DataPower によるシスプレックス分散

シスプレックス・ディストリビューターを使用して、シスプレックス・ディストリビューターのロード・バランシングが明示的に有効にされる、z/OS 以外のターゲット・ホストのクラスター全体でワークロードのバランスを取ることができます。IBM® WebSphere® DataPower® アプライアンスは、シスプレックス・ディストリビューターのロード・バランシングをサポートする、z/OS 以外のターゲットの一例です。

IBM WebSphere DataPower アプライアンスは、多くの場合、z/OS® へのフロントエンド処理層として使用され、サービス指向アーキテクチャー (SOA) での z/OS アプリケーションの参加を可能にし、それを拡張します。DataPower は、z/OS アプリケーションにおいて透過的に Web サービスを使用できるようにします。また、Web サービス・セキュリティー・プロトコル、XML スキーマ検証、およびその他多くの機能を促進してさらに効率的に処理できるようにすることによって、z/OS 上の Web サービスに対して既に有効になっている、ワークロードの分散を拡張できます。

ヒント:

多くの環境において、可用性とスケーラビリティーをより高めるために、1 つのクラスター内に複数の DataPower インスタンスが配置されます。図 1 でロード・バランシングの最初の層によって示されているように、これには DataPower アプライアンス・クラスターへの Web サービス着信接続要求を分散するロード・バランシング・コンポーネントが必要となります。DataPower は、着信要求のための処理でそれ自体の部分を実行すると、通常はその要求を z/OS アプリケーション層に送ります。その層には、CICS®、IMS™、WebSphere、および DB2® 等のアプリケーションが含まれています。可用性の高いシスプレックス構成では、z/OS アプリケーション層 において、ほとんどの場合、z/OS アプリケーション層全体にわたって要求のバランスを取るロード・バランシングの 2 つ目の層が必要になります。

図 1. DataPower のロード・バランシングの概要
DataPower による z/OS ワークロードのロード・バランシングのための 2 つの構成オプション

図 1 は、DataPower による z/OS ワークロードのロード・バランシングのための 2 つのオプションを示しています。

構成 A では、外部ネットワーク・ベースのロード・バランサーを使用して、DataPower への Web サービス着信接続要求のバランスを取ります。外部ロード・バランサーは、その接続要求を処理できる DataPower アプライアンスのクラスターを表す特定のポートおよび IP アドレスへの TCP 接続要求を受信するように構成されます。外部ロード・バランサーは、ターゲット DataPower アプライアンスを選択して、そのロード・バランサー用に構成された配分方式に基づいて要求を送ります (ラウンドロビン、加重ラウンドロビンなど)。 要求が DataPower アプライアンスによって処理される場合は、z/OS アプリケーション層への後続要求を送るために、2 次 TCP 接続が開始されることがあります。それには、2 つ目のロード・バランシング層が必要となります。DataPower に組み込まれているロード・バランシング・サポートを使用して、この 2 つ目のロード・バランシング層を実装することができます。デフォルトではラウンドロビン分散が使用されますが、このロード・バランシング層に対して z/OS シスプレックス・ディストリビューターを使用することもできます。シスプレックス・ディストリビューターはシスプレックス環境に不可欠な部分であるため、それには z/OS 環境に関する詳細なリアルタイムのナレッジがあります。それらには、各アプリケーションおよび LPAR インスタンスの現在の容量とパフォーマンスについての z/OS ワークロード・マネージャー推奨値、および z/OS アプリケーション層の現在の状態および正常性についての詳細情報が含まれています。この情報により、シスプレックス・ディストリビューターは、z/OS アプリケーション層およびその他のシスプレックス・リソースの現在の状態に基づいて、最適なロード・バランシング決定を行うことができます。

構成 B は構成 A を変化させたものです。主な違いは、 シスプレックス・ディストリビューターが、両方の分配層に対するロード・バランシング・コンポーネントとして使用されることです。これにより、DataPower および z/OS アプリケーション処理層の両方を含む、複合 z/OS ワークロードに対して単一のロード・バランシング・ソリューションを使用することができます。それにより、ロード・バランシング管理が簡易化されます。シスプレックス・ディストリビューターを DataPower に対する層 1 ロード・バランサーとして使用すると、DataPower サポートを利用してアウト・オブ・バンド TCP 接続においてシスプレックス・ディストリビューターとの通信が行われ、動的なロード・バランシング・フィードバックが提供され、以下のような最適化が可能になります。

複合 z/OS および DataPower ワークロードのロード・バランシングに対するシスプレックス・ディストリビューターの使用について詳しくは、以下のトピックを参照してください。