株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)は、デジタル変革(DX)の一環としてクラウドの活用を推進しています。その対象が徐々に基幹業務へと拡大してミッション・クリティカル性が高まるのに伴い、クラウド上のシステムについても安定稼働がより強く求められるようになってきました。クラウド上のシステム環境は複雑で障害時の調査に多くの時間を要することから、同社は運用監視のモダナイゼーションを決断。サービス・レベルの観点で動作状況を外形的に監視するという方針を立て、アプリケーションの動作状況をユーザー視点で監視し、障害を検知するオブザーバビリティー(可観測性)・ツール「IBM Instana Observability」を導入します。これにより、サービス障害の検知精度を90%に高め、原因調査に要する時間を50%以上も削減する(いずれも同社過去実績比)など、従来型の監視に加えて運用監視機能を大きく強化しました。
かんぽ生命は、顧客に対してきめ細やかな対応ができるよう、約1,970万件(2024年3月期時点)の保険契約者向けインターネット・サービス「マイページ」の提供にも注力しながら顧客体験価値の向上を目指しています。マイページの提供や社内業務を支えるかんぽ生命のシステム環境は、「『より早く、安く作り、より安定的に稼働させたい』というビジネス要求に応えるために、同社のIT戦略子会社であるかんぽシステムソリューションズ株式会社の支援によりクラウドの活用も拡大しながら発展してきました。2021年以降はクラウドで稼働するマイページのシステムに保険金請求などの機能が加わり、ミッションクリティカル性が大きく高まります。基幹システムや社内事務システムなどをクラウドに移行する取り組みも始まりました。これにより、クラウド上のシステムの安定稼働が不可欠となったことから、同社は運用監視のモダナイゼーションの取り組みを開始します。
かんぽ生命は、「独自ルールから市場ルールへ」「前例踏襲主義から改善推奨へ」などの方針を掲げ、運用監視のモダナイゼーションを推進します。背景には、従来のオンプレミスを前提にした運用監視では対応できない3つの課題がありました。1つは「クラウド上のシステムの拡大と重要性の増加」、2つ目は「クラウドでの監視や障害対応の難しさ」、3つ目は「監視の作り込みによるシステム構築スピードの低下」です。同社は、これらの課題を解消するにはクラウドの監視に特化したツールの活用が必要だと考え、クラウドやオンプレミスのアプリケーションの動作状況をサービス・レベルの観点(ユーザー視点)で監視することができるオブザーバビリティー・ツールとして「IBM Instana Observability」を導入しました。ユーザー数や機能追加による課金がないシンプルな料金体系であり、同社のユースケースにおいては従来のAPMツールと比較して利用料金を抑えられることも選定理由の一つです。
Instanaの導入により、かんぽ生命におけるクラウドのシステム運用監視は大きく強化されました。サービス障害の検知精度が大幅に高まり、カバレッジが76%から90%へと向上。ユーザーへの影響度を迅速に把握できるようになり、従来と比べて調査に要する時間が50%以上も削減されました(いずれも同社過去実績比)。さらに、インフラ担当チームのみならず、アプリケーション担当チームにも、日頃からサービスの動作状況を確認して改善に努める体制・文化が定着しました。かんぽ生命では今後、ホスト環境で稼働するオンプレミスの社員向け事務システムなどもInstanaの監視対象にすることのほか、利用対象をかんぽ生命の事業部門にまで拡大することを検討しています。
株式会社かんぽ生命保険(ibm.com外部へのリンク)は、郵政民営化に伴い2006年に設立。「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」を経営理念とし、強みとする郵便局ネットワークと、それを補完するインターネット・サービス(マイページ)などを通じて、わかりやすい商品と質の高いサービスの提供に努めています。
かんぽシステムソリューションズ株式会社(ibm.com外部へのリンク)は、「IT技術の力」と「和の力」を結集し、常にイノベーションを起こすことにより、お客さまと共に成長し、豊かで安心な社会の実現に貢献。かんぽ生命のIT戦略パートナーとして、日本全国のお客さまの暮らしをサポートしています。
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2024 年 8 月
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