シナリオ 2 の概要 - 複数層およびマルチサイト環境での DataPower へのシスプレックス・ディストリビューター・ロード・バランシング

シスプレックス・ディストリビューターを使用して DataPower® への層 1 の処理要求のロード・バランシングを実現し、DataPower がマルチサイト環境内の z/OS® 上の層 2 サーバーに接続する場合は、DataPower へのロード・バランシングとの組み合わせでシスプレックス・ディストリビューターの複数層サポートを使用することによって、ロード・バランシング構成を拡張することができます。

図 1 では、DataPower は層 1 サーバー・レイヤーであり、z/OS アプリケーションは層 2 サーバーとなります。

図 1. 複数層およびマルチサイト環境での DataPower へのシスプレックス・ディストリビューター・ロード・バランシング
複数層およびマルチサイト環境におけるシスプレックス・ディストリビューターを使用した DataPower のロード・バランシングの例

マルチサイト環境では、それぞれの層 2 シスプレックス・ディストリビューターは、その CPC 内の z/OS サーバー・アプリケーション・インスタンスへのサービス要求のバランスを取って送るように構成されます。層 2 ディストリビューターは、CPC 内のターゲット・アプリケーション・インスタンスのグループの WLM 重み付けの組み合わせを層 1 ディストリビューターに送信します。層 1 ディストリビューターは、対応する層 2 の分配ターゲットの WLM 重み付けの組み合わせと共にそれぞれの層 1 DataPower ターゲットから受け取った重み付けに基づく複合重み付けを使用して、そのロード・バランシング決定を行います。

例えば、図 1 の DataPower DATAP1 および DATAP2 の場合、CICS1 および CICS2 の重み付けが、層 1 のシスプレックス・ディストリビューターの決定に含まれます。DataPower DATAP3 および DATAP4 の場合、CICS3 および CICS4 の重み付けが、層 1 のシスプレックス・ディストリビューターの決定に含まれます。

使用されている層 1 配分方式はターゲット制御 (DISTMETHOD TARGCONTROLLED) であるため、各 DataPower ターゲットは重み付けを、その全体的な正常性を表す層 1 ディストリビューターに送信します。層 2 DVIPA は CPCSCOPE キーワードを使用して構成されるため、それらのターゲットは同じ CPC 内にある必要があります。層 2 ディストリビューターは、それらの GROUP1 ターゲット・アプリケーション・インスタンスに対する WLM 重み付けを集約し、その結果を層 1 ディストリビューターに送信します。次に層 1 ディストリビューターは、DataPower の重み付けおよび対応する層 2 の重み付けの組み合わせに基づいて、各ターゲットに対する複合重み付けを決定します。

CPC は、共有 IPv4 サブネットの使用により DataPower アプライアンスの特定のセットに関連付けられています。図 1 では、サイト 1 内の DataPower アプライアンスはサブネット 201.81.10.0/24 に接続されており、サイト 2 の DataPower アプライアンスはサブネット 201.81.20.0/24 に接続されています。サイト 1 内の CPC (CPC1) はサイト 1 の DataPower サブネット 201.81.10.7 に属する CPCSCOPE DVIPA を使用し、サイト 2 内の CPC (CPC2) はサイト 2 の DataPower サブネット 201.81.20.7 に属する別の CPCSCOPE DVIPA を使用します。層 1 シスプレックス・ディストリビューターは、層 2 ターゲットへの DataPower 宛先 IP アドレスと一致した場合に、これらの CPCSCOPE DVIPA を使用して、どの z/OS LPAR がどの DataPower アプライアンスに関連付けられているかを判断します。OMPROUTE を、これらの CPCSCOPE DVIPA アドレスのみに対してホスト経路を公示するようにセットアップする必要があります。

このシナリオでの主な接続フローを以下のフローに示します。