Akropolis Decentralised Ltd.
パブリッククラウド上のブロックチェーンで金融組織を強固に防衛
コーディング記号によりチェーンを抽象化した画像

Akropolis社は、分散型ブロックチェーンを基盤とするエコシステムの、自立的な金融組織による利用をサポートするために、クラウドのインフラストラクチャーを必要としていました。同社は、既存のクラウド・プラットフォームを、より堅固でスケーラブルなIBM® Cloud™インフラストラクチャーに置き換え、高いボリュームのトランザクションを安定して処理することを可能にしました。

ビジネス上の課題

分散的な金融ネットワークをサポートできるグローバルなブロックチェーンのエコシステムを構築するため、Akropolis Decentralized社には、既存のクラウド・ソリューションをより堅固でスケーラブルなクラウド・インフラストラクチャーに置換する必要性がありました。

トランスフォーメーション

Akropolis社は、IBM Cloudのコンテナー、セキュリティー、DevOps機能を選択しました。その理由となったのは、ソリューションのスケーラビリティーや、IBMが持つ長年の実績と品質基準、業界が寄せている信頼であり、さらにIBMチームからは十分なサポートが得られることです。

結果 堅固なクラウド・インフラストラクチャー
分散型でスケーラブルなブロックチェーン・エコシステムをサポート
より高いレベルのサポート
追加料金なしで利用できるクラウドソリューション
充分なセキュリティを備えた機能
ユニークなトリプル・ネットワーク・アーキテクチャ
ビジネス上の課題の詳細
変動のない年金基金を生み出すための探求

2008年にウォール街を襲った金融危機の影響は、世界全体におよぶものでした。特に高齢者などの個人が、年金基金を通じて大きな悪影響を受けました。

Akropolis社の創設者兼最高経営責任者(CEO)である、Anastasia Andrianova氏は、個人レベルにおよんだこの痛ましい結果を、強く認識していました。投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻したとき、Andrianova氏はロンドンで同行の金融アナリストとして働いていましたが、それだけでなく、リトアニア在住であった同氏の両親も直接的な影響を受けたのです。

「銀行間融資システムの構造が理由で、たとえばニューヨークで銀行が破綻した場合に、一般の人々、特に最も弱い立場にある人々は、自分の口座にアクセスできないという状況に直面します」とAndrianova氏は言います。「金融危機の際に、通常、政府が最初に資金を投入する対象は公的資金になるので、個人の長期貯蓄は犠牲となってしまいます。」

この経験は、将来の経済的メルトダウンによるドミノ効果から脆弱な人々を守ることを使命とする会社、Akropolis社を設立する原動力となりました。実際のところ同社の名前の由来は、古代に住民を外敵から保護するために建てられた砦のような建造物を指す、「アクロポリス」という言葉から来ています。

「私たちがやろうとしているのは、銀行間の融資システムに依存せず、その犠牲になることのない基金を作ることです」と、Andrianova氏は言います。「これはピア・ツー・ピアの金融ネットワークとして設計され、信頼できる貯蓄の利用と、信用、保険という、3つの基本サービスを提供するものです。」

この目的の達成に向け、Akropolis社では、非集約型の金融ネットワークにブロックチェーン・ベースのインフラストラクチャーを提供するための、プロトコルとドメイン限定のチェーンを構築中です。このネットワークの目的は、デジタル協同組合、ギルド、相互組合などの、形式にとらわれない自立的な金融組織の形成、運営、相互連携を可能にすることです。

変更が不可能だというブロックチェーン台帳の特性により、このネットワークは世界市場の変動に対してもレジリエントです。ブロックチェーン内の各情報ブロック(一連のトランザクションの詳細など)は後続ブロックに記録されていくため、検出されずにこれらを変更することはできません。これにより、銀行やその他のエンティティーによる取引の処理や追跡は必要なくなり、二者間でブロックチェーンを使用しての、資金の直接的な交換が可能になります。

クラウド・プラットフォーム上で動作するブロックチェーン・プロトコルについて、初期テストを完了したAkropolis社が出した結論は、より堅固でレジリエントなソリューション、つまり、グローバルなスケーリングと大量のトランザクションの処理が可能で、セキュアかつ持続可能性のある分散型クラウド・インフラストラクチャが必要だということでした。

私は、年次レポートでは支払能力があるように見えても、突然破産する可能性があるものとは反対の、常にその支払能力を証明できる、分散型のファンドを創設したいと考えています。 Anastasia Andrianova Founder and CEO Akropolis Decentralised Ltd.
概要と経緯
成長を目指すスタートアップの支援

クラウド・プラットフォームの選択肢を調査していた当初、Akropolis社のチームはIBMを考慮に入れていませんでした。実際、チームメンバーからIBMが提案された際も、Andrianova氏らは、それが適切であるとは感じませんでした。

「私たちは、『自分たちの会社はスタートアップなんだ。IBMが連携しているのはエンタープライズ・クライアントだろう。そのどこに利点があるんだ?』と言いつづけていたんです」とはAndrianova氏。しかし、IBMとの打ち合わせを通じて、Akropolis社のチームは異なる見方するようになります。「IBMが実際にはスタートアップと協力しており、若い会社とその製品販売サイクルに対応するために、十分な柔軟性と拡張性を備えた設計を提供していることを知ってうれしく思いました。」

最終的にチームは、新しいパブリッククラウドのインフラストラクチャーを開発するために、IBMを選択しました。このソリューションは、IBM Cloudとそのコンテナおよびセキュリティー、さらにIBM Cloud FunctionsとDevOpsで構成されています。

他社との競合の中からIBMを選んだのには、いくつかの要因が貢献していました。IBMからのスタートアップ支援に加えて、株主や潜在顧客との信頼関係を確立したいと考えていた新興企業にとっては、IBMの名前は1つの恩恵でもありました。

この決定には、経済学的な要因も含まれています。他の多くの企業とは異なり、IBMは内部トラフィックに関し、お客様に料金を請求しません。この機能は、ブロックチェーンにとっては特に重要です。データセンター内のネットワークで、多数の変更が発生するためです。これらに加えてIBMでは、お客様がクラウドでビジネスの実稼働環境を維持できるよう、ソリューションに十分なサポートを提供しており、これにも追加料金が発生することはありません。

そして、IBMが提供するセキュリティー充実の機能も魅力的でした。IBM Cloudソリューションは、パブリック用、管理用、およびプライベート用の各ネットワークを分離した、独自のトリプル・ネットワーク体系を使用しています。あるネットワークのユーザーが他のネットワークにアクセスするリスクはありません。そして最後に、IBMは、ヨーロッパの一般データ保護規則(GDPR)の基準を満たしていることを証明する、クラウド・コンピューティング・コンプライアンス管理カタログ(C5)認定を取得しており、多くの競合他社はこれに未対応です。

成果の詳細
グローバル・リーチ構想

現在Akropolis社は、IBMをクラウド・インフラストラクチャの中核に据えた戦略的ロードマップを、完成させる作業に入っています。同社は、ニューヨーク市にあるIBMインキュベーターと協力して、設計ソリューションをより詳細に探っていく予定です。

「現在、私たちは基盤層を構築中です。次に、その層の上でアプリケーションを開発し、アーキテクチャ全体でさまざまなエンティティを接続する作業を開始します」とAndrianova氏は言います。「テストを開始する段階では、地理的な拡張もしていきます。その時点では、ネットワークの堅固さが損なわれないことの確認が重要となります。」

Akropolis社のチームがビジョンの実現に向けて前進するにつれ、当初IBMに対し抱いていた、大規模なエンタープライズのみに対応している企業だろうという警戒心は、共有される評価へと移り変わりました。Andrianova氏は、「当社がやろうとしていることについて、このような世界的企業が興味を持ってくれていることは、私たちに大きなやりがいを感じさせてくれます。」と述べています。

ビジネス・ロゴ
Akropolis Decentralised Ltd.

2017年に設立されたAkropolis(リンクはibm.comの外部)は、ブロックチェーン・テクノロジーをベースにした、ドメイン限定の金融プロトコルを開発しています。同社は、このプラットフォームを使って、形式にとらわれない自立的金融組織(AFO)の迅速な結成と運営を可能にし、相互運用可能でスケーラブルなネットワークを育てることで、これらのAFOが信頼できる環境で価値を交換できるようにし、最終的には、詐欺や資金の不正使用を減らすことを目指しています。Akropolis社はジブラルタルで法人化されており、事業は現在シンガポールで展開中です。同時に世界的な拡大に向けた計画も持っています。

次のステップ

この記事で紹介されているIBMソリューションの詳細については、IBMの担当者、またはIBMビジネス・パートナーにお問い合わせください。

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法務

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2022年10月、米国で作成。

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