サービス強化を迅速に市場に提供し続けるために、Ilmarinenは開発環境の俊敏性を高める必要がありました。IBM®のビジネス・パートナーであるTietoの支援により、Ilmarinenはプロセスをコンテナ化し、IBM WebSphere® Application Server Liberty Profileソリューションに移行し、IBM Cloud® Private(ICP)プラットフォームを選択することで、開発の制約を排除しました。
モノリシック・アプリケーションはイノベーションの障壁となり、Ilmarinen Mutual Pension Insurance Co.が顧客向けの機能を継続的に改善する能力を妨げていました。
同社の組織はアプリケーション開発をコンテナ化し、単一のクラウド接続プラットフォーム上で標準化することで、開発者が顧客向けの新しいアプリケーションを更新およびリリースする際の俊敏性と速度を向上させました。
フィンランド最大の民間年金保険会社であるIlmarinenは、優れた顧客体験の提供を戦略の中心に据えています。具体的には、社内の効率を高めながら、複数のチャネルを通じて価値を提供する新しいデジタル・サービスを提供したいと考えています。
Ilmarinenのチーフ・テクニカル・アーキテクト、Jani Itkonen氏は「市場投入までの時間を短縮することは、私たちの業界では不可欠な差別化要因です。私たちは、競合他社の先を行きたいと考えていました。これを可能にするためには、これまでとは異なる開発アプローチを採用する必要がありましたが、既存の環境が邪魔をしていました。」と説明しています。
このランドスケープには、70以上の社内外のアプリケーションが含まれており、その多くはIBM WebSphere Application Serverプラットフォームをベースとし、フィンランドに本社を置くITサービス・プロバイダーであるTietoがサポートしています。
Itkonen氏はさらに、「リリースのニーズは増加していましたが、開発者が作業やテストに使用できる静的環境は少数しかなく、カレンダーと時計に合わせて使用スケジュールを設定する必要がありました。それは、顧客が望んでいたほど迅速に更新が提供されないことを意味していました。私たちは、開発者が迅速に失敗して反復できるようにしたいと考えていました。」と続けています。
さらにIlmarinenは、スケールド・アジャイル・フレームワーク(SAFe)の開発モードを採用することで、開発の俊敏性を高めたいと考えていましたが、同社の限られた数の開発環境では、数十の同時進行のプロジェクトすべてにおいてSAFeを完全にサポートすることはできませんでした。
Tietoとビジョンを話し合った後、Itkonen氏と彼のチームはIlmarinenのアプリケーション環境を近代化する計画を策定しました。モノリシック・アプリケーション・アーキテクチャーをマイクロサービスに転換し、コンテナを採用してより柔軟かつ俊敏なアプリケーション開発を実現することにしました。
WebSphere Application Serverプラットフォームをベースとするアプリケーションについて、IlmarinenとTietoは、コンテナ化された開発をサポートするより大規模なプラットフォームの軽量で、クラウドを活用したバージョンであるIBM WebSphere Application Server Liberty Profileソリューションをデプロイしました。しかし同社は、ライフサイクルの終わりに近づいていたJBossソフトウェアをベースとした主要な保険決定アプリケーションなど、他のアプリケーションを再構築するための効果的な方法も必要としていました。次世代のアプリケーション・プラットフォームを特定して実装することが急務となっていました。
さまざまなパブリッククラウド・サービスに接続するIT環境の大部分が外注されているため、Itkonen氏は、「複雑さを制御不能にすることなく、この移行をどのように管理できるか?」という課題に直面しました。
IBMには答えがありました。IBMは、IBM Cloud Privateソリューションのリリースを発表したばかりでした。これは、オンプレミスでコンテナ化されたアプリケーションを作成・管理するためのエンタープライズ・グレードのプライベートクラウド・プラットフォームです。Itkonen氏は、「IBMのテクノロジーを長年使用してきたユーザーとして、IBMがCloud Privateを発表してすぐに、これが正しい選択だと気づきました。」と説明しています。
この新しいIBMのソリューションには他にも利点がありました。Itkonen氏は、「私たちはコンテナ・オーケストレーターKubernetesを本当に使いたかったのです。IBM Cloud Privateが登場する前は、Kubernetesプラットフォームの選択肢のほとんどは、よく知らないスタートアップやベンダーからのものでした。IBMがCloud Privateによる代替案を提供してくれたとき、私たちは非常に満足しました。」と語っています。
Ilmarinenはすぐに、アプリケーション環境全体をCloud Privateプラットフォームに移行することを決定しました。これにより、マイクロサービス・アーキテクチャーへの移行が容易になり、Dockerコンテナを管理するためのKubernetesソフトウェアが組み込まれます。これにより、開発者は、開発、テスト、本番環境、クラウドとオンプレミス環境の間でアプリケーション・コンポーネントをシームレスに移動できるようになります。
Itkonen氏はこの変化について、「以前は、WebSphereプラットフォーム、DataPower®プラットフォーム、JBossや.NETなどのLinuxおよびWindowsプラットフォームがありました。プラットフォームごとにサービスと専門家のサポートを購入する必要があり、それらすべてを管理するのは非常に複雑でした。現在、プラットフォームは1つだけであり、それはIBM Cloud Privateです。多数の異なるプラットフォームを管理するよりも、1つのプラットフォームを管理する方がはるかに簡単です。」と説明しています。
Ilmarinenは、IBM Cloud Privateを活用して、複数のアジャイル・チームの調整、コラボレーション、納入を同期するアプローチであるSAFe開発手法も採用しています。同社には現在17の開発チームがあり、サービスの個別の分離されたコンポーネントに並行して取り組むことができます。Itkonen氏は、「Cloud Privateがなければ、SAFeを採用することは非常に困難でした。SAFeは、当社がより俊敏で即応性の高い組織に変革する上で重要な役割を果たしています。」と語っています。
Itkonen氏はさらに、「IBM Cloud Privateにより、DevOpsパイプラインが以前よりはるかに簡単になりました。もう、モノリシック環境をプロビジョニングしたり管理したり、リソースを節約したりする必要はありません。すべてを直接コンテナに入れて、その場でさまざまな環境をプロビジョニングできます。」と付け加えました。
Server Liberty ProfileおよびCloud Privateプラットフォームは、DockerおよびKubernetesテクノロジーを使用してアプリケーション環境を最新化することで、Ilmarinenに多くの重要なメリットをもたらしました。その最たるものが、新しい環境の柔軟性の向上です。同社の以前の環境はモノリシックであったため、アプリケーションの作成と更新は複雑で時間のかかるプロセスでした。新しいアーキテクチャーにより、Ilmarinenは大規模なインフラストラクチャーをマイクロサービスに分割することで、開発者がすぐに変更を加える柔軟性を改善できました。WebSphere LibertyプラットフォームとCloud Privateプラットフォーム間での開発の移行も簡単であるため、Ilmarinenは継続的にワークロードのバランスを保つことができ、内部環境を最大限に活用し、コストを必要なクラウド時間に限定できます。
柔軟性の向上に加えて、Ilmarinenはもう1つの重要なメリットを得ました。それは、速度の向上です。以前は、変更の展開に数日かかることがありました。新しい開発環境を使用すると、そのような変更は数分で完了します。Itkonen氏は、「たとえば、以前は15人の専門家が3時間かけていた開発タスクが、IBM Cloud Privateを使用すると1人でわずか10分で完了します。」と説明します。
Itkonen氏はさらに、「何よりも、Cloud Privateを使用すると開発タスクが非常に簡単になり、ユーザーも高度な技術的スキルを必要としません。これら2つの要素を組み合わせると、市場投入までの時間が非常に短くなるため、お客様に喜んでいただける新しいサービスを継続的に展開できるようになります。今後、さらに多くの最適化を導入できるようになり、単一のベンダーに縛られることなく自由にいろいろ試せるようになるでしょう。」と続けます。
最後に、Ilmarinenは年金保険会社として、100万人以上のフィンランド人の退職金を管理しています。そのため、同社にとってセキュリティーは非常に重要な懸念事項となっています。Cloud Privateソリューションを使用すると、ファイアウォールで保護されたIlmarinenの開発環境で、従来のオンプレミス・プラットフォームと同等のセキュリティを保ちつつ、柔軟性と速度が向上させることができます。
Itkonen氏は、「IBM Cloud Privateは、コスト効率の高い方法でアプリケーション・ランドスケープを最新化できるようにすることで、Ilmarinenにとって、より俊敏な新時代の原動力となりました。そして、私たちは、競合他社の先を行き、お客様の期待を上回ることができます。」と締めくくりました。
1961年に設立され、最近Etera Mutual Pension Insurance Co.と合併したIlmarinen(ibm.com外部へのリンク)は、フィンランド最大かつ最古の民間年金会社です。フィンランドの起業家やフィンランド企業の従業員に、収入に応じた年金保険サービスを提供しています。ヘルシンキに本社を置く同社は500人以上の従業員を擁し、約110万人の顧客にサービスを提供しています。2017年の投資資産は450億ユーロを超えていました。
IBMのビジネス・パートナーであるTieto(ibm.com外部へのリンク)は、ヘルシンキに本社を置き、20か国以上で事業を展開しているITサービス・プロバイダーです。医療、金融サービス、消費者サービスなど、さまざまな業界に顧客を抱えています。Tietoは1968年に設立され、13,000人以上の従業員を擁しています。
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2018年8月アメリカ合衆国で制作。
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