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お客様事例
世界的な製造会社
内部の調達プロセスでは、ポリシーや基準への適合が重要です。コストを最小限に抑えて効率を最大化するため、ほとんどの大企業はポリシーと標準化されたワークフローを策定し、従業員が事前に取り決められたサプライヤーと取引するように指示しています。
もし従業員が独自のプロセスで購買行動を行うと(マーベリック・バイイングと呼ばれる行為)、標準化された購買チャネルによる価格面や効率面に関するメリットをすべて放棄することになります。マーベリック・バイイングが広がるほど、収益への影響も大きくなってしまいます。
世界50カ国に展開し、先進的なケーブルを製造しているこちらの世界的な企業にとって、標準的な調達プロセスから逸脱した行為を抑制することによるインセンティブは大きなものでした。しかし同社のプロセス・オーナーが指摘するように、課題も多くありました。彼女は、「コンプライアンスに適合しない購買行為が比較的広範囲に行われていることは周知の事実でした」と打ち明けました。「ですが、それがどのように、どこで、どの程度起こっているのかを突き止める方法がありませんでした」
特に強力なきっかけとなったのは、調達から支払い(P2P)のサイクルにロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)ツールを適用したいという要望でした。調達プロセスにおいて、一致する発注書(PO)がないのに請求書が作成された場合など、コンプライアンスに適合しない購買行為は「例外」として扱われ、手作業での処理が必要となります。オートメーションはプロセスが標準化されていることを前提としているため、例外とオートメーションが相容れないことは明らかです。このため、例外を最小限に抑えることが最優先事項となります。
それにはまず、その例外を見つけなければなりません。例外の特定に最も役立つ証拠は、同社のSAP ERPのデータ・フローです。
プロセスを真に最適化するには、調達オーナーがデータを基に何が起きているかを詳細に確認することが不可欠です。彼女は、「長期的なデジタル・トランスフォーメーションのロードマップの中でプロセス・フローの透明性を確保することは、当社がオートメーションに取り組む上で不可欠な前提条件だと考えています」と説明しています。
マーベリック・バイイングの件数を減らし、調達注文の再作業コストを6万米ドル節約しました。
RPAツールを使用して、ライン製造と納入アクティビティの75%に対し、ターゲットを絞ったオートメーションを実現することができました。
プロセス・ディスカバリー・ソリューションの必要性を認識した同社は、いくつかの選択肢を検討しました。調達プロセス・オーナーによると、同社が最終的にIBM® Process Miningソリューションを選択した理由は、その基盤となっている組織のデジタルツイン(DTO)テクノロジーにあります。「IBM Process Mining製品の最も優れている点は、その動的プロセス・モデリング・フレームワークの柔軟性と粒度の細かさです」と彼女は説明します。「IBMのフレームワークはデジタルツインを中核としているため、業務ワークフローをより詳細に、データに基づいて確認することができます。この強力なツールにより、自動化を加速させることができました」
その理由について詳しくご説明します。DTOは、データフローを分析することでプロセスを正確に反映する機能を特徴としていますが、マーベリック・バイイングのような違反プロセスを発見する場合以外にも役立ちます。また、AIを活用した「What If」シミュレーション・メカニズムも可能になり、プロセスの専門家がオートメーションを含む特定の改善によってコスト、生産性、プロセス・サイクル・タイムなどの指標にどのような影響があるかを視覚化できるようになります。
そのため、同社のプロセス・オーナーは、IBM Process Miningソリューションは非常に価値のあるオートメーション計画ツールであると述べています。「プロセス・オートメーションに投資するかどうかを最終的に決める要因は、予想されるビジネス価値です。しかし、より難しいのは、リスクを最小限に抑えながら利益を最大化する方法で有限なリソース投資のバランスをとることです。これはビジネス・ケースの作成における本質と言えます」と説明しました。「こうした結果をシミュレートできる機能こそが、IBM Process Miningの優れた点です」
IBM Process Miningは、IBM Cloud Pak for Business Automationを含む、すべてのIBM Cloud Pak for Automationの基盤機能として含まれています。
これらの機能をテストするために、同社はトランスフォーメーション・パートナーと協力し、概念実証(PoC)としてIBM Process Miningソリューションを実装しました。このソリューションのアルゴリズムは、同社のERPシステムのライブ・データを使用することで、プロセスの逸脱をほぼ瞬時に明らかにしました。これらを放置すると、オートメーションの取り組みが複雑になる恐れがあります。
プロセス・オーナーとそのチームは、モデルから生成されたグラフとフローチャートを見て、ライン製造や納入アクティビティを含む主要な注文作成プロセスの半分が手作業であり、コンプライアンスに適合していないことに気づきました。さらに、プロセス・スキャンにより、これらの作業では人為的ミスに起因する再作業が発生する可能性が高いことが明らかになりました。これらの違反プロセスにより、調達サイクルに必要以上の時間がかかっているだけではなく、コストが年間約25万米ドルも増加していました。
これらの洞察に基づいて、同社はライン製造と納入の両方のアクティビティにオートメーション・ツールを実装しました。納入業務の75%を自動化することで、同社は注文に関する再作業を大幅に削減し、関連コストを約6万ドル削減することができました。ライン製造アクティビティでも同様の自動化を行うことで、リード・タイムが3日短縮され、コストを5万米ドル削減できました。
デジタル・トランスフォーメーションの真っ只中にあるほとんどの企業と同様に、同社もプロセスをよりアジャイルかつ効率的で、クラウド・ベースのものにするという包括的なビジョンを掲げています。プロセス・オーナーにとって、会社がプロセス・オートメーションの具体的な決定に対してデータ主導のアプローチを採用しているという事実、つまりペイン・ポイントがどこにあるのか、どのように対処すれば最適な結果が得られるかを知っているという事実は、効果の点で大きな違いを生んでいます。彼女は、「IBMソリューションからもたらされたプロセスの透明性は、調達から支払いまでのプロセスを自動化するかどうかの決定に非常に大きな影響を与えました」と述べています。「当社ではトランスフォーメーションの展開を続けていきますが、データに基づいた意思決定はその成功の中心になるでしょう」
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2022年3月、米国で作成。
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本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。
このケーススタディで紹介されているクライアントは、当初、2021年8月1日にIBMとして事業を開始したmyInvenioと提携していました。このケーススタディに登場するmyInvenio製品、myInvenio Process Miningは、現在IBM Process Miningとして知られています。
記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。