シスプレックス・ディストリビューター

シスプレックス・ディストリビューターは、動的 VIPA および自動 VIPA テークオーバーの概念を拡張して、シスプレックス内のターゲット・サーバー間でロード分散を可能にします。これは、動的 VIPA の機能を拡張して着信 TCP 接続の配分を可能にし、シスプレックス内の特定サービスの高可用性を確保できるようにします。

シスプレックス・ディストリビューターは、z/OS 以外のターゲットへのロード・バランシングをサポートしています。詳しくは、DataPower によるシスプレックス分散を参照してください。

シスプレックス・ディストリビューターの機能は、1 つの IP エンティティーが、特定のサービスを認識する IP アドレスの所有権を公示することです。この方法では、シスプレックス・ディストリビューターの単一システム・イメージは、特殊 IP アドレスの単一システム・イメージになります。 この IP アドレスは、分散 DVIPA と呼ばれます。さらに、シスプレックス・ディストリビューターでは、分散 DVIPA を公示し、そこへの接続をディスパッチする IP エンティティーは、それ自身がシスプレックス内のシステム・イメージであり、配分側スタックと呼ばれています。

シスプレックス・ディストリビューターは、ワークロード・マネージャー (WLM) とその機能を使用して、サーバー・ロードを測定し、WLM 推奨値を提供します。このパラダイムでは、WLM がターゲット・システムごとの WLM 推奨値 (WLM システム重み付け) を配分側スタックに提供するか、または、ターゲット・スタックがターゲット・サーバーごとの WLM 推奨値 (WLM サーバー固有重み付け) を配分側スタックに提供します。 配分側スタックは、この情報を使用して、一連の使用可能なサーバー間で着信接続要求を最適に配分します。さらに、シスプレックス・ディストリビューターには、ポリシー・エージェント内部の一定のポリシーを指定する機能があり、それによって、ターゲット・スタックからの QoS 情報を使用して WLM 推奨値をさらに変更することもできます。また、これらのポリシーは特定のサブネットワーク内のクライアントに使用する候補となるターゲット・スタックを指定することもできます。

シスプレックス・ディストリビューターは、新規 TCP 接続セットアップ要求を受け入れる場合のターゲット・サーバーの反応性を測定し、新規要求を正常に受け入れる可能性の高いサーバーを優先的に選択します。詳しくは、ターゲット・サーバーの接続セットアップ反応性のモニターを参照してください。

ワークロード・マネージャーの重み付けは相対値です。 WLM システムの重み付けは、追加作業に対応するターゲット・システム容量を表し、WLM サーバー固有重み付けは、追加作業に対応する特定ターゲット・サーバー容量をさらに細かい単位で表します。数値が高いほど、そのターゲットは他のターゲットと比較して容量が大きいことを示します。「Netstat VDPT/-O」画面にこれらの値が示されます。WLM システム重み付けは、この重み付けの横に B が付いて示され、WLM サーバー固有重みは、重みの横に S が付いて示されます。

WLM システム重み付けを使用する配分方法が、デフォルトの配分方法です。これは、VIPADISTRIBUTE ステートメントの BASEWLM パラメーターを使用して指定できます。WLM サーバー固有重み付けを使用する配分は、VIPADISTRIBUTE ステートメントの SERVERWLM パラメーターを使用して指定可能です。SERVERWLM パラメーターが使用されていて、すべてのスタックがその VIPA/ポートのために WLM サーバー固有重み付けを提供可能な場合、WLM サーバー固有重み付けが使用されます。それ以外の場合は、WLM システム重み付けが使用されます。