国立大学法人九州大学(以下、九州大学)は、「総合知で社会変革を牽引する」ことを目指して、社会的課題解決とデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進に取り組んでいます。イノベーションの創出に向けてデータ駆動型のアプローチを全学的に進める同大学にとって、データの利活用の促進と管理体制の強化は重要課題の一つです。
そこで九州大学は、国のオープンサイエンス政策を受け、研究データの安全で堅牢な管理を確実にするため、オンプレミス型の研究データ管理用ストレージシステム「QRDM」の導入を決定しました。株式会社エクサ(以下、エクサ)を導入パートナーに選定し、IBM製品を使ったストレージ基盤を他大学に先駆けて構築。今後は研究データ管理・公開ポリシーに則りながら、QRDMによるオープンサイエンスを推進していく計画です。
九州大学では、オープンサイエンス政策に基づき、研究論文や研究データの公開・共有に向けて準備を進めています。学内には研究過程で得られる膨大な量のデータが存在します。それらの管理基盤には従来、個人用のクラウド・ストレージなどが利用され、管理はあくまで教員個人に委ねられていました。研究ごとに複数のクラウド・ストレージを利用する教員も多く、データの増加は教員にとって負担となっていました。
そこで九州大学では、研究データ管理用ストレージシステム「QRDM」の検討に着手。クラウドにデータを置くことに対するセキュリティー上の懸念も考慮した上で、大学のネットワークからだけアクセスできるオンプレミス型のファイル共有・ストレージシステムを導入することを決断します。そして、「大容量データを長期保存できること」「災害復旧(DR)対策およびランサムウェア対策を兼ね備えること」「外部を含めたデータ共有を可能にすること」をシステム要件としてまとめました。
九州大学は入札を行い、複数社の中からIBMのパートナーであるエクサによる、IBMストレージ製品を中心にした提案を採用しました。決め手となったのは、テープ・メディア自体の耐久性と実績でした。
QRDMシステムでは、メインサイトの伊都キャンパスに、ホット・ストレージ「IBM FlashSystem 5035」を設置、教員はオンライン・ストレージ・サービス「Nextcloud」から利用します。そして、IBM FlashSystem 5035に接続されたコールド・ストレージであるテープ・ライブラリー「IBM TS4500」に日次でテープ・バックアップします。DRサイトの筑紫キャンパスにも同じIBM FlashSystem 5035が置かれ、2つのキャンパスの間で日次の非同期コピーを行います。この環境を制御するために、「IBM Storage Scale」と「IBM Storage Protect」の2つのソフトウェアが導入されています。IBM Storage Scaleはオブジェクト用ストレージとして、並列処理による高速読み書きや、ホット・ストレージが搭載するSSDとHDDの階層管理などを行います。IBM Storage Protect はデータの増分バックアップ、圧縮、重複排除により、優れたストレージ効率を実現します。
QRDMは、大学・教員の双方にとって大きな効果をもたらします。大学にとっては、教員による研究データの管理が可視化され、ディスクとテープの多重バックアップで、データの消失リスクを低減できます。またテープ・メディアは、10年間の長期保存という国の方針にも対応しています。一方、教員はQRDMに研究データ保存することで、研究データの散在を回避し、自身でバックアップやランサムウェア対策などを考える必要がなくなります。
九州大学では、これからもIBMのストレージ基盤を活用し、データ駆動による教育・研究・医療活動をさらに推進していく考えです。
東京、京都、東北に次ぐ国内4番目の帝国大学として1911年に創立され、12学部、19学府、国内最大級の大学病院や附属図書館などを運営。在籍学生は約1万9,000人、教職員は約8,000人(うち教員は約2,300人)に上ります。伊都キャンパス、病院キャンパス、筑紫キャンパス、大橋キャンパスの4つで、それぞれ特色ある研究や教育を展開。2021年には、「Kyushu University VISION 2030」を定め、「総合知で社会変革を牽引する大学」として社会・経済システムの変革に貢献していくことを目指しています。
株式会社エクサ(EXA CORPORATION)(ibm.com外部へのリンク)は、JFEスチールを母体とし、キンドリルジャパンを親会社に持つITサービス会社として、先進技術を活用したDXを推進し、上流のコンサルティングから開発・構築、運用・保守までの各種サービスを総合的に提供しています。
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