から参加していました」とA. Joshi博士は語ります。「これは『クラウド・コンピューティング』という用語がまだ普及していなかった時代に、特に教育用に開発された最初のクラウド・ソリューションの1つでした」。

「IBMからVCLへのアクセスの提供を受けたことがきっかけで、私はクラウド・テクノロジーと仮想マシンを知りました」とK. Joshi 博士は言います。「IBMは研究者とのコラボレーションや、情報やアイデアの交換にも非常に前向きです。アイデアがあれば、それを一緒に検討してくれる人がきっと見つかります」。

その例として、博士はIBMの弁護士が講演のためにUMBCを訪れた時のことを挙げています。この弁護士は講演の後、データ・コンプライアンスに関連する法律面でのいくつかの課題について博士と話し合いました。「弁護士は私と30分も話しました。大企業の弁護士が研究のアイデアについて話し合うのは非常にまれなことです。これがIBM Cloudとの良好な関係の、もう1つの理由です」。

クラウドの共同の未来

クラウドの共同の未来

2022年の秋、K. Joshi博士は上級レベルのデータ分析を教えることになりました。IBM Cloud for Educationのリソースを使用して生徒を支援する予定です。「私は学生にIBM Watson Analyticsツールへのアクセスを提供することを検討してきました。学生はソフトウェアを学んで、卒業後は専門家になることを目指しています。それが、私が立ち上げたいと考えているコラボレーションの1つです」。

IBM Cloud for Educationは、学術研究や教室での教育をサポートするだけでなく、汎用クラウド・プラットフォームとしても開発されています。大学のビジネス面をサポートでき、プラットフォーム内にあるアプリケーション・ラボは、AI、ブロックチェーン、IoT(モノのインターネット)、その他のソリューションなど、大学職員の希望に合わせた他のIBMサービスと統合できます。

また、IBM Cloud for EducationはIBM Center for Advanced Studies (CAST)のサポートも受けています。CASTは最も大規模なIBM開発コミュニティのひとつと大学との提携を管理しており、ここにはUMBCをはじめとする北米の多くの高等教育機関が含まれています。

「特に、コンピューター・エンジニアリングやコンピューター・セキュリティなど、特別なハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必要な専門コースには、IBM Cloud for Educationが今後に向けたもっとも適切な選択肢だと考えています」とA. Joshi博士は言います。「私たちは今後も可能性を探求し、コンピューティング・リソースに対する熱意を活かしていきます。」

UMBCのロゴ
メリーランド大学ボルチモア・カウンティ校(UMBC)について

メリーランド大学ボルチモア・カウンティ校(UMBC)について

UMBC(リンクはibm.comの外にあります)は、革新的な教育、インパクトのある研究、そして探究心を刺激する協力的なコミュニティで知られる公立の研究大学です。UMBCは1万4,000人の学部生と大学院生にサービスを提供しており、米国で最もインクルーシブな教育コミュニティの 1 つです。US News & World Reportでは、UMBCを学部教育とイノベーションの両方において全米第6位に位置づけています。またアメリカ国立科学財団(NSF)は、米国政府からの研究支援、特にNASAと社会科学での資金提供において、UMBCを全米トップクラスの大学に位置づけています。同大学は、起業家精神、労働力の訓練、幼稚園から高校までの教育、テクノロジーの商業化を推進する政府と産業界のパートナーシップを通じて、経済発展に貢献しています。

製品・サービス IBM Cloudの教育プログラム・ソリューション IBM Cloud App ID IBM Cloud Bare Metal Servers IBM Cloud for Education IBM Cloud Object Storage IBM Cloud Satellite Infrastructure Service IBM Db2 on Cloud IBM ZおよびLinuxONE用のRed Hat OpenShift
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2022年1月、アメリカ合衆国で制作。

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登録商標「Linux」は、世界範囲における本商標の所有者であるLinus Torvalds氏の独占的ライセンス所有者であるLinux Foundationから提供されたサブライセンスに基づき使用されています。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。