製造業における一般的な課題の1つは、非常に複雑で相互接続されたオペレーションを、分かりやすく整理されたかたちで理解できるようにすることです。この課題を解決するために、ABB Ability Knowledge Managerは、Production Information Management System（PIMS）を提供しています。これは、オペレーションの最適化、プロセスや資産パフォーマンスの向上、コンプライアンス報告の管理を目的としたソリューションです。さらに、このソリューションから得られるインサイトは、製造業における効率向上、エネルギー使用量の削減、排出量の削減にも貢献します。

セメント業界特有の高度に専門的なニーズに応えるため、ABB社はABB Ability Knowledge ManagerのアドオンとしてCement Production Scheduler（CPS）を提供しています。CPSは、市場の需要や変動するエネルギー価格に対応しながら生産計画を最適化することで、エネルギーコストの削減と環境負荷の最小化を実現します。CPSは、世界的な大手セメント会社との密接な協力のもと開発されており、現場の業界ニーズに的確に対応しています。

CPSソリューションは、セメントメーカーが最適な生産計画を模索する際に、複数のシナリオをモデル化できる機能も提供しています。

ABB社グローバル・プロダクト・マネージャーのRajesh Nandakumar Nair氏は、次のように説明しています。「他のテクノロジーを使用している企業でも導入に障壁を感じないように、依存関係を最小限に抑えたいと考えました。そのため、セメント業界の過酷な要件にも対応できる十分な性能と柔軟性を備えた、データベースやDCS（分散制御システム）に依存しない最適化エンジンを追求したのです。」

ESAにより、ABB社はILOG CPLEX Optimizerの導入および更新ごとに使用料を支払うことができ、導入数が増えるにつれてより有利な料金体系が適用されます。

ABB社のサステナビリティおよび業務最適化担当 グローバル・プロダクト・マーケティング・マネージャーであるAudrey Wang Gosselin氏は、次のように述べています。「セメント業界においては、収益性は生産の精密な管理にかかっています。今回の事例では、当社のお客様がCement Production Schedulerの導入を50カ所以上の拠点に拡大しており、市場の需要やエネルギーコストが変動する中で、最適な生産スケジュールを決定するうえでの価値が示されています。」

ESAを導入したことで、ABB社はCPSの開発を継続し、新たな顧客への展開も進めています。同社は、CPLEXを含むソリューション全体に対して直接サポートを提供し、顧客の計画および生産プロセスの最適化を支援しています。

CPSの利用者は、工場単位・製品単位まで最適化された短期的な生産スケジューリングの恩恵を受けることができ、コスト削減と設備効率の向上につながります。また、計画段階での効率向上によりスケジュール上の制約を克服できるほか、将来の生産を微調整する際に参照可能な意思決定基準の履歴もすべて記録されています。

「CPSを使用すると、セメントメーカーは複数のシナリオを比較したうえで、どれを実行に移すかを決定する前に、最適化された生産計画を数分で算出できるようになります」と、Wang Gosselin氏は述べています。「ILOG CPLEX Optimizerを組み込んだABB Ability Knowledge Managerの強力な機能により、お客様はコストを削減し、環境負荷を最小限に抑えるための最適な意思決定を行うことができます。さらに、IBMのEmbedded Solution Agreementによって、このソリューションは容易に拡張可能となり、お客様の事業拡大の目標にも対応できます。」

ABB社は、世界117カ所の製造拠点で10万5,000人以上を雇用し、年間約320億米ドルの収益を上げています。同社は、エンジニアリングの専門知識と高度なソフトウェアを融合させることで、モノの製造・移動・電力供給・運用の最適化を図り、世界のエネルギー課題への対応、産業の変革、そしてサステナビリティーの向上を目指しています。